
うつ病の休職期間はどれくらい?担当者が知るべき目安や手続きを解説
「部下や同僚から『うつ病の症状があり、少し休職したい』と相談されたら、あなたはどう対応しますか?」
人事労務の担当者や管理職の立場にある方なら、いつ直面してもおかしくない状況です。
いざその場面になると、「どのような対応方法が正解なんだろう?」「本人の回復のためには、どうするのが一番良いのだろう?」「企業として法的な問題はないかな?」など、多くの不安や疑問が頭をよぎるのではないでしょうか。
うつ病のような心の不調を理由に仕事を休む人は増え続けており、これはどの企業にとっても他人事ではありません。
厚生労働省の調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調が原因で1ヶ月以上休職した、あるいは退職した従業員がいた事業所の割合は13.3%に達しています。
この記事では、人事労務の担当者や管理職の方が、従業員のうつ病による休職に直面した際に自信を持って対応できるよう、最新情報に基づき、具体的な手続きの流れ、休職期間の目安、休職中の支援方法、そして復職の判断基準まで、一連の流れを分かりやすく解説します。
また、優秀な人が辞めてしまう前のメンタルヘルス対策は、産業医との連携が効果的です。産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員のメンタルケアに繋がる産業医サービスが利用できます。
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うつ病の休職期間、目安はどれくらい?
従業員がうつ病で休職するとなった時、担当者がまず気になるのは「どのくらいの期間、休むことになるのだろう?」という点でしょう。
この休職期間は、医師の医学的な判断と、会社の制度という2つのポイントで決まってきます。
- 初回の平均休職期間は3ヶ月から半年が目安
- 会社の就業規則で定められた期間が上限になる
- うつ病の症状の重さによって1年以上になるケースも
初回の平均休職期間は3ヶ月から半年が目安
まずは、一般的なデータとして、厚生労働省の研究で示された平均的な休職期間を見てみましょう。
それによると、うつ病など心の不調による1回目の休職は、平均で107日(約3.5ヶ月)という結果が出ています。
しかし、注意が必要なのは、一度復職した後に再発してしまい、2回目の休職となった場合は、平均157日(約5.2ヶ月)と、期間が長くなる傾向があることです。
2回目の休職が長引くということは、初回の回復が十分でなかったり、根本的な問題が解決しないまま職場復帰してしまったりした可能性があります。
そうなると、企業にとっては人手不足が長引いたり、最終的には大切な社員が退職してしまうことにも繋がりかねないでしょう。
そのため、「平均3.5ヶ月」という数字は、あくまで一つの目安です。これを絶対的な目標にするのは避けるべきです。
うつ病は5年以内の再発率が約47%と高い病気でもあり、最初の休職で焦らず、本人のペースに合わせて十分な療養期間を確保することが、結果的に「再休職」という一番のリスクを避け、再発を予防する方法なのです。
会社の就業規則で定められた期間が上限になる
休職期間を考える上で、もう一つの大切な基準が、会社の「就業規則」です。
休職という制度は法律で義務付けられているわけではなく、企業が独自に設けている福利厚生のような制度なのです。
そのため、休職を認めるか、どのくらいの期間休めるか、といったルールは、すべて会社の就業規則の規定で決められています。
多くの企業では、長く勤めて会社に貢献してくれた従業員を手厚くサポートするために、勤続年数に応じて休職できる期間の上限を決めています。
例えば、次のようなルールが一般的でしょう。
- 勤続1年未満:30日
- 勤続1年以上3年未満:90日
- 勤続3年以上:180日
就業規則は、もし何かトラブルが発生した時に、会社が正しく対応したことを示す大切な証拠になります。
休職期間の上限や復職のルールなどが曖昧だと、不公平感や問題の原因になってしまう可能性もあります。
専門家のアドバイスを受けながら、しっかりとした就業規則を準備しておくことが重要です。
うつ病の症状の重さによって1年以上になるケースも
平均期間や会社のルールと並んで、休職期間を決める上で大切なのが、医師の診断に基づくうつ病の症状の重さです。
うつ病といっても、その状態は人それぞれで、必要な治療や療養の期間も大きく変わってきます。
担当者として、症状の重さと期間の目安を把握しておくと、会社としてどのくらいの期間を見込んでおけばよいか、見通しを立てやすくなるでしょう。
症状の重さ | 一般的な休職期間の目安 | 主な状態 |
---|---|---|
軽度 | 1ヶ月前後 | 睡眠に影響が出たり、やる気が出なかったりする。無理をすれば仕事はできるが、放置すると症状が悪化する可能性も。 |
中等度 | 3ヶ月~6ヶ月 | 日常生活に明らかな支障が出る。遅刻や欠勤が増え、仕事や家事がうまくこなせなくなる。朝、起き上がれないこともあります。 |
重度 | 1年以上 | 食事がとれなかったり、「死にたい」と考えてしまったりと、命の危険が伴うケースも。入院治療が必要になる場合が多く、回復には2~3年かかることもあります。 |
うつ病の治療には長い時間が必要になることも珍しくありません。
特に症状が重い場合は、会社のルールで定められた期間を超える可能性も考え、最初の段階から慎重な対応を検討する必要があります。
従業員のうつ病による休職の初期対応と手続きの方法
従業員からうつ病で休職したいと申し出があった時、企業の最初の対応が、その後の流れがスムーズにいくかどうかを決める大切なステップです。
ここでは、担当者が具体的に何をすべきか、その方法を解説します。
- まずは面談で状況を確認し医師の診断書を提出させる
- 就業規則に基づき休職制度と社会保険料の扱いを説明する
- 傷病手当金制度を案内して申請手続きを支援する
まずは面談で状況を確認し医師の診断書を提出させる
従業員から「うつ病かもしれないので休みたい」と相談されたら、最初の面談がとても重要になります。
まず、他の人に話が聞こえない、プライバシーが守られる場所(静かな会議室など)を用意することが大切です。
面談の目的は、本人を問い詰めることではありません。本人の状況を理解し、「会社はあなたの回復を応援しているよ」という姿勢を伝えることです。
相手の気持ちに寄り添い、サポートする姿勢で話を聞き、本人が安心して話せる雰囲気を作りましょう。
状況をヒアリングした上で、会社として正式に休職を認めるための客観的な根拠として、医師による診断書の提出をお願いします。
これは、ほとんどの企業の就業規則で決められている手続きです。診断書には、次の項目が記載されているか確認しましょう。
- 病名(例:「うつ病」「うつ状態」)
- 症状の簡単な説明
- 療養に必要な期間の目安(例:「〇ヶ月間の休養が必要です」)
- 仕事をするのが難しいという医師の意見
後から「言った・言わない」のトラブルにならないよう、面談した日時や内容、決まったことなどを記録に残し、書面で本人に渡しておくと安心です。
就業規則に基づき休職制度と社会保険料の扱いを説明する
診断書が提出され、休職することが具体的になったら、人事担当者は就業規則に沿って、休職中のルールについて正確に説明する責任があります。
まず、休職制度そのものについて説明しましょう。
- 就業規則で決まっている休職できる期間の上限
- 休職中の給与がどうなるか(多くの場合、働いていない期間は給与が支払われないこと)
- 休職期間が勤続年数に含まれるかどうか(退職金の計算などに影響します)
次に、本人にとって非常に重要ですが、見落としがちなのが社会保険料(健康保険料・年金保険料)の扱いです。
休職して給料が出ていなくても、従業員である限り、社会保険料の自己負担分は自分で払い続ける義務があります。
給与から天引きできないので、会社が一度立て替えて支払い、後で本人からその分を徴収するのが一般的です。
この説明を忘れると、後から思わぬ金額を請求されて、「会社がちゃんと説明してくれなかった」と大きなトラブルになる可能性があります。
休職に入る前に、保険料の負担とその具体的な支払い方法(例えば、毎月会社の口座に振り込むなど)をはっきりと説明し、お互いに納得しておくことが重要です。
傷病手当金制度を案内して申請手続きを支援する
休職中、給与がもらえない従業員の生活を支える制度が、「傷病手当金」です。
これは会社からではなく、従業員が加入している健康保険組合などから支給されるお金です。
傷病手当金がもらえる主な条件は、次の4つです。
- 業務外の病気やケガで療養していること(仕事中のものは労災保険の対象)
- 仕事ができない状態であること
- 連続して3日間休み、4日以上仕事に就けなかったこと(最初の3日間は待機期間)
- 休んでいる間、会社から給与が支払われていないこと
もらえる金額は、だいたい給与のおよそ3分の2くらいで、支給された日数を合計して最長で1年6ヶ月まで受け取ることができます。
2022年1月の制度改正により、途中で少し復職した期間があっても、その分はカウントされず、休んだ日数の合計が1年6ヶ月に達するまで受給できる「通算」方式になりました。
これにより、治療と仕事の両立がしやすくなっています。
申請には専用の申請書が必要で、本人、医師、そして会社がそれぞれ記入する欄があります。
企業の役割は、この申請書を本人に渡し、手続きの流れを説明し、会社が記入する欄を、スピーディーに正しく作成して支援してあげることです。
うつ病の休職期間中に会社が必要な対応と支援
従業員が休職に入ったからといって、企業の役割が終わるわけではありません。
安心して療養に専念できる環境を整え、回復を支援することが、スムーズな職場復帰には重要です。
- 本人への連絡は月1回程度とし回復に専念させる
- 業務に関する連絡は原則行わず治療の妨げにならないよう配慮
- 他の従業員にはプライバシーに配慮して情報共有する
本人への連絡は月1回程度とし回復に専念させる
休職中の従業員とのコミュニケーションは、とてもデリケートな対応が必要です。
一般的には、月に1回程度の連絡がちょうど良いとされています。会社との繋がりを保ちつつも、仕事のことは忘れてゆっくり休んでもらうための、良いバランスなのです。
連絡は、直属の上司や同僚などではなく、人事の担当者が窓口になるのがよいでしょう。
そうすることで、うっかり業務の話をしてしまうのを防ぎ、事務的な連絡や本人の体調確認に集中できます。
連絡の目的は、あくまで「会社はあなたの回復を待っていますよ」という安心感を伝えることであり、復帰を焦らせるようなプレッシャーを与えないことが大切です。
業務に関する連絡は原則行わず治療の妨げにならないよう配慮
休職中の連絡で、守るべき大切なルールが仕事に関する業務連絡は一切しないということです。
休職の一番の目的は、仕事のストレスから完全に離れて、治療に集中してもらうことです。
たとえ「ちょっと状況を教えて」というような簡単な質問でも、仕事の話は本人にプレッシャーや負担を与え、回復の妨げになってしまう可能性があります。
過去の裁判例(京都地方裁判所 平成28年2月23日判決)では、休んでいる従業員に会社が無理に連絡を取ったことで症状が悪化したとして、会社が従業員の安全や健康を守る義務を怠ったと判断されたケースもあります。
不適切な連絡は、法律上の問題になる可能性があるのです。
人事担当者は、この「業務連絡の禁止」を、特に管理職に徹底してもらう必要があります。
他の従業員にはプライバシーに配慮して情報共有する
休職する従業員の病気に関する情報は、個人情報の中でも特に慎重に扱うべき大切な個人情報(要配慮個人情報)です。
周囲の従業員に伝えるときは、プライバシーに最大限配慮しなければなりません。
【伝えること】
他の従業員には業務に影響が出ないよう、必要なことだけを伝えます。
例えば、「〇〇さんは、体調不良のため、今日からしばらくお休みします。当面の仕事は△△さんたちで分担しますので、協力をお願いします」というように、客観的な事実だけを伝えましょう。
【伝えてはいけないこと】
「うつ病」という具体的な病名や、休職に至った詳しい経緯などを、本人の同意なく話すのは絶対にやめましょう。
また、一人が休むと、残ったメンバーの仕事の負担が増えるのは避けられません。
管理職や上司は業務量を公平に分け、特定の誰かに負担が偏らないように気を配る必要があります。
一人の休職が、周りの人も疲れてしまうような悪い流れを作らないようにすることも、大切なマネジメントの一つです。
うつ病の休職期間が明けた後の復職判断
休職期間が終わりに近づき、従業員から「そろそろ復職したい」という希望が伝えられた時、企業は「本当に復職しても大丈夫か?」という、重要で難しい判断をしなければなりません。
この復職判定は、焦らず、様々な角度から慎重に進める必要があります。
ここでは、復職判断について詳しく解説していきます。
- 主治医の診断書だけでなく産業医の意見も聞いて判断する
- 試し出勤制度を活用して職場復帰が可能かを見極める
- 復職判定委員会を設置して客観的な判断を行う
主治医の診断書だけでなく産業医の意見も聞いて判断する
復職の判断で、担当者が理解しておくべき大切なことは、「主治医」と「産業医」の役割の違いです。
この違いを理解せず、主治医の診断書だけで「OK」と判断してしまうと、復職してすぐにまた体調を崩してしまう、という失敗に繋がりがちです。
「日常生活が送れる状態」と「仕事のプレッシャーに耐えられる状態」との間にあるギャップを埋めるのが、産業医の大切な役割なのです。
最終的に復職を認めるかどうかを決定する権限は、医師ではなく企業にあります。
会社は、主治医と産業医、両方の専門家の意見を参考にして、最終的な判断を下すのです。
主治医
患者の治療が目的です。
主治医が出す「復職可能」という診断書は、「日常生活を送る上では問題ないレベルまで回復した」という医学的な判断です。
しかし、主治医は職場の詳しい業務内容や環境まで知っているわけではありません。
産業医
企業の従業員の健康管理が目的です。
その従業員が「会社の職場で、契約通りの仕事を安全に継続できるか」という、働く現場の視点で判断します。
試し出勤制度を活用して職場復帰が可能かを見極める
本当に復職できる状態かを見極めるための有効な方法として、「試し出勤制度(リハビリ出勤)」があります。
厚生労働省も、2025年に改訂された「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」の中で、この制度の活用を推奨しています。
本格的な復職の前に、少しずつ職場に慣れていくための「ウォーミングアップ」のような期間です。
試し出勤には、いくつかのステップがあります。
- 模擬出勤:勤務時間と同じ時間帯に、図書館やリワーク支援機関などへ通って、生活リズムを整える訓練
- 通勤訓練:実際に会社へ行くのと同じように、職場の近くまで行ってみる訓練
- 試し出勤:実際に職場へ出勤してみる。最初は短い時間から始め、徐々に時間を延ばしていく
この試し出勤の間、まだ本格的な仕事はしないので、給与は発生しないのが一般的です。
その代わり、従業員は傷病手当金をもらい続けることができます。
ただし、この点については後でトラブルにならないよう、事前に本人と書面でしっかり確認しておくことが大切です。
復職判定委員会を設置して客観的な判断を行う
特に判断が難しいケースや、大きな企業では、「復職判定委員会」というチームを作って判断することがあります。
復職判定委員会の目的は、一人の担当者の考えに偏らない、公平な判断をすることです。
メンバーは、人事担当者、直属の上司、そして産業医などで構成されるのが一般的です。
このような委員会を設けることで、判断のプロセスが透明になり、「なぜその結論になったのか」という記録が残ります。
もし復職を認めないという判断をした場合でも、会社が公平な手続きを踏んだという証拠になり、後々のトラブルから企業を守ることにも繋がるでしょう。
うつ病の休職期間に関するよくある質問
うつ病での休職は、法律で細かく決められていない分、担当者が判断に迷うことも多いでしょう。
ここでは、よくある質問について解説します。
- うつ病の休職期間に法律上の上限はありますか?
- 休職期間の延長はどのような場合に可能ですか?
- 休職期間が満了しても復職できない場合、退職や解雇はできますか?
- 休職と復職を繰り返す従業員への対応方法はありますか?
うつ病の休職期間に法律上の上限はありますか?
いいえ、法律で決められた上限はありません。
労働基準法などの法律には、個人的な病気やケガ(私傷病)で休む期間についての決まりはないのです。
休職できる期間は、法律ではなく、それぞれの企業が「就業規則」で決めています。
休職期間の延長はどのような場合に可能ですか?
会社の就業規則に延長できる規定があるか、会社が特別に認めた場合に可能です。
従業員から「もう少し休ませてください」と言われたからといって、会社が必ず延長を認めなければならないわけではありません。
基本的には、就業規則で決められた期間が終われば、休職も終了します。
延長が認められるのは、主に次の2つのケースです。
- 就業規則に延長の規定がある場合:「会社が特に必要と認めた場合は、期間を延長することがある」のような一文があれば、それに従って判断します
- 会社が特別なケースとして認める場合:規定がなくても、会社が個別の事情を考えて延長を認めることもできます
ただし、延長を判断するときは、「もう少し休めば、復職できる可能性が高い」という、医師の診断書のような客観的な見込みがあることが大前提です。
また、一度だけ特別扱いをすると、他の従業員との公平さが問題になることもあるため注意しましょう。
休職期間が満了しても復職できない場合、退職や解雇はできますか?
就業規則の規定に基づいて、退職または解雇の扱いになります。ただし、その書き方によって法的な意味が大きく変わるので注意が必要です。
休職期間が満了しても復職できない場合の扱いは、就業規則の言葉の選び方で決まります。
- 自然退職(または自動退職):就業規則に「休職期間が終わっても復職できないときは、その日をもって退職とする」と書かれている場合。これは、あらかじめ決められた条件が来たので、労働契約が自動的に終了するという考え方です。会社が「解雇します」と言うわけではないので、「解雇」とは異なります。
- 普通解雇:就業規則に「…解雇する」と書かれている場合。これは、会社が一方的に労働契約を終わらせる行為です。この場合、日本の厳しい解雇のルールが適用され、その解雇に正当な理由がないと判断されると、不当解雇として無効になるリスクがあります。
「退職とする」と「解雇する」は、法的なリスクの大きさが全く違うのです。「自然退職」のルールを定めておく方が、会社にとってはリスクが少ないと言えるでしょう。
ただし、どちらの場合でも、単に期間が来たというだけで自動的に雇用が終わるわけではありません。
会社が産業医の意見を聞くなど、復職できるかどうかの判断を行い、他の簡単な業務に移れないかといった努力をしたかどうかが、最終的に問われることになります。
休職と復職を繰り返す従業員への対応方法はありますか?
就業規則に「休職期間を合算するルール(通算規定)」を設けておくのが有効な対応方法です。
メンタルヘルス不調では、一度復職しても、また同じような症状で休職してしまうことがあります。
このような「休職と復職の繰り返し」に対応するために有効なのが、「通算規定」というルールです。
「復職してから一定期間内(例えば半年や1年以内)に、また同じような理由で休む場合は、前の休職期間と合算してカウントします」というルールを就業規則に書いておくものです。
この規定がないと、休職期間の上限まで休んで、一度復職してカウントをリセットし、またすぐに休職に入れてしまう、ということが起こり得ます。
これも、就業規則に書いておかなければ効力がないので、事前の準備が大切です。
【まとめ】うつ病の休職期間では企業の対応と復職支援が重要
従業員のうつ病による休職への対応は、避けては通れない大切なテーマです。
この記事で解説してきたように、この複雑な問題にうまく対応するためには、しっかりとした方針と手順が必要になります。
成功のポイントは、次の4つです。
- 分かりやすい就業規則:休職できる期間や復職のルールなどを事前に決めておくことが、トラブルを予防する一番の対策になります
- 思いやりのあるコミュニケーション:最初の面談から休職中の連絡まで、本人の不安を和らげ、信頼関係を築くことが重要です
- 療養に集中できる環境づくり:傷病手当金のような経済的な支援と、仕事から離れて安心して休める環境を整えることが、本人の回復を後押しします
- 専門家の意見に基づく丁寧な復職プロセス:主治医と産業医の意見を参考にし、試し出勤制度などを活用して、無理なく復職できるかを見極めることが、再発を防ぐポイントです
復職した後も、短時間勤務や仕事内容の調整といった配慮をしながら、定期的に面談で様子を確認し、無理のない職場環境を保っていくことが、本当の意味での「職場復帰成功」に繋がります。
もし社員の健康リスクに対する課題解決に悩んでいるのであれば、産業医の紹介や、全国どこでも面談予約・実施・意見書管理までシステム上で実施可能で、オンライン産業医面談が利用できる「first call」の活用が効果的です。