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休職期間の決め方は?延長の申し出があった場合の判断基準や注意点をわかりやすく解説

休職は、従業員との雇用契約を継続したまま、病気やケガの療養のために一定期間仕事を休ませる制度です。一般的に休職期間は、従業員からの申し出や主治医の診断書、産業医の意見などを基に決めます。

ただし、休職期間については法律の規定がなく、従業員の回復度合いや治療状況などを考慮して判断します。そのため、「休職延長の判断基準が分からない」「休職期間はどのように決めればよいのだろう」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、企業の人事・総務担当者の方に向けて、休職期間の決め方や延長の申し出があった際の判断基準について解説します。


目次[非表示]

  1. 休職期間の決め方
  2. 休職の延長を申し出られた場合の判断基準
  3. 休職期間を延長する際の注意点
    1. 延長期間の上限を定める
    2. 退職・解雇の取扱いを定める
  4. まとめ


休職期間の決め方

休職期間は、『労働基準法』による定義や期間の制限などはないため、企業が独自に設定できます。

ただし、『労働基準法』第15条第1項・『労働基準法施行規則』第5条第1項において、休職制度を設けている企業では、必要記載事項として休職に関する就業規則の明示が必要であると示されています。


▼休職に関して就業規則に明示する項目

  • 休職事由(休職制度の種類)
  • 傷病休職・事故欠勤休職・起訴休職・出向休職など
  • 休職事由に対する休職期間
  • 休職期間の起算日
  • 休職期間中の給与
  • 休職期間終了後の退職判断・手続き
  • 休職期間の延長の可否・延長期間
  • 復職の判断基準・手続き
  • 配置転換やリハビリ出社などの制度の有無・内容

また、休職期間は休職事由に応じて異なるのが一般的です。そのため、休職事由に応じた休職制度と各制度に対する休職期間を就業規則に規定する必要があります。

たとえば、病気やケガなどの私傷病を事由とする場合、勤続年数を自社への貢献度と捉えて、勤続年数に応じて休職期間に差を設けることが一般的です。

休職手続きや延長の判断をスムーズに行い、従業員とのトラブルを防ぐためには、就業規則に詳細を規定して、周知しておくことが重要です。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法』『労働基準法施行規則』/厚生労働省『就業規則作成・見直しのポイント』『採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。



休職の延長を申し出られた場合の判断基準

休職の延長を申し出られた場合、主治医・産業医の意見を聴取したうえで、延長の可否や期間を判断します。休職の延長についても、『労働基準法』では規定がないため、就業規則に明記しておくことが重要です。

休職期間の満了時に、休職事由が消滅していない場合には、休職期間の延長を検討します。病気やケガ、メンタルヘルス不調などの私傷病を休職事由とするケースでは、治癒の状態によって休職事由が消滅しているか否かを判断します。


▼治癒の状態

  • 病気やケガ、精神疾患などが回復しているか
  • 健常時と同様に業務を遂行できるか

上記の判断は、原則として企業側に委ねられます。「休職前に従事していた職務に従事すること」を治癒の要件として規定することも可能です。

ただし、安全かつスムーズな職場復帰を支援するためには、休職者の意思確認とともに、主治医や産業医の意見を基に就業上・治療上に配慮します。そのうえで配置転換の業務内容や業務量の変更などを検討することが望まれます。

延長の必要性や期間の判断基準となる情報には、以下が挙げられます。


▼休職延長の必要性や期間を判断する情報

  • 主治医による診断書
  • 主治医と産業医からの意見収集
  • 休職者の復職意欲や就業に対する不安
  • 職場復帰を阻害する要因
  • 休職中の本人の行動特性
  • 休職者の家族の支援状況 など

企業の一方的な判断ではなく、さまざまな情報を基に「休職の延長が必要か」「復職が可能か」など、事業場内の産業保健スタッフが中心となって判断を行います。

出典:厚生労働省『就業規則作成・見直しのポイント』『モデル就業規則』『心の健康問題により 休業した労働者の職場復帰支援の手引き



休職期間を延長する際の注意点

休職の延長期間の上限や期間満了時の対応については、就業規則に明記するとともに、従業員に説明をして同意を得ておくことが重要です。

ここでは、休職期間を延長する際の注意点について解説します。


延長期間の上限を定める

休職期間を延長する際は、期間の上限を定めます。これにより、期間満了時に再び休職の延長を求められることがないため、復職または退職の手続きをスムーズに進められます。

また、休職中の従業員が休職期間満了後の退職を懸念して、休職中に一旦復職したのち、再度休職するというケースがあります。

こうした“繰り返し休職”を防ぐために、一定期間内に休職を延長する場合には、その期間を通算するといった規定を定めておくことも重要です。その場合は、一定期間を3ヶ月以内、6ヶ月以内などと、社会通念上相当な範囲において検討する必要があります。

出典:厚生労働省『就業規則作成・見直しのポイント


退職・解雇の取扱いを定める

休職期間の延長後、復職できないケースを想定して、退職や解雇の内容についても定めておく必要があります。

休職制度では、延長した休職期間が満了したあと、休職事由が消滅していない場合、労務提供不能として雇用契約を終了させることになります。

その際、退職となるのか、普通解雇となるのか取扱いを定めておくことで、従業員とのトラブルを防止できます。なお、休職期間の満了をもって退職とする旨を就業規則に規定していない場合、普通解雇の手続きを踏むことになります。

出典:厚生労働省『就業規則作成・見直しのポイント』『モデル就業規則



まとめ

この記事では、休職期間の延長について以下の内容を解説しました。

  • 休職期間の決め方
  • 休職の延長を申し出られた場合の判断基準
  • 休職期間を延長する際の注意点

休職期間は法律で定められていないため、企業が独自に定めることが可能です。また、休職中の従業員から期間の延長を申し出られた際は、主治医・産業医の意見を聴取したうえで、延長の可否や期間を判断して設定します。

ただし、休職をめぐって従業員とのトラブルが起きないように、休職期間や延長期間の上限、期間満了後の対応などについて就業規則に定め、その内容を休職開始時などから従業員へ共有し、理解をいただいてから進めることが重要です。

なお、休職延長や職場復帰の判断には、人事・総務担当者と産業医との連携が欠かせません。クラウド型健康管理サービスの『first call』を活用すれば、システム経由で産業医とスムーズに連携ができるようになります。

産業医との面談もオンラインで実施可能です。休職中の従業員の健康状況をオンラインで確認できるため、休職期間の延長相談や復職判断などをスムーズに進められます。

サービス詳細については、こちらからご確認いただけます。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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