健康経営オフィスとは?健康で快適な職場環境をつくる7つのポイントや取り組む前の注意点を解説
健康経営は、生産性向上や組織の活性化につながるとして、経済産業省が推奨する施策の一つです。従業員の健康保持・増進により、一人一人の仕事のパフォーマンス向上が期待できます。
なかでも、1日の多くを過ごすオフィスは従業員の健康に与える影響も少なくないと考えられることから、“健康経営オフィス”という考え方も広がりを見せています。
この記事では、健康経営オフィスとは何か、また健康で快適な職場環境をつくる7つのポイント、取り組みの注意点について解説します。
また、クラウド型健康管理サービス「first call」では、産業医業務のオンライン対応(職場巡視を除く)が可能な嘱託産業医の選任や、医師への相談窓口など産業医や医師による企業の健康サポートを行っています。ストレスチェックの実施に加え、健康診断結果や面談記録の管理、面談日程調整など企業の健康管理業務をオンライン化できます。
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』『健康経営』
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健康経営オフィスとは
健康経営オフィスとは、従業員の健康を保持・増進する行動を促して、心身の調和や活力の向上を図り、一人一人のパフォーマンスを最大限に発揮できるオフィスのことです。
従業員の健康を保持・増進するためには、心身ともに健康かつ快適に働けるオフィス環境の整備が求められます。
病気やメンタルヘルス不調を予防するだけではなく、心身の調和を図りながら、活気あふれるオフィス環境を目指すことが重要です。
健康経営オフィスを実現することで、以下のような効果が期待できます。
▼健康経営オフィスで期待できる効果
- 従業員の健康問題や病気の予防(運動器・感覚器障がい、メンタルヘルス不調、心身症、生活習慣病、感染症・アレルギー)
- 健康問題による生産性低下の解消
- 優秀な人材の確保、定着率の向上
- 企業の業績向上、株価向上
健康経営オフィスの実現は、従業員や企業への効果にとどまらず、QOL(Quality of Life:生活の質)の向上や国民医療費の適正化など、社会的な課題の解決にも貢献すると考えられています。働き手不足が進む日本において、事業継続・持続的成長をしていくうえで欠かせない取り組みといえます。
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
健康経営オフィスをつくる7つのポイント
健康経営オフィスを実現するためには、健康保持・増進につながる行動を誘発させるオフィス環境が必要です。
ここでは、これらの行動を誘発させるオフィス環境づくりのポイントを解説します。
1 快適性を感じる
1つ目のポイントは、身体的・精神的に快適と感じるオフィス環境を整備することです。
光・音・空気質・香り・触感などの五感に対する快適性のほか、正しい姿勢を取れる環境や、従業員のパーソナルスペースの快適性を確保することが挙げられます。
心身の快適性を感じられるオフィス環境をつくることで、運動器・感覚器障がい、メンタルヘルス不調、心身症の予防・改善が期待できます。
▼快適性を感じるオフィス環境づくりの例
- デスク幅を拡大して、作業効率の向上、姿勢の改善を図る
- アイデアの飾りつけや応接室・会議室の緑化によって、仕事に対する楽しさややりがいを感じてもらう
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
2 コミュニケーションを取る
2つ目のポイントは、従業員同士のコミュニケーションを活性化させるための制度・スペースを導入することです。
挨拶や自然な会話が生まれやすいオフィスに工夫するほか、従業員間で感謝をし合ったり、共同作業をしたりする仕組みの構築が求められます。
また、社会的なつながりによって良好な人間関係を構築することで、メンタルヘルス不調や心身症の予防・改善が期待できます。
▼コミュニケーションを活性化させるオフィス環境づくりの例
- 敷地内の清掃活動を自主的に行う習慣をつくり、従業員同士や地域住民とのコミュニケーションを創出する
- 社内新聞を配布・掲示を通して、従業員の一体感の醸成やコミュニケーションを促進する
- オフィス内にカフェを設置して、部署の垣根を超えたコミュニケーションの機会を創出する
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
3 休憩・気分転換をする
3つ目のポイントは、仕事場から離れて休憩や気分転換ができるスペースをつくることです。
飲食や雑談、仮眠などができるスペースのほか、終業後に従業員同士で交流したり、マッサージを受けられたりする設備を導入することも有効です。
適度に休憩したり気分転換したりすることで、運動器・感覚器障害、メンタルヘルス不調、心身症の予防・改善につながります。
▼従業員の休憩・気分転換を促すオフィス環境づくりの例
- カフェスペースを導入して飲料やお菓子を無料で提供する
- 休憩や仮眠に使用できるリラクゼーションルームを設ける
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
4 体を動かす
4つ目のポイントは、オフィス内で体を動かせるスペースや設備を設けることです。
デスクワークを減らすための立ちスペースをはじめ、ストレッチや体操を促す環境の整備、健康器具の導入などがあります。
適度に体を動かせる環境を構築することで、運動器・感覚器障がいや、生活習慣病の予防・改善が期待できます。
▼体を動かすためのスペース・設備の導入例
- フロアに回廊できる動線を確保して歩く機会を促す
- 昇降デスクを採用して、スタンディングワークを推奨する
- 共有スペースに雲梯(うんてい)を設置して、肩こり・腰痛の予防や緩和を図る
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
5 適切な食行動をとる
5つ目のポイントは、健康を意識した食行動を促すために、オフィス内で適切な食事が摂れる仕組みや制度を導入することです。
昼食や間食の摂り方を改善するための行動を促すことで、生活習慣病の予防・改善を図ります。
▼適切な食行動を促すための仕組み・制度例
- 社内食堂で健康メニューを提供する
- 社内食堂で社内栽培した野菜の食べ放題を行い、食生活の改善を促す
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
6 清潔にする
6つ目のポイントは、オフィスの安全衛生管理のために、清潔を維持できる環境の整備を行うことです。
手洗い・うがいの徹底をはじめ、身の回りの清掃、分煙を実施することで、感染症・アレルギーの予防に役立ちます。
▼清潔な職場環境を整備するための取り組み例
- トイレタリーを充実させて手洗いやうがい・歯磨きに対する意識を高める
- タオルや雑巾を常備して、オフィス環境の清潔さを保つ
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
7 健康意識を高める
7つ目のポイントは、従業員の健康意識を高めるための設備やスペースを設けることです。
健康管理・セルフケアに役立つ情報を閲覧できるサービスや、自身の健康状態をチェックできる機器などを提供するといった方法があります。
従業員の健康意識を高めることは、運動器・感覚器障がいや生活習慣病、メンタルヘルス不調の予防など、幅広い健康促進効果が期待できます。
▼健康意識を高めるオフィス環境づくりの例
- 専任の看護師が血圧や骨密度などを測定する設備を整える
- オフィス内に健康測定ブースを設ける
- オフィス内にクリニックを設置して、診断や処置を気軽に受けられる環境を構築する
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』
健康経営オフィスに取り組む前に
オフィスの健康経営を実施する際は、あらかじめ従業員の健康状況を把握して課題を洗い出しておくことが大切です。
また、課題ごとに目標を設定したうえで、取り組みを実践した後には効果検証を行います。目標設定の見直しや取り組みの改善を行いながら、よりよいオフィス環境を目指すことが重要です。
従業員の健康状態やオフィス状況を把握する方法として、以下が挙げられます。
▼従業員の健康状態やオフィス状況を把握する方法
- 健康診断やストレスチェックの実施
- 健康経営レポートに掲載されているチェックシートの活用
- 健康スコアリングレポートの活用
出典:経済産業省『健康経営オフィスレポート』/厚生労働省『職場における心とからだの健康づくりのための手引き』
まとめ
この記事では、健康経営オフィスについて以下の内容を解説しました。
- 健康経営オフィスとは何か
- 健康経営オフィスをつくる7つのポイント
- 健康経営オフィスに取り組む前に
健康経営オフィスを実現することは、病気や疾患の予防だけでなく、優秀な人材の確保、企業価値の向上など、大きな投資効果が期待できます。
実際にオフィス環境を検討する際は、従業員の健康保持・増進につながる行動をオフィス内で誘発させることがポイントです。
健康経営の一環として、働きやすく心身の調和が取れるオフィス環境へと見直しを図ってはいかがでしょうか。
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