季節の変わり目に起こりやすい不調とは? 企業ができる3つの対処法

季節の変わり目に起こりやすい不調とは? 企業ができる3つの対処法

季節の変わり目になると、「疲れが取れない」「体がだるい」などの体調不良を訴える人が見受けられます。

このような体調不良を放置すると、不眠やうつなどの症状につながることもあり、従業員の生産性の低下や休職など業務に支障をきたす可能性があります。

企業の人事・総務担当者の方は、季節の変わり目に起こりやすい不調の原因と症状について理解したうえで、適切な対処を行うことが重要です。

この記事では、季節の変わり目に不調が起こりやすい原因と症状、企業ができる対処法について紹介します。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症


目次[非表示]

  1. 季節の変わり目に不調が起こりやすい原因
  2. 季節の変わり目に起こりやすい不調の例
  3. 企業ができる3つの対処法
    1. ①教育研修・情報提供の実施
    2. ②セルフチェックの実施
    3. ③健康相談の機会提供
  4. まとめ


季節の変わり目に不調が起こりやすい原因

季節の変わり目に不調が起こりやすいのは、気温の変化で生じる寒暖差によって自律神経が乱れることが原因の一つといわれています。

私たちの体は、自律神経が正常に働くことで、外部の環境に合わせて体の機能を調節しています。自律神経には、“交感神経”と“副交感神経”の2種類があります。


交感神経
副交感神経
日中の活動時や緊張時に働く
休養時やリラックス時に働く


たとえば、自律神経の働きによって起きているのが、「暑いときに汗を出す」「寒いときに熱を溜め込もうとする」などの無意識の体の働きです。

季節の変わり目に急な寒暖差が生じると、自律神経がそれに適応しようとするあまり、働きが乱れてしまうことがあります。その結果、疲れを感じやすくなったり、そのほかの症状につながったりするケースがあります。

基礎疾患がない人でも不調が現れることがあるため、季節の変わり目にも意識して従業員の健康管理に注意を払うことが大切です。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症』/環境省 COOL CHOICE『「暑さに負けない生活習慣を心がけましょう」内科医の馬渕知子先生にお話を伺いました



季節の変わり目に起こりやすい不調の例

季節の変わり目は、寒暖差に伴う自律神経の乱れによって、体・精神的な不調が起こる場合があります。

主な不調の症状として、以下が挙げられます。


▼季節の変わり目に起こりやすい不調の例

身体的症状
  • 体がだるい
  • 疲れがとれない
  • 眠れない
器官的症状
  • 頭痛
  • 動悸・息切れ
  • めまい
  • のぼせ
  • 立ちくらみ
  • 下痢・便秘
  • 冷え
精神的症状
  • 情緒不安定
  • イライラ・不安感
  • うつ

厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症』を基に作成


このような自律神経の乱れによる症状を改善するには、ストレスのコントロールや生活習慣の改善が重要とされています。

また、従業員にこれらの症状が見られる場合、生活習慣の改善を促すとともに、必要に応じて企業の産業保健スタッフによるサポートを行うことが大切です。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症



企業ができる3つの対処法

季節の変わり目に起こりやすいさまざまな不調を予防・改善するためには、従業員自身が適度な運動や十分な睡眠を取るなど、セルフケアを行うことが大切です。

また、従業員に自身の不調の気づきを促してセルフケアに取り組んでもらうには、企業側のサポートも欠かせません。


①教育研修・情報提供の実施

企業ができる対処法として、従業員に対する、季節の変わり目に起こりやすい不調に関する教育研修・情報提供が挙げられます。

教育研修・情報提供を行うことで、不調が起こりやすい時期や原因、主な症状や対策法などを従業員に正しく理解してもらえるようになります。

また、研修で従業員自身の健康状態や生活習慣を振り返る機会を設けて、不調の予防・改善に必要なセルフケアを促すことも可能です。


▼教育研修・情報提供の内容

  • 自律神経に関する基礎知識
  • 生活習慣の改善方法(バランスのとれた食事、適度な運動、規則的な睡眠)
  • ストレスの解消方法(運動、腹式呼吸、音楽の視聴など)


出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『こころと体のセルフケア』/経済産業省『健康経営の推進について』/厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症


②セルフチェックの実施

従業員に体調不良やメンタルヘルス不調に関するセルフチェックを行ってもらうことも有効な対処法の一つです。

季節の変わり目に起こりやすい不調のなかには、目に見えにくい精神的な不調もあります。心身の不調や生活習慣に関するセルフチェックを行うことで、従業員自身の気づきが促され、不調の早期発見につながります。

また、セルフチェックの結果に応じて、産業医への相談を勧めたり、専門家へ情報をつないだりするなどの対応も必要です。

出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』/厚生労働省 e-ヘルスネット『自律神経失調症


③健康相談の機会提供

従業員が日常的に健康相談できるように、企業側が機会を提供します。

季節の変わり目に起こる不調を早期発見するには、日ごろからの従業員とのコミュニケーションが欠かせません。従業員の話を聞き、必要に応じて産業医への面談や医療機関の受診を促すことが望まれます。

健康相談の機会を提供する方法には、以下が挙げられます。


▼健康相談の機会を提供する方法

  • 管理監督者によるこまめな声掛け
  • 産業保健スタッフによる定期面談の実施
  • 従業員から自発的に相談できる窓口の設置


出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり



まとめ

この記事では、季節の変わり目に起こりやすい不調について、以下の項目で解説しました。


  • 不調が起こりやすい原因
  • 自律神経の乱れによって起こる主な症状
  • 企業ができる3つの対処法


季節の変わり目に起こる不調は、寒暖差によって自律神経が乱れることが原因の一つとされています。具体的な症状としては、体がだるい、疲れやすい、情緒不安定になるなどが挙げられ、心身の両方に不調が起こる場合もあります。

こうした心身の不調を予防・早期発見するためには、季節の変わり目特有の不調に関する教育研修・情報提供を行い、セルフチェックや健康相談を実施することが有効です。

また、不調が見受けられる従業員がいる場合は、従業員の話を聞いたり、産業医への相談を勧めたりすることも必要といえます。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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