catch-img

育休からの復帰|人事労務が行うべき4つの対応

育児休業(以下、育休)とは、従業員が育児に専念するために定められた制度のことです。育休を取得するための申請を行うことで、基本的に子が生まれてから1歳に達するまで休業できます。

従業員が育休を取得する場合と同様に、復帰する際も企業がさまざまな対応を行う必要があります。

この記事では、育休中の従業員がスムーズに職場復帰できるように、企業に必要な対応を4つのステップで解説します。

育休から復帰する従業員への対応方法を知りたい人事・総務担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

出典:厚生労働省 雇用環境・均等局『育児休業制度について


目次[非表示]

  1. 1.育休復帰する従業員への企業対応
    1. 1.1.①従業員との面談の実施
    2. 1.2.②育児休業等取得者終了届の提出
    3. 1.3.③育児休業等終了時報酬月額変更届の提出
    4. 1.4.④養育期間標準報酬月額特例申出書の提出
  2. 2.“育休復帰支援プラン”策定マニュアルの活用
  3. 3.まとめ


育休復帰する従業員への企業対応

従業員が育休から復帰する場合、企業はさまざまな対応を行う必要があります。

ここでは、育休から復帰する従業員に対して、企業の取り組みや手続きなどの対応を4つのステップで解説します。


①従業員との面談の実施

企業は、従業員が育休から復帰する1~2ヶ月前の時期に、面談を行って以下の内容をヒアリングすることが必要です。


▼従業員との面談でヒアリングする主な内容

  • 職場復帰日の変更の有無
  • 就業中の保育者
  • 復帰後の勤務時間や業務内容などの希望
  • 復帰後にほかの従業員に配慮してほしいこと

また、従業員が育休から復帰して2ヶ月経過したら、復帰後の就業状況をヒアリングすることも大切です。

出典:厚生労働省 雇用環境・均等局『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル


②育児休業等取得者終了届の提出

従業員が育休を終了予定日より早く終えて復帰する場合は、企業は育休中、あるいは終了日から1ヶ月以内に、『育児休業等取得者 申出書(新規・延長)/終了届』(以下、育児休業等取得者終了届)を日本年金機構に提出します。

ただし、従業員が育児休業等取得者申出書に記入した終了予定日どおりに育休を終了する場合は、育児休業等取得者終了届の提出は不要です。

育児休業等取得者終了届に記載する主な内容は、下記をご覧ください。


▼育児休業等取得者終了届に記載する主な内容

  • 事業所名や事業主の氏名
  • 従業員名や養育する子の氏名
  • 育児休業等終了(予定)日
  • 実際に育児休業を終了した日


なお、育休の期間を延長した場合や、予定よりも早く復帰した場合は、育休の終了日の記載が不可欠です。

出典:日本年金機構『育児休業等終了予定日前に育児休業等を終了したとき』『育児休業等取得者 申出書(新規・延長)/終了届


③育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

育休から復帰した従業員から申出があった場合に、企業は『育児休業等終了時報酬月額変更届』を日本年金機構に提出します。


育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

画像引用元:厚生労働省『育児休業 、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します


育児休業等終了時報酬月額変更とは、育児休業終了日を含む月の以後3ヶ月間の報酬が育休前よりも低くなった場合に、4ヶ月目から標準報酬月額を改定できる制度のことです。

仮に、1~6月に報酬が改定された場合は当年の8月まで、7~12月に報酬が改定された場合は翌年の8月までの各月に、育児休業等終了時報酬月額変更が適用されます。

なお、育児休業等終了時報酬月額変更届を記入する際は、下記の2点にご注意ください。


▼育児休業等終了時報酬月額変更届を記入する際のポイント

  • 短時間労働者の場合は、備考欄に“短時間労働者”と記入すること
  • 復帰後の報酬の変動があった月から改定月の前月までの間で、被保険者区分が変わった場合、“被保険者区分変更後の賃金が支払われた月”と“変更後の被保険者区分”の記入が必要


出典:日本年金機構『育児休業等終了時報酬月額変更届の提出』『健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届』/厚生労働省『育児休業産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します(令和3年度版)


④養育期間標準報酬月額特例申出書の提出

従業員が育休前の報酬額にもとづく年金額を受け取るためには、企業が『養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届』を日本年金機構に提出する必要があります。


養育期間標準報酬月額特例申出書の提出

画像引用元:厚生労働省『育児休業 、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します


養育期間標準報酬月額特例とは、子どもが生まれてから3歳になるまでの間に、勤務時間短縮の措置により標準報酬月額が低下した際に、適用される制度のことです。

上記のケースに該当する場合は、この特例により、低下する前の標準報酬月額を参考に年金額を受け取ることができます。

ただし、養育開始月の前月に、厚生年金保険の被保険者でなかった場合は、この制度を受けることはできません。

なお、養育期間標準報酬月額特例申出書を提出する際に必要な書類は下記のとおりです。


▼養育期間標準報酬月額特例申出書を提出する際に必要な書類

  • 戸籍謄本または戸籍記載事項証明書
  • マイナンバーカード(通知カードや身元を確認できる書類でも可)
  • 住民票の写し


出典:日本年金機構『養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置』/厚生労働省『育児休業産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します(令和3年度版)



“育休復帰支援プラン”策定マニュアルの活用

厚生労働省が提供している『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』を活用することも、企業の選択肢の一つです。

マニュアルを活用することで、従業員が育休を取りやすくなることや、職場復帰しやすくなることが期待できるというメリットがあります。マニュアルには、企業が自社の課題に合わせてプランの策定がしやすいように、12のモデルが用意されています。

たとえば、代わりの従業員を探すことが難しいという職場の状況を想定したモデルのマニュアルは、下記のとおりです。


▼【職場の状況】代わりの従業員を探すことが難しい場合

  1. ほかの従業員に割り振る業務・外部に依頼する業務・一旦保留する業務を整理する
  2. 育休に入る従業員の業務をほかの従業員に引継ぐために、引継ぎ計画書を作成する
  3. 休業中の従業員に対して、職場の状況や業務の変更内容を共有する
  4. “仕事と育児の計画書”を作成して、それを基に復帰後の働き方を確認する


また、専門性の高い従業員が育休を取得する場合は、下記のマニュアルをご参考ください。


▼【従業員の状況】専門性の高い従業員が育休を取得する場合

  1. 専門知識やスキルが必要な業務と、それ以外の業務に振り分ける
  2. 専門知識やスキルが求められる業務を社内で対応しきれない場合、社外からの代替要員を確保する
  3. 代替要員への引継ぎ計画書を作成する
  4. 高度な専門知識やスキルのある従業員を育成するために、従業員の教育訓練・採用の中長期計画を作成する
  5. 休業中の従業員に対して、職場の状況や業務の変更内容を共有する
  6. 休業中の従業員が、専門知識やスキルの維持や向上を行うための手段を提供する
  7. “仕事と育児の計画書”を作成して、それを基に復帰後の働き方を確認する


出典:厚生労働省 雇用環境・均等局『中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル』/厚生労働省『育休復帰支援プラン策定のご案内



まとめ

この記事では、育休から復帰する従業員への対応について、以下の内容を解説しました。


  • 育休復帰する従業員への企業対応
  • “育休復帰支援プラン”策定マニュアルの活用


従業員が育休取得から職場復帰までをスムーズに行えるように、企業は職場の環境を整備する必要があります。

厚生労働省は、企業で働く従業員の育休取得や職場復帰を支援するための、プラン策定マニュアルを提供しています。企業はマニュアルを活用して従業員にとって働きやすいプランをつくることも可能です。

また、育休から復帰した従業員の中には、育休後の働き方や、健康状態への不安がある人もいます。職場に産業医がいる場合は、働き方・働かせ方について相談してみるのもよいでしょう。

クラウド型健康管理サービス『first call』は、産業医との面談の予約から、オンライン面談の実施、面談記録の管理までをスムーズに行えるツールです。育休復帰後の従業員の継続的なケアにも役立ちます。

詳しくは、こちらからご覧ください。

  産業医サービス | first call first callの産業医サービスは日本全国どこでも対応!御社にピッタリな産業医をすぐにご紹介できます。 first call