【職場復帰の3ステップ】休職からの復職手続きと企業ができるフォローアップ

【職場復帰の3ステップ】休職からの復職手続きと企業ができるフォローアップ

近年、心の健康問題で休業する従業員が増加しており、休業後の職場復帰支援がスムーズに進まないという事例も見られます。

職場復帰できると考えられる業務遂行能力はケースごとに多様なため、従業員の意思や人事・労務担当者のみで判断を行うと、疾患が再発する可能性があります。

従業員の職場復帰を円滑に進めるためには、事前に復職手続きや判断基準を明確にするとともに、通常業務に戻るためのフォローアップ体制を整備しておくことが重要です。

この記事では、休職から復帰する際の手続きの流れや従業員へのフォローアップについて解説します。


目次[非表示]

  1. 【ステップ1】診断書の提出依頼
  2. 【ステップ2】職場復帰支援プランの作成
  3. 【ステップ3】職場復帰の判断
  4. 職場復帰後のフォローアップ
  5. まとめ


【ステップ1】診断書の提出依頼

心の健康問題で休業している従業員の復職の手続きを進める際は、まず主治医による診断書の提出を依頼します。

主治医による診断書は、病状の回復程度や健康状態を判断するために必要です。診断書に“職場復帰が可能”と記されていることを確認するほか、主治医の具体的な意見や就業上の配慮の有無なども記入してもらいます。

ただし、主治医による診断は、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限らず、従業員本人や家族の希望が含まれている可能性があります。

そのため、診断書の内容だけでなく、事業場の産業医や保健師などと連携しながら、従業員の健康状態を踏まえて対応を精査することが重要です。

また、就業可能な回復レベルかどうか主治医に意見書を記入してもらうために、事前に業務遂行能力の内容や勤務制度などの情報を提供することも望ましいといえます。業務遂行能力の内容や判断基準については、事業場が定めることが可能です。

なお、育児休業の復職手続きについては、こちらの記事をご確認ください。


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出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き



【ステップ2】職場復帰支援プランの作成

スムーズな職場復帰を支援するためには、復職の最終決定を行う前の段階として、職場復帰支援プランを作成することが必要です。

職場復帰支援プランは、休業中の従業員面談の情報や主治医の診断書などを基に、従業員の状態に応じて作成します。

作成にあたって、従業員本人の意思だけでなく、主治医の判断や産業医の医学的な意見、現場の管理監督者の意見を踏まえたうえで、総合的に判断して決定することが重要です。

また、具体的な復職日や就業上の配慮などを決定する際は、従業員の健康状態を適切に評価する必要があります。治療状況や回復状況に加えて、従業員の意欲、業務・職場との適合性、仕事に対する要求度なども考慮します。

なお、職場復帰支援プランの作成にあたって、従業員の健康情報を収集しながら関係者間で共有する際は、プライバシーに十分に配慮することも大切です。

職場復帰支援プランや職場復帰支援プログラムの作成については、こちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

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出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き




【ステップ3】職場復帰の判断

職場復帰支援プランを作成したあとは、職場復帰の最終的な判断を行います。

職場復帰の決定を行う際は、疾患の再燃・再発の有無や回復過程における症状の様子などを確認することが必要です。

産業医が在籍している職場では、職場復帰に関する意見・就業上の配慮についてまとめた“職場復帰に関する意見書”を作成します。これを基に、人事・労務担当者や管理監督者などの関係者で手続きを進めます。

また、職場復帰の決定や就業上の措置については、従業員に通知したうえで、意見書の写しを事業場で保管します。

復職面談や職場復帰の判断については、こちらの記事をご覧ください。

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出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き



職場復帰後のフォローアップ

職場復帰後は、管理監督者による経過観察のほか、人事・労務担当者や産業保健スタッフによるフォローアップを実施することが重要です。

心の健康問題は、さまざまな要因が複雑に重なり合っているケースも多く、職場復帰支援プランどおりに進まないことも少なくありません。そのため、定期的に従業員へのヒアリングを行ったり、産業医による面接をしたりして、職場復帰支援プランを適宜見直す必要があります。

事前に主治医と連携して病態・病状を確認したうえで、フォローアップの期間の目安を定めて、通常の勤務に戻す目標を立てることがポイントです。

段階的な就業上・治療上の配慮を行うことで、従業員の不安を和らげて、円滑に職場復帰を進められます。

また、フォローアップ期間後も、心の健康問題における再発予防のためにメンタルヘルス対策を行うことが欠かせません。

そのためには、産業保健スタッフと人事・労務担当者、管理監督者が連携して、従業員の状態について情報共有できる体制を整えておくことが必要です。

復職時や再発防止のための取り組みとして、以下が挙げられます。


▼復職時や再発防止のための取り組み

  • 試し出勤制度の導入(模擬出勤、通勤訓練、試し出勤)
  • 産業保健スタッフによる定期的な面談
  • 就業環境の改善に向けたストレスチェック、快適職場調査の実施
  • 社内・社外の相談窓口の設置・活用


出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』/厚生労働省 こころの耳『相談窓口案内



まとめ

この記事では、復職手続きについて以下の内容を解説しました。


  • 職場復帰の3ステップ
  • 職場復帰後のフォローアップ


心の健康問題によって休職している従業員の職場復帰を円滑に進めて、疾患の再発を防ぐためには、事業場の産業保健スタッフや主治医、管理監督者と連携して復職手続きを進める必要があります。

また、職場復帰後は、経過観察や産業医面談などのフォローアップを行い、安心して働ける職場づくりに向けて改善策を講じることも重要です。

クラウド型健康管理サービス『first call』は、産業医面談の予約から、オンライン面談の実施、面談記録の管理までをシームレスに行えるツールです。定期的・継続的な実施が求められる復職後のフォローアップ面談にも役立ち、休職後のスムーズな職場復帰を支えます。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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