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主治医と産業医で意見が異なる? 休職・復職判断の際の両者の役割と連携のポイント

メンタルヘルス不調が原因で休職した従業員が復職する際には、適切なサポートが求められます。なかでも、主治医と産業医が連携して、職場環境を整えることが重要といわれています。

人事・労務の担当者のなかには、「主治医と産業医それぞれの意見をどう捉えるべきか分からない」「両者の連携のポイントを知りたい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

この記事では従業員の休職・復職対応の際の主治医と産業医の連携について、その重要性と連携のポイントを解説します。


目次[非表示]

  1. 主治医と産業医の連携が重要な理由
  2. 主治医と産業医の連携
    1. ①事前に従業員本人の承諾を得る
    2. ②双方向性を重視する
  3. まとめ


主治医と産業医の連携が重要な理由

メンタルヘルス不調が原因で休職していた従業員が復職する際は、主治医と産業医との間で情報を交換して、復職の判断を行うことが重要です。両者が連携することによって、従業員が病状を悪化させずに業務の支援が可能になります。

休職している従業員が復職を希望した場合、主治医は復職の可否を判断したうえで、事業場に診断書を提出します。

ただし、主治医による判断は、あくまでも日常生活における範囲での回復度合いとなります。

そのため、仮に主治医が「復職して問題ない」と判断した場合でも、事業場で求められる能力まで回復できているとは限りません。主治医と産業医が連携して、産業医が主治医による診断書を精査したうえで面談を実施し、復職の可否や復職後体調管理に関して会社側へアドバイスすることが大切です。

なお、休職者の復職可否を判断するポイントや復職させる際の注意点については、こちらの記事をご覧ください。

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出典:厚生労働省『改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』/こころの耳『主治医と産業医の連携



主治医と産業医の連携

実態として、メンタル不調者のケアに当たる際に主治医と産業医で連携される場合、「主治医から会社へ提出された診断書などを産業医が閲覧して状況を把握する」というパターンがほとんどです。そのような場合には、産業医と主治医は直接会話をしないことが多いといえます。

ただし、状況が複雑なケース(たとえば、従業員本人は復職を希望しているが、明らかに体調が十分回復しておらず産業医として主治医の意見をさらに深く聞きたい場合)では、診断書にとどまらず産業医と主治医が電話や書面などで連携を取るケースがあります。

ここからは、そのようなケースを中心として、主治医と産業医が適切に連携するために押さえておきたいポイントを紹介します。


①事前に従業員本人の承諾を得る

1つ目のポイントは、、産業医および事業者が主治医と連絡をとる場合には、連絡を行う前に、従業員本人にその旨を伝えて承諾を得ることです。

労働者の健康情報等は個人情報の中でも特に機微な情報であり、厳格に保護されなければなりません。とりわけメンタルヘルスに関する情報は慎重な取扱いが必要です。主治医との連携にあたっても、事前に本人の承諾を得ることが望ましいでしょう。

本人の承諾を得ずに独断で主治医に連絡をとってしまうと、職場や主治医に対する不信感が高まり、病状が悪化してしまう恐れもあります。また、主治医の方も本人が同意しない限り、連携を好まない可能性もあります。

産業医および事業者と主治医が連携する際は、本人の承諾を取るようにしましょう。

出典:厚生労働省『改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』/こころの耳『Q2:復職時の主治医との連携のコツは?


②双方向性を重視する

2つ目のポイントは、“双方向性”を意識することです。

産業医および事業場は、主治医から一方的に情報を得るのではなく、事業場側の情報も共有して、将来的な復職を目的としたうえで情報交換を行うことが必要です。

主治医と連携したい場合は、まず事業場から主治医に情報を提供して、そのあとに主治医の見解をうかがうという流れが一般的です。

ただし、各種診断書が主治医から提出される場合には、特に産業医などからの情報提供は行われないことが多いようです。

また、事業場から主治医に提供する情報は、主に“従業員本人の診療に有用な情報”と“主治医の情報開示の助けとなる情報”の2種類に分けられます。


▼従業員本人の診療に有用な情報の一例

  • 直近の事業場における従業員の様子
  • 以前の従業員の様子および直近との違い
  • 事業場におけるストレス要因
  • 直近の業務上の負荷、および労働時間
  • 事業場が把握している従業員の既往歴
  • 事業場における休職および復職に関わる制度の内容
  • 事業場が求める業務の状況


主治医は本人の日常生活を中心に問診を行っている場合も多く、会社の状況や会社での本人の様子を知ることでより、具体的な病状把握や治療目標を立てられます。


▼主治医の情報開示の助けとなる情報の一例

  • 主治医からの情報開示が必要な理由
  • 得られた情報を上記理由以外では使用しないことの確約
  • 情報共有について従業員の承諾を得ていること
  • 事業場が復職を認める要件(どの程度まで回復すればよいのかといった目安)
  • 復職の際に事業場で配慮できる事項および範囲
  • 事業場側での管理責任者の情報(氏名・所属・役職など)
  • 社内での主治医から得られた情報を開示する範囲


上記を主治医に伝えたうえで、主治医から提供された情報を産業医が咀嚼して、事業場における具体的な対応方法として落とし込んでいくことが大切です。

出典:厚生労働省『改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』/こころの耳『Q2:復職時の主治医との連携のコツは?



まとめ

この記事では、主治医と産業医の連携について以下の内容を解説しました。


  • 主治医と産業医の連携が重要な理由
  • 主治医と産業医の連携のポイント


メンタルヘルス不調が原因で休職した従業員が無理なく復職するためには、事業場の繊細な対応が求められます。

主治医と産業医が双方で情報を交換して、事業場で復職に向けた現実的な対応を判断していくことが大切です。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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