産業医による職場巡視とは?実施頻度を変更する方法や流れ、効果的に行うポイントを解説
産業医による職場巡視は、労働者の健康と安全を守るための重要な取り組みです。この職場巡視には基本的な流れがあり、法律で定められた頻度で行う必要があります。
そして、職場巡視の効果を最大限に発揮するためには、産業医と事業者の連携が必要です。単なる法令遵守の義務としてではなく、目的をもって取り組むことが大切になります。
この記事では、産業医による職場巡視の基本から、効果的に行うためのポイントまで、詳しく解説していきます。
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産業医による職場巡視とは?
産業医による職場巡視では、産業医が職場の隅々まで確認し、労働者の健康に影響を与えかねない問題点がないか確認を行います。
設備の安全性から作業環境、ほかにも労働者の健康状態までを専門的な視点でチェックします。
以下では、産業医による職場巡視の法的義務と目的、産業医自身にとってのメリットについて詳しく解説していきます。
- 産業医による職場巡視は法律で定められた義務
- 産業医による職場巡視の目的は、労働者の健康障害を防止すること
- 職場巡視を通じて、産業医は職場や労働者への理解を深められる
産業医による職場巡視は法律で定められた義務
産業医による職場巡視は、労働安全衛生規則によって、しっかりと義務として定められています。
労働安全衛生規則第15条では、産業医は少なくとも毎月1回(一定の条件を満たせば2ヶ月に1回も可)、職場を巡視しなければならず、もし、作業方法や衛生状態に問題があれば、すぐに労働者の健康障害を防ぐための対策を取らないといけない、というように書かれています。
つまり、常時50人以上の労働者がいる職場では産業医を選任する義務があり、その産業医は原則として毎月1回以上、職場巡視をしなければならないということです。
ただし、職場巡視を2ヶ月に1回のペースにするためには条件があります。具体的な頻度や変更するための条件については、後述しています。
義務付けられている職場巡視を実施していないと、労働安全衛生法第120条により、最大50万円の罰金が科される可能性もあります。
産業医による職場巡視の目的は、労働者の健康障害を防止すること
産業医の職場巡視の目的は、労働者の健康障害を未然に防ぐことです。
職場には、温度や湿度、照明、騒音などの環境や、化学物質を扱う仕事、重たい物を運ぶ仕事などの様々なリスクがあり、健康に影響を及ぼす可能性のある要因がたくさんあります。
ほかにも、長時間労働やストレスの多い職場環境も、メンタルヘルスにとって良くありません。
そこで、産業医が専門家として職場巡視で潜在的なリスクを見つけ出し、労働者の健康を阻害する要因を早めに発見し、対処します。
職場巡視は労働者の健康を守るための予防活動ですが、健康な従業員はやる気も高く能力を存分に発揮できるため、会社の生産性アップにもつながります。
職場巡視を通じて、産業医は職場や労働者への理解を深められる
職場巡視は単に法律を守るためだけでなく、職場巡視を通じて産業医は職場や労働者のことを深く理解できるようになります。
職場巡視で産業医は実際に職場を隅々まで歩き、労働環境を確認します。数字だけでは分からない職場の雰囲気を、直接肌で感じ取ることができるのです。そのうえで、普段の仕事の様子や動き方などを見て、健康に影響しそうなリスクに気づいてくれます。
事前に与えられた情報だけでは分からない職場の姿を知ることで、産業医は労働者の健康を守るための、より効果的な取り組みができるようになります。
産業医が行う職場巡視の頻度と変更の条件
産業医が職場巡視を行う最低限の頻度は、法律で定められています。
以下では、職場巡視の基本的な頻度や、その頻度を変更するための条件について詳しく解説していきます。
- 産業医による職場巡視は、少なくとも毎月1回行うことが原則
- 一定の条件を満たせば、職場巡視の頻度を2ヶ月に1回とすることも可能
産業医による職場巡視は、少なくとも毎月1回行うことが原則
産業医による職場巡視の頻度は、労働安全衛生規則第15条で、原則毎月1回は行う必要があると定められています。
ですが、一定の条件を満たすことで職場巡視の頻度を2ヶ月に1回とすることも可能です。
毎月1回というのは、職場の環境や労働者の健康状態をしっかり把握して、問題にすぐ対処するために必要な最低限の頻度だと考えられています。
職場の環境は常に変化しているため、月に1度は確認しておかなければ、その変化を見逃してしまうかもしれません。例えば、新しい機械を入れたり、作業の手順を変えたりすると、新たな健康リスクが生まれている可能性もあります。
もちろん、会社の規模や業種、リスクの度合いによっては、月1回よりももっと頻繁に職場巡視を行うべき場合もあります。しかし、少なくとも法律で決められた原則月1回の職場巡視は、産業医の選任義務がある会社では必ず実施しなければいけません。
一定の条件を満たせば、職場巡視の頻度を2ヶ月に1回とすることも可能
産業医の職場巡視は原則として毎月1回以上となっていますが、2017年に労働安全衛生規則が改正されて、一定の条件を満たせば2ヶ月に1回でも可能となりました。
しかし、職場巡視の頻度を減らすためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
①事業者から産業医に法律で決められた情報を毎月提供する
まず1つ目は、事業者から産業医に法律で決められた情報を毎月提供することです。
具体的には、以下のような情報を毎月すべて産業医に渡す必要があります。
【衛生管理者が毎週行う職場巡視の結果】
- 巡視を行った衛生管理者の氏名、巡視の日時、巡視した場所
- 設備、作業方法、衛生状態に問題があると判断した場合の詳細と、講じた措置の内容
- その他、労働衛生対策の推進に参考となる事項
【衛生委員会等で調査審議し、事業者が提供すると決めた情報】
- 健康への配慮が必要な労働者の氏名と労働時間数
- 新規に導入予定の化学物質や設備、およびそれに伴う作業条件や業務内容
- 労働者の休業状況など
【長時間労働者の氏名と時間数】
- 休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が1ヶ月当たり100時間を超えた労働者の氏名と、超えた時間の情報
この情報提供があれば、産業医は職場の状況を毎月把握できるため、2ヶ月に1回の職場巡視でも職場の安全衛生管理に支障はないと判断できるようになります。
②事業者の同意を得ること
2つ目の条件は、事業者の同意を得ることです。
職場巡視の頻度を減らすためには、産業医の意見をもとに、安全衛生委員会などで議論して、事業者の同意を得なければいけません。
つまり、産業医と事業者の両方が、2ヶ月に1回の職場巡視で問題ないと判断した場合だけ、頻度を減らせます。
さらに、この同意は一定期間ごとに更新する必要があります。
例えば、4月から9月までの半年間は2ヶ月に1回の頻度で決定した場合、10月の安全衛生委員会では、その後も2ヶ月に1回の頻度で問題がないかかどうか、もう一度検討しなければいけません。
状況に応じて、柔軟に頻度を見直す必要があります。
産業医による職場巡視で確認すべきポイント
産業医が職場巡視を行う際、具体的に何をチェックすればよいのでしょうか。職場巡視のポイントは職場の種類によって大きく変わります。
とはいえ、どんな職場であっても共通して確認すべき点もあります。
以下では、オフィスや工場など、職場の種類ごとに確認すべきポイントを詳しく解説していきます。
- 事務所(オフィス)での職場巡視のチェックポイント
- 工場などでの職場巡視のチェックポイント
- 職場巡視では、労働者の心身の健康面もしっかりと確認する
事務所(オフィス)での職場巡視のチェックポイント
事務所やオフィスでの仕事は、一見すると工場などに比べて安全そうに見えるかもしれませんが、様々な健康リスクが潜んでいます。
産業医が事務所での職場巡視を行う際には、以下のようなポイントを重点的にチェックすることが大切です。
オフィス環境
照明の明るさが眩しすぎたり、暗すぎたりすると、目の疲労や頭痛の原因になります。
空調の温度や湿度も重要なポイントです。夏場の冷房のかけすぎや、冬場の暖房不足は、体調不良を招くことがあります。
また、換気の状態もチェックします。密閉された空間で長時間働くと、二酸化炭素濃度が上昇し、集中力の低下や眠気につながるためです。
作業姿勢や動線
デスクやチェアの高さは、労働者の体格に合っている必要があります。
不適切な姿勢で長時間作業を続けると、腰痛や肩こりの原因になります。
ほかにも、通路に物が置かれていないか、段差や滑りやすい場所はないかも確認します。つまずきや転倒は、オフィスでの事故の代表例です。
労働時間や休憩の取り方
長時間のデスクワークは、エコノミークラス症候群などのリスクが高くなります。
適切な休憩を取れているか、時間外労働が過剰になっていないかを確認します。さらに、パソコンのディスプレイを長時間見続けることによる眼精疲労などにも注意が必要です。
喫煙や受動喫煙の状況
オフィス内は原則禁煙とし、喫煙室を設ける場合は適切に隔離されているかを確認します。
工場などでの職場巡視のチェックポイント
工場やその他の生産現場での職場巡視は、オフィスとは異なる視点での確認が必要です。機械設備や原材料の使用、特殊な作業環境など、労働災害のリスクが高い場面が多いためです。
産業医が工場での職場巡視を行う際には、以下のようなポイントを重点的にチェックすることが大切です。
機械設備の安全性
適切な安全装置が設置され、正常に機能しているかを確認します。
はさまれ、巻き込まれ、切断などの事故を防ぐため、安全カバーや非常停止装置の状態を入念に点検する必要があります。
機械の配置や作業動線
無理な姿勢を強いられたり、危険区域に立ち入る必要があったりすると、事故のリスクが高まるため、機械の配置や作業動線の確認も必要です。
化学物質の管理状況
工場では、様々な化学物質を取り扱うことがあります。
保管方法や使用方法が適切か、必要な保護具が支給され、正しく使用されているかを確認します。特に、有害物質を扱う作業場では、排気装置などの設置状況や維持管理の状態も点検が必要です。
騒音や振動、温度、照明などの作業環境
過剰な騒音は難聴の原因にもなり、全身振動は腰痛などを引き起こす場合があります。
また、極端な高温や低温、不十分な照明も、事故やミスのリスクを高めるため、作業現場の環境を確認し、必要に応じて改善するよう提言します。
作業手順や労働者の行動
安全作業の手順が確立され、労働者がそれを正しく理解して実践しているかを確認します。
労働者の健康状態や疲労度
夜勤や交代制勤務が多い職場では、過度の疲労やストレスが蓄積していないか、注意が必要です。
定期的な健康診断の結果を確認し、必要であれば作業の軽減や配置転換を提案します。
職場巡視では、労働者の心身の健康面もしっかりと確認する
産業医の職場巡視では、職場の設備や環境が安全かどうかを見るだけでなく、一人一人の労働者の心と体の健康状態にも、しっかり目を配ることが大切です。
職場巡視の時、産業医は労働者と話すことで、疲れやストレスがたまっていないか、体調が悪くなっている兆候がないかを確認することができます。
また、労働者の表情や態度、動作なども観察し、気になる点があればその場で声をかけたり、後日あらためて面談を行ったりして、詳しく状況を確認することが重要です。
産業医が行う職場巡視の基本的な流れ
一切準備せずに職場巡視を行うと、十分な効果は期待できません。準備から実施、フォローアップまでの一連の流れを把握しておき、重要なポイントを抑えておくことで効果を発揮します。
以下では、産業医が行う職場巡視の基本的な流れを、ステップごとに詳しく解説していきます。
- ①年間の職場巡視計画を立て、当日のチェックリストを準備する
- ②事前に職場の概要や過去の巡視記録を確認する
- ③職場巡視を実施し、問題点をチェックする
- ④巡視結果を整理し、問題点や改善策をまとめた報告書を提出する
- ⑤改善策の実施状況を定期的にフォローアップする
①年間の職場巡視計画を立て、当日のチェックリストを準備する
職場巡視を効果的に行うためには、事前の準備が大切です。まずは、年間の職場巡視計画を立てることから始めましょう。
年間を通してどのタイミングで職場巡視をするのか、「毎月第2水曜日の午前中に職場巡視を実施する」など、あらかじめスケジュールを組んでおくことが重要です。
年間計画が固まったら、職場巡視当日に使うチェックリストを作ることで、職場巡視での確認漏れを防ぎ、効率的に実施することができます。
また、職場巡視の重点ポイントに合わせて、詳しいチェック項目を設けるのも効果的です。チェックリストは産業医と衛生管理者が協力して作ることで、現場の実情をよく知っている衛生管理者の意見を取り入れつつ、産業医の専門的な視点でより良いものに仕上がります。
②事前に職場の概要や過去の巡視記録を確認する
職場巡視の年間計画を立てて、チェックリストを準備したら、産業医は次に巡視対象の職場について事前に理解を深めておきます。
職場の概要を把握するためには、衛生管理者や事業所の責任者からの共有が良いでしょう。
特に、これまでにどんな労働災害や健康障害が起きていたのかは重要なポイントです。過去の傾向を分析することで、職場のリスクを見極めて、重点的にチェックすべき箇所が見えてきます。
そして、前回の職場巡視の記録も必ず確認しておきましょう。直近の職場巡視ではどのような指摘や改善点が挙げられていたのか、それらの問題は解決されたのか、それとも改善の途中なのか、前回からの変化を把握しておくことで効果的な職場巡視につながります。
③職場巡視を実施し、問題点をチェックする
職場巡視の準備が整ったら、職場巡視に取り組みます。
職場巡視当日は、あらかじめ用意したチェックリストをもとに、職場の隅々まで確認していきます。その際、設備や環境だけを見るのではなく、労働者の動きや表情もしっかりと観察することが重要です。
人の状態もよく観察することで、「騒音が大きく、コミュニケーションがしづらい」などの日頃は見逃されがちな問題点が分かることがあります。
すべての問題点が一度で発見できるわけではありません。しかし、定期的に職場巡視を積み重ねることで、着実に職場の安全衛生レベルを高めていくことができます。
特に、前回の職場巡視から改善が見られた点、逆に新たに発見された問題点は、しっかりと記録に残しておきましょう。
④巡視結果を整理し、問題点や改善策をまとめた報告書を提出する
職場巡視が終わったら、産業医は結果を整理して報告書にまとめます。
労働安全衛生規則第15条により、産業医は職場巡視で問題点が見つかったら、すぐに必要な措置を取らなければいけないことが定められています。そのため、職場巡視後は適切な形で報告して、改善につなげていく必要があるのです。
具体的には、以下のような内容を盛り込んだ報告書を作成して、事業所に提出するのが一般的です。
- 巡視の日時、場所、一緒に回った人
- 職場の概要(事業内容、労働者数、勤務体制など)
- 前回の巡視からの改善状況
- 今回の巡視で発見された主な問題点
- 労働者からの意見や要望
- 改善のための具体的な提案
- 次回巡視の予定
特に、問題点については漠然と指摘するのではなく、具体的にどこが、どのように問題なのかをはっきり書くことが大事です。
⑤改善策の実施状況を定期的にフォローアップする
問題点を指摘して改善策を提案しても、それが実行されなければ意味がありません。職場の安全衛生レベルを上げるためには、改善策がしっかりと実行されて、PDCAサイクルが回っていることが大事です。
そのため、下記のように産業医は改善策の実施状況を定期的にフォローアップして、必要に応じて軌道修正を行うことが求められます。
- 次の職場巡視で、前回指摘した問題点がどう改善されているか確認する
- 安全衛生委員会などで、改善策の進み具合を定期的に報告してもらう
- 会社や現場の管理監督者と面談して、改善の障害になっている要因を探る
特に、次の職場巡視では前回の指摘事項を重点的にチェックして、どこまで改善が進んでいるのか、具体的な成果を確認することが大切です。
産業医による職場巡視を効果的に行うために事業者ができること
産業医による職場巡視の効果を最大限に発揮するためには、事業者側の協力が必要です。「産業医を職場に招き入れれば完了する」というわけにはいきません。
以下では、産業医による職場巡視を効果的に行うために、事業者ができる具体的な取り組みを詳しく解説していきます。
- 産業医と綿密なコミュニケーションを取る
- 必要な情報やデータを準備して産業医に提供する
- 職場巡視時の同行者を適切に選任する
- 職場巡視の結果報告を議題に取り上げる
産業医と綿密なコミュニケーションを取る
事業者と産業医との間で密にコミュニケーションを取ることも大切です。具体的には、職場巡視の目的やポイントを事前に共有しておくことは特に大事です。
例えば、「今回の巡視では、長時間労働対策に力を入れたい」や、「化学物質の取り扱い状況を詳しく見てほしい」といった要望があれば、あらかじめ産業医に伝えておきましょう。産業医も、会社側の問題意識を理解した上で効果的な巡視ができるはずです。
また、会社の現状や課題について、日頃から産業医に情報提供しておくことも効果的です。
労働者の健康状態や働き方の実態、安全衛生の取り組みの進み具合など、職場巡視だけでは見えてこない情報を共有することで、産業医の理解を深めることができます。
必要な情報やデータを準備して産業医に提供する
職場巡視を効果的に進めるためには、事業者側が必要な情報やデータを事前に準備して、産業医に提供しておきましょう。
産業医が職場の状態を正しく理解して、的確なアドバイスをするためには、十分な情報量が必要になります。
具体的には、下記のような情報を用意しておきましょう。
- 会社の概要(事業内容、組織体制、労働者数など)
- 労働者の働き方の実態(勤務体制、残業の状況など)
- 前回の職場巡視の記録(指摘事項と改善状況)
- 労働災害や健康障害の発生状況(ヒヤリハット事例も含む)
- 安全衛生に関する規程やマニュアル類
- 安全衛生委員会の議事録
- 健康診断や面接指導の実施状況と有所見率
特に、労働災害や健康障害の発生状況は重要な情報となります。
職場巡視時の同行者を適切に選任する
産業医と一緒に職場を回る同行者の選び方も重要なポイントです。
同行者は、職場の状況をよく知っていて、産業医の質問にもしっかり答えられる人でないといけません。さらに、巡視で指摘された問題点を確実に改善につなげられるように、現場である程度の権限を持っている人が望ましいです。
具体的には、以下のような条件を満たす人を同行者に選ぶのがおすすめです。
- 現場の業務内容や作業工程に詳しい
- 安全衛生管理の実務経験がある
- 労働者の働き方や健康状態を把握している
- 改善提案を現場に浸透させる調整力がある
例えば、安全衛生スタッフや現場の管理監督者、人事労務担当者などが候補として考えられます。職場の規模や組織体制に合わせて、適切な人選を行いましょう。
職場巡視の結果報告を議題に取り上げる
産業医から提出された報告書の内容を、安全衛生委員会などの議題に取り上げて組織として問題点を共有し、対策を講じていくことで職場巡視をより効果的に活用できます。
職場巡視で指摘された問題点は、放っておくと重大な労働災害や健康被害につながりかねません。組織の重要課題として、改善に取り組む姿勢が求められます
安全衛生委員会での議論では、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- 指摘事項の内容や背景を正確に理解する
- 問題点の原因を掘り下げて、根本的な対策を探る
- 改善策の優先順位を明確にして、実行計画を立てる
- 改善状況のモニタリング方法を決める
- 再発防止に向けた仕組みづくりを検討する
根本原因をしっかりと分析して対策を打たなければ、問題が再発する可能性があります。安全衛生委員会では、専門家である産業医の意見を踏まえつつ、知恵を出し合って解決策を模索しましょう。
産業医の職場巡視に関するまとめ
職場巡視は、労働者の安全と健康を守るための重要な取り組みであり、産業医の重要な職務でもあります。事業者は、その重要性を理解して産業医の職場巡視を全面的にサポートしましょう。
まとめると、職場巡視の基本的な流れと重要なポイントは以下の通りです。
- 職場巡視の頻度は、原則として毎月1回以上だが、一定の条件を満たせば2ヶ月に1回でも可能
- 頻度を2ヶ月に1回にするには、事業者から産業医への情報提供と事業者の同意が必要
- 職場巡視では、職場の種類に応じて、環境や設備の安全性、作業方法、労働者の健康状態などを確認
- 職場巡視の基本的な流れは、年間計画の策定、事前準備、実施、報告書の作成、フォローアップの5つのステップ
- 事業者は、産業医との綿密なコミュニケーション、必要な情報の提供、適切な同行者の選任、巡視結果の活用などを通じて、職場巡視を効果的に行うことができる
これらのポイントを押さえることで、職場巡視はより効果的なものになるはずです。
産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員の健康に繋がる産業医サービスが利用できます。