産業医はどこにいる?探し方から選任する方法、料金相場や相談先を選ぶポイントを解説
産業医の選任は、企業にとって避けて通れない重要な課題です。
しかし、いざ探そうとしても、「産業医ってどこにいるの?」「どうやって探せばいいの?」と悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。
産業医の選任方法は一つではないため、自社に合った探し方を知っておくと産業医の選任がスムーズに進みます。
この記事では、産業医の探し方や相談先の選び方、選任する際のポイントなどを、わかりやすく解説していきます。
また、産業医の選任にお悩みの際は、first callの産業医サービスがおすすめです。ご要望に合わせた産業医をご紹介し、法令に沿った業務実施のサポートが可能です。
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産業医はどこにいる?探す方法とは
産業医をいざ探そうとしても、どこから始めればいいのか戸惑ってしまいます。
そもそも、なぜ産業医が必要なのか、どういう基準で選任しなければならないのか、まずはそのあたりの基礎を押さえておく必要があります。
下記では、選任義務と産業医を探す4つの方法について詳しく解説します。
- 産業医の選任義務とは
- 産業医を探す4つの方法
産業医の選任義務とは
産業医の選任は、法律で義務付けられています。
労働安全衛生法により、常時使用する労働者が50人以上の事業場では、産業医を選任しなければならないと定められています。
具体的には、下記のように労働者数に応じて細かく決まっています。
事業場 |
必要な産業医 |
50人以上999人以下の事業場 |
嘱託、もしくは専属産業医を1人以上 |
500人以上999人以下の有害業務がある事業場 |
専属産業医を1人以上 |
1000人以上3000人以下の事業場 |
専属産業医を1人以上 |
3000人を超える事業場 |
専属産業医を2人以上 |
このように、事業場の規模や業務内容によって、選任すべき産業医の人数や常勤・非常勤が決められているのです。
産業医を探す4つの方法
産業医を見つけるためには、主に以下の4つの探し方があります。
- 産業医紹介会社を利用する
- 地域の医師会に相談する
- 健康診断機関に相談する
- 地域産業保健センターに相談する
このように、産業医の探し方はいくつかありますが、自社の規模や業種、目的に合った方法で選ぶことが大切です。単に法律の要件を満たすだけでなく、信頼できる産業医を見つけましょう。
上記の4つの探し方について、ひとつずつ詳しく解説していきます。
産業医紹介会社を利用して産業医を探す方法
産業医紹介会社は、企業の規模や業種、目的に合わせて最適な産業医を選定し、紹介するサービスです。
多くの登録産業医の中から、専門分野や経験、人柄などを考慮してマッチングを行います。
紹介方法は会社によって異なりますが、大まかな流れは下記のようになっています。
- 企業側から依頼を受けた紹介会社が、詳しいヒアリングを行う
- 企業の要望に合う産業医候補を選定し、企業に紹介する
- 企業と産業医候補との面談や条件交渉を経て、契約を締結する
複雑な手続きや交渉は、ほとんど紹介会社に任せられるので、人事担当者の負担が大幅に減るといったメリットもあります。
例えば、first callの産業医訪問サービスでは、ご要望に合わせた産業医をご紹介し、法令に沿った業務実施のサポートが可能です。
下記では、産業医紹介会社を利用することで具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しく解説します。
産業医紹介会社を利用するメリット
産業医紹介会社を利用するメリットは、大きく分けて3つあります。
企業の目的に合った産業医の紹介が受けられる
例えば、メンタルヘルス対策に力を入れたい企業なら、その分野に精通した産業医を選んでくれます。
女性の多い職場なら、女性の産業医を優先的に紹介してくれる場合もあります。
選任後のサポートが充実している
定期的な面談のスケジュール調整、衛生委員会の議事録作成、社内研修の企画など、煩雑な業務のサポートを受けられる会社もあります。
何かトラブルが起きても、すぐに相談できることが強みです。
コンプライアンスや書類作成も任せられる
法律で定められた選任要件を満たしているか、労働基準監督署への届出は適切か、などの専門的な確認も行います。
産業医紹介会社を利用するデメリット
メリットがある一方で、デメリットもあるのは事実です。
下記ではその点について、具体的に解説します。
コストが割高になる場合がある
産業医紹介会社を利用すると、紹介手数料や月々の委託料などが発生します。
会社によって料金体系は異なりますが、自社で直接産業医を雇用する場合と比べると、割高になる場合もあります。
自社の拠点がサービス提供エリア外の場合がある
大手の紹介会社でも、サービス提供エリアは主要都市圏に限られていることが多いです。
地方の企業にとっては、自社の拠点に対応してくれる会社が見つからない、というケースも考えられます。
ただ近年は、オンラインでの面談や研修なども増えてきているので、物理的な距離の壁は徐々に低くなっています。
「first call」でもオンライン産業医面談サービスを提供しています。
産業医の職歴や専門性などの情報開示が十分でない場合がある
紹介会社によっては情報開示が十分でないことがあり、実際に面談してみないと産業医の人柄や企業との相性がわからない、ということも考えられます。
この点については、事前の情報交換を綿密に行うことである程度カバーできます。契約前に、産業医候補者との顔合わせの機会を設けましょう。
産業医を地域の医師会で探す方法
産業医を探す方法として、地域の医師会に相談することも可能です。
医師会は、その地域で開業している医師が集まる団体です。会員の中には、産業医としても活躍している医師がいます。
地域によっては医師会が産業医の紹介や推薦を行っているケースがあるのです。例えば、東京都の世田谷区医師会なら「産業医一覧」ページを見ることで、登録されている産業医の名前や連絡先が分かります。
医師会は地域の医療関係者のネットワークの中心なので、信頼できる産業医の情報が集まりやすく、複数の候補者を推薦してもらえるかもしれません。
全ての医師会が産業医の紹介をしているわけではありませんので、まずは自社のある地域の医師会に問い合わせてみることが大切です。
下記では、医師会に相談することで具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しく解説します。
医師会に相談するメリット
医師会に産業医の紹介を依頼するメリットは、大きく分けて2つあります。
地元の事情に詳しい産業医が見つかる可能性が高い
医師会の会員は、その地域で開業している医師が中心です。地域の産業構造や労働者の特性をよく理解している医師が多いので、適切なアドバイスをもらうことが期待できます。
紹介料がかからない、もしくは比較的安く抑えられる
医師会による産業医の紹介は、営利目的ではなくあくまで会員サービスの一環として行われています。
そのため、紹介料が無料だったり、有料でも数万円程度の実費負担で済んだりするケースが多いのです。
医師会に相談するデメリット
医師会に産業医の紹介を依頼するメリットは大きいですが、一方でデメリットもあることを知っておく必要があります。
開業医が多いため忙しい医師が多い
医師会から紹介される産業医は、ほとんどが開業医です。そのため、普段は自分のクリニックで診療をしているので、産業医活動に割ける時間が限られています。
例えば、嘱託産業医として月1〜2回の職場巡視をお願いしたいと思っても、なかなか先生のスケジュールが合わないことも考えられます。
契約条件の交渉から書類作成まで、全て自社で行う必要がある
医師会から産業医を紹介してもらえたとしても、その後は企業側が直接その先生と契約を結ぶことになります。
報酬額の設定、訪問スケジュールの調整、各種書類の作成など、産業医を管理するための業務が発生します。そのため、人事担当者の負担が大きくなることは避けられません。
この点、産業医紹介会社を利用すれば、こうした手間をある程度紹介会社側が担いますが、医師会経由の場合はそうはいきません。
産業医の交代や追加の選任が必要になった時に、スムーズに対応できないことがある
事業の拡大に伴って産業医の増員が必要になったような場合、再度医師会に相談して別の先生を紹介してもらう必要があります。
ほかにも、前の産業医との引き継ぎなども、自社で全て行う必要があります。
全国展開している企業の場合、支社や支店ごとに産業医を選任しなければならない
全国展開している企業が医師会に相談するとなると、各地の医師会に個別に問い合わせる必要があります。
手間が増えるだけでなく、地域ごとに契約条件が異なってしまうことも考えられます。一括して管理するのが難しくなるリスクがあるため注意しましょう。
産業医を健康診断機関で探す方法
普段から従業員の健康診断を依頼している医療機関や健診機関に相談するという方法があります。
多くの健康診断機関には、産業医の資格を持った医師が在籍しています。定期健診や特殊健診の実施だけでなく、事後措置としての保健指導や就業判定など、産業保健に関わる業務を日常的に行っています。
そういった医師に、産業医としての契約を依頼するのも一つの方法です。健診の際に顔を合わせる機会が多いので、従業員にとっても身近な存在になりやすいというメリットもあります。
健康診断機関に産業医の紹介を依頼する際は、まずは担当者に直接相談してみるのがよいでしょう。医師の中に適任者がいれば、具体的な契約条件の話し合いに進むことができます。
下記では、健康診断機関に相談することで具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しく解説します。
健康診断機関に相談するメリット
健康診断機関に産業医の紹介を依頼するメリットは、大きく分けて2つあります。
健康診断と産業医の契約を一括で行える
多くの企業では、従業員の健康診断を外部の医療機関に委託しています。その際、産業医の選任も同じ機関に依頼できれば、契約や情報共有がスムーズに進められます。
健診の実施から事後措置まで、一貫したサービスを受けられるのが大きなメリットです。診断結果に基づいて、産業医による的確な保健指導や就業配慮の提案をもらうことも期待できます。
比較的安価な報酬で契約できる可能性が高い
健康診断機関に所属する医師の多くは、本業として診療を行っています。そのため、産業医はあくまで兼業という位置づけになることが多く、報酬の設定も割安になることがあります。
ただし、この点は医療機関によって差があるので、事前によく確認しておきましょう。
健康診断機関に相談するデメリット
健康診断機関から産業医を探すデメリットを、下記で具体的に解説します。
兼業の医師が多いため時間が限られている
健診機関に所属する産業医は兼業であるケースが多いため、産業医活動に割ける時間は限られています。
特に、健診の繁忙期などは、産業医業務よりも健診業務が優先されがちです。
労働衛生の専門性という点で物足りなさを感じる可能性がある
健診機関の産業医は健康診断の実施や事後措置には精通していますが、職場の環境改善や作業管理、メンタルヘルス対策など、幅広い分野には精通していない可能性があります。
大学で産業医の専門教育を受けた医師と比べると、スキルや知識に差があることが考えられます。
産業医の選択肢が限られる
健診機関に所属する医師の中から選ぶことになるため、候補者となる医師の人数が少なくなります。
そのため、企業の業種や職場の特性に合った産業医を見つけるのは、難しい場合があります。
産業医を地域産業保健センターで探す方法
産業医の選任は、常時50人以上の労働者を使用する事業場では法律で義務付けられていますが、それ以下の小規模事業場では任意となっています。しかし、従業員の健康管理は企業規模に関係なく重要なため、産業医のサポートを受けたいと考える経営者は少なくありません。
そういった小規模事業場でも利用できるのが、「地域産業保健センター」です。
地域産業保健センターは、独立行政法人労働者健康安全機構が各都道府県に設置している公的な機関です。常時50人未満の労働者を使用する小規模事業場を対象に、無料で産業保健サービスを提供しています。
ただし、産業医の紹介や選任は行っていないため注意しましょう。
利用するには、まず最寄りの地域産業保健センターに登録申請を行う必要があります。例えば、埼玉産業保健総合支援センターでは利用申込フォームから申込みが可能です。
下記では、地域産業保健センターを利用することで具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのか、詳しく解説します。
地域産業保健センターを利用するメリット
地域産業保健センターで産業保健サービスを受けるメリットは、大きく分けて3つあります。
「無料」で産業保健サービスを受けられる
小規模事業場にとって、産業医との個別契約は費用面での負担が大きいです。
しかし、地域産業保健センターは事業場側の費用負担はありません。予算確保が難しい中小企業や零細企業でも、気軽に利用できます。
契約手続きが簡単
申請書を提出するだけで利用できるので、契約手続きが非常に簡単です。煩雑な契約書の作成は不要です。
人事担当者の事務負担を大幅に軽減できます。
産業保健の専門家が多い
地域産業保健センターに登録されている医師は、産業保健の専門家が多くなっています。事業場の状況に合わせて適切なアドバイスや指導を行ってくれるので、安心感があります。
産業医経験の浅い開業医に依頼するよりも、専門性が高い場合があります。
地域産業保健センターを利用するデメリット
地域産業保健センターは小規模事業場にとってメリットが多い方法ですが、利用するにあたってはいくつかあるデメリットも理解しておきましょう。
下記で具体的に解説します。
利用できる事業場の規模が限定されている
地域産業保健センターのサービスを無料で受けられる対象は、常時使用する労働者が50人未満の小規模事業場のみです。つまり、50人以上の事業場は対象となりません。
従業員数が30人の事業場が、事業拡大に伴って50人を超えてしまった場合、地域産業保健センターのサービスが受けられなくなります。
利用できる回数や時間に制限がある
地域産業保健センターの産業医訪問には、利用回数の制限があります。例えば、東京産業保健総合支援センターでは、「1事業場あたり2回まで、労働者1人あたり2回まで」となっています。
特に、メンタルヘルス不調者への対応など、頻繁な面談が必要なケースでは、十分なサポートが得られないリスクがあります。
担当の産業医が固定されない
地域産業保健センターに登録している医師は複数いるため、毎回同じ医師が訪問するとは限りません。
事業場の状況を深く理解してもらうには時間がかかります。そのため、コミュニケーションが取りづらく、従業員との信頼関係も築きにくい可能性があります。
産業医との契約方法
産業医の契約形態は、大きく分けると「嘱託産業医」と「専属産業医」の2つのパターンがあります。
どちらを選ぶべきかは、事業場の規模や業種、予算などによって異なります。法律で定められた基準を満たしつつ、自社に合った契約方法を見つけていくことが大切です。
下記では、嘱託産業医と専属産業医それぞれの契約方法について、詳しく解説していきます。
嘱託産業医としての契約
嘱託産業医とは、常勤ではなく、契約に基づいて定期的に事業場を訪問する非常勤の産業医です。
具体的には、月1~2回程度、事業場を訪問してもらい、職場巡視や健康相談、衛生委員会への参加などを行ってもらいます。労働安全衛生法で定められた産業医の職務を、限られた時間の中で効率的にこなすことが求められます。
嘱託産業医との契約は、基本的に「業務委託契約」となります。雇用契約ではないので、契約期間も柔軟に設定できます。
専属産業医としての契約
専属産業医とは、特定の事業場に常勤で勤務し、労働者の健康管理を専門に行う産業医です。労働安全衛生法では、常時1000人以上(有害業務がある場合は500人以上)の労働者を使用する事業場に、専属産業医の選任が義務付けられています。
専属産業医は、事業場に常駐しているため、労働者の健康状態を日常的に把握できるのが大きな強みです。職場巡視や個人面談なども、必要に応じていつでも実施できます。
また、メンタルヘルス不調者への対応や、復職支援なども細かく行うことが可能です。
また、常勤での勤務を前提とするため、産業医本人との雇用契約を結ぶ必要があります。
産業医選任における料金の相場
産業医の報酬は一律ではなく、事業場の規模や業種、産業医の経験や専門性などによって大きく変わってきます。
また、嘱託産業医と専属産業医でも、報酬体系が異なります。
下記では、愛知県医師会産業保健部会の資料を参考にした嘱託産業医の料金と、専属産業医の料金の目安を詳しく解説していきます。
嘱託産業医の料金相場
嘱託産業医の報酬は、基本的に事業場の労働者数に応じて設定されることが一般的です。愛知県医師会産業保健部会の資料によると、基本月額報酬の目安は以下のようになっています。
事業場 |
基本月額報酬 |
100人以下の事業場 |
50,000円以上 |
101人~200人の事業場 |
65,000円以上 |
201人~300人の事業場 |
80,000円以上 |
301人~400人の事業場 |
95,000円以上 |
401人~500人の事業場 |
110,000円以上 |
501人~600人の事業場 |
125,000円以上 |
601人~700人の事業場 |
140,000円以上 |
701人~800人の事業場 |
155,000円以上 |
801人~900人の事業場 |
170,000円以上 |
901人~999人の事業場 |
185,000円以上 |
この金額はあくまで参考値で、実際の報酬は事業場の業種や有害業務の有無、産業医の経験などによって変わります。また、交通費は別途支給するのが一般的です。
この他にも、ストレスチェックの実施や高ストレス者への面接指導、がんなど特定の疾患と診断された労働者への就労支援など、追加の業務に対しては別途報酬が発生します。
専属産業医の料金相場
専属産業医の報酬は嘱託産業医とは異なり、年俸制が一般的です。目安として、以下のように算出します。
- 300万円〜400万円 × 週の勤務日数
週1日の勤務なら年間300万円〜400万円程度、週4日の勤務なら1200万円〜1600万円程度が、専属産業医の報酬の目安と言えます。
ただし、この金額はあくまで目安であるため、実際の報酬は産業医の経験年数や専門性、事業場の業種や立地などによって大きく変わることに注意しましょう。
産業医を探す時のポイント
自社の状況に合った最適な産業医を見つけるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
下記では、それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。
- 業種や職場環境に詳しい産業医を選ぶ
- 産業医の業務内容や訪問頻度を明確にする
- 本社と支社で別々の産業医を選任するか一括して依頼するか
業種や職場環境に詳しい産業医を選ぶ
自社の業種や職場環境をよく理解している産業医を選びましょう。産業医は、単に医学的な知識を持っているだけでなく、その事業場特有の健康リスクや課題を把握し、適切な対策を提案できる人でなければなりません。
例えば、製造業の事業場なら、有害物質の管理や作業環境の改善に詳しい産業医が求められます。一方、ITやサービス業の事業場であれば、VDT作業による健康影響やメンタルヘルス対策に精通した産業医などが良いでしょう。
まず自社の業種や職場の特性をしっかりと整理し、それに合った専門性を持つ医師を探すことが大切です。産業医紹介会社に相談するのも良いですし、同業他社に産業医の情報を聞いてみるのも一つの方法です。
産業医の業務内容や訪問頻度を明確にする
産業医に求める業務内容や訪問頻度を事前に明確にしておきましょう。
法律では、常時50人以上の労働者を使用する事業場に産業医の選任を義務付けていますが、具体的にどのような業務を行うかは事業場ごとに異なります。
多くの事業場で共通しているのは、職場巡視や衛生委員会への出席、健康診断の実施と事後措置、健康相談への対応などですが、それ以外にも、メンタルヘルス不調者への面談や復職支援、健康教育や研修の企画など、事業場によって様々な業務を産業医に依頼することができます。
訪問頻度についても、月1回の職場巡視を基本としつつ、事業場の規模や業種、労働者の健康状態などに合わせて柔軟に設定するのが一般的です。
産業医との契約時には、業務内容や訪問頻度について取り決めておくことをおすすめします。曖昧なまま契約を結んでしまうと、後からトラブルになりかねません。
本社と支社で別々の産業医を選任するか一括して依頼するか
複数の事業場を持つ企業の場合、本社と支社で別々の産業医を選任するのか、一括して依頼するのかを検討する必要があります。
労働安全衛生法では、産業医の選任は事業場ごとに義務付けられています。そのため、支社や支店、営業所などがそれぞれ常時50人以上の労働者を使用している場合、本社とは別に産業医を選任しなければいけません。
しかし、支社の規模が小さく、別々で産業医を雇うのが難しい場合もあります。そのような時は、本社の産業医に支社の業務も兼任してもらう方法もあります。
支社ごとに異なる職場環境や健康課題に個別に対応するためには、別々の産業医を選任したほうが効果的な場合もあるため、会社の組織体制や業種、事業場間の距離など、様々な要因を踏まえて判断しましょう。
産業医はどこにいる?探し方やポイントのまとめ
ここまで、産業医の探し方や選任のポイントについて詳しく解説してきました。重要なポイントをまとめると、以下の通りです。
- 産業医を探す主な方法には、産業医紹介会社、地域の医師会、健康診断機関、地域産業保健センターへの相談、などがある
- 自社の業種や職場環境に詳しい産業医を選ぶことが大切
- 産業医に求める業務内容や訪問頻度を明確にしておく
- 複数の事業場を持つ企業は、本社と支社で別々の産業医を選任するか一括して依頼するかを検討する
- 産業医の報酬は、事業場の規模や業種、産業医の経験などによって変動する
以上のポイントを押さえつつ、自社に合った最適な産業医を探しましょう。
産業医探しで迷ったら、まずは気軽に相談してみるのがおすすめです。特に産業医紹介会社に問い合わせれば、専門家の視点からアドバイスがもらえます。
自社の状況をしっかりと伝え、納得のいく産業医に出会えるまで、粘り強く探していきましょう。
産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員の健康に繋がる産業医サービスが利用できます。