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職場のメンタルヘルス対策|具体例で簡単に理解する重要な理由と対応方法

職場のメンタルヘルス対策に、「どう対応すればいいの?」「何から始めればいいの?」と、頭を悩ませている担当者も多いのではないでしょうか。

メンタルヘルス対策を怠ると、会社の成長に大きな影響を与えてしまうこともあります。

従業員の健康が損なわれれば、仕事の質が落ちたり、チームワークが乱れたりします。最悪の場合、優秀な人材を失うことにもなりかねません。

ですが、適切なメンタルヘルス対策を行えば、従業員の健康を守りながら会社の成長に繋げることもできます。

この記事では、なぜ職場のメンタルヘルス対策が大切なのか、どのような方法があるのかを、具体例を交えてわかりやすく解説していきます。産業医との連携方法や、不調者への対応など、現場ですぐに使える情報も揃えているため、ぜひ参考にしてみてください。

また、優秀な人が辞めてしまう前のメンタルヘルス対策は産業医との連携が効果的です。産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員の健康に繋がる産業医サービスが利用できます。

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目次[非表示]

  1. メンタルヘルスとは
  2. 職場のメンタルヘルス対策が重要な理由
    1. 従業員の生産性と業績向上につながる
    2. 休職や離職のリスクを大幅に軽減できる
    3. 職場の雰囲気が改善され、チームワークが強化される
    4. 企業の社会的責任を果たし、ブランドイメージが向上する
  3. 職場におけるメンタルヘルスケアの4つの柱
    1. セルフケア|従業員自身のストレス管理能力を高める
    2. ラインケア|管理職が部下のメンタルヘルスケアをサポートする
    3. 事業場内産業保健スタッフ等によるケア|専門的な支援を行う
    4. 事業場外資源によるケア|外部の専門家の知見を活用する
  4. 職場のメンタルヘルス不調のサインを見つけるポイント
    1. 出勤状況の変化から不調の兆候を見つける
    2. 業務パフォーマンスの低下が見られないか確認する
    3. コミュニケーションの取り方の変化に注目する
    4. 身だしなみや表情の変化を観察する
    5. 休憩時間の過ごし方に変化がないか気をつける
  5. 職場の産業医との効果的な連携によるメンタルヘルス対策
    1. 産業医の役割と権限を正しく理解して活用する
    2. 定期的な情報共有の場を設けて連携を強化する
    3. ストレスチェック結果の分析と対策立案に産業医の知見を活かす
    4. メンタルヘルス不調者への面接指導を適切に実施する
    5. 職場環境改善の提案と実施に産業医の意見を反映させる
    6. 長時間労働者への面接指導で過重労働を防止する
  6. 職場のメンタルヘルス不調者への具体的な対応方法
    1. 早期発見のための日常的な観察と声かけを行う
    2. 産業医や専門家への相談を促し、適切な支援を行う
    3. 業務内容や労働時間の調整など、職場環境の改善を行う
    4. 休職が必要な場合の手続きと対応をスムーズに進める
    5. プライバシーに配慮しつつ、職場全体でサポート体制を整える
    6. 段階的な職場復帰プランを作成し、丁寧にフォローアップする
  7. 職場のメンタルヘルスのよくある質問
    1. メンタルヘルス不調の部下にどう接すればよいのか?
    2. ストレスチェックは本当に効果がある?
    3. テレワーク中の従業員のメンタルヘルスをどう管理すべき?
    4. 産業医との連携は具体的にどのように行えばよいのか?
    5. 小規模企業でもメンタルヘルス対策は必要?
  8. 職場におけるメンタルヘルスのまとめ

メンタルヘルスとは

メンタルヘルスとは、心の健康状態を指す言葉です。

単に精神疾患がないだけでなく、日々の生活で充実感や幸福感を感じられる状態を意味します。

職場におけるメンタルヘルスケアは、従業員の健康と企業の生産性を考えるうえで重要な要素となっています。

良好なメンタルヘルス状態では、ストレスに適切に対処することができ、前向きな気持ちで仕事に取り組めます。

一方で、メンタルヘルスが悪化すると、集中力の低下や仕事への意欲が下がるといったことが起こりやすくなります。

小さなミスが増えたり、周囲とのコミュニケーションが減ったりするかもしれません。極端な場合、不眠や食欲不振などの身体症状が現れることもあります。

職場のメンタルヘルス対策が重要な理由

職場のメンタルヘルス対策は、今では企業にとって非常に重要な課題になっています。

従業員の健康を守ることで、企業の成長にもつながるためです。

【職場のメンタルヘルス対策が重要な理由】

  • 従業員の生産性と業績向上につながる
  • 休職や離職のリスクを大幅に軽減できる
  • 職場の雰囲気が改善され、チームワークが強化される
  • 企業の社会的責任を果たし、ブランドイメージが向上する

最近では、テレワークが増えて新しいストレスも出てきているため、メンタルヘルス対策の重要性はますます高まっています。

そこで、なぜ職場のメンタルヘルス対策が大切なのか、具体的な理由を詳しく見ていきましょう。

従業員の生産性と業績向上につながる

メンタルヘルスを大切にすることで従業員の生産性が上がり、会社の業績アップにつながります。

メンタルヘルスが良好な従業員は、次のような理由で仕事の効率が上がります。

【仕事の効率が上がる理由】

  • 仕事に集中できる時間が長くなる
  • ストレスで判断を誤ることが減り、的確な決断ができる
  • 新しいアイデアが生まれやすくなる
  • チーム内での会話が活発になり、協力しやすくなる

こういった相乗効果によって、個人の生産性が上がるだけでなく、会社全体の業績向上にもつながっていきます。

経済産業省の調査でも、従業員の健康を大切にする「健康経営」に取り組む会社の方が、従業員の生産性が高いという結果が出ています。こういった会社では、メンタルヘルスを理由とした休職者が少なく、離職者も少ない傾向があります。

休職や離職のリスクを大幅に軽減できる

職場でメンタルヘルス対策を行うことで、従業員の休職や離職のリスクを大きく減らすことができます。

休職や離職のリスクが軽減される理由には、次のようなことが考えられます。

【休職や離職のリスクが軽減される理由】

  • 早期発見、早期対応により、重症化を防ぐ
  • 働きやすい環境づくりで、ストレス要因が減少する
  • 相談しやすい雰囲気があり、問題が大きくなる前に対処できる

これらによって、メンタルヘルス不調による長期休職者が減少するだけでなく、離職を考える従業員も少なくなります。

従業員が一人離職することは単に人数が減るだけでなく、全体の労働生産性の低下、人材採用・育成コストなど、様々なコストが発生します。

職場の雰囲気が改善され、チームワークが強化される

メンタルヘルス対策は、職場の雰囲気を良くし、チームワークを強める効果があります。

メンタルヘルス対策によって、職場の雰囲気は次のように変わります。

【職場の雰囲気やチームワークに与える影響】

  • お互いを思いやる気持ちが育つ
  • コミュニケーションが活発になる
  • ストレスが減り、前向きな姿勢が増える
  • 信頼関係が深まる

これらの効果によって職場全体が明るくなり、協力して仕事に取り組む姿勢が強まります。

チーム間の情報共有も活発になり、部門を超えた協力体制が強化されることで新しいアイデアの提案が増えるようなメリットがあります。

企業の社会的責任を果たし、ブランドイメージが向上する

メンタルヘルス対策に真剣に取り組むことで、企業は社会的責任を果たし、同時にブランドイメージを高めることができます。

以下のように、メンタルヘルス対策が企業の社会的責任とブランドイメージ向上に結びつきます。

【ブランドイメージが向上する理由】

  • 従業員の健康と幸福を重視する姿勢を示せる
  • 労働環境の改善に取り組む企業として認知される
  • 社会問題への積極的な対応をアピールできる
  • 健康経営銘柄や健康経営優良法人認定取得の可能性が高まる
  • 市場での競争力が向上する

こういった効果により、企業の評判が良くなり、ステークホルダーからの信頼が高まります。

株式会社帝国データバンクの「健康経営に関する企業の取り組み状況や効果に関する調査分析」では、「健康経営優良法人」の認定取得に取り組んだ目的として「企業イメージ・企業ブランド価値の向上」が75.3%と、最も高くなっています。

メンタルヘルス対策を含む健康経営が、企業の社会的責任を果たし、ブランドイメージを向上させる上で大きな効果があることがわかります。

職場におけるメンタルヘルスケアの4つの柱

職場でのメンタルヘルスケアは、どのように進めていけばよいのでしょうか?

厚生労働省が「4つのケア」の考え方を示しており、これを知っておくと、会社全体でメンタルヘルスケアに取り組みやすくなります。

【職場におけるメンタルヘルスケアの4つの柱】

  • セルフケア|従業員自身のストレス管理能力を高める
  • ラインケア|管理職が部下のメンタルヘルスケアをサポートする
  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア|専門的な支援を行う
  • 事業場外資源によるケア|外部の専門家の知見を活用する

この4つのケアは、従業員自身のケアから外部の専門家によるサポートまで、幅広くカバーしています。

それぞれのケアには特徴があって、うまく組み合わせることで効果的なメンタルヘルスケアができるようになるのです。

これらの職場におけるメンタルヘルスケアの4つの柱について、具体的に見ていきましょう。

セルフケア|従業員自身のストレス管理能力を高める

セルフケアによって従業員一人ひとりがストレスに気づき、自分で対処する力を身につけることで、メンタルヘルスを健康に保ちながら働くことができます。

以下のような理由から、セルフケアが職場のメンタルヘルス対策で重要とされています。

【セルフケアが重要な理由】

  • 自分の状態を一番よく知っているのは本人
  • ストレスの早期発見、早期対処が可能
  • 日常的に実践できる
  • 自己効力感の向上につながる
  • 職場全体のメンタルヘルス意識が高まる

これらの理由から、セルフケアは職場のメンタルヘルス対策の土台となります。

セルフケアの代表的な方法には、以下のようなものがあります。

【セルフケアの代表的な方法】

  • 定期的に自分のストレス状態をチェックする
  • 深呼吸、筋弛緩法、瞑想などのリラックス方法を学び、日常的に実践する
  • 規則正しい睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など、基本的な生活習慣を整える
  • 仕事以外の時間を楽しむことで、ストレス解消やリフレッシュにつながる

ただし、セルフケアには限界もあります。深刻なメンタルヘルスの問題や、職場環境に起因するストレスには、個人の努力だけでは対処しきれない場合があります。

そのため、セルフケアと並行して、上司や産業保健スタッフによるサポート体制を整えることが重要です。

ラインケア|管理職が部下のメンタルヘルスケアをサポートする

ラインケアは、管理職が部下のメンタルヘルスを守るための取り組みです。

日々の業務の中で部下の変化に気づき、適切に対応することで、職場全体のメンタルヘルス対策を行うことができます。

ラインケアは以下のような理由から効果的です。

【ラインケアが重要な理由】

  • 管理職は部下と近い立場にいるため
  • 日常的に観察することで早期発見が可能
  • 業務調整など具体的な対策を取れる
  • 職場環境の改善に直接関わることができる

管理職が行うラインケアには、次のような取り組みがあります。

【ラインケアの代表的な方法】

  • 毎日の挨拶や会話を通じて、部下の様子を確認する
  • 月に1回程度、個別面談の時間をつくる
  • 部下の能力と状況に応じて、適切な業務配分を行う
  • 部下からの意見を聞き、働きやすい環境をつくる

例えば、普段と様子が違う部下に気づいたら、個別に声をかけて話を聞き、必要に応じて業務調整や産業医との面談を勧めるなどの対応ができます。

ただし、ラインケアには注意点もあります。管理職が介入しすぎることで、かえって部下のストレスになる可能性があります。

また、メンタルヘルスの問題を管理職だけで抱え込まないよう、産業保健スタッフや外部の専門家と連携することが重要です。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア|専門的な支援を行う

事業場内の産業保健スタッフによるケアによって、専門的な知識と経験を活かしたサポートが可能になります。

産業保健スタッフによるケアが重要な理由は以下の通りです。

【産業保健スタッフによるケアが重要な理由】

  • 医学的な知識による助言ができる
  • 客観的な立場から状況を判断できる
  • 個人情報を適切に管理できる
  • 経営層と従業員の橋渡し役になれる

産業保健スタッフが行う主な活動には、次のようなものがあります。

【産業保健スタッフによる取り組み】

  • 従業員からのメンタルヘルスに関する相談に対応する
  • 法令に基づくストレスチェックを実施し、結果を分析して職場環境の改善につなげる
  • 休職者がスムーズに職場復帰できるように、サポートするプログラムを作成する
  • 従業員や管理職向けのメンタルヘルス研修を企画する

例えば、ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された従業員に対して面接指導を行い、必要に応じて就業上の措置を提案することができます。

ただし、産業保健スタッフによるケアには課題もあります。従業員数の少ない事業場では、専門スタッフを常駐させることが難しい場合があります。

そのような場合は、外部の産業保健サービスを利用するなどの工夫が必要です。

事業場外資源によるケア|外部の専門家の知見を活用する

事業場外資源によるケアは、外部の専門家や機関の力を借りてメンタルヘルス対策を強化する方法です。

社内だけでは対応しきれない専門的な課題に取り組むことができ、より幅広くメンタルヘルスケアが可能になります。

事業場外資源によるケアが重要な理由は、以下の通りです。

【事業場外資源によるケアが重要な理由】

  • 高度な専門知識やノウハウを活用できる
  • 客観的な視点から問題を分析できる
  • 社内では対応が難しい深刻なケースに対処できる
  • 従業員のプライバシーをより厳重に守れる

外部資源を活用したメンタルヘルスケアには、次のようなものがあります。

【事業場外資源による取り組み】

  • 専門のカウンセラーによる電話やオンラインでの相談サービスを行う
  • 小規模事業場であれば、無料で産業保健サービスを受けることも可能
  • 専門的な診断や治療が必要な場合に、スムーズに医療機関につなげられる

例えば、EAP(従業員支援プログラム)を導入することで、従業員は匿名で24時間いつでも専門家に相談できるようになります。これにより、問題が大きくなる前に早期対応が可能になります。

外部機関と連携する際は、個人情報の取り扱いや守秘義務について明確な取り決めを必ず行いましょう。また、外部資源に頼りすぎず、社内でのケアとのバランスを取ることも重要です。

職場のメンタルヘルス不調のサインを見つけるポイント

メンタルヘルス不調は、急に現れるものではありません。

普段から小さなサインがたくさん出ていることも多いのですが、気づかないうちに見逃してしまっていることもあります。

【職場のメンタルヘルス不調のサインを見つけるポイント】

  • 出勤状況の変化から不調の兆候を見つける
  • 業務パフォーマンスの低下が見られないか確認する
  • コミュニケーションの取り方の変化に注目する
  • 身だしなみや表情の変化を観察する
  • 休憩時間の過ごし方に変化がないか気をつける

職場のメンバー全員が、お互いの変化に気づける環境を作ることで、全員で支え合える職場づくりにつながります。

では、具体的にどのようなサインに気をつければいいのか、詳しく見ていきましょう。

出勤状況の変化から不調の兆候を見つける

従業員の遅刻や早退、欠勤の増加といった出勤状況の変化に気づくことで、早期に問題を発見し、適切な対応をとることができます。

出勤状況の変化がメンタルヘルス不調のサインとなる理由には、以下のような点が挙げられます。

【出勤状況の変化に現れる理由】

  • 睡眠障害や意欲低下が遅刻につながる
  • 体調不良や疲労感が早退の原因となる
  • 強い不安や抑うつ感が欠勤を引き起こす

例えば、普段は必ず時間通りに出勤している従業員が、ここ1ヶ月で3回以上遅刻するようになったような場合は、注意が必要かもしれません。また、週に1回以上の早退が続く場合も、何らかの問題を抱えている可能性があります。

管理職や人事担当者は、従業員の出勤パターンを定期的にチェックし、変化があった場合はこれまでよりも注意深く観察して、必要に応じて対応することが大切です。

業務パフォーマンスの低下が見られないか確認する

業務パフォーマンスの低下など、普段の仕事ぶりと比べて変化が見られる場合は、早めに気づいて対応しましょう。

以下のように、業務パフォーマンスの低下がメンタルヘルス不調のサインとなって表れます。

【業務パフォーマンスの低下に現れる理由】

  • 集中力や意欲の低下が仕事の質に影響する
  • ストレスによる判断力の低下がミスを増やす
  • 疲労感や睡眠不足が作業効率を下げる
  • 不安や抑うつ感が創造性を下げる

例えば、チームプロジェクトでの役割を果たせなくなったり、他のメンバーに負担をかけるようになったりする場合も注意が必要です。

業務パフォーマンスの低下には、スキル不足や業務量の増加など、他の要因も考えられます。もし変化に気づいたら、その従業員と個別に話をする機会を設け、抱えている問題を理解しようとする姿勢が大切です。

コミュニケーションの取り方の変化に注目する

コミュニケーションの取り方の変化もサインのひとつです。普段と違う話し方や態度に気づくことで、早期に問題を発見することができます。

コミュニケーションの変化がメンタルヘルス不調のサインとなる理由は、以下の通りです。

【コミュニケーションの変化に現れる理由】

  • 気分の落ち込みが会話の減少につながる
  • ストレスや不安が攻撃的な態度につながる
  • 自信が無くなることで消極的な発言が増える

例えば、いつもは明るく話す人が、突然無口になったり、質問に対して単語だけで答えたりするようになった場合は注意しましょう。また、普段は穏やかな人が、些細なことで声を荒げたり、同僚を批判したりするケースも同様です。

身だしなみや表情の変化を観察する

従業員の身だしなみや表情の変化にも、メンタルヘルス不調のサインとして現れる場合があります。

以下のような変化があった場合、注意して観察しましょう。

【身だしなみや表情の変化に現れる理由】

  • 自己管理への意欲低下が身だしなみの乱れに現れる
  • 気分の落ち込みが表情に現れる
  • ストレスや疲労が姿勢の悪化に現れる

例えば、いつも身だしなみに気を使っていた人が、急に髭を剃らなくなったり、シワだらけの服で出勤したりするようになるかもしれません。

姿勢の変化も重要なサインです。元気のよかった人が突然肩を落とし、うつむき加減で歩くようになったら要注意です。

休憩時間の過ごし方に変化がないか気をつける

メンタルヘルス不調が、休憩時間の過ごし方に現れる場合があります。

これには、以下のような理由が考えられます。

【休憩時間の過ごし方に現れる理由】

  • 気分の落ち込みで人との交流を避けがちになる
  • ストレスで一人になりたい気持ちが強くなる
  • 疲労感で休憩時間をじっとして過ごすようになる
  • 不安感からスマホに没頭するようになる

例えば、いつも同僚とランチを楽しんでいた人が突然一人で食べるようになったり、休憩室で会話を楽しんでいた人がデスクで過ごすようになったりと、様々な変化があります。

こういった変化は、その人の心の中でなにか問題を抱えている可能性があります。

ただし、休憩時間の過ごし方は個人の自由です。変化があったからといって、すぐにメンタルヘルス不調だと決めつけないよう注意しましょう。

職場の産業医との効果的な連携によるメンタルヘルス対策

職場のメンタルヘルス対策を進める上で、産業医との連携はとても大切です。

しかし、産業医とどう連携すればいいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。

産業医との連携にはコツがあります。どのような情報を共有すべきか、どのようなタイミングで相談すればいいのか、など気をつけるポイントがいくつかあります。

【職場の産業医との効果的な連携によるメンタルヘルス対策】

  • 産業医の役割と権限を正しく理解して活用する
  • 定期的な情報共有の場を設けて連携を強化する
  • ストレスチェック結果の分析と対策立案に産業医の知見を活かす
  • メンタルヘルス不調者への面接指導を適切に実施する
  • 職場環境改善の提案と実施に産業医の意見を反映させる
  • 長時間労働者への面接指導で過重労働を防止する

職場の産業医と効果的に連携してメンタルヘルス対策を進めるための具体的な方法を、詳しく見ていきましょう。

産業医の役割と権限を正しく理解して活用する

産業医は単なる相談役ではなく、労働者の健康を守るための重要な権限を持っている専門家になるため、産業医の役割と権限を正しく理解して活用することで、職場のメンタルヘルス対策を効果的に進められます。

産業医を効果的に活用することで、以下のようなメリットがあります。

【産業医を活用するメリット】

  • 法律で定められた専門家としての立場がある
  • 労働者の健康情報を適切に管理できる
  • 職場環境の改善に専門的な助言ができる

例えば、産業医は面談を通じて従業員の健康状態を確認し、必要に応じて労働時間の制限や業務内容の変更を会社に提案できます。

また、職場巡視の際に、産業医が照明の不足や騒音の問題を指摘し、改善を求めることもあります。こうした環境改善は、従業員のストレス軽減につながります。

しっかりと役割を理解しておくことで、産業医は職場のメンタルヘルス対策に積極的に関わることができます。

定期的な情報共有の場を設けて連携を強化する

産業医との定期的な情報共有の場を設けることで、こまめにコミュニケーションを取ることが出来るようになり、問題の早期発見と対応につながります。

具体的に、産業医と定期的に情報共有を行うことで次のようなメリットがあります。

【産業医と定期的に情報共有を行うメリット】

  • 職場の最新状況を産業医と共有できる
  • 小さな変化やリスクを見逃さない
  • 産業医の専門的アドバイスを即座に得られる
  • 対策の進捗状況を確認し、調整できる

こういったメリットより、タイムリーで効果的なメンタルヘルス対策が可能になります。

例えば、毎月決められた日時に1時間程度、人事部門と産業医で情報共有ミーティングを行うのも良いでしょう。前月の残業時間データ、休職者の状況、職場の雰囲気など、様々な情報を共有します。

こうした頻繁なコミュニケーションによって、問題が大きくなる前に対処できます。

ストレスチェック結果の分析と対策立案に産業医の知見を活かす

ストレスチェックの結果を産業医と一緒に分析し、対策を立てることで、より効果的なメンタルヘルス対策が可能になります。産業医の専門知識を活用することで、職場環境の改善や個人へのサポートがより的確に行えるようになります。

産業医の知見を活かすことで、以下のようなメリットがあります。

【産業医の知見を活かすメリット】

  • 医学的な視点からストレス要因を特定できる
  • 部署や職種ごとの特性を考慮した分析が可能
  • 個人と組織両方のケアについて専門的なアドバイスが得られる

例えば、ストレスチェックの結果、営業部門で特に高ストレスの傾向が見られた場合、産業医と一緒にその原因を探りましょう。

長時間労働や顧客対応のプレッシャーなど、考えられる要因を洗い出し、具体的な改善策を検討するといった対策が可能です。

産業医と連携することで、医学的な専門知識を基にした実効性の高い対策が可能になります。

メンタルヘルス不調者への面接指導を適切に実施する

メンタルヘルス不調者への産業医による面接指導は、問題の早期発見と適切な対応のためにとても重要です。

面接指導を行うことで、以下のようなメリットが得られます。

【産業医による面接指導のメリット】

  • 個々の状況に合わせた専門的なアドバイスが得られる
  • 医学的見地から就業上の配慮事項を提案できる
  • 早期の治療介入や専門医紹介につながる
  • 職場環境の問題点を直接聞き取れる

こういったメリットから、メンタルヘルス不調の悪化を防ぎ、早期回復に繋げることができます。

例えば、ストレスチェックで高ストレスと判定された従業員に対しては、より詳細な状況を確認するために確認を行うのがおすすめです。

仕事の内容や人間関係、プライベートの状況なども含めて総合的に評価し、必要に応じて専門医の受診を勧めることや、職場環境の改善策を提案しましょう。

職場環境改善の提案と実施に産業医の意見を反映させる

職場環境の改善に産業医の意見を取り入れることで、より効果的なメンタルヘルス対策が可能になります。

産業医の意見を反映させることで、以下のようなメリットがあります。

【産業医の意見を反映させるメリット】

  • 健康リスクを専門的な視点で評価できる
  • 職種別の特性を考慮した改善案が得られる
  • 予防医学の観点から長期的な効果を見込める

例えば、産業医からのアドバイスを受けて、長時間のデスクワークによる健康リスクを軽減するため、立ち仕事可能なデスクを導入することや、2時間ごとに軽い体操を促すアラートシステムを取り入れるような対策が可能です。

設備投資や制度変更を行う際には、医学的根拠に基づいた実効性の高い職場環境の改善が可能になります。

長時間労働者への面接指導で過重労働を防止する

産業医による長時間労働者への面接指導は、過重労働を防ぎ、メンタルヘルス不調を予防するために重要な取り組みです。

長時間労働者への面接指導には、以下のようなメリットがあります。

【長時間労働者への面接指導のメリット】

  • 過重労働による健康障害のリスクを早期に発見できる
  • 労働者自身の健康意識を高められる
  • 業務の見直しや労働時間の適正化につながる

月80時間を超える残業をした従業員に対して、産業医による面接指導を従業員に提案することが事業者には義務付けられています。

面接では、「最近は寝つきが悪く、朝も起きづらい」といったような話を聞くことができた場合、産業医は睡眠障害の可能性も踏まえ、労働時間の調整や睡眠衛生指導を行うといったことが考えられます。

実施する際は形式的な面談ではなく、労働者の状態を深く理解し、具体的な改善につなげることが重要です。

職場のメンタルヘルス不調者への具体的な対応方法

メンタルヘルス不調の従業員が職場にいると気づいたら、適切な対応をすることで従業員の回復を早め、職場全体のメンタルヘルスを守ることができます。

【職場のメンタルヘルス不調者への具体的な対応方法】

  • 早期発見のための日常的な観察と声かけを行う
  • 産業医や専門家への相談を促し、適切な支援を行う
  • 業務内容や労働時間の調整など、職場環境の改善を行う
  • 休職が必要な場合の手続きと対応をスムーズに進める
  • プライバシーに配慮しつつ、職場全体でサポート体制を整える
  • 段階的な職場復帰プランを作成し、丁寧にフォローアップする

このような職場でメンタルヘルス不調者に気づいたときの具体的な対応方法について、詳しく見ていきましょう。

早期発見のための日常的な観察と声かけを行う

日々の観察と声かけの習慣を職場に根付かせることで、問題が大きくなる前に対処でき、従業員のメンタルヘルスを守ることができます。

これによって、以下のような効果があります。

【日々の観察と声かけのメリット】

  • 小さな変化に気づきやすくなる
  • 従業員が相談しやすい雰囲気づくりにつながる
  • 信頼関係の構築に役立つ

仕事中に表情が暗かったり、ため息をついたりしている人がいたら、積極的に声をかけるようにしましょう。

帰り際には、「お疲れ様でした。今日はどうでしたか?」のように一言添えるだけでも、従業員の変化に気づくきっかけになります。

ただし、プライバシーを尊重し、押し付けにならないよう注意が必要です。

産業医や専門家への相談を促し、適切な支援を行う

メンタルヘルス不調の兆候が見られたら、できるだけ早く産業医や専門家への相談を勧めましょう。

専門家から助言を受けることで、問題の悪化を防ぎ、回復が早くなる可能性が高まります。

他にも、以下のような効果があります。

【専門家から助言を受けるメリット】

  • 正確な状態把握と適切な対処法の提案が得られる
  • 医学的な知見からの助言によって、適切な対応ができる
  • 早期に介入することで、重症化を防げる

まず、上司や人事担当者が従業員の変化に気づいたら、産業医との面談を勧めましょう。

それだけでなく、従業員が自発的に相談できるよう、産業医の来訪日程を掲示したり、予約方法を周知したりすることも大切です。

従業員に勧める際には、相談を強制するのではなく、従業員の意思を尊重しながら進めるようにしましょう。

業務内容や労働時間の調整など、職場環境の改善を行う

メンタルヘルス不調者がいる場合、業務内容や労働時間の調整など、職場環境の改善は欠かせません。

職場環境を整えることで、以下のような効果があります。

【職場環境を整えるメリット】

  • 過度な負担を軽減し、ストレスを和らげる
  • 個人の能力と業務のバランスを取れる
  • 回復に向けた環境を整えられる
  • 再発防止につながる

例えば、営業部門の従業員が、長時間労働とノルマのプレッシャーでメンタルヘルス不調に陥ってしまったような場合、難易度の高い案件を一時的に他のメンバーに振り分けたり、回復期間中は数値目標を緩和したりなど、柔軟に対応するのが良いでしょう。

一時的な対応だけでなく、組織全体の働き方を見直すきっかけとして捉えることが大切です。

休職が必要な場合の手続きと対応をスムーズに進める

メンタルヘルス不調で休職が必要になった場合は、それに伴う手続きと対応を素早く丁寧に進めていきましょう。

可能な限り休職手続きをスムーズに進めることで、以下のようなメリットがあります。

【休職手続きをスムーズに進めるメリット】

  • 従業員の不安を軽減できる
  • 法的トラブルを防止できる
  • 職場の混乱を最小限に抑えられる
  • 回復に集中できる環境を整えられる

まず、産業医の診断や主治医の意見書をもとに、休職の必要性を判断します。休職が決まったら、以下のステップで進めていきます。

【休職までの流れ】

  1. 本人との面談
  2. 書類作成
  3. 業務引継ぎ
  4. 定期連絡方法の確認
  5. 職場への説明

適切な休職管理は、従業員の回復に繋げるだけでなく、職場全体のメンタルヘルスに対する意識向上にもつながります。

プライバシーに配慮しつつ、職場全体でサポート体制を整える

メンタルヘルス不調者のプライバシーを守りながら、職場全体で支える体制を作ることが大切です。

職場全体でのサポート体制を整えることで、以下のようなメリットがあります。

【職場全体で体制を整えるメリット】

  • 孤立感を減らし、安心感を与えられる
  • 周囲の理解が深まり、偏見が減る
  • 職場復帰がスムーズになる
  • 再発防止につながる

まず、本人の了承を得た上で、どの程度の情報を職場で共有するかを決めます。

例えば、「体調不良で休養中」といった簡単な説明にとどめることもあります。

ほかにも、職場の仲間へのフォローも忘れずに行いましょう。突然の欠員で負担が増えた同僚への配慮も必要です。業務の再分配や体制を整えましょう。

段階的な職場復帰プランを作成し、丁寧にフォローアップする

メンタルヘルス不調から復帰する従業員には、段階的な職場復帰プランが必要です。

個人の回復状況に合わせて丁寧にフォローアップしていくことで、スムーズな復帰と再発防止に繋がります。

ほかにも、段階的な復帰プランによって、以下のようなメリットがあります。

【段階的な復帰プランを作るメリット】

  • 急激な環境変化によるストレスを軽減できる
  • 個人のペースに合わせた復帰が可能になる
  • 職場と本人の双方が状況を確認しながら進められる

例えば、営業職の従業員が3ヶ月の休職後に復帰する場合であれば、最初の1週間は半日勤務で内勤業務のみ、2週目から終日勤務に移行し、3週目から徐々に外回りを再開、1ヶ月後に通常業務に戻る、といったようなプランを立てることができます。

とはいえ、計画通りに進まないケースも多いため、柔軟な対応が必要となります。

職場のメンタルヘルスのよくある質問

職場のメンタルヘルス対策について、疑問や悩みを多くの人が抱えていても、あまり周りに聞けなかったり、答えを見つけられなかったりしているのが現状です。

そこで、職場のメンタルヘルスに関してよくある質問とその回答をまとめました。

【職場のメンタルヘルスのよくある質問】

  • メンタルヘルス不調の部下にどう接すればよいのか?
  • ストレスチェックは本当に効果がある?
  • テレワーク中の従業員のメンタルヘルスをどう管理すべき?
  • 産業医との連携は具体的にどのように行えばよいのか?
  • 小規模企業でもメンタルヘルス対策は必要?

それでは、具体的な質問と回答を見ていきましょう。

メンタルヘルス不調の部下にどう接すればよいのか?

メンタルヘルス不調の部下には、思いやりを持ちつつ、適切な距離感で接することが大切です。

「傾聴と共感」を基本にしつつ、必要なサポートを行いながら、専門家に繋げることが効果的です。

上司としての役割を意識しつつ、温かみのある対応を心がけることで、部下の回復だけでなく職場全体のメンタルヘルス向上にも良い影響を与えることができます。

ストレスチェックは本当に効果がある?

ストレスチェックを適切に実施・活用することで、職場のメンタルヘルス対策に大きな効果があります。

重要なのは実施するだけでなく、結果の分析と具体的な改善までを合わせて行うことです。

そうすることで、従業員自身がストレス状態に気づくことができたり、職場全体のストレス要因を可視化できたりなど、様々な効果があります。

テレワーク中の従業員のメンタルヘルスをどう管理すべき?

テレワーク中の従業員のメンタルヘルス管理には、こまめなコミュニケーションと柔軟な働き方の提案が重要です。

オンラインツールを活用しつつ、個々の状況に合わせた対応を行いましょう。

テレワーク特有のメンタルヘルス不調として、孤独感や疎外感を感じやすいことや、仕事とプライベートの区切りが曖昧になりやすい、といったことが挙げられます。

例えば、オンラインでのティータイムやランチ会を企画し、カジュアルなコミュニケーションの機会を作るのも良いでしょう。週1回30分程度、仕事以外の話題で盛り上がれる場を設けるのも効果的です。

産業医との連携は具体的にどのように行えばよいのか?

産業医との効果的な連携には、定期的な情報共有と明確な役割分担が重要です。

産業医の専門知識を活かしつつ、企業の状態に合わせた協力体制を作ることで、従業員の健康管理と職場環境の改善に繋げることができます。

例えば、月に1度、人事部門と産業医で定例ミーティングを行うといった方法があります。

この場で、従業員の健康状態や職場環境の課題について情報を共有します。「先月の残業時間が多かった部署について」「メンタルヘルス不調者のフォロー状況」などを議題にしましょう。

小規模企業でもメンタルヘルス対策は必要?

小規模企業こそ、メンタルヘルス対策が重要になります。

従業員一人ひとりの影響力が大きいからこそ、健康を守ることが企業の成長に直結します。

ほかにも、大企業に比べ一般的には新規採用が難しいことや、少人数であることから人間関係のストレスが生じやすい、といった理由もあります。

こういった理由から、規模に関わらずメンタルヘルス対策は重要です。

職場におけるメンタルヘルスのまとめ

職場のメンタルヘルス対策は、従業員の健康と企業の成長の両方にとって重要な取り組みです。

この記事では、メンタルヘルス対策の重要性や具体的な方法について詳しく解説しました。ここで、主なポイントをまとめます。

【メンタルヘルス対策の重要性】

  • 従業員の生産性と業績向上につながる
  • 休職や離職のリスクを減らせる
  • 職場の雰囲気が良くなり、チームワークが強くなる
  • 企業イメージが良くなる

【メンタルヘルスケアの4つの柱】

  • セルフケア|従業員自身による取り組み
  • ラインケア|上司による部下のケア
  • 産業保健スタッフによるケア|専門家のサポート
  • 外部資源によるケア|外部の専門機関の活用

【メンタルヘルス不調のサインを見つけるポイント】

  • 出勤状況の変化
  • 仕事の質や量の変化
  • コミュニケーションの変化
  • 身だしなみや表情の変化
  • 休憩時間の過ごし方の変化

【産業医との効果的な連携】

  • 産業医の役割と権限を正しく理解する
  • 定期的に情報を共有する
  • ストレスチェック結果の分析に活かす
  • 長時間労働者への面接指導を行う

【メンタルヘルス不調者への対応方法】

  • 早期発見のための観察と声かけ
  • 専門家への相談を促す
  • 業務内容や労働時間の調整
  • 休職が必要な場合の適切な対応
  • プライバシーに配慮したサポート体制
  • 段階的な職場復帰プランの作成

こういったポイントを押さえて、自社の状況に合わせた対策を進めていくことが大切です。

また、常に新しい情報をキャッチアップして、必要に応じて産業医など専門家のアドバイスを受けながら、柔軟に対応していくことが重要です。

産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員の健康に繋がる産業医サービスが利用できます。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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