現役産業医が解説する本当に怖い長時間労働のリスク
長時間残業に対する目は厳しくなっており、社内でも毎月の残業時間の算定や対策に追われている会社も多いのではないでしょうか。
「法令順守のため」、「労災になるのが怖いから」、という理由で長時間残業対策をされている会社は多いと思います。ただ、そういった理由を意義として対策をすると、管理する側も疲れてきてしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、「長時間残業対策を行う、医学的な本質」を解説します。
医学的に見た、長時間残業の危険性
今回ご紹介するのは、「長時間残業は社員の体を守るため」、という理由に立ち返るための研究です(*1)。
週あたりの労働時間により、心筋梗塞や脳梗塞がどれだけ増えるかを示した研究の結果を下図に示します。週35〜40時間勤務の方のリスクを1として、労働時間によりどれだけ心筋梗塞・脳梗塞のリスクが上がってしまうかを示しています。一番左に、週あたりの労働時間、右側の■が、心筋梗塞・脳梗塞のリスク上昇です。すると、週49時間(残業にして約40時間/月)の労働をした場合で、脳梗塞の発症リスクが約30%の上昇していることがわかります。心筋梗塞の場合、脳梗塞ほど顕著ではありませんが、労働時間上昇に従い徐々にリスクが高まっている傾向があります。
*1Kivimäki M, Jokela M, Nyberg ST, et al. Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data for 603,838 individuals. Lancet. 2015;386(10005):1739‐1746. doi:10.1016/S0140-6736(15)60295-1を基に一部筆者加筆
これを踏まえると、残業時間が45時間や80時間を超えるような方に対する対策は、「社員を、脳梗塞や心筋梗塞から守るため」と思えるのではないでしょうか。
それ以外にも、長時間労働者の傾向として、
・イライラしやすい
・睡眠障害が起きやすい
・うつ傾向になりやすい
などのデータが知られています(*2)。
長時間労働者の健康を守るためには、産業医面談をきちんと受けてもらうことが重要です。
「忙しいことを理由に面談を受けてくれない」「産業医との予定が合わずなかなか面談実施が出来ない」など様々なお悩みがあるかと思います。一つの解決策として、場所を選ばず、時間も比較的柔軟に調整することのできるオンラインでの産業医面談をご提案します。
当社が提供するfirst callオンライン産業医面談では、社員のPCやスマホから時間や場所を選ばず面談実施が可能です。また前日まで面談予約ができるため、面談のタイミングが遅れて症状が重症化してしまうリスクを減らすことが出来ます。
フォローが必要な長時間労働者にはこのようなオンライン面談システムを使用して出来るだけ早く産業医との対話の場を設けることが、社員の今後の健康を守ることに繋がります。
最後になりますが、長時間労働の改善、また長時間労働者へのフォローは、「社員の健康を守るため」、「よりよく働いてもらうため」、と考えると、人事・労務としてもやりがいを持ちやすくなるのではないでしょうか?
<<first call 産業保健支援サービスとは>>
「first call」では、法人および健康保険組合向けに以下3つの産業保健支援サービスを提供しています。従業員のメンタルヘルス対策や健康管理をワンストップでサポートすると同時に、オンライン化と管理システムの導入により人事労務担当者の業務負担を軽減します。
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産業医の定期訪問からオンラインでの面談まで、産業医業務を受託するサービス。
③ ストレスチェック
WEBで簡単に従業員のストレスチェックや、部門やチームなど職場毎のストレス状況を可視化するサービス。オンライン医療相談の無料オプションとして提供し、オンライン産業医と合わせて導入することで、ストレスチェック後の産業医面談までをオンライン上で一元管理しながら実施することが可能となります。厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票(57項目)に準拠。受検結果は労働基準監督署への報告にご活用いただけます。
*1
Kivimäki M, Jokela M, Nyberg ST, et al. Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data for 603,838 individuals. Lancet. 2015;386(10005):1739‐1746. doi:10.1016/S0140-6736(15)60295-1
*2
Bannai A, Tamakoshi A. The association between long working hours and health: a systematic review of epidemiological evidence. Scand J Work Environ Health. 2014;40(1):5-18. doi:10.5271/sjweh.3388