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派遣社員への健康診断の実施義務とは?派遣元・派遣先企業で必要な対応を解説

労働安全衛生法』第66条において、事業者は従業員に対して健康診断を行うことが義務付けられています。

派遣社員のいる職場では、「健康診断の実施義務があるのか」「派遣元・派遣先のどちらが実施するのか」と悩む人事・総務担当者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、派遣社員の健康診断の実施義務や派遣元・派遣先の対応、健康管理における役割について解説します。

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法


目次[非表示]

  1. 派遣社員への健康診断の実施義務
  2. 健康診断における派遣元・派遣先企業の対応
  3. 健康管理における派遣元・派遣先企業の役割
  4. まとめ


派遣社員への健康診断の実施義務

健康診断の実施義務は、正社員だけが対象ではありません。一定の条件を満たす派遣社員、アルバイト・パートにも、健康診断の実施が必要です。

労働安全衛生規則』第44条では、事業者は常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回の健康診断を行わなければならないと明記されています。

なお、ここでいう常時使用する労働者とは、以下の2つの条件を満たす者を指します。


▼常時使用する労働者の条件

  1. 雇用期間の定めがない者、または1年以上の雇用を予定している、あるいはすでに1年以上雇用している者(特定業務従事者健診の対象者は6ヶ月以上)
  2. 1週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上ある者

ただし、上記の条件2にあたらない場合でも、1に該当しており、1週間の所定労働時間の概ね2分の1以上の労働時間を有する者については実施が望ましいとされています。

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生規則』/厚生労働省 愛知労働局『定期健康診断』/厚生労働省 東京労働局『Q16.一般健康診断では常時使用する労働者が対象になるとのことですが、パート労働者の取り扱いはどのようになりますか?



健康診断における派遣元・派遣先企業の対応

労働者派遣事業においては、派遣元・派遣先企業それぞれが労働安全衛生法上の事業者責任を負うことと定めています。


▼派遣元・派遣先企業の健康診断における対応


管理の範囲
実施義務のある
健康診断
健康診断の実施費用
派遣元
一般的な健康管理等
一般健康診断
派遣元企業の負担
派遣先

就業に伴う具体的な安全・衛生管理

有害業務に常時従事する派遣社員の特殊健康診断
派遣先企業の負担

厚生労働省『派遣元が実施すべき事項 第3章』『派遣先が実施すべき事項 第4章』を基に作成


ただし、派遣期間満了後に、ほかの派遣先で有害業務ではない業務に就いている従業員の特殊健康診断は、派遣元に実施義務があります。

一般健康診断と特殊健康診断の違いについては、こちらの記事をご確認ください。

  特殊健康診断とは? 一般健康診断との違いや対象者について 企業が実施する主な健康診断には、一般健康診断と特殊健康診断があります。特殊健康診断は、職種に関係なく実施する一般健康診断とは異なり、一定の業務に従事する従業員が対象です。人事・総務担当者は、対象者を分類したうえで必要な健康診断の受診手続きを実施する必要があります。この記事では、特殊健康診断とは何か、一般健康診断との違いや対象者について解説します。 first call

出典:厚生労働省『派遣元が実施すべき事項 第3章』『派遣先が実施すべき事項 第4章』/厚生労働省 東京労働局『Q16.一般健康診断では常時使用する労働者が対象になるとのことですが、パート労働者の取り扱いはどのようになりますか?



健康管理における派遣元・派遣先企業の役割

派遣社員の適切な健康管理・安全衛生管理を行うには、派遣元・派遣先企業で連携を取ることが重要です。

派遣社員を雇用しているのは派遣元ですが、実際には派遣先で指揮命令を受けて就業します。そのため、派遣元のみで派遣社員の安全衛生管理を行うことは困難と考えられます。定期的な会合の開催・情報共有をして、連携体制を整えることが必要です。


▼派遣元・派遣先企業で共有する情報

  • 健康診断
  • 安全衛生教育
  • 労働者派遣契約で定めた安全衛生に関する事項の実施状況
  • 労働災害の内容や対策に必要な情報
  • 派遣先が実施している安全衛生活動への派遣社員の参加

派遣社員の健康管理において、派遣元・派遣先企業が行うこととして、以下が挙げられます。


▼派遣社員の健康管理への対応

派遣元
  • 雇い入れ時の安全衛生教育
  • 一般健康診断の実施
  • 派遣先への派遣社員の勤務状況や職場環境に関する情報提供の依頼
  • 派遣先への就業上の措置についての協力要請
派遣先
  • 派遣元からの雇い入れ時の安全衛生教育の受託、結果の報告
  • 派遣元から安全衛生教育支援(カリキュラム作成支援、講師の紹介、教育用テキストの提供、施設・機材の貸与等)がある場合は可能な限り応じる
  • 派遣元が実施する一般健康診断の受診に対する配慮
  • 勤務状況や職場環境などの情報提供
  • 就業上の措置、面接指導に関する情報収集や実施への協力
  • 快適な職場環境の形成

厚生労働省『派遣元が実施すべき事項 第3章』『派遣先が実施すべき事項 第4章』『派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために』を基に作成


出典:厚生労働省『派遣元が実施すべき事項 第3章』『派遣先が実施すべき事項 第4章』『派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために



まとめ

この記事では、派遣社員の健康診断について、以下の項目を解説しました。

  • 派遣社員への健康診断の実施義務
  • 健康診断における派遣元・派遣先企業の対応
  • 派遣元・派遣先企業の連携について

企業には、雇用形態にかかわらず、従業員に対して健康診断の実施が義務付けられています。派遣社員の一般健康診断は派遣元に、特殊健康診断は派遣先に実施義務があります。

また、派遣社員の安全衛生管理を適切に行うためには、派遣元・派遣先が円滑な連携を図り、健康診断の実施について双方が協力・配慮することも重要です。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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