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定期健康診断結果報告書とは?9つの記入項目と提出方法を解説

常時50人以上の従業員を雇用している事業場は、常時雇用する従業員に対して、1年以内に1回の定期健康診断を実施し、定期健康診断結果報告書を所轄の労働基準監督署へ提出する義務があります。

健康診断の実施は労働安全衛生法の第66条に基づいて義務付けられており、仮に実施しない場合は法律違反となり、労働安全衛生法第120条に基づいて50万円以下の罰金が科せられます。

今後、従業員数が50人を超える見込みのある企業は、定期健康診断結果報告書の仕組みや記入方法についてあらかじめ把握しておきましょう。

本記事では、定期健康診断結果報告書の基本概要、正しい記入方法、提出先、期限について詳しく解説します。

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出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)


目次[非表示]

  1. 定期健康診断結果報告書とは
  2. 定期健康診断結果報告書の記入方法
    1. ①労働保険番号
    2. ②対象年・健診年月日
    3. ③事業の種類・名称・所在地
    4. ④在籍・受診労働者数
    5. ⑤労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数
    6. ⑥健康診断項目
    7. ⑦所見のあった者の人数
    8. ⑧医師の指示人数
    9. ⑨産業医・事業者職氏名・労働基準監督署長名
  3. 定期健康診断結果報告書の提出
    1. 提出先
    2. 提出期限
  4. まとめ


定期健康診断結果報告書とは

定期健康診断結果報告書とは、常時50人以上の労働者を使用している事業者が所轄の労働基準監督署宛てに提出しなければならない書類です。

定期健康診断の実施対象となるのは“常時従事する労働者”です。正社員はもちろんのこと、アルバイトやパートでも以下の要件を満たしている場合は該当します。

  • 契約形態:無期契約・契約期間が1年以上の有期契約・契約期間が6ヶ月以上1年未満の有期契約
  • 週所定労働時間:正社員の労働時間の4分の3以上

出典:厚生労働省『パートタイム労働者※1の健康診断を実施しましょう!!


以下の表は、健康診断の対象となる従業員と、実施すべき健康診断の種類をまとめたものです。


202111_04_定期健康診断結果報告書とは? 記入・提出の方法を解説

画像出典:厚生労働省『パートタイム労働者※1の健康診断を実施しましょう!!



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定期健康診断結果報告書の記入方法

画像出典:厚生労働省『定期健康診断結果報告書


定期健康診断結果報告書は、厚生労働省のホームページから印刷できます。印刷用紙はA4普通紙で、必ず黒のボールペンを使い、以下の手順で該当項目を記入します。

なお、現在は、インターネット上で定期健康診断結果報告書に入力できるサービスもあります。誤入力・未入力に対するエラーメッセージの表示や書類の添付漏れに対する注意喚起などの入力支援機能が備わっています。

パソコンを使って入力をしたいとお考えの場合は、厚生労働省のサービス、『労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス』を利用するのも一つの方法です。

次に、健康診断実施報告書で記載する項目について解説していきます。

出典:厚生労働省『定期健康診断結果報告書様式』/『労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス


①労働保険番号

定期健康診断結果報告書の最上部の『労働保険番号』には、事業場の保険番号を記入します。雇用保険適用事業者番号とも呼ばれているもので、『2桁-1桁-2桁-6桁-3桁』の合計14桁で構成されています。


②対象年・健診年月日

『対象年』の項目には、健康診断を実施した年月日を記入します。

定期健康診断結果報告書を一定期間分まとめて報告する場合は、何月から何月にかけて健康診断を実施したか記入する必要があります。

また、定期健康診断を2日以上に分割して行った場合は、対象年の隣にある健診年月日の項目に、最後に診断を実施した年月日を記入します。


③事業の種類・名称・所在地

事業場の名称は会社名を記入し、所在地には法人登記を行っている住所を記入します。事業の種類は、総務省が公開している『日本標準産業分類の中分類』を参考にして記入します。

出典:総務省『日本標準産業分類の中分類


④在籍・受診労働者数

在籍労働者数は、健診を行った時点での常時使用する従業員の数を指します。こちらの項目には社会保険に加入している労働者数を記入し、臨時雇用者は含みません。

受診労働者数の欄には、実際に健康診断を受診した従業員の数を記入します。会社が提供している健康診断とは別に、人間ドックを受診した労働者の数も含めます。


⑤労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数

『労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数』の欄は、特定業務に常時従事している従業員がいる場合のみ記入します。


労働安全衛生規則第13条第1項第3号に掲げる業務に従事する労働者数

画像出典:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~


特定業務の分類は『イ』から『カ』で分類されていて、それぞれに該当する従業員の数を記入します。分類の詳細は厚生労働省の『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~』で確認できます。

出典:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~


⑥健康診断項目

健康診断の欄には、項目ごとの健康診断の実施者数と有所見者数を記入します。

しかし、「異常なし」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療・医療」「治療中」などのうち、どこからを「有所見」というのでしょうか。じつは、この基準が法令などでは定められていません。

1つの参考になるものとして、独立行政法人 労働者健康安全機構 山口産業保健総合支援センターが実施した『産業医の健康診断判定基準の認識』があり、有所見とする基準についてアンケートを取っています。

ここでは、5割以上の産業医が「要精密検査」「要治療・要医療」を有所見とする、と回答しています。つまり、「D判定を有所見とする」という産業医が多いことです(ただし、医療機関によっては、「要精密検査」「要治療・要医療」を違う記号で記していることがあります)。

最終的には、各事業場の産業医と相談して有所見の線引をしていただけるとよいかと思いますが、上記を一つの目安として有所見者数を記入いただくことになります。

一人ひとりの診断結果を検査項目ごとに確認する必要があるため、この項目の記入は非常に手間がかかります。しかし、事前に検査結果をまとめておいたり、電子化して保存したりしておくと、書類作成時の負担を軽減できます。定期健康診断の結果を集めた段階で要件をまとめておくのも一つの方法です。

first call』で提供している健康診断結果の管理サービスでは、紙の健診結果でもOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)により、自動で電子データ化することができます。そのうえで、有所見者数や健診実施数を自動集計できる機能が付属していますので、手動で計算する手間を一気に省くことができます。

出典:厚生労働省『主な用語の定義』/独立行政法人 労働者健康安全機構 山口産業保健総合支援センター『産業医の健康診断判定基準の認識


⑦所見のあった者の人数

所見のあった者の人数の欄には、健康診断項目のいずれかに所見のあった人の数を記載します。

この数字は各健康診断項目の有所見者を単に合計した数ではありません。『聴力検査』から『心電図検査』までの健康診断項目のいずれかの項目で所見があった人の数を記入します。

なお、所見のあった者の人数は、各健康診断項目の有所見者数を下回ることはありません。

出典:厚生労働省『定期健康診断結果報告書


⑧医師の指示人数

有所見者数の隣の項目にある医師の指示人数は、健康診断の結果、要医療、要精密検査等医師による指示のあった者の数のことを指します。注意点として、再検査は医師の指示人数に含まれません。


⑨産業医・事業者職氏名・労働基準監督署長名

最下部には、産業医名、事業者職氏名、労働基準監督署長名を記入します。このほか、産業医の配属先と所在地も記載が必要です。なお、産業医の押印は法令改正により不要になりました。

出典:厚生労働省『定期健康診断結果報告書』/厚生労働省神奈川労働局『定期健康診断結果報告書を正しく提出しましょう!



定期健康診断結果報告書の提出

続いては、定期健康診断結果報告書の提出先と期限を紹介します。


提出先

定期健康診断結果報告書は管轄の労働基準監督署へ提出します。所在案内に関しては、厚生労働省の『全国労働基準監督署の所在案内』を確認します。

本紙を受領した後に受付印を押したコピーが控えとして返却されるため、事前に本紙とコピーの2部を取っておくことが望ましいです。


提出期限

定期健康診断結果報告書は、遅延なく提出することが定められています。『遅延なく』という言及はおおよそ1ヶ月を指すことが一般的です。

ただし、事業場によって定期健診の実施時期と期間が異なる場合もあります。その場合は、提出期限は最後の方が健康診断を受けてから1ヶ月以内が目安といわれています。

なお、厚生労働省の地方労働局によっては、暦年で集計する関係から、健康診断の実施時期にかかわらず、遅くとも3月中旬には定期健康診断結果報告書を提出するよう促すところもあります。

いずれにしても、定期健康診断の実施が完了した後は速やかに提出することが望ましいといえます。

出典:厚生労働省『全国労働基準監督署の所在案内』/厚生労働省東京労働局『健康診断結果報告書等の提出について



まとめ

定期健康診断結果報告書は、常時50人以上の労働者を使用している事業場で提出が義務付けられている書類です。毎年1回は定期健康診断を実施して、報告書を遅延なく所轄の労働基準監督署へ提出する義務があります。

今後、自社の事業場で従業員が50人を超える見込みがある場合は、定期健康診断結果報告書の記入方法や提出方法について把握したうえで事前準備を進めましょう。

クラウド型健康管理サービス『first call』では、健康診断結果の管理・集計を効率化できるサービスを提供しています。

健康診断の管理業務量が多くお困りのご担当者様や健康診断結果の管理をセキュリティ面でも見直したい企業経営者様はぜひご相談ください。


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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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