紙媒体の健康診断の結果をデータ化する理由や方法とは?セキュリティ対策などの注意点も解説
紙媒体で従業員の健康診断の結果(以下、健診結果)を管理していると、診断区分の仕分けやファイリング、保管などの作業に労力がかかり、人事・総務担当者の業務が煩雑化しやすくなります。
一方、近年ではシステムを活用して健診結果をデータ化する方法を厚生労働省が推奨しています。
本記事では、「なぜ健診結果のデータ化が必要なのか分からない」「どのようにデータ化すればよいのか分からない」とお悩みの方に向けて、健診結果のデータ化が進む理由やデータ化の具体的な方法、注意点などについて解説します。
また、クラウド型健康管理サービス「first call」では、産業医業務のオンライン対応(職場巡視を除く)が可能な嘱託産業医の選任や、医師への相談窓口など産業医や医師による企業の健康サポートを行っています。ストレスチェックの実施に加え、健康診断結果や面談記録の管理、面談日程調整など企業の健康管理業務をオンライン化できます。
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健診結果のデータ化が進んでいる理由
健診結果のデータ化が進んでいる理由として、政府によるデータヘルス改革の推進と定期健康診断報告書の医師による押印が不要になったこと等が挙げられます。
ここでは、健診結果のデータ化が進んでいる理由を詳しく解説します。
①データヘルス改革の推進
政府は、国民のニーズに沿った質の高い医療サービスの提供に向けて、健康・医療・介護分野の有機的なデータを共有・活用する“データヘルス改革”を推進しています。
データヘルス改革を実現させる取組みの一つに、“国民が自身の保健医療情報を把握できる仕組みを構築すること”が挙げられています。
これを踏まえて、マイナンバーカードを使って、Web上でさまざまな行政手続きや情報確認ができる“マイナポータル”が開設されました。マイナポータルでは、国民が自身の健診情報や薬剤情報などをWeb上で確認することが可能になっていたり、今後可能にしたりする動きが広がっています。
▼マイナポータルで閲覧できる健診・検診情報の時期の例
特定健診 |
2021年10月~ |
自治体健診 |
2022年度早期~ |
事業主健診 |
2023年度中~ |
労働者・事業者・健診機関・保険者が円滑に情報を共有できる仕組みを構築してデータヘルスを推進することで、労働者の健康保持増進だけでなく、企業の生産性向上・経営改善・経済成長も期待できます。
出典:厚生労働省『データヘルス改革推進本部』『今後のデータヘルス改革の進め方について(概要)』『保健事業における事業主健診情報の活用について』
②定期健康診断報告書の医師等の押印等が不要
2020年8月28日に施行された改正労働安全衛生関係法令によって、健康診断個人票や定期健康診断報告書等の医師等の押印等が不要となりました。
これまでは、健康診断個人票や定期健康診断報告書等を紙媒体または電子データで保存する場合、以下のような対応が必要でした。
▼法改正以前に企業が行っていた対応
- 産業医の押印をもらうために書類を郵送する
- PDF化した書面をメールで送付して、産業医の電子署名をもらう
しかし、法改正によって電子データで保存する場合は医師等の電子署名が不要になり、記名のみでよくなりました。
このように、データヘルス改革が推進されていることと、産業医の押印・電子署名が不要になったことで、健診結果の申請・管理のデータ化・ペーパーレス化が進んでいます。
今後、人事・総務担当者の業務効率化をはじめ、産業医とのスムーズな連携が期待されています。
出典:厚生労働省『健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。』
『first call』で健診結果をデータ化する方法
紙媒体の健診結果をデータ化するには、健診管理サービス『first call』の活用が有効です。first callでは、紙媒体やCSVファイル形式の健診結果をクラウドシステムに取り込み、一元管理することが可能です。
ここからは、first callを用いたデータ化の方法を2つ解説します。
①CSVファイルの取込み
1つ目は、紙媒体の健診結果をCSVファイル形式に変換して、クラウドシステムに取り込む方法です。
具体的な手順は以下のとおりです。
※取り込む前に、従業員情報の登録が必要です。
▼CSVファイルで取り込む手順
- 健診データ用の指定CSVフォーマットをダウンロードする
- 健診データをダウンロードしたフォーマットに入力する
- 2で作成したCSVファイルをシステムに取り込む
- 取り込んだ健診データにエラーが表示されたら、修正して再度取り込む
- 不備がなければ登録完了
②紙媒体のOCR処理
2つ目は、紙媒体の健診結果をPDF化、OCR処理(文字認識処理)してスキャンする方法です。健診機関・クリニックから送付された健診結果がPDFデータの場合も、同様の手順となります。
具体的な手順は以下のとおりです。
※取り込む前に、従業員情報の登録が必要です。
▼OCR処理で取り込む手順
- 紙媒体の健診結果をコピー機・複合機でスキャンしてPDF化する
- PDF化したデータをシステムに取り込む
- システム事務局にて、取り込んだPDFデータのOCR処理を実施する
- OCR処理の完了メールを受け取り、エラーがある場合は修正する
- エラー箇所を修正すれば完了
健診結果をデータ化する際の注意点
健診結果をデータ化する際は、プライバシーへの配慮やデータ保護のためのセキュリティ対策が欠かせません。データ化する際の注意点を3つ紹介します。
個人情報保護法に留意する
従業員の健診結果をデータ化する際は、個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)に則って適切に取り扱う必要があります。
『個人情報保護法』第2条・第3項における健診結果は、不当な差別や偏見、不利益が生じないよう取扱いに特に配慮が必要な“要配慮個人情報”として定められています。
この要配慮個人情報に該当する情報は、従業員の同意なく取得することや、第三者に提供することは禁止されています。職場で健診結果をデータ化するにあたっては、従業員の同意を得ておくことが欠かせません。
出典:厚生労働省『事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き』/総務省『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』/e-GOV法令検索『個人情報の保護に関する法律』
データのバックアップを取る
健診結果をデータ化して管理する際は人的な操作ミスや故障、災害によるデータ消失を防ぐために、バックアップを取っておくことが大切です。
また、健診結果は社内での5年間の保存が義務付けられているため、過去のデータも含めて保護することが必要です。
バックアップを取る方法には、以下が挙げられます。
▼健診結果データのバックアップを取る方法
- 社内のファイルサーバーに健診データを複製する
- パソコン内・ファイルサーバー内の健診データをクラウドストレージに転送する
- クラウドシステム上で健診データを保存する
なお、first callはクラウド型システムのため、クラウド上でデータを適切に保護・管理できます。パソコンやファイルサーバー、外付けハードディスクといった物理的な保存方法とは異なり、紛失・故障・災害によるデータ破損のリスクがありません。
出典:厚生労働省『健診結果等の保存期間について(現状)』
セキュリティ対策を行う
健診結果のデータは従業員の個人情報となるため、情報の漏えいや悪意のある盗み見などが発生しないよう、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。
たとえば、以下のような対策方法が挙げられます。
▼セキュリティ対策の方法
- 離席時はパソコンのパスワードロック付きスクリーンセーバーを活用する
- 健診データへのアクセス制限や記録を行う
- システムへのログイン管理を行う
- VPNやセキュリティソフトを導入する
first callは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際標準規格ISO 27001(ISMS)の認証を取得しています。適切なセキュリティ対策を講じている企業として認証されているため、従業員の健診診断管理を安心して行えます。
さらに、第三者機関による定期的なシステムの脆弱性診断の実施、SSL/TLSによる通信の暗号化も実施しています。これにより、情報漏えいや盗み見などの防止、個人情報の厳重管理に努めています。
出典:厚生労働省『事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き』
まとめ
この記事では、健康診断のデータ化について、以下の項目で解説しました。
- 健診結果のデータ化が進んでいる理由
- 『first call』で健診結果をデータ化する方法
- 健診結果をデータ化する際の注意点
政府によるペーパーレス化の推進や労働安全衛生関係法令の改正によって、健診結果のデータ保存が可能になりました。
紙媒体で管理していた健診結果をデータ化することで、人事・総務担当者の業務を効率化できるほか、産業医との連携もスムーズになります。
『first call』は、紙媒体やPDFファイルなどの健診結果をデータ化して、クラウドシステム上で一元管理できるため、従業員の健康管理業務の効率化に役立ちます。
健康診断結果の管理業務を効率化する、first callの健診管理サービスについてはこちらからご確認いただけます。