健康経営優良法人認定制度とは?認定要件や企業の取り組み事例を解説
経済産業省では、企業における健康経営の取り組みを促進するために、“健康経営優良法人”を評価する顕彰制度を設けています。
健康経営優良法人の認定を受けることで、従業員の健康促進をはじめ、優秀な人材の獲得や定着率の向上、ひいては企業価値の向上につながることが期待されています。
しかし、「どのような要件を満たせば認定を受けられるのだろう」「具体的にどのような取り組みを行えばよいか分からない」とお悩みの担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、健康経営優良法人の認定を目指す企業に向けて、健康経営優良法人認定制度の概要や健康経営のイベント・取り組み事例、健康経営に対する支援制度について解説します。
目次[非表示]
健康経営優良法人認定制度とは
健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実施している大企業・中小企業等の法人を見える化して顕彰する制度です。認定は企業の申請内容を審査したうえで、一定の評価基準に基づいて日本健康会議(※)が行います。
この顕彰制度は、健康経営に取り組む企業が、従業員や求職者、金融機関などから適正な評価を受けられる環境を整備することを目的に創設されました。
企業が健康経営を実施して、従業員の健康を保持・増進することで、業務パフォーマンスの向上が期待できます。
また、認定を受けて社会的な評価を得ることで、企業価値の向上や優秀な人材の確保、顧客満足度の向上といった企業の成長にもつながります。
ここからは、健康経営優良法人認定制度の認定基準と認定数の推移について解説します。
※日本健康会議とは、国民一人ひとりの健康寿命延伸と適正な医療について、行政の全面的な支援を受けながら、民間組織が連携して実効的な活動を行うために組織された活動体のこと。
出典:経済産業省『「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました!』/経済産業省ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
認定要件
健康経営優良法人認定制度の認定を受けるには、健康経営の戦略立案や具体的な取り組み・イベントなどを実施して、一定の認定要件を満たす必要があります。
大規模法人部門と中小規模法人部門では、認定要件を満たす項目数が異なります。
2022年度の認定要件は次のとおりです。
▼大規模法人部門
画像引用元:経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
▼中小規模法人部門
画像引用元:経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
出典:経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
認定数の推移
健康経営優良法人の認定数は、近年増加傾向にあります。経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』・経済産業省『「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました!』によると、2017〜2021年度の認定数は右肩上がりとなっています。
経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』/経済産業省『「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました!』を基に作成
出典:経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』/経済産業省『「健康経営優良法人2022」認定法人が決定しました!』
健康イベントの取り組み事例
健康経営に取り組む企業では、従業員の健康保持・促進に向けて、産業医や外部機関を活用したさまざまな健康イベントを実施しています。
特に、コロナ禍では、コミュニケーション不足やメンタルヘルス不調が顕在化していることから、健康管理アプリの提供やビデオ会議ツールを使用した声掛けをはじめ、オンラインを活用した取り組みも多く見られます。
運動イベント
従業員の運動機会を増進するための取り組みとして、マラソンやソフトボール大会などの運動イベントを定期的に開催する企業があります。
なかには、職場や自宅において、従業員が自主的に運動・健康保持のための取り組みを行えるような企画も見られます。
▼運動イベントの例
- 地域のスポーツ大会
- アプリを使用したウォーキングコンテスト
- 全社員参加型のリレーマラソン大会 など
出典:経済産業省『健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)』『健康経営優良法人 取り組み事例集令和2年3月』/経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
専門資格者による研修・指導
産業医・栄養管理士・保健師など、専門資格を持つスタッフが、健康経営に関する研修・指導を実施するといった取り組みもあります。
健康や生活習慣に関する知識を深めることで、従業員の健康意識を高めて自主的な行動を促しやすくなります。
▼健康経営に関する研修・指導の例
- 健康に関するリテラシー向上のための研修
- 首や肩こり対策のための健康運動指導士によるストレッチ指導
- ダイエット企画の開催
- 産業医によるWeb面談の実施 など
出典:経済産業省『健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)』/経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
社内交流イベント
従業員のコミュニケーション促進を図りたい場合は、交流イベントの実施という方法もあります。
従業員・経営者が心身ともに健康で、生き生きと働ける職場環境づくりに役立ちます。
▼社内交流イベントの例
- 社員旅行
- バーベキュー大会
- 社外懇親会
- Web通話によるストレス発散大会 など
出典:経済産業省『健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)』/経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』
運動・食事に関する表彰制度
運動・食事など、健康促進に関する取り組みを行った従業員を評価するために、独自の表彰制度を企画するといった取り組みも行われています。
企業全体の健康経営に関する意識を高めて、従業員の心身の健康づくりを後押しすることが可能です。
▼表彰制度の例
- 職場活性化とよりよい人間関係構築に貢献した従業員に感謝を伝えるサンクスカードの付与制度
- 徒歩通勤や階段利用によるポイント付与制度
- 各自で定めた健康目標を達成した場合の表彰制度 など
出典:経済産業省『健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)』
健康経営に対する支援制度
国・自治体は、健康経営優良法人の認定に向けた支援制度や、認定を受けた企業へのインセンティブ制度などを設けています。
支援制度を活用することで、融資に関する優遇制度を受けたり、補助金を受給したりできるため、健康イベントの実施の促進が期待できます。ただし、自治体によって支援制度が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
たとえば、以下のような支援制度があります。
▼国の支援制度
- 在留資格審査手続きの簡素化
- ハローワークの求人票への健康経営優良法人認定取得の明記
これらの国による支援制度を活用すれば、外国人労働者や留学生などの受け入れ促進、求職者に対する企業イメージの向上が期待できます。
▼地方自治体の支援制度
- 融資制度における貸付利率の引下げ
- 認定企業に対する補助金の交付
- 公共工事や公共調達などの入札における加点評価
- 自治体独自の認定表彰制度への優遇
出典:経済産業省『健康経営優良法人 取り組み事例集令和2年3月』
まとめ
この記事では、健康経営優良法人の認定に向けた取り組みについて、以下の内容を解説しました。
- 健康経営優良法人認定制度について
- 健康イベントの取り組み事例
- 健康経営に対する支援制度
健康経営に取り組む優良な企業として認定されると、生産性の向上や優秀な人材の確保、企業価値の向上などが期待できます。
認定を受けるための取り組みには、運動の機会や従業員同士のコミュニケーションを創出する健康イベントの実施ほか、健康促進に関する研修・指導、従業員への表彰制度などがあります。
今回ご紹介した健康イベントの実施は認定を受けるための取り組みとしてはあくまで一例ではありますが、比較的実施のハードルは低い取り組みのため、自社での健康経営促進に向けたイベントを検討してみてはいかがでしょうか。
また、コロナ禍により在宅勤務も増えてきましたが、在宅勤務の環境が整っていないことによる体調不良や、コミュニケーション不足によるメンタルヘルス不調などの課題に対しては、オンラインサービスの活用もおすすめです。
クラウド型健康管理サービス『first call』なら、産業医とのオンライン面談が可能なため、在宅勤務中の従業員への健康サポートに役立ちます。健康診断やストレスチェックの結果も一元管理できるため、健康改善が必要な従業員への個別サポートも可能です。
サービス詳細については、こちらからご確認いただけます。