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高度プロフェッショナル制度の健康管理時間とは? 残業時間との違いを解説

高度プロフェッショナル制度とは、高度な専門職に就き、職務の範囲が明瞭で一定の年収要件を満たす労働者に対して、労働基準法で定めた労働時間や休日の規定を適用しない制度のことです。

働き方改革によって新たに設けられた制度で、長時間労働の是正や自律的で創造的な働き方の実現を目的としています。労働者の健康確保と多様な働き方によって生産性の向上も期待できます。

事業場内に対象となる従業員がいる場合、実際の労働時間ではなく“健康管理時間”を把握して、健康・福祉を確保するための措置を講じる必要があります。

この記事では、高度プロフェッショナル制度における健康管理時間とは何か、混同されやすい残業時間との違いについて解説します。

出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説』『働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~


目次[非表示]

  1. 1.健康管理時間とは
  2. 2.残業時間とは
    1. 2.1.時間外労働
    2. 2.2.法定時間内残業
    3. 2.3.労働時間・残業時間の把握
  3. 3.健康管理時間と残業時間の違い
    1. 3.1.管理の対象者
    2. 3.2.休日に関する原則
    3. 3.3.面接指導の義務範囲
  4. 4.まとめ


健康管理時間とは

健康管理時間とは、高度プロフェッショナル制度を適用した従業員が事業場にいた時間と、事業場外で労働した時間の合計時間のことを指します。

労働基準法』第41条の2第1項第3号において、高度プロフェッショナル制度では労働時間の状況を適正に把握するために、対象労働者の健康管理時間を把握する義務があるとされています。

健康管理時間を把握する際は、以下の時間数の記録が必要です。


▼記録する時間数

  • 日々の健康管理時間の始期および終期と時間数
  • 1ヶ月当たりの時間数の合計

また、健康管理時間を把握する方法は、以下のような客観的な記録によって行う必要があります。


▼健康管理時間の客観的な記録方法

  • タイムレコーダーによるタイムカードへの打刻記録
  • パソコン内の勤怠管理システムへのログイン・ログアウト記録
  • ICカードによる出退勤時刻、事業場への入退場時刻の記録

ただし、以下のようなやむを得ない状況の場合は、従業員の自己申告によって健康管理時間を把握することも可能です。


▼やむを得ない理由の例

  • 顧客先に直行直帰するために勤怠管理システムの操作ができない
  • パソコンを使用しない作業を行うため、勤怠管理システムの操作ができない
  • 海外出張で勤怠管理システムへの操作が常時できない

出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説』/e-Gov法令検索『労働基準法



残業時間とは

残業時間は、法定労働時間を超えて働く“時間外労働”と所定労働時間を超えて働く“法定時間内残業”の2種類に分けられます。混同しやすいため、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。


時間外労働

労働基準法』第32条では、休憩時間を除いて、使用者が労働者に1日に8時間、週に40時間を超えて労働させてはならないと定められています。また、労働基準法で定められた労働時間の上限のことを法定労働時間と呼びます。

時間外労働は、法定労働時間を超えて働いた時間を指した労働基準法上の残業時間です。


▼時間外労働の例

時間外労働の例


出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』/厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター 割増賃金編


法定時間内残業

法定時間内残業は、企業の就業規則や雇用契約で定めた所定労働時間を超えて働くことです。

所定労働時間を超えて働いた場合でも、法定時間内であれば時間外労働とはならず、法定時間内残業となります。


▼法定時間内残業の例

法定時間内残業の例


出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』/厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター 割増賃金編


労働時間・残業時間の把握

事業場では、労働時間・残業時間を適正に把握するために、各従業員の労働日ごとの始業・終業時刻を確認して記録する必要があります。

これは、高度プロフェッショナル制度適用者を除く()、裁量労働制の対象者や管理監督者などを含むすべての労働者が対象です。

従業員の労働時間を把握する際は、健康管理時間と同様に、以下のような客観的な方法で行います。


▼労働時間の客観的な記録方法

  • タイムカードによる記録
  • パソコン等のログ記録
  • ICカードによる記録

※高度プロフェッショナル制度適用者については、健康管理時間の把握が必要です。

出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』『過重労働による健康障害を防ぐために



健康管理時間と残業時間の違い

健康管理時間と残業時間は、管理する対象者が異なるほか、休日に関する原則や医師による面接指導の範囲について相違点があります。

ここからは、健康管理時間と残業時間の違いについて解説します。


管理の対象者

健康管理時間は、高度プロフェッショナル制度の適用者を対象としています。これに対して残業時間は、すべての労働者(裁量労働制、管理監督者を含む)が対象です。 

高度プロフェッショナル制度を適用する従業員については、労働基準法の規定ではなく、健康管理時間を基準とした労働時間の管理が求められます。

また、事業場内に労使委員会を設置して、そこでの決議で対象者の範囲を明確にする必要があります。なお、健康管理時間の対象者を決める際は、以下の要件を満たしている必要があります。


▼対象労働者の要件

  1. 使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること
  2. 使用者から⽀払われると⾒込まれる賃⾦額が基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る⽔準として厚⽣労働省令で定める額以上であること

引用元:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説


出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説』『過重労働による健康障害を防ぐために


休日に関する原則

健康管理時間と残業時間を管理するうえで、休日の取扱いにも違いがあります。

労働基準法』の規定により、使用者はすべての労働者に少なくとも毎週1回の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を付与する必要があります。

一方、健康管理時間の把握による管理が必要な高度プロフェッショナル制度の適用者については、年間104日以上かつ4週間を通じて4日以上の休日を付与することが必要です。

このように、高度プロフェッショナル制度の適用者は、休日を付与する一定期間が長く設定されています。長期間の連続勤務を防止するために、休日を適切に取得するよう周知することが大切です。

出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説』『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』/e-GOV法令検索『労働基準法


面接指導の義務範囲

健康管理時間の管理対象となる高度プロフェッショナル制度の適用者と、通常の労働者では、医師による面接指導の義務範囲も異なります。

事業者には、過重労働による健康問題を防ぐために、長時間の時間外労働・休日労働をしている従業員に対して、医師による面接指導が義務付けられています。

この面接指導の義務範囲について、両者に相違点があります。


▼面接指導の義務範囲

従業員の種類
実施義務
労働者(裁量労働制、管理監督者含む)
月80時間超の時間外・休日労働を行った者で、疲労蓄積があり面談を申し出た者
高度プロフェッショナル制度の適用者
1週間あたりの健康管理時間が40時間を超えた時間について、月100時間超の労働を行った者


なお、面接指導の実施後は医師から意見を聴取して、適切な事後措置を行うことが必要です。

出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『⾼度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説』『過重労働による健康障害を防ぐために



まとめ

この記事では、高度プロフェッショナル制度の健康管理時間について、以下の項目で解説しました。

  • 健康管理時間について
  • 残業時間について
  • 健康管理時間と残業時間の違い

健康管理時間は、高度プロフェッショナル制度における労働時間の管理基準のことです。従業員の適正な労働時間を把握するために、客観的な方法によって記録することが定められています。

人事・総務部門担当者は、従業員の勤務形態に応じた労働時間の管理を徹底するとともに、産業医による面接指導や日頃の健康管理を行うことが重要です。

クラウド型健康管理サービス『first call』には、産業医とのオンライン面談機能や面談に伴う日程調整機能などが備わっています。従業員の健康状態に応じて面接指導を実施して、健康確保のための措置を講じられるため、過重労働による健康問題の防止に役立てることができます。


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