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健康診断やストレスチェックでは産業医の押印は必要ない!押印・電子署名が不要になった背景やメリットを解説

これまで、事業者が健康診断個人票や定期健康診断(以下、定期健診)、ストレスチェックなどの結果報告書を保管・提出する際は、医師や産業医による押印・電子署名が必要でした。

しかし、2020年より、押印・電子署名が不要となったことをご存じでしょうか。

この記事では、健診個人票や定期健診・ストレスチェックなどの結果報告書の保管・提出において押印・電子署名が不要になった背景、またそれによるメリットを解説します。

なお、健診結果の取り扱い・保管方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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目次[非表示]

  1. 医師・産業医の押印・電子署名が不要に
  2. 押印・電子署名が不要となった背景
    1. ①担当者の負担軽減
    2. ②電子化の促進
  3. 押印・電子署名が不要になったことによるメリット
    1. ①電子申請が使いやすくなった
    2. ②人事・総務で作業が完結するため作業効率が上がる
  4. まとめ


医師・産業医の押印・電子署名が不要に

これまでは、事業者が健診個人票や定期健診・ストレスチェックなどの結果報告書を電磁的記録で保管または電子申請する場合は、医師・産業医の押印・電子署名が必要でした。

しかし、2020年8月に施行された、労働安全衛生関係法令の改正や『じん肺法施行規則』等の一部改正などによって、医師・産業医の押印・電子署名が不要となりました。 

また、電磁的記録で保管する際や電子申請を行う際だけでなく、紙の書類として扱う場合も同様に、押印・電子署名が不要です。


▼押印・電子署名が不要となった対象書類の例

  • 定期健診の結果報告書
  • 健診個人票
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(ストレスチェック報告書)
  • じん肺健康管理実施状況報告
  • 有機溶剤等健診結果報告書


上記の書類内の“印”の部分が削除され、今後は記名のみでよいとされています。

出典:厚生労働省『健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。』『心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書』/厚生労働省 青森労働局『健康診断、ストレスチェックに関する健康診断の個人票及び定期健康診断結果報告書等について、医師、歯科医師、産業医の押印が不要となりました。』/厚生労働省 三重労働局『「各種健康診断個人票」・「各種健康診断結果報告書等」に医師等の押印が不要となりました。



押印・電子署名が不要となった背景

健診個人票や定期健診・ストレスチェックの結果報告書で、押印・電子署名が不要になった背景は、主に2つあります。


①担当者の負担軽減

1つ目は、書類の保管や電子申請を行う際の担当者の負担軽減です。

従来、健康診断結果等の報告書の提出に当たり、事業者がこれらの書面を電磁的記録により保存する場合や電子申請をする場合には、押印または署名に代わり、電子署名を行うこととされていました。 

しかし、事業者が電磁的記録で書面を保存する場合も、医師等から電子署名の取得ができない場合は、データを書面に出力して医師の押印を取得したうえで再度データ化して保存するといった作業が発生し、かえって担当者の業務負担となっていました。

押印・電子署名が不要となったことで、事業者が電磁的記録を行う際に発生していたこういった作業が不要となり、担当者の業務負担が大きく軽減しました。


▼書類の保管・電子申請の流れ

改正前
改正後
  1. 電磁的記録を紙面に印刷する
  2. 紙面に医師・産業医の押印を取得する
  3. 再度印刷して、電磁的記録として保管・電子申請を行う
  1. 担当者が医師・産業医の氏名等を記載して、電磁的記録を作成する
  2. 作成した書類を保管・提出する


出典:厚生労働省 青森労働局『健康診断、ストレスチェックに関する健康診断の個人票及び定期健康診断結果報告書等について、医師、歯科医師、産業医の押印が不要となりました。』/厚生労働省『じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について


②電子化の促進

2つ目の背景は、従来の体制が行政手続きの電子化促進の妨げとなっていたことにあります。

行政側が手続きにおける電子化やオンライン利用率の向上をはかる一方で、従来の体制では、産業医の電子署名の取得が負担となり、事業者による電子申請が進まないという声がありました。

この課題解決のためにも、押印・電子署名の簡略化が求められており、今回の簡略化につながりました。

出典:厚生労働省 青森労働局『健康診断、ストレスチェックに関する健康診断の個人票及び定期健康診断結果報告書等について、医師、歯科医師、産業医の押印が不要となりました。』/厚生労働省『じん肺法施行規則等の一部を改正する省令の施行について



押印・電子署名が不要になったことによるメリット

健診個人票や定期健診・ストレスチェックなどの結果報告書において、押印・電子署名が不要になったことによるメリットを解説します。


①電子申請が使いやすくなった

1つ目のメリットは、事業者が電子申請を行う際の負担が軽減されるようになった点が挙げられます。

押印・電子署名の必要がなくなったため、電子申請の利便性が向上したといえます。そのまま、政府の電子申請窓口サイト『e-Gov電子申請』で電子申請の準備や申請が完結できるようになりました。

出典:厚生労働省『健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。』/デジタル庁『e-Gov電子申請


②人事・総務で作業が完結するため作業効率が上がる

2つ目のメリットは、医師・産業医による押印・電子署名を取得する手間が省けるため、人事・総務担当者のみで必要な手続きが完結できるようになった点が挙げられます。

また、厚生労働省の提供する『労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス』を利用することで帳票作成の手間を省くことが可能です。

事前の登録・申請が不要で、労働安全衛生法に関わる各種帳票の作成がインターネット上で簡単に行えるサービスです。帳票作成の途中でもデータ保存ができるため、別日に作成しても再入力する工数が削減できます。

ただし、作成したデータを使ってオンライン申請を行うことはできないため、印刷したうえで所轄の労働基準監督署に提出しなければならないため注意が必要です。

出典:厚生労働省『健康診断個人票や定期健康診断結果報告書等について、医師等の押印等が不要となります。』『労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス



まとめ

この記事では、医師・産業医の押印・電子署名について以下の内容を解説しました。


  • 医師・産業医による押印・電子署名廃止の概要
  • 押印・電子署名が不要となった背景
  • 押印・電子署名が不要になったことによるメリット


これまで事業者が定期健診・ストレスチェックなどの結果を労働基準監督署へ報告する際に必要だった、医師・産業医の押印・電子署名が2020年から不要となりました。

これにより、事業場の電子化の促進や、人事・労務担当者の負担軽減といったメリットが期待できます。
定期健診・ストレスチェックなどの結果を電子化することは、事業者にとって業務効率化や、書類の保管コストの削減など、さまざまなメリットがあります。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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