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産業医/産業カウンセラーの違いと企業において期待される役割

近年、新型コロナウイルス感染症の流行によって、人々の健康意識が大きく変化しました。企業においても、コロナ禍の影響によって従業員の健康課題が顕在化しており、7割以上の企業が具体的な課題として“メンタルヘルス”を挙げています。

このような課題を抱えるなか、健康経営の取り組みを促進するために、医学の知識を有する専門職の設置を検討している人事・総務担当者の方も多いのではないでしょうか。

事業場での産業保健活動の中核となる専門職には“産業医”が挙げられますが、混同しやすい職種として“産業カウンセラー”も挙げられます。

産業医と産業カウンセラーの違いについて理解したうえで、事業場の健康課題や実態に応じて選定することが重要です。

この記事では、産業医と産業カウンセラーの役割と、設置義務や業務内容の違いについて解説します。

出典:経済産業省『健康経営の推進について


目次[非表示]

  1. 1.産業医と産業カウンセラーの役割
    1. 1.1.産業医
    2. 1.2.産業カウンセラー
  2. 2.産業医と産業カウンセラーの違い
    1. 2.1.①設置義務の有無
    2. 2.2.②資格の種類
    3. 2.3.③業務内容
  3. 3.まとめ


産業医と産業カウンセラーの役割

産業医と産業カウンセラーは、それぞれが企業で以下のような役割を担っています。


産業医

産業医は、労働者の健康管理を行うために必要な医学知識について、一定の要件を備えた医師のことを指します。

労働安全衛生法』第13条第1項と『労働安全衛生法施行令』第5条では、常時50人以上の労働者を使用する事業場で、産業医の設置が義務づけられています。


▼労働安全衛生法 第13条第1項

第十三条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生法


▼労働安全衛生法施行令 第5条

第五条 法第十三条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生法施行令


産業医は、産業保健活動におけるリーダーシップを取ることが期待されています。

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生法施行令』/厚生労働省『産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集』『現行の産業医制度の概要等


産業カウンセラー

産業カウンセラーは、労働者の抱えるメンタルヘルスの悩み・問題を自分の力で解決できるように援助する専門職です。

職業生活において、強い不安やストレスなどを抱える労働者の割合は、依然として5割を超えています。不安やストレスの要因として、「仕事の量・質」「仕事の失敗・責任の発生」「対人関係」などが挙げられます。


産業カウンセラー

画像引用元:厚生労働省『令和3年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況


こうしたストレスを放置すれば、仕事の生産性が低下するだけでなく、労働者の心身の不調につながるおそれがあります。

産業カウンセラーは、このようなストレスや悩みを抱える労働者に対して、心理学的手法を用いて助言・援助を行います。事業場の担当者と併走して、職場のメンタルヘルス維持・改善を支援する役割を担うことが期待されています。

出典:厚生労働省『令和3年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況』『事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 JAICO『協会について』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 東北支部『産業カウンセラーとは



産業医と産業カウンセラーの違い

産業医と産業カウンセラーは、設置義務の有無や資格、業務内容などに違いがあります。


▼産業医と産業カウンセラーの違い


産業医
産業カウンセラー
設置義務
設置義務あり
(常時50人以上の労働者を雇用する場合)
設置義務なし
資格の種類
国家資格
民間資格
業務内容
主に労働安全衛生法で規定されている業務を行う
労働者の健康維持・増進や、職場環境改善の支援を行う


①設置義務の有無

産業医は一定規模の事業場に設置義務がありますが、産業カウンセラーは法律による設置義務は定められていません。

また、産業医は業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場で設置が義務づけられています。一方、産業カウンセラーは、一般社団法人が運営しており、労働者や事業場が任意で活用することが可能です。

出典:厚生労働省『産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集』『現行の産業医制度の概要等』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 JAICO『協会について』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 東北支部『産業カウンセラーとは


②資格の種類

産業医と産業カウンセラーには、国家資格か民間資格かといった資格の種類にも違いがあります。

産業医は、『労働安全衛生規則』第14条第2項において、一定の学業の修了や国家資格への合格などといった要件が定められています。


▼労働安全衛生規則 第14条第2項

2 法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
一 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則


産業カウンセラーは、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が運営する民間資格を取得します。

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』/厚生労働省『産業医について』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 東北支部『資格取得を目指す方


③業務内容

産業医と産業カウンセラーは、業務内容・職務の領域にも違いがあります。


▼業務内容の違い

産業医
産業カウンセラー
  • 健康診断と健康診断結果に基づく措置
  • 作業環境の維持管理
  • 労働者の健康保持・増進に向けた措置
  • 健康教育、健康相談、衛生教育
  • 労働者の健康障がいの原因調査、再発防止の措置
  • 長時間労働者への面接指導
  • ストレスチェックの実施、高ストレス者への面接指導
  • 労働者・事業場へのメンタルヘルス対策の支援
  • 労働者へのキャリア教育、キャリア形成の支援
  • 事業場での人間関係開発、職場環境改善への支援


産業医は、事業場における健康管理のなかでも、主に労働安全衛生法で規定されている職務を行います。

これに対して産業カウンセラーは、法律の規定はなく、カウンセリングを通じて、労働者の健康維持・増進や、職場環境改善の支援を行います。

なお、労働安全衛生法で規定された専門職には、“労働衛生コンサルタント”もあります。産業医と労働衛生コンサルタントの違いについては、こちらの記事をご確認ください。

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出典:厚生労働省『産業保健活動をチームで進めるための実践的事例集』『現行の産業医制度の概要等』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 JAICO『協会について』/一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 東北支部『産業カウンセラーとは



まとめ

この記事では、産業医と産業カウンセラーについて以下の内容を解説しました。


  • 産業医と産業カウンセラーの役割
  • 設置義務や資格、職務内容の違い


産業医と産業カウンセラーは、設置義務や資格の種類、業務内容などでさまざまな違いがあります。事業場の規模、健康課題に応じてそれぞれの専門職をうまく活用することが大切です。

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