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安全衛生委員会とは?産業医の出席義務や目的を解説

労働者の安全と健康を守り、労災を防止するためには、労使が一体となって対策に取り組むことが必要です。そこで、一定規模の事業場では、“安全衛生委員会”の設置が義務づけられています。

担当者のなかには「安全衛生委員会にはどのような目的があるのか」「産業医は必ず安全衛生委員会に出席したほうがよいのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、安全衛生委員会の設置目的や産業医の出席義務について解説します。


目次[非表示]

  1. 安全衛生委員会とは
  2. 安全衛生委員会の目的
  3. 産業医の出席義務について
  4. まとめ


安全衛生委員会とは

安全衛生委員会とは、労働者の健康障がいや労災の再発防止対策などの重要事項について、専門家と労働者が調査審議を行う機関のことです。

労働安全衛生法』第19条では、安全委員会と衛生委員会の両方を設置する場合において、各員会の設置に代えて安全衛生委員会を設置できることが定められています。


第十九条 事業者は、第十七条及び前条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができる。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生法


安全委員会と衛生委員会は、それぞれ設置義務のある事業場の規模・業種が異なるほか、委員会の構成員、調査審議事項にも違いがあります。

安全委員会と衛生委員会の設置義務がある事業場の規模・業種は、以下のとおりです。


▼安全委員会と衛生委員会の設置義務がある事業場

安全委員会と衛生委員会の設置義務がある事業場

画像引用元:厚生労働省『安全委員会、衛生委員会について教えてください。


衛生委員会は、業種にかかわらず労働者数が50人以上のすべての事業場に設置義務があります。一方、安全委員会は労働者数が100人未満かつ、一部の業種に該当しない場合には設置義務はありません。

両委員会の構成員のなかには、安全・衛生に関して経験を有する労働者が含まれており、事業者が指名する必要があります。

なお、労働者数50人未満の事業場は、安全委員会と衛生委員会のどちらも設置は義務づけられていません。しかし、『労働安全衛生規則』第23条の2において、安全衛生に関する事項について労働者の意見を聞く機会を設けることが義務づけられています。


第二十三条の二 委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則


安全委員会と衛生委員会の設置基準や構成委員については、こちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。

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出典:厚生労働省『安全委員会、衛生委員会について教えてください。』『安全衛生委員会を設置しましょう』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生規則



安全衛生委員会の目的

安全衛生委員会の目的は、健康障がいの防止措置や労災の再発防止対策について、労働者の意見を反映できるように調査審議を行うことです。

労働者の安全衛生の確保や労災防止のための取り組みは、労使が一体となって行うことが求められます。そのためには、安全・衛生管理者、産業医などの専門家だけでなく、労働者の意見を聴取することが欠かせません。

安全衛生委員会を設置して、労働者の代表が意見を述べられる機会を設けることで、十分な調査審議を行い、実態に沿った措置を検討できるようになります。

なお、事業者がストレスチェックや長時間労働者への医師による面接指導を実施する際にも、安全衛生委員会で調査審議することが定められています。

出典:厚生労働省『安全委員会、衛生委員会について教えてください。』『安全衛生委員会を設置しましょう』『現行の産業医制度の概要等



産業医の出席義務について

産業医は、衛生委員会(安全衛生委員会も同様)の構成員に含まれていますが、実は委員会への出席義務は法律によって定められているわけではありません。

安全衛生委員会は、毎月1回以上の開催が必要です。ただし、産業医の出席に関する規定はなく、あくまで任意となっています。

しかし、産業医には下記のような事業場の安全衛生に関わる権能を果たすことが求められています。委員会に毎回欠席していると、必要な取り組みが十分に行われず、産業医としての本来の役割を果たしているとはいえないでしょう。


▼産業医の権能

  • 総括安全衛生管理者()への勧告
  • 衛生委員会における調査審議への参画
  • 衛生管理者への指導・助言


産業医学の専門的な立場から、委員会に情報提供を行い、労働者の健康障がいや労災防止措置などの意見を積極的に提案するためにも、産業医の出席が望まれます。

※総括安全衛生管理者とは、事業場における事業の実施を実質的に統括管理する権限・責任を有する人のこと。

出典:厚生労働省『安全委員会、衛生委員会について教えてください。』『現行の産業医制度の概要等』『総括安全衛生管理者について教えて下さい。』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法



まとめ

この記事では、安全衛生委員会について以下の内容を解説しました。


  • 安全衛生委員会の概要
  • 設置目的
  • 産業医の出席義務の有無と役割


業種や従業員ごとに事業場には、安全委員会や衛生委員会、また安全衛生委員会の設置が義務づけられています。

産業医は委員会への出席義務はありませんが、専門的な観点から安全・衛生に関わる情報提供や提案を行うために、できる限り参加することが望まれます。事業者は、安全衛生委員会の設置・運営にあたって、産業医や労働者の代表、そのほかの専門家との連携体制を整えておくことが重要です。

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遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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