産業医の選任報告の流れとは?手続き方法や必要書類、選任報告書の記入例を解説
事業者が産業医を新たに選任するときや、変更するときには、所轄の労働基準監督署に報告書を提出する必要があります。
この産業医の選任報告は、選任を要する事由が発生した日から14日以内に行うことが定められています。漏れ・遅滞なく手続きを行うために、手続きの流れや報告書の記入方法、必要書類などについて事前に調べておくことが重要です。
この記事では、事業場の人事・総務部門の担当者に向けて、産業医の選任報告を行う際の手続きの流れや、必要書類などについて解説します。
出典:厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医はいつまでに選任し、どこに報告すればよいのでしょうか。』
産業医選任報告の流れ
産業医選任報告は、以下の3つのステップで行います。
①産業医選任報告書の入手
産業医の選任報告に必要な報告書を入手します。
入手する報告書は、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(様式第3号)です。なお、事業用控えを保存するために、報告書は正副2通作成する必要があります。
報告書の入手方法は、以下の3とおりがあります。
▼報告書の入手方法
- 厚生労働省のWebサイトからダウンロード・印刷する
- インターネット上で作成(入力支援サービス)して印刷する
- 『e-Gov電子申請』のアプリケーション上で入力する
報告書の様式と入力支援サービスについては、厚生労働省のWebサイトからアクセスできます。
出典:厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医はいつまでに選任し、どこに報告すればよいのでしょうか。』/奈良労働局・各労働基準監督署『安全衛生ハンドブック』
②産業医選任報告書の記入
産業医選任報告書を入手したら、必要事項を記入します。
記入項目は、主に2つに分けられます。
▼産業医選任報告書の記入項目
事業場の情報 |
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産業医の情報 |
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上記の“事業の種類”は、日本標準産業分類の中分類に基づいて記入します。
また、初めて産業医を選任した場合には、“参考事項”の欄に“新規選任”と記入します。併せて産業医の専門科名と、開業している場合にはその旨も記入します。
出典:厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告』
③労働基準監督署への提出
産業医選任報告書を作成したあとは、所轄の労働基準監督署に提出します。
提出方法は、以下の3とおりがあります。
▼報告書の提出方法
- 『e-Gov電子申請』による申請
- 労働基準監督署の窓口への提出
- 労働基準監督署宛ての郵送
郵送する際は、返信用封筒(切手・宛名書き記入のもの)の同封が必要です。また、報告書を提出したあとは、労働基準監督署の受付印が押された事業用控えを保存しておきます。
なお、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署については、都道府県労働局の所在地一覧から確認することが可能です。
出典:厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医はいつまでに選任し、どこに報告すればよいのでしょうか。』/奈良労働局・各労働基準監督署『安全衛生ハンドブック』
産業医選任報告書の記入例
産業医選任報告書の記入例は、各労働局や産業保健総合支援センターのWebサイトで確認できます。
詳しい記入例については、こちらをご確認ください。
▼産業医選任報告書の記入例
画像引用元:奈良労働局・各労働基準監督署『安全衛生ハンドブック』
産業医選任報告書に記載する医籍番号の種別については、以下の区分に応じて該当コードを記載します。
▼医籍番号の種別
画像引用元:厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告』
なお、厚生労働省では各種報告書の入力支援サービスを提供しています。入力画面に必要事項を入力して、報告書を作成することが可能です。
出典:奈良労働局・各労働基準監督署『安全衛生ハンドブック』/厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告』
産業医選任報告に必要な書類
産業医選任報告を行う際は、報告書の提出とともに、以下のいずれかの書類を添付する必要があります。
▼必要書類(いずれか一つ)
- 医師免許証の写し
- 産業医の要件を満たす人であること証明する書面または写し
上記の2については、『労働安全衛生規則』第14条第2項に規定する人であることを証明する書面を指します。
▼労働安全衛生規則 第14条第2項
2 法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
一 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者
引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』
具体的な証明書として、以下が挙げられます。多くの場合、1、2、3のうちのどれかであることが多いです。
▼添付する証明書の種別(以下のいずれかであることを証明できる証明書を添付する)
画像引用元:e-Gov電子申請『産業医の選任報告』
なお、e-Gov電子申請で提出する場合、添付書類は原則電子ファイルで送信するとともに、記名・押印または署名が必要なものは電子署名を行うことに注意してください。
出典:e-Gov電子申請『産業医の選任報告』/厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告』/e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』
まとめ
この記事では、産業医の選任報告について以下の内容を解説しました。
- 産業医選任報告の流れと手続き内容
- 産業医選任報告書の記入例
- 産業医選任報告書の提出時の必要書類
産業医を新たに選任または変更した際は、選任を要する事由が発生した日から14日以内に所轄の労働基準監督署に報告書を提出する必要があります。
厚生労働省のWebサイトからダウンロードして印刷・作成する場合は、労働基準監督署への窓口または郵送での提出となります。ほかにも、e-Gov電子申請のアプリケーション上で電子申請を行うことも可能です。
報告書の記入方法には一定のルールがあるため、各労働局や産業保健総合支援センターが公表している記入例を参考に、記入漏れ・間違いがないか確認することが大切です。
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なお、産業医との契約手続きの流れについては、こちらで解説しています。