小規模事業場産業医活動助成金の3つのコース内容と受給条件
※ 現在(2022年12月16日時点)「小規模事業場産業医活動助成金」は廃止が決定し、新たな受付を停止しています。2023年度以降は、当助成金に代わって「団体経由産業保健活動推進助成金」が設けられる予定です。
記事内に掲載されている内容は執筆時(2022年4月28日)の情報となるため、ご注意ください。
出典:労働者健康安全機構『産業保健関係助成金』
また、小規模(従業員数50人未満)な事業場の産業医制度ついては、こちらで解説しておりますのでご確認ください。
常時50人以上の労働者を使用する事業場において、産業医を選任しなければならないことが『労働安全衛生法施行令』第13条、『労働安全衛生法施行令』5条で定められています。
一方、50人未満の小規模な事業場では努力義務とされており、従業員の健康管理を適切に行うために産業医の選任が望まれます。
労働者健康安全機構では、従業員の健康増進のために、50人未満の事業場を対象とした“小規模事業場産業医活動助成金”を取り扱っています。
小規模の事業場で産業医を選任して、産業医活動に関する契約を締結する場合には、助成金が活用できるか確認しましょう。本記事では、小規模事業場産業医活動助成金を受給する条件と3つのコースについて解説します。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『産業医を選任していますか? 代表者が産業医を兼務していませんか?』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)』/厚生労働省 高知労働局『小規模事業場(労働者数50人未満)の事業者の皆さまへ』
小規模事業場産業医活動助成金とは
小規模事業場産業医活動助成金は、従業員への積極的な健康管理に向けて、産業医の要件を備えた医師または保健師と契約し、産業保健活動を促進するために設けられた制度です。
常時50人以上の従業員を抱える事業場では、産業医の選任が義務とされていますが、支社・支店といった従業員50人未満の事業場では、努力義務となっています。
しかし、産業医を選任していない場合、健康診断後の対応や従業員の体調不良など、安全配慮の対応を適切に行えない可能性も考えられます。
小規模事業場産業医活動助成金の活用は、産業医の選任義務がない従業員50人未満の小規模事業場において、安全で健康に働ける環境を実現するのに貢献します。ここからは、受給の要件について詳しく解説します。
出典:厚生労働省『産業保健関係助成金』/厚生労働省 高知労働局『小規模事業場(労働者数50人未満)の事業者の皆さまへ』
小規模事業場産業医活動助成金の3つのコース
小規模事業場産業医活動助成金には、3つのコースがあります。
- 産業医コース
- 保健師コース
- 直接健康相談環境整備コース
小規模事業場が産業医等と契約して、産業医活動を実施した場合、最大で60万円の助成金が受けられます。ここでは、各コースの内容と助成額、受給手続きの流れについて解説します。
①産業医コース
産業医コースとは、小規模事業場が産業医と契約する際にかかる費用の一部を助成するコースです。産業医の要件を備えた医師が産業医活動を実施した場合に受給できます。
▼産業医活動の例
- 職場巡視
- 健康診断異常所見者への意見聴取
- 保健指導 など
産業医コースの助成額と受給手続きの流れは、以下のとおりです。
▼助成額・助成回数
- 1事業場あたり6ヶ月ごとに上限10万円を実費支給
- 助成は1事業場あたり2回まで(最大20万円)
▼受給手続きの流れ
- 産業医と産業医活動の契約
- 産業医活動の実施
- 産業医に対する支払い
- 助成金の支給申請
- 助成金支給決定通知・助成金の受領
出典:厚生労働省『産業保健関係助成金』/厚生労働省 高知労働局『小規模事業場(労働者数50人未満)の事業者の皆さまへ』
②保健師コース
保健師コースとは、小規模事業場が保健師と契約する際にかかる費用の一部を助成するコースです。保健師が産業保健活動を実施した場合に受給できます。
▼産業保健活動の例
- 健診異常所見者や長時間労働者に対する保健指導
- 高ストレス者に対する健康相談
- 事業者および労働者への健康教育 など
保健師コースにおける助成額と受給手続きの流れは、以下のとおりです。
▼助成額・助成回数
- 1事業場あたり6ヶ月ごとに上限10万円を実費支給
- 助成は事業場あたり2回まで(最大20万円)
▼受給手続きの流れ
- 保健師と産業保健活動の契約
- 産業保健活動の実施
- 保健師に対する支払い
- 助成金の支給申請
- 助成金支給決定通知・助成金の受領
出典:厚生労働省『産業保健関係助成金』/厚生労働省 高知労働局『小規模事業場(労働者数50人未満)の事業者の皆さまへ』
③直接健康相談環境整備コース
直接健康相談環境整備コースとは、小規模事業場の従業員が直接産業医または保健師に健康相談できる仕組みや、そういった仕組みを含めた産業保健活動を実施する契約にかかる費用の一部を助成するコースです。産業医・保健師が産業医活動、産業保健活動を実施した場合に受給できます。
受給に必要な活動には、以下が挙げられます。
▼直接健康相談環境整備コースの活動例
- 労働者が産業医・保健師に直接健康相談できる環境の整備
- 労働者が産業医・保健師に直接健康相談できることの周知
直接健康相談環境整備コースの助成額と受給手続きの流れは、以下のとおりです。
▼助成額・助成回数
- 1事業場あたり6ヶ月ごとに上限10万円を支給
- 助成は事業場あたり2回まで(最大20万円)
※産業医コース・保健師コースにプラスして申請可能
▼受給手続きの流れ
- 産業医・保健師と産業保健活動の契約
- 直接健康相談ができる仕組みを労働者へ通知
- 助成金の支給申請
- 助成金支給決定通知・助成金の受領
助成金の受給に必要な取組みの実施時期や申請期間、そのほか詳しい内容については、労働者健康安全機構のホームページで確認できます。
出典:厚生労働省『産業保健関係助成金』/厚生労働省 高知労働局『小規模事業場(労働者数50人未満)の事業者の皆さまへ』
事業場に関する要件
小規模事業場産業医活動助成金には、各コースに共通する“事業場の要件”が定められています。助成金を受給するには、以下の要件を満たしている必要があります。
▼事業場の要件
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また、上記の事業場の要件に加えて、コース別の要件があります。各コースの要件は次のとおりです。
▼産業医コース
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▼保健師コース
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▼直接健康相談環境整備コース
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なお、申請書の各様式とチェックリストは、労働者健康安全機構のホームページからダウンロードできます。
出典:厚生労働省『産業保健関係助成金』
まとめ
この記事では、産業医の導入を検討している小規模事業場に向けて、以下の項目で解説しました。
- 小規模事業場産業医活動助成金の3つのコース
- 小規模事業場産業医活動助成金の受給条件
50人未満の事業場において、産業医の選任は法律で義務付けられていません。ところが、離職防止や生産性の向上のためには、従業員の健康管理を適切に行うことが重要です。
助成金の活用により、産業医・保健師との契約にかかる費用を、最大で60万円(各コース最大20万円)助成してもらえます。産業医・保健師の選任にかかる費用負担を抑えられるため、50人未満の事業場における従業員の健康管理の促進が期待されます。
産業医の選任を検討されている小規模事業場の担当者さまは、小規模事業場産業医活動助成金を活用してみてはいかがでしょうか。
クラウド型健康管理サービス『first call』を活用すれば、産業医との健康相談や定期面談のオンライン化が可能です。社内に健康管理室・医務室を設置するコストを削減できるほか、テレワーク環境下の健康管理や新型コロナウイルス感染症対策としても役立ちます。
また、first callでは、企業の規模や組織体制に応じた産業医の選定・紹介をしています。従業員50名未満の事業所でも、50名を越える前に選任できる50名未満専用プランのほか、しばらく50名越える予定がなく、産業医選任義務がない時期が続きそうな場合でも、必要なときだけ産業医面談を設定できる『スポットオンライン面談』もご提供しています。企業が直接産業医と交渉する必要がなくなるため、スピーディかつ円滑に産業医を選任できます。産業医選任でお困りの場合は、ぜひお気軽にお問合せください。