休職中の従業員への正しい連絡頻度とは?配慮するべきポイントや職場復帰の判断基準を解説
従業員が病気やメンタルヘルス不調などで休職した場合、企業は従業員の心身の状態を把握して、円滑に職場復帰へとつなげるために、定期的に連絡を取ることが望まれます。
しかし、不調の程度は従業員によって異なるため、「休職中にどれくらいの頻度で連絡をすればよいのか」と対応に悩む人事・労務担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、休職中の従業員への連絡頻度と配慮のポイント、職場復帰の判断について解説します。
なお、職場復帰支援プログラムの基本的な取り組みについては、こちらの記事をご覧ください。
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休職中の従業員への連絡頻度
休職している従業員に連絡する際は、従業員の状態に合わせて連絡頻度を柔軟に決定する必要があります。
▼企業から休職中の従業員への連絡頻度
休職初期 |
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病状が徐々に回復してきた時期 |
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厚生労働省 こころの耳『第4回 休業中の社員への連絡と確認』を基に作成
従業員が休職して間もないときは、療養に専念できるように、1ヶ月に1回程度の連絡を行うことが適切といえます。電話で連絡が取れない場合、従業員の病状が思わしくないことも考えられるため、メールで状態がよいときに返信をもらえるよう伝える方法もあります。
状態が好転する兆しが見えて、復職などのタイミングを探っていくフェーズでは、連絡頻度を2週間に1回程度に増やしたり、対面で話す機会を設けたり、状況に合わせて連絡方法を変えていくこともよいとされています。
また、企業側から連絡する際は、従業員への負担がかからないように、急な連絡は控えるほか、次回の連絡日を毎回伝えておく配慮も大切です。休職中の従業員からの状態の報告を義務づける条文を、就業規則に入れておくことも一つの方法です。
出典:厚生労働省 こころの耳『第4回 休業中の社員への連絡と確認』
休職中の従業員へ連絡する際に配慮する3つのポイント
休職中の従業員に連絡する際は、その従業員の状態に配慮しつつ、不安や混乱の誘発を防ぐ配慮が必要です。
ここでは、従業員に連絡する際に配慮が必要なポイントについて紹介します。
①本人が対応できない場合には家族と連携を取る
休職中の連絡は、従業員の家族との連携が重要です。従業員の病状や体調によっては、本人が対応できないケースも考えられます。
そのような場合、家族に対応を代行してもらうよう取り決めておくと、休職中の従業員の状態を知ることが可能です。
円滑な職場復帰につなげるためにも、家族の理解や協力が欠かせません。しかし、従業員の健康問題が家族に心理的負担を与えているケースも少なくないため、家族からの相談対応や職場復帰に関する情報提供などのサポートを行うことも望ましいと考えられます。
出典:厚生労働省 こころの耳『第4回 休業中の社員への連絡と確認』/厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
②対応窓口を一つに絞る
休職中の連絡では、対応窓口を一つに絞ることも重要です。
連絡のたびに担当者が変わると、人によって伝えることや対応が変わってしまい、混乱を招くおそれがあります。
従業員にとって連絡の取りやすい人を担当者として固定することで、面談をスムーズに進められます。休職中の面談対応の担当者には、産業医や衛生管理者、人事・総務担当者などが挙げられます。
出典:厚生労働省 こころの耳『第4回 休業中の社員への連絡と確認』
③安心感を醸成する
従業員が職場復帰の焦りや不安を払拭しつつ療養に専念できるように、安心感を醸成するための配慮が必要です。従業員のなかには、休職している間に精神的な孤独を感じたり、経済的・将来的な不安を抱えたりする人もいます。
また、企業からの連絡によって、職場復帰の焦りを感じる可能性もあります。安心して療養に専念してもらうには、従業員を支援するための情報提供や、精神的な不安を解消するための対応が求められます。
▼安心感を醸成するための対応例
- 公的支援制度・職場復帰支援サービスの情報提供
- 不安や悩みの相談先の紹介
- 復職を急がず、回復をじっくり待つという姿勢を示す
さら、休職の開始時に、以下のような内容を盛り込んだ説明用紙を求職者へお渡しすることで、スムーズな休職導入・復職支援へつなげている企業もあります。
- 上記のような支援制度
- 休職制度についての概説
- その間の給与や社会保障費の取り決め
- 休職可能な期間
- 復職についての説明
- 休職中の会社連絡先 など
出典:厚生労働省 こころの耳『第4回 休業中の社員への連絡と確認』/厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
職場復帰の判断について
休職中の従業員の職場復帰は、従業員の意思や診断書だけでなく、産業医の意見を踏まえて総合的に判断することが重要です。
職場復帰支援は、次の流れで行われます。
画像引用元:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
企業は、職場復帰を申し出た従業員に対して、職場復帰可能と判断された診断書の提出を依頼します。
主治医による診断書は、日常生活における病状の回復程度で判断するケースや、従業員とその家族の希望が含まれていることがあります。そのため、職場で求められる業務遂行能力まで回復しているか、診断書のみで判断することはできません。
職場復帰を判断する際は、診断書の内容と職場に必要な業務遂行能力について精査したうえで、産業医に意見を求めることが重要です。
その後、産業医の意見を基にしながら、現場の産業保健スタッフを中心に職場復帰の可否判断を行い、従業員に合った職場復帰支援プランを作成します。
復職可否の判断ポイントや注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
まとめ
この記事では、休職中の従業員への連絡について、以下の内容を解説しました。
- 従業員への連絡頻度
- 連絡する際に配慮する3つのポイント
- 職場復帰の判断について
休職中の従業員への連絡は、心身の状態に応じて頻度・方法を柔軟に検討します。状態によっては電話での従業員自身の対応が困難なケースもあるため、メールでの連絡や家族の代行も視野に入れることが大切です。
連絡に関して従業員の負担や混乱をなくすためには、家族と連携を図る、対応窓口を一つに絞る、安心感を醸成するといった配慮も欠かせません。
職場復帰の申し出があった際は、主治医の診断書を求めるとともに、産業医の意見を踏まえ、業務遂行能力を総合的に判断することが重要です。
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