【管理職必見】部下のメンタルヘルス不調のサインと対処法

部下のメンタルヘルス不調のサインとは?行動・精神・身体面の異変別で管理職が取るべき対処法を解説

企業において、日々業務に励む従業員のなかには、職場環境や家庭環境など、さまざまな要因でストレスを抱えている人も少なくありません。

メンタルヘルス不調の深刻化を防ぐためには、不調のサインに早く気づいたうえで、適切な対処を行うことが大切です。日ごろ直接関わる機会の多い上司は、そういった従業員のサインにいち早く気づき、対応することが求められます。

この記事では、メンタルヘルス不調を起こしている際にみられるサインや、上司に求められるメンタルヘルス不調の対処法を紹介します。

管理監督者や、人事・総務担当者は自社のメンタルヘルス対策にお役立てください。

出典:厚生労働省『令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況』/厚生労働省 こころの耳『配置転換やノルマ達成の困難、人間関係のトラブルなど職場ストレスと育児ストレスが重なりうつ病となった事例


目次[非表示]

  1. 部下のメンタルヘルス不調のサイン
    1. 行動面の異変
    2. 精神面の異変
    3. 身体面の異変
  2. メンタルヘルス不調のサインがみられる部下への対処法
    1. ①積極的にコミュニケーションをとる
    2. ②医師との面談を推奨する
  3. まとめ


部下のメンタルヘルス不調のサイン

厚生労働省の『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~』によると、メンタルヘルス不調は以下のように定義されています。


精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むものをいう。

引用元:厚生労働省『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~


人間はストレスを感じると、行動面・精神面・身体面といった3つの側面でなにかしらのサインが現れます。

また、メンタルヘルス不調の状態を放置すると、ストレス性の疾患やこころの病気などに発展する可能性もあります。

ここでは、メンタルヘルス不調のサインを行動面・精神面・身体面に分けて解説します。

出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~』/厚生労働省 こころの耳『3 ストレスへの気づき


行動面の異変

行動面の異変に速やかに気づくには、日頃の部下の行動を観察しておくことが大切です。

行動面の異変として、以下のようなサインが見られます。


▼行動面の異変として現れるサイン

  • 遅刻や欠勤などが増えた
  • 業務ミスや物忘れなどが増えた
  • 身だしなみが乱れていることが増えた
  • 職場で一人になりたがるような行動が続いている
  • 業務上の報告や相談などが少なくなった


もともとそのような傾向は見られなかったのに、その人らしくない行動が目立つようになった場合は、部下にメンタルヘルス不調が起きている可能性が考えられます。

また、本人が自分で異変に気づいていない場合や、気づいていたとしてもその異変がメンタルヘルス不調によるものだとは認識していない場合もあります。

出典:厚生労働省 みんなのメンタルヘルス『こころの病気の初期サインに気づく』/厚生労働省『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~


精神面の異変

部下の感情的な部分に異変を感じたら、メンタルヘルス不調のサインである可能性が考えられます。


▼精神面の異変として現れるサイン

  • イライラや気分の落ち込みなど、感情の変化が激しい
  • やる気がなくなったように見える
  • 表情が暗い・元気がない


メンタルヘルス不調が2週間以上続く場合は、ストレス性疾患につながる場合があります。早いうちに、産業医や精神科・心療内科の医師など、専門家に相談することが大切です。

これらのサインを放置すると、症状が深刻化して、休職や退職などにつながることもあるため、注意が必要です。

出典:厚生労働省 こころの耳『3 ストレスへの気づき』/厚生労働省『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~』/厚生労働省 みんなのメンタルヘルス『こころの病気の初期サインに気づく


身体面の異変

身体面の不調には、不眠や頭痛、腰痛、食欲不振などの症状が挙げられます。

また、急な体重の増減は、ストレスによって日常生活に支障をきたしている可能性が考えられます。

身体面の異変として現れる具体的なサインは以下のとおりです。


▼身体面の異変として現れるサイン

  • 業務中に居眠りをするようになった
  • 急激に体重の変化が見られるようになった
  • 食欲がないように感じる
  • 頭痛や胃痛などの体調不良で休むことが増えた


出典:厚生労働省『みんなのメンタルヘルス こころの病気の初期サインに気づく』/厚生労働省 こころの耳『No.5 身体症状に着目したストレス反応』『 1 ストレスとは



メンタルヘルス不調のサインがみられる部下への対処法

先述したサインを部下に多く見かけるようになった場合は、上司や管理監督者などを中心に適切な対策を講じる必要があります。

従業員が、一人で解決できないほどのストレスを抱えたままの状態でいると、状態がさらに悪化する可能性が考えられます。

ここでは、部下にメンタルヘルス不調が見られる場合に、上司・管理監督者が行う対処法を2つ紹介します。

出典:厚生労働省 こころの耳『4 ストレスへの対処』/厚生労働省『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~


①積極的にコミュニケーションをとる

部下の異変に気づいたら、「心配している」という気持ちを率直に伝えたうえで、話を聞けるような雰囲気をつくります。上司や産業医に話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になる場合もあります。

話を聞く際は、安心できる環境で本音を話せるように、多くの人がいるところやお酒の席などは避けて、個室で話を聞くことが重要です。

また、相談を受けた際は、アドバイスをしたり、励ましたりするのは避けて、“話を聞く”ことに徹することが望ましいとされています。

さらに、部下のプライバシーを守るために、相談された内容を不必要にほかの人に伝えないという点も留意することが重要です。

出典:厚生労働省 こころの耳『4 部下・同僚への配慮』『5 相談への対応


②医師との面談を推奨する

部下の抱えている問題が、自分だけで解決できない場合は、産業医や外部の医師など、専門家への相談を提案します。

また、医学的な観点からメンタルヘルス不調を評価するためにも、必要に応じて産業医や保健師などへの相談を促すことが重要です。

そのためには、部下が上司や産業医などに気軽に悩みを相談できるような仕組み・環境をつくる必要があります。また、職場全体でもメンタルヘルスに関する知識を深めて、対策を講じることが大切です。

なお、メンタルヘルス対策に関する情報は、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

  セルフケアとは? 働く人にこそ知ってほしい5つの取り組み例 厚生労働省は、適切なメンタルヘルス対策を行うために必要な取り組みとして“4つのケア”を示しており、そのうちの1つに“セルフケア”という項目があります。 「セルフケア」とは、私たちが自分自身で行うことのできるケア。働く人が自らのストレスに気付き、予防対処し、また事業者はそれを支援することで、事業者は労働者に対して、次に示すセルフケアが行えるように教育研修、情報提供を行うなどの支援をすることが重要です。 しかし、「従業員にセルフケアを促したいけれど、どうしたらよいか分からない」「セルフケアの具体的な方法を知りたい」といった人事・総務担当者の方もいるのではないでしょうか。 本記事では、セルフケアについて具体的な取り組み事例とともに解説します。 first call


  管理監督者によるラインケアとは? 実施する際のポイントを解説 厚生労働省の『職場における心の健康づくり』によると、業務による心理的負荷によって労働者が精神障がいを発症するケースが増加しています。 そのため、企業にとって従業員のメンタルヘルス対策は重要な課題となっています。この状況を受けて、厚生労働省では、労働者の心の健康保持・増進を図るために、事業場内の関係者が連携して次の“4つのケア”を実施することを推進しています。 この4つのケアのなかには、業務上の関わりが深い管理監督者による“ラインケア”が含まれています。企業の人事・総務担当者は、ラインケアについてよく理解したうえで、メンタルヘルス不調を早期発見・防止できる仕組みをつくることが重要です。 本記事では、ラインケアとは何か、またラインケアを行う際のポイントについて解説します。 first call

出典:厚生労働省 こころの耳『4 部下・同僚への配慮』/厚生労働省『職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~



まとめ

この記事では、部下のメンタルヘルス不調について、以下の内容を解説しました。


  • メンタルヘルス不調のサイン
  • メンタルヘルス不調のサインがみられる部下への対処法


メンタルヘルス不調のサインとして、仕事のミスや遅刻・欠勤の増加、感情の起伏が激しくなる、食欲不振などが挙げられます。

もし、上司の力だけでは解決が難しいという場合は、産業医や社外の医師などの専門家への相談を促すことが大切です。

クラウド型健康管理サービス『first call』では、産業医の紹介を全国で行っています。また、従業員1人から必要なときだけオンラインで産業医面談を設定できる『スポットオンライン面談サービス』も提供しています。

「産業医契約をしていないが、面談が必要な従業員がいる」「できるだけ費用を抑えて専門家との相談ルートをつくっておきたい」といった企業さまはお気軽にご相談ください。

サービスに関する詳しい情報はこちらからご覧いただけます。

  スポットオンライン面談サービス スポットオンライン面談サービスなら、お申込みから最短1週間で医師・産業医面談可能。 first call


遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
first callの産業保健サービス
産業保健サービス

産業医選任
オンライン産業医面談
健診管理
スポットオンライン面談
first callとは?

firstcallとは
お役立ち資料ダウンロード

休職中の従業員に対する連絡頻度と配慮する3つのポイント

産業医選びの失敗しないポイント

課題と対策|女性従業員の健康管理とキャリア支援
課題と対策|女性従業員の健康管理とキャリア支援
休職・離職を未然に予防する産業医の活用ポイント

休職・離職を未然に予防する産業医の活用ポイント

健康経営を実現するポイント

健康経営を実現するポイント

産業医の変更を検討する際、人事担当者が押さえるべきポイント

産業医の変更を検討する際、人事担当者が押さえるべきポイント

工場における産業医の選任ポイント

工場における産業医の選任ポイント

産業医保健業務DX推進ポイント

産業医保健業務DX推進ポイント

従業員の目線で考える産業医を活用するポイント

従業員の目線で考える産業医を活用するポイント

ゼロからわかる入門ガイドはじめての産業保健

ゼロからわかる入門ガイド
はじめての産業保健

従業員の適応障がいに対する企業の適切な対応と産業医活用ガイド

従業員の適応障がいに対する企業の適切な対応と産業医活用ガイド