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ストレスチェックの実施で活用できる助成金とは?受給条件や手続きの流れを注意点と合わせて徹底解説

※ 現在(2022年12月16日時点)「ストレスチェック助成金」は廃止が決定し、新たな受付を停止しています。2023年度以降は、当助成金に代わって「団体経由産業保健活動推進助成金」が設けられる予定です。​​​​​​​

記事内に掲載されている内容は執筆時(2022年4月28日)の情報となるため、ご注意ください。

出典:労働者健康安全機構『産業保健関係助成金


また、ストレスチェック制度ついては、こちらで解説しておりますのでご確認ください。

  ストレスチェック制度とは? 実施の流れを解説 2015年12月以降、労働安全衛生法の改正によってストレスチェックの実施が義務付けられました。ストレスチェックにより、従業員のストレスがどのような状態にあるかを把握できます。うつ病を含むメンタルヘルス不調の未然防止に役立つ制度です。本記事では、ストレスチェックの基本概要、実施の流れ、注意点を分かりやすく解説します。 first call


企業で働く従業員の健康を保持・促進するための制度として、ストレスチェックの実施に活用できる助成金があります。

実施に関しては、常時従業員50人未満の事業場においては努力義務とされていますが、従業員の健康管理を適切に行うためには実施が望まれます。

「従業員のメンタルヘルス不調を防ぎたいけれど、費用面がネックになり実施に踏み切れない」という人事・総務担当者の方もいるのではないでしょうか。

そのような場合には、従業員50人未満の事業場を対象にした助成制度を活用する方法もあります。本記事では、ストレスチェックを実施する際に活用できる助成金の受給要件や申請方法、注意点について解説します。

出典:厚生労働省『働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト | 助成制度』『2015年12月からストレスチェックの実施が義務になります。


目次[非表示]

  1. ストレスチェックの実施で活用できる助成金とは
  2. 助成金の受給要件
    1. 事業場の要件
    2. 取組みの要件
  3. ストレスチェックの実施から助成金手続きまでの流れ
    1. ①ストレスチェックの実施を計画する
    2. ②ストレスチェックの実施
    3. ③ストレスチェック後の面接指導
    4. ④助成金の支給申請を行う
    5. ⑤助成金支給決定の通知を受け取り、助成金を受領する
  4. ストレスチェック実施促進のための助成金を活用する注意点
  5. まとめ


ストレスチェックの実施で活用できる助成金とは

ストレスチェックの実施で活用できる助成金とは、従業員50人未満の事業場がストレスチェックを実施する際にかかる費用の一部を助成する制度です。

労働安全衛生法』第66条第10項では、労働者の心理的な負担の程度を把握して、健康保持促進を図るために、ストレスチェック実施を企業に義務付けています。

常時使用する従業員が50人未満の小規模事業場では、実施は努力義務ですが、従業員の適切な健康管理のためには実施が望ましいと考えられます。ストレスチェックの助成制度は、実施義務のない小規模事業場においても実施を促すために設けられました。

従業員50人未満の事業場を対象としたストレスチェック実施促進のための助成金の内容は以下のとおりです。


▼助成内容

◎年1回のストレスチェックの実施
労働者1人につき最大500円の実費額を支給
◎ストレスチェックに係る医師の活動費用(面談、保険指導等)

1事業場あたり、1回の産業医活動を受けた際に最大21,500円の実費額を支給

※1事業場で年3回が限度

※支給額は税込み金額

出典:厚生労働省『働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト | 助成制度


ストレスチェックの流れや注意点については、こちらの記事をご覧ください。

  ストレスチェック制度とは? 実施の流れを解説 2015年12月以降、労働安全衛生法の改正によってストレスチェックの実施が義務付けられました。ストレスチェックにより、従業員のストレスがどのような状態にあるかを把握できます。うつ病を含むメンタルヘルス不調の未然防止に役立つ制度です。本記事では、ストレスチェックの基本概要、実施の流れ、注意点を分かりやすく解説します。 first call



助成金の受給要件

ストレスチェック実施促進のための助成金を利用するには、事業場や取組みに関する要件を満たす必要があります。申請前には、以下の要件を満たしているか確認しましょう。


事業場の要件

助成を受けるためには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。


▼事業場における5つの要件

労働保険の適用事業場であること(

常時使用する従業員が、派遣労働者を含めて50人未満であること

ストレスチェックの実施者が決まっていること

事業者が医師と契約し、ストレスチェックに係る医師による活動の全部又は一部を行わせること

ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること

引用元:厚生労働省『産業保健関係助成金

※厚生労働省ホームページの労働保険適用事業場検索に該当した事業場が適用事業場として見なされます。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署『ストレスチェックの実施義務対象「常時50人以上の労働者を使用する事業場」


取組みの要件

助成を受けるには、ストレスチェックの実施をはじめ、ストレスチェックに係る医師による活動といった取組みを行うことが要件とされています。上記に挙げた事業場の要件を満たしていることが前提となるため、ご注意ください。

以下のいずれかを実施した場合に、助成金を受給することが可能です。


▼助成金の取組み要件

  • 年1回のストレスチェックの実施
  • ストレスチェックに係る医師による活動の実施

ストレスチェックに係る医師とは、産業医の資格を持った医師を指します。また、医師による活動には、ストレスチェック後の面接指導や結果を踏まえた事業主への意見提供などが挙げられます。

出典:厚生労働省『産業保健関係助成金



ストレスチェックの実施から助成金手続きまでの流れ

助成金を受け取るには、ストレスチェックの実施後に申請が必要です。ここからは、実施から助成金支給の申請までの基本的な流れについて解説します。


①ストレスチェックの実施を計画する

事業場の衛生管理を担当する人事・総務部門において、ストレスチェックの実施を計画します。

実施にあたって医師や産業医からのアドバイスを受けながら、労使間で話し合いを行うことが重要です。ストレスチェックの実施にあたって取り決める内容として、以下が挙げられます。


▼検討が必要な内容(一例)

  • いつ・誰に実施させるか
  • どのような質問票を使うか
  • どのような基準で高ストレス者を選定するか
  • 面接指導をどの産業医に依頼するか
  • 集団分析や結果の保存方法はどうするか

ストレスチェックの実施が決定したら、話し合いで決まったことを社内規定として明文化して、従業員に周知します。

出典:厚生労働省『ストレスチェック制度導入ガイド


②ストレスチェックの実施

産業医や保健師、外部機関などの実施者を選定したうえで、従業員へのストレスチェックを実施します。

ストレスチェックに使用する調査票については、以下の3つの事項が含まれていれば特に指定はありません。


▼調査票の質問内容

  • ストレスの原因に関する質問
  • ストレスによる心身の自覚症状に関する質問
  • 周囲のサポートに関する質問

なお、結果は実施者と受検者本人にのみ通知されます。事業者が結果を知るためには、受検者の許可が必要です。

出典:厚生労働省『ストレスチェック制度導入ガイド


③ストレスチェック後の面接指導

ストレスチェックの結果、医師による面談指導が必要と判断された高ストレス者には、面接指導を実施します。

面接指導を希望する従業員に対しては、結果の通知から1ヶ月以内を目安に申し出るように奨励します。

ただし、高ストレス者で面接指導が必要と通知された場合でも、申出をしない従業員がいることも考えられます。高ストレス者が放置されないよう、従業員が面接指導を申し出やすい環境を整えることも大切です。

面接指導後には、事業主へ報告書・意見書を提出してもらいます。その内容に応じて、労働時間の短縮や業務内容の変更といった就業上の措置を検討します。

出典:厚生労働省『ストレスチェック制度導入ガイド


④助成金の支給申請を行う

助成金の申請は、ストレスチェックを実施してから6ヶ月以内に行う必要があります。支給の対象となるのは、ストレスチェックの実施と医師による面接指導などにかかった費用です。

申請書に必要事項を記入して必要書類を用意した後、労働者健康安全機構に申請します。申請書や添付書類については、労働者健康安全機構へ問合せて確認できます。

出典:厚生労働省『産業保健関係助成金


⑤助成金支給決定の通知を受け取り、助成金を受領する

助成金の受給申請を行った後、労働者健康安全機構において審査が行われます。支給が決定した場合は、支給決定の通知が届き、指定した銀行口座に助成金が振り込まれます。

出典:厚生労働省『産業保健関係助成金



ストレスチェック実施促進のための助成金を活用する注意点

ストレスチェック実施促進のための助成金には、実施期間と申請期間が設けられています。また、実施にはストレスチェックに係る医師との契約が必要です。

年1回のストレスチェックを実施できなかったり、実施に係る医師がいなかったりする場合には、助成金を受け取ることができません。

また、面接指導には事業場の産業医が推奨されますが、外部委託する場合には産業医資格を持っている医師に委託する必要があります。取組みの実施期間・申請期間などの詳細については、労働者健康安全機構に問合せて確認できます。

さらに、ストレスチェックに係る医師との契約に際してかかる費用の一部を助成する“小規模事業場産業医活動助成金”という制度もあります。従業員が50人未満の小規模事業場が対象となるため、ぜひそちらもチェックしてみてください。


小規模事業場産業医活動助成金については、こちらの記事もご参照ください。

  小規模事業場産業医活動助成金の3つのコース内容と受給条件 労働者健康安全機構では、従業員の健康増進のために、50人未満の事業場を対象とした“小規模事業場産業医活動助成金”を取り扱っています。小規模の事業場で産業医を選任して、産業医活動に関する契約を締結する場合には、助成金が活用できるか確認しましょう。本記事では、小規模事業場産業医活動助成金を受給する条件と3つのコースについて解説します。 first call

出典:厚生労働省 高知労働局『小規模事業場(労働者数50人未満)の事業者の皆さまへ』/厚生労働省『ストレスチェック制度導入ガイド



まとめ

この記事では、ストレスチェックを実施する際に活用できる助成金について、以下の項目で解説しました。

  • ストレスチェックの実施で活用できる助成金について
  • 受給要件や手続きの流れ
  • 助成金を活用する際の注意点

ストレスチェックの実施義務がない小規模事業場においても、従業員の健康保持・促進のためには実施が望まれます。

助成金を受給するには、ストレスチェックの実施後、医師による面接指導や事業者への報告書・意見書の提出が必要です。また、事業場に産業医がいない場合は、産業医資格のある医師に外部委託することも可能です。

なお、助成金受給するには、取組みの実施期間や申請期間を過ぎないように注意が必要です。

first call』では、ストレスチェックに係る医師・産業医の紹介を行っています。自社が直接選任・契約を締結する必要がないほか、オンラインでのストレスチェック・面談指導にも対応しています。詳細については、ぜひお気軽にお問合せください。

遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
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