中間管理職のストレスの原因は? ストレスケアの方法と企業に求められる対策
部長や課長などの中間管理職は、組織をまとめる重要な役割を担っており、企業において欠かせない存在です。
一方、上司と部下の板挟みになる立場のため、責任やプレッシャーが重く、一般の従業員と比べて業務量も多いといった問題があります。その結果、仕事に対するストレスが溜まり、心身の不調を感じる人も少なくありません。
企業には、中間管理職におけるストレスの原因を把握して、適切なセルフケアを促すなど、疲労を溜め込まないための取組みが求められます。
この記事では、中間管理職が抱えるストレスの原因をはじめ、ストレスケアの方法、企業の対策について解説します。
目次[非表示]
中間管理職がストレスを抱える原因
中間管理職は、一般の従業員と比べて業務量が多く、目標に対する責任があります。そのため、ストレスを抱えやすくなると考えられます。
また、人手不足が発生している職場では、長時間労働が発生しやすく、中間管理職は勤務時間が長くなることも少なくありません。長時間労働や過重業務によって、ストレスを抱えるケースもあります。
▼ストレスの原因
- 業務量の多さ
- 仕事に対する責任の発生
- 職場の人手不足
- マネジメントするうえでの人間関係の悩み など
▼中間管理職が高ストレスと判断された事例
入社20年目になる40代の男性は、管理職に昇格したと同時期に大規模なプロジェクトの担当を任されました。その結果、仕事量の増加、責任が増大したことで、以下のような状態が生じました。
- 朝にしんどさを感じる
- 休日も仕事のことが頭から離れない
- 思考力・集中力・意欲の低下
- 朝出勤時の気分の落ち込み
産業医による面談を実施したところ、「高ストレス状態に起因した体調不良」と考えられ、医療機関での加療勧奨を行った上で、本人・上司・人事などとも協議のうえで業務上の措置(一部業務を軽減するなど)を講じることとなりました。
出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室『労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル』/厚生労働省『令和2年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況』『令和元年版 労働経済の分析』
中間管理職のストレスケアの方法
中間管理職のメンタルヘルス不調を防ぐためには、ストレスケアを促すことが重要です。ストレスにはさまざまな原因が考えられるため、広い視野で目を配る必要があります。
企業としてできることには、ストレスケアの方法について研修や面談を行うなどの取組みが挙げられます。本人がストレスを自覚して、対処方法を学んでもらうことで、ストレスへの考え方や生活習慣の見直しを促せるようになります。
ストレスケアとして有効な方法には、以下が挙げられます。
▼ストレスケアの方法
- 運動・労働・睡眠・休養・食事をバランスよく取り入れる
- 現在の気持ちを書き出す
- 腹式呼吸や筋弛緩法などのリラクセーション法を取り入れる
- 同僚や友人など、周りの人に相談する
- 産業医や外部のカウンセラーに相談する
また、仕事の悩みやストレスを緩和させるためには、社内で相談できる体制を整えることも重要です。「仕事を誰かに頼むのは申し訳ない」「上司に相談できない」など、一人でストレスを抱え込むのを防ぐことにつながります。
出典:厚生労働省『こころと体のセルフケア』/厚生労働省 こころの耳『早く気づけるストレスケア』
企業に求められる中間管理職のストレス対策
中間管理職へのストレスケアは、個人だけでなく組織全体で取組む課題の一つです。企業には、ストレスを溜めない就労環境の整備をはじめ、早期発見・フォローができる仕組みが求められます。
ここでは、企業に求められる中間管理職のストレス対策について解説します。
①業務量・配分の見直し
企業でできるストレス対策において、業務内容や質を考慮して、中間管理職の従業員が対応できる範囲の業務量・配分へと見直す必要があります。
以下のように、業務量を見直すことで、中間管理職の負荷を軽減できます。
▼業務量・配分の見直し例
中間管理職にしかできない業務を洗い出して、部下に任せられる業務は割り振る
高い品質が求められる業務については、複数の担当者とサポートし合えるフローを作成する
責任やプレッシャーの大きい仕事には、上司による定期的なアドバイスや業務サポートを行う
出典:厚生労働省 こころの耳『早く気づけるストレスケア』
②ストレスチェックの実施
『労働安全衛生法』第66条の10では、労働者の心理的な負担の程度を把握するために、法令で定められたストレスチェックを実施することが義務付けられています。
ストレスチェックは、常時50人以上の従業員がいる事業場の義務となっていますが、メンタルヘルス不調の防止のためには、50人未満の事業場でも実施が望まれます。
ストレスチェックを実施することで、従業員に自らのストレスに気づきを与えて、セルフケアを促せるようになります。職場のストレス要因を評価することで、ストレス要因を低減させるための改善策を講じることも可能です。
また、高ストレスの従業員を早期発見して、産業医による面接指導につなげることで、メンタルヘルス不調を未然に防げるようになります。
ストレスチェック制度の概要や流れについて、詳しくはこちらの記事をご確認ください。
出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部 労働衛生課産業保健支援室『労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル』/e-GOV法令検索『労働安全衛生法』
③メンタルヘルスケア研修の実施
中間管理職の従業員に対して、産業医の助言を得ながら、メンタルヘルスケアに関する教育研修を実施することも有効です。
メンタルヘルスケア研修では、ストレスへの対処方法やセルフケアの方法を従業員に学んでもらいます。ストレスへの正しい理解とともに、改善に向けた行動を促進できる効果が期待できます。
▼教育研修の内容例
- メンタルヘルス不調の症状と要因
- ストレスを軽減するためのリラクセーションの方法
- ストレスを溜めないためのライフスタイル
- 職場で求められるセルフケアの方法
- 職場内外の相談先
- ストレスやメンタルヘルスケアの基礎知識 など
なお、厚生労働省では、企業のメンタルヘルス対策に向けた取組みとして“4つのケア”を定めています。詳しくは、こちらの記事をご確認ください。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』/厚生労働省 こころの耳『職場のメンタルヘルス研修ツール』
まとめ
この記事では、中間管理職のストレスについて以下の内容を解説しました。
- 中間管理職がストレスを抱える原因
- 中間管理職のストレスケアの方法
- 企業に求められる中間管理職のストレス対策
中間管理職は、業務量の多さや仕事に対する責任・不安からストレスを抱えやすい立場だといえます。
中間管理職のストレスを軽減するためには、業務量の見直しや、ほかの従業員に相談できる体制づくりなどが求められます。
また、ストレスチェックやメンタルヘルスに関する教育研修を実施して、ストレスの気づきを与えてセルフケアを促す、産業医による支援を行うといった対策も有効です。
クラウド型健康管理サービス『first call』では、ストレスチェックサービスの提供、産業医によるストレスチェック後のフォローや、高ストレス者への面談をオンラインで行えるサービスを提供しています。高ストレス者を早期発見して対処することで、労働災害や退職などのトラブルを未然に防げるようになります。
サービス詳細については、こちらからご確認いただけます。