産業医を紹介してもらう4つの方法と選任する際の注意点

産業医を紹介してもらう方法とは?4つの選任方法とそれぞれの注意点を解説

『労働安全衛生法』第13条では、一定規模の事業場において産業医の選任が義務づけられています。

産業医として選任できるのは、医師のうち、所定の養成研修・講習を修了した人などに限られます。現在では産業医資格を取得している医師は約10万人以上(全医師のおよそ1/3程度)いますが、そのうちの実働は推計約3万人にとどまっている状況です。

事業場でいざ産業医を選任しようとした際に、「産業医とどのように出会えばよいのか」「選任する際の注意点は何だろう」と悩まれるケースもあるのではないでしょうか。

この記事では、産業医を紹介してもらう一般的な方法や、選任する際の注意点について解説します。

出典:厚生労働省『現行の産業医制度の概要等』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法』

目次[非表示]

  1. ・産業医を紹介してもらう方法
    1. ・①健康診断の実施機関からの紹介
    2. ・②医師会への相談
    3. ・③産業医紹介サービスの利用
    4. ・④取引先・従業員などから紹介してもらう
  2. ・産業医を選任する際の注意点
    1. ・産業医の要件を満たしていること
    2. ・選任報告に期限があること
  3. ・まとめ

産業医を紹介してもらう方法

産業医を紹介してもらう方法には、以下の4つが挙げられます。

①健康診断の実施機関からの紹介

健康診断を依頼している医療機関に相談することで、産業医を紹介してもらえるケースがあります。

健康診断と同じ機関に所属しているため、健康診断で異常が見つかった際に、医師による意見聴取も一緒に依頼できるようになります。

また、産業医の選任と健康診断をまとめて依頼すれば、産業医を探す時間・費用を削減できる可能性があります。

ただし、健康診断の機関に産業医が所属していない場合があるほか、日頃の業務が忙しくて健康診断以外の面接指導や休職者対応を依頼できないこともあるため注意が必要です。

②医師会への相談

都道府県や市区町村に設置されている医師会に、産業医の紹介について相談することも一つの方法です。

医師会によっては、所属する産業医の紹介や選任義務のない事業場に産業保健活動を支援しているところもあります。

ただし、複数の事業場が異なる地域にまたいでいる場合には、別の医師会に相談することが必要です。また、すべての医師会で産業医を紹介しているとは限らないため、医師会のWebサイトや問合せなどで事前に確認することが重要です。

③産業医紹介サービスの利用

自社で産業医を探したり、交渉したりする労力・時間がない場合は、産業医を紹介してくれる外部サービスを利用する方法もあります。

紹介サービスを利用すると、希望する産業保健サービスやサポート内容、価格などから、自社に合った産業医を紹介してもらうことが可能です。

また、産業医紹介サービス会社が産業医と事業場の間に入って、交渉や契約などをサポートするため、スムーズに選任しやすいといった利点があります。なかには、選任後のサポートを受けられるサービスもあり、選任者の変更やトラブルが発生した場合の対応も依頼できるようになります。

ただし、紹介手数料やサービス利用料が発生するため、事前にコストを確認しておくことが重要です。

④取引先・従業員などから紹介してもらう

関係会社や取引先、従業員などの人脈を用いて、産業医を紹介してもらう方法もあります。

知人に産業医がいる場合は直接交渉したり、すでに産業医のいる会社に相談して紹介してもらったりします。

産業医を選任する際の注意点

産業医を選任する際は、産業医の要件や選任報告の期限に注意します。

産業医の要件を満たしていること

産業医として働くための条件

産業医になるための要件は、『労働安全衛生法』第13条第2項によって定められています。要件を満たす人でなければ、産業医として選任することはできないため注意が必要です。

▼労働安全衛生法 第13条第2項

2 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』

具体的には、厚生労働省令で定める要件とは、『労働安全衛生規則』第14条第2項に規定された以下を指します。

▼労働安全衛生規則 第14条第2項

2 法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
一 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』

出典:厚生労働省『産業医について』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生規則』

選任報告に期限があること

産業医を選任する必要がある事由が発生した日から14日以内に選任し、選任後は遅滞なく所轄の労働基準監督署に届け出ます。

産業医の選任や選任報告の届け出をしなかった場合は、50万円以下の罰金が課せられる場合があるため注意が必要です。なお、これまで選任していた産業医が辞任したときも、14日以内に新たに選任し、選任後は遅滞なく労働基準監督署に報告書を提出します。2026年8月1日からは、前任の産業医の辞任も遅滞なく報告する必要があります(後任の選任報告とあわせて報告できます)。

産業医の選任報告についてはこちらをご確認ください。

産業医に関する法律は、こちらの記事でも解説しています。

出典:厚生労働省『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医はいつまでに選任し、どこに報告すればよいのでしょうか。』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生規則』

まとめ

この記事では、産業医の選任について以下の内容を解説しました。

  • 産業医を紹介してもらう方法
  • 産業医を選任する際の注意点

産業医の紹介を受ける方法には、健康診断を実施している医療機関や医師会に相談する、外部の産業医紹介サービスに依頼するといった方法があります。

自社の業種・職種や健康課題に合った産業医をスムーズに選任するには、産業医紹介サービスを活用することが有効です。

クラウド型健康管理サービス『first call』では、企業の希望や特性に合わせた産業医の選任をサポートしています。スムーズな選任・契約のほか、その後のサポートにも対応しているため、人事・労務部門の業務負荷軽減にもつながります。サービス詳細については、こちらからご確認いただけます。

なお、産業医がいない場合の対応についてはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。

遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。

クラウド型健康管理サービス「first call」は、
人とシステムの両方で、企業の健康管理をサポートします。

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