労働基準法改正で何が変わる?2026年最新の改正動向と企業がとるべき対応を解説

労働基準法の大幅な見直しが進められています。

1947年の制定以来、約40年ぶりとなる大規模な見直しが進んでおり、連続勤務の上限や勤務間インターバルの義務化など、企業の労務管理に直結するテーマが数多く取り上げられています。

2025年12月、通常国会への法案提出はいったん見送りとなりましたが、改正に向けた議論そのものは続いています。

施行時期にかかわらず、今のうちから改正内容を押さえておき、準備を進めておくと安心です。

この記事では、労働基準法改正の背景や主な改正内容、企業がとるべき実務対応をまとめました。

法改正と従業員の健康管理がどのように関わるのかも触れていますので、人事・労務担当者の方はぜひ参考にしてください。

もし、「法改正に合わせて従業員の健康管理体制を見直したい」「産業医の選任やストレスチェックをスムーズに進めたい」とお考えであれば、クラウド型健康管理サービス「first call」をチェックしてみてください。

【この記事でわかること】

  • 労働基準法改正は「働き方改革関連法」の5年後見直しとして2024年から議論が進められているが、2025年12月に法案提出は見送られ、施行時期は未定
  • 13日超の連続勤務禁止、勤務間インターバル11時間の義務化、法定休日の特定義務など8つの改正項目が検討されている
  • 監督署の是正指導・人件費増加・離職リスクに備え、就業規則の棚卸し・勤怠システムの確認・社労士への相談を今から始めるとよい
  • 勤務間インターバルやつながらない権利への対応を、産業医やストレスチェックと連携させれば、制度対応と健康管理を同時に進められる

目次[非表示]

  1. 労働基準法改正が議論されている背景と目的
    1. 1947年制定の法律と現代の働き方にズレが生じている
    2. 2024年設置の研究会が報告書を公表
    3. 通常国会への法案提出は一度見送りとなった
  2. 労働基準法改正で議論されている8つのポイント
    1. 連続勤務の上限は14日未満に制限される見通し
    2. 法定休日を就業規則で特定する義務
    3. 勤務間インターバルは努力義務から法的義務へ
    4. 有給休暇の賃金は通常賃金方式に原則統一
    5. つながらない権利のガイドラインが策定される方向
    6. 副業・兼業者の割増賃金の通算ルールが変わる
    7. 週44時間の特例措置は廃止の方向
    8. 時間単位の年次有給休暇の取得上限が拡大される方向
  3. 労働基準法改正に伴い企業が直面するリスク
    1. 労働基準監督署による是正指導を受ける可能性
    2. シフト見直しや人員確保による人件費の増加
    3. 対応が遅れると離職やメンタルヘルス不調につながるおそれ
  4. 労働基準法改正に備えて企業が今から取り組むべき対応
    1. 就業規則や36協定の見直しと改定
    2. 勤怠管理・給与計算システムの設定変更
    3. 従業員や管理職への周知と研修
    4. 社会保険労務士など外部専門家への相談
  5. 労働基準法改正と従業員の健康管理の関係
    1. 勤務間インターバルの義務化と過重労働の防止
    2. つながらない権利はメンタルヘルス対策と深く関わる
    3. 法改正と産業医・ストレスチェックの連携活用
  6. 労働基準法改正に関するよくある質問
    1. 労働基準法の改正はいつから施行されますか?
    2. 中小企業にも改正は適用されますか?
    3. 管理監督者も連続勤務の上限規制の対象になりますか?
    4. テレワーク中の勤怠管理は改正でどう変わりますか?
    5. 改正に向けて企業が最初に取りかかるべきことは何ですか?
  7. 【まとめ】労働基準法改正の動向を注視しつつ今から準備を始める

労働基準法改正が議論されている背景と目的

現行の労働基準法は1947年に制定されたもので、「工場で集団が一斉に働く」という昭和初期のモデルを前提としています。

しかし、テレワークの普及や副業・兼業の拡大など、近年は「いつ、どこで、どのように働くか」を個人が選ぶ時代へと変わってきており、現行法と実態の間にズレが広がっていました。

こうした課題を受け、厚生労働省は2024年に労働基準関係法制研究会を設置し、法制度全体の見直しに取りかかっています。

ここでは、改正議論の経緯や現在の状況を整理します。

  • 1947年制定の法律と現代の働き方にズレが生じている
  • 2024年設置の研究会が報告書を公表
  • 通常国会への法案提出は一度見送りとなった

1947年制定の法律と現代の働き方にズレが生じている

労働基準法は、制定当時の「工場労働モデル」を前提にして作られた法律です。

一つの事業場に集まり、決められた時間に一斉に働くというのがベースでした。

ところが現在は、リモートワークやフレックスタイム制、副業・兼業が広がり、働く時間も場所も多様化しています。

例えば、テレワーク中の「中抜け」をどう扱うか、移動中のメール対応は労働時間に含まれるかといった問題は、現行法だけではうまく整理しきれなくなっています。

また、副業を推奨する流れがある一方で、他社との労働時間の通算が必要な現行ルールは、企業にとって大きな負担になっていました。

こうした働き方の変化と法整備のミスマッチが、今回の改正議論のきっかけです。

2024年設置の研究会が報告書を公表

厚生労働省は2024年、有識者を集めた「労働基準関係法制研究会」を設置しました。

この研究会は、2018年に成立した働き方改革関連法の附則に基づくものです。

同法には「施行後5年を目途に検討・見直しを行う」と明記されており、制度の点検として作られました。

研究会は2025年1月に報告書を公表し、労働時間制度や休日のあり方など、さまざまなテーマについて改正の方向性をまとめています。

「一方的な規制強化ではなく、労働者保護と柔軟な働き方の両立を図る」との位置づけで、約40年ぶりの大規模な見直しとして注目を集めています。

通常国会への法案提出は一度見送りとなった

当初、改正法案は2026年の通常国会に提出される見通しでした。

しかし2025年12月、労働時間規制をめぐる政府内の調整が整わず、法案提出の見送りが報じられました。

労働時間規制をめぐる方向性について、政府内での意見がまだまとまりきっていないことが理由とされています。

改正の検討自体が中止されたわけではなく、今後も引き続き論点が詰められていくでしょう。

企業の人事・労務担当者としては、施行時期が未確定な今だからこそ、改正の方向性をきちんと理解しておきたいところです。

労働基準法改正で議論されている8つのポイント

労働基準関係法制研究会の報告書では、改正に向けてさまざまな論点がまとめられています。

中でも、企業の労務管理に直結するものが多く、早いうちに内容を押さえておく意義は大きいといえます。

ここでは、改正が実現した場合に影響の大きい8つの項目を確認してみましょう。

  • 連続勤務の上限は14日未満に制限される見通し
  • 法定休日を就業規則で特定する義務
  • 勤務間インターバルは努力義務から法的義務へ
  • 有給休暇の賃金は通常賃金方式に原則統一
  • つながらない権利のガイドラインが策定される方向
  • 副業・兼業者の割増賃金の通算ルールが変わる
  • 週44時間の特例措置は廃止の方向
  • 時間単位の年次有給休暇の取得上限が拡大される方向

改正項目

現行法

改正案(検討中)

連続勤務の上限

最長48日も理論上可能(4週4休)

13日超の連続勤務を禁止

法定休日の特定

曜日指定の義務なし

就業規則で特定する義務

勤務間インターバル

努力義務

11時間以上を法的義務化

有給休暇の賃金算定

3方式から選択可

通常賃金方式に原則統一

つながらない権利

規定なし

ガイドライン策定

副業・兼業の割増賃金

通算して算定

割増賃金の通算は不要に

週44時間の特例措置

一部業種で週44時間

全事業場で週40時間に統一

時間単位の年次有給休暇

年5日まで

付与日数の50%まで拡大

連続勤務の上限は14日未満に制限される見通し

現行法では「4週間で4日の休日」があれば問題ないとされており、変形休日制を使うと理論上は最長48日の連続勤務もあり得る状態でした。

しかし報告書では、精神障害の労災認定基準で「連続2週間勤務」が判断要素に含まれている点もふまえ、13日を超える連続勤務の禁止を求めています。

繁忙期に15〜20日程度の連続勤務が発生していたケースでは、シフト設計の見直しが避けられません。

また、36協定を締結していても連続勤務にもブレーキをかける方向で議論が進んでおり、人員配置と休日の管理がより重要になります。

管理監督者についても、法律上は労働時間規制の適用外ですが、事業者には健康配慮義務が残るため、連続勤務が続く状態は労災リスクを高めることになります。

法定休日を就業規則で特定する義務

現行法には、法定休日を曜日で特定して明記する義務がありません。

改正案では、法定休日が曖昧なまま運用されている現状について「法的な予見可能性に問題がある」と問題視しています。

改正が施行された場合、「毎週◯曜日を法定休日とする」といった形で、就業規則や勤務表に具体的に記載する対応が必要になります。

法定休日の振替手続きや期限もきちんと定めるべきとの指摘があり、休日管理のルールがより厳しくなる見込みです。

これにより、法定休日と法定外休日の区別がはっきりするため、休日労働の割増賃金をめぐるトラブルの解消にもつながるでしょう。

勤務間インターバルは努力義務から法的義務へ

勤務間インターバル制度は、終業から翌日の始業までに一定の休息時間を確保する仕組みです。

現行法では努力義務にとどまっていますが、報告書では法的な義務に引き上げる方向で議論が進んでいます。

原則として、11時間以上のインターバルを確保する案が軸です。

夜22時に退勤した場合、翌日の始業は午前9時以降になるため、夜勤明けや遅番後の翌日シフトが制限されます。

なお、2026年1月のjinjer社の調査では、「現在検討されている改正項目で最も対応が難しい」と回答された項目がこの勤務間インターバルの義務化でした。

業種によっては例外や段階的な導入が認められる可能性もありますが、早めの準備をしておきましょう。

有給休暇の賃金は通常賃金方式に原則統一

現行法では、年次有給休暇を取った日の賃金の計算方法として「通常賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つから選べます。

しかし、平均賃金や標準報酬日額を使っている場合、普段の出勤日よりも賃金が低くなるケースが起きています。

研究会の提言では、そういった差が出ないように、「所定労働時間に対する通常賃金方式」での支払いを原則化する案が入っています。

シフト制の事業場では、「有給を取った日に何時間分の賃金を支払うか」をはっきり決めておく必要が出てきます。

給与規程や賃金計算の見直しが必要になるので、自社が今どの方式を使っているか確認しておきましょう。

つながらない権利のガイドラインが策定される方向

「帰宅後もチャット通知が鳴る」「休日にメールを返さないと不安になる」…こうした「つながりっぱなし」の状態が問題になっています。

研究会では、勤務時間外のメール・チャット・電話への対応を制限する「つながらない権利」のガイドラインや指針づくりが進められています。

この権利は、ただ時間外連絡を禁止するものではなく、労働者の私生活を尊重し、精神的な負担を軽くすることがポイントです。

企業としては、「緊急連絡の定義」「連絡可能な時間帯」「上司・部下間のルール」などを社内で整理しておくべきでしょう。

EUではすでに法制化が進んでおり、日本でもガイドラインをどう実際に機能させるかが今後の焦点になります。

副業・兼業者の割増賃金の通算ルールが変わる

副業・兼業が広がる中で、企業をまたいだ労働時間の管理が実務上のハードルになっています。

現行では、複数の事業主での労働時間を通算して割増賃金を算定するというルールがありますが、他社の勤務状況をきちんとつかむのは難しいのが現実でした。

報告書では、「健康を守るための労働時間の通算管理は残しつつ、割増賃金については通算しなくてもよいとする法整備に取り組む」という方針がまとめられています。

もしこの方針で決まれば、副業を解禁する企業のハードルが下がり、手続き負担が減る見込みです。

一方で、副業者の労働時間申告フローの準備や、合計労働時間が36協定の上限を超えないかの管理体制は引き続き必要になります。

週44時間の特例措置は廃止の方向

現行法では、小売業やサービス業など常時10人未満の事業場に限り、法定労働時間を週44時間とする特例措置が認められています。

しかし、厚生労働省の調査によると、この特例が適用可能な企業のうち87.2%が実際には使っていません。

報告書では、特例の廃止により全ての事業場で法定労働時間を週40時間に統一する案が盛り込まれています。

現在この特例を利用している事業場は、シフト構成の見直しや人を増やさなければならない可能性があるため、早めに対応を検討しましょう。

時間単位の年次有給休暇の取得上限が拡大される方向

現行法では、時間単位の年次有給休暇は労使協定を締結した場合に限り、年5日分を上限として取得が認められています。

報告書では、通院や子どもの送り迎え、介護との両立といったいろいろな事情に対応するため、この上限を付与日数の50%まで広げる案が議論されています。

例えば、年20日の有給が付与されている従業員の場合、現在は5日分しか時間単位で取れませんが、改正されれば10日分が対象になります。

企業にとっては、勤怠管理がさらに細かくなる一方で、半日や1日の休暇を取りにくいと感じている従業員にとっては使い勝手がよくなるでしょう。

時間単位年休に対応した勤怠システムの導入や、取得ルールの整理が今後やっておきたいことです。

労働基準法改正に伴い企業が直面するリスク

法改正の施行後は、これまで曖昧だったルールがはっきりしたものになるでしょう。

準備が遅れると、監督署からの指摘や人件費の増加など、具体的な問題として目に見える形で出てきます。

ここでは、企業が早めに知っておきたい3つのリスクをまとめました。

  • 労働基準監督署による是正指導を受ける可能性
  • シフト見直しや人員確保による人件費の増加
  • 対応が遅れると離職やメンタルヘルス不調につながるおそれ

労働基準監督署による是正指導を受ける可能性

改正後は、連続勤務の上限やインターバル確保、法定休日の特定など、監督署のチェック範囲が広がります。

これまで「グレーゾーン」だった運用が、法改正によって明確に違反と判断されるケースも出てくるでしょう。

是正指導を受けた場合、改善報告書の提出が必要になるほか、悪質なケースでは罰則の適用や企業イメージの低下にもつながりかねません。

就業規則や勤務実態を改正内容に照らして見直し、違反に該当する箇所がないか、早い段階からチェックしておきましょう。

シフト見直しや人員確保による人件費の増加

週44時間特例の廃止やインターバル確保の義務化が進むと、これまでの人員配置では現場が回らなくなるケースが出てきます。

例えば、夜勤明けの翌日を休みにする必要があれば、その穴を埋める人員が必要です。

小売・飲食・医療・宿泊業などシフト制を採用している業種では、影響が特に大きいでしょう。

人件費の増加を最小限にとどめるためには、早い段階でシフトの組み方や業務分担を見直しておくことが大切です。

対応が遅れると離職やメンタルヘルス不調につながるおそれ

法改正の目的は従業員の健康を守ることにありますが、対応が遅れた場合、逆のリスクが生まれます。

過度な連続勤務や休息不足が続けば、メンタルヘルス不調や体を壊してしまい、結果として離職や休職につながります。

そうなると、採用コストの増加や残された従業員の負担増など、悪循環に陥ってしまうでしょう。

法改正を「外から押し付けられるルール」と捉えるのではなく、従業員が安心して働ける環境を整えるチャンスとして前向きに活用しましょう。

労働基準法改正に備えて企業が今から取り組むべき対応

法改正の施行時期は現時点では確定していませんが、準備に早すぎるということはありません。

改正の方向性が見えてきた今だからこそ、時間をかけて計画的に対応を進められます。

ここでは、企業が着手しておくべき実務対応を4つに分けて整理しました。

  • 就業規則や36協定の見直しと改定
  • 勤怠管理・給与計算システムの設定変更
  • 従業員や管理職への周知と研修
  • 社会保険労務士など外部専門家への相談

就業規則や36協定の見直しと改定

改正が施行されると、今の就業規則が新しいルールに合っているかを確認し、合っていなければすぐに直す必要があります。

例えば、連続勤務の上限、法定休日の特定方法、勤務間インターバルの条項、有給休暇中の賃金計算方法などが見直しの対象になるでしょう。

36協定についても、変形休日制を導入している場合や過半数代表者の選出方法に曖昧さが残っている場合は、内容の見直しが必要です。

早い段階で自社の就業規則を棚卸しし、改正内容と照らし合わせておくと、施行直前に慌てずに済みます。

勤怠管理・給与計算システムの設定変更

勤務間インターバルのアラート設定や、法定休日の区分管理、連続勤務の日数カウントなど、システム側の対応も必要です。

給与計算では、有給取得時の賃金計算方式の変更や、副業先との通算管理の見直しが必要になります。

システム改修には予算や期間がかかるため、自社で利用中のシステムが法改正に対応できるか、ベンダーへ早めに確認しておくことをおすすめします。

まだ勤怠管理システムを導入していない場合は、これを機にクラウド型のシステムを検討するのも一つの選択肢です。

従業員や管理職への周知と研修

制度を変えたとしても、現場が新しいルールをきちんと理解していなければ、うっかり違反してしまうおそれがあります。

「連続◯日以上の勤務は禁止」「インターバルは11時間以上」といった要点を、わかりやすい表現にまとめた説明会や研修を開きましょう。

管理職に対しては、部下の有給取得を促す方法やインターバル確保の指導方法など、マネジメントの実務面でも教育が大切です。

社内の周知資料も、旧制度の記載が残っていないか一度確認しておくとよいでしょう。

社会保険労務士など外部専門家への相談

法改正の内容は幅が広いため、自社だけで全てをカバーするのは簡単ではありません。

就業規則の改定や36協定の再締結など、法的に問題ないか確認したい場合は、社会保険労務士への相談をおすすめします。

特に中小企業では、労務を専任で担当する人員がいないケースも多いため、外部の専門家を頼ることで抜け漏れを防げます。

商工会議所や業界団体が主催する無料セミナーに参加して情報を集めるのも有効です。

労働基準法改正と従業員の健康管理の関係

今回の法改正では、労働時間や休息の確保に関するルールが大きく変わる見込みです。

こうした改正の内容は、従業員の健康管理や産業保健と深くつながっています。

ここでは、法改正と健康管理の接点を整理し、企業が活用できる仕組みを確認してみましょう。

  • 勤務間インターバルの義務化と過重労働の防止
  • つながらない権利はメンタルヘルス対策と深く関わる
  • 法改正と産業医・ストレスチェックの連携活用

勤務間インターバルの義務化と過重労働の防止

勤務間インターバルの狙いは、終業後に十分な休息を確保し、翌日の業務に支障が出ない状態を作ることにあります。

言い換えると、これは従業員の睡眠時間と生活時間を守るための制度であり、過重労働による健康被害を防ぐ役割も担っています。

実際、厚生労働省のリーフレット「過重労働による健康障害を防ぐために」でも、時間外労働が月45時間を超えると健康障害のリスクが高まるとされています。

インターバル確保を「法律で決められたから対応する」のではなく、従業員の健康を守る手段として捉えれば、職場全体での理解も得やすくなるでしょう。

つながらない権利はメンタルヘルス対策と深く関わる

勤務時間後もチャットやメールへの対応が常態化していると、「常にオンの状態」が続き、精神的な疲労がたまりやすくなります。 こうしたケースはメンタルヘルス不調のきっかけにもなります。

つながらない権利の議論は、ただの労働時間管理の問題ではありません。

実際、ストレスチェックの結果で「仕事の量的負担」や「心理的な負担」のスコアが高い職場では、時間外の業務連絡が影響しているケースが見られます。

企業としては、ガイドラインができあがるのを待つだけではなく、社内で「連絡して良い時間帯」「緊急の定義」を先行して決めておくと効果的です。

法改正と産業医・ストレスチェックの連携活用

法改正への対応と産業保健活動は、目的が重なる部分が多いため、別々に進めるのではなく連携させるのが効果的です。

例えば、勤務間インターバルの運用状況を産業医との面談データを突き合わせれば、休息不足が疑われる従業員を早い段階で発見できます。

また、ストレスチェックの集団分析結果を、つながらない権利に関する社内ルールづくりの裏付けとして使うと、管理職の理解も深まるでしょう。

法改正への対応を「制度の変更」と切り離すのではなく、すでに社内にある健康管理の仕組みとつなげていくことで、手間を抑えつつ、より高い効果が期待できます。

もし、産業医の選任やストレスチェックの導入をスムーズに進めたいとお考えであれば、クラウド型健康管理サービスの「first call」をぜひご検討ください。

労働基準法改正に関するよくある質問

ここでは、労働基準法改正について人事・労務担当者が抱えることの多い疑問にQ&A形式でお答えします。

自社の状況と照らし合わせて確認してみてください。

  • 労働基準法の改正はいつから施行されますか?
  • 中小企業にも改正は適用されますか?
  • 管理監督者も連続勤務の上限規制の対象になりますか?
  • テレワーク中の勤怠管理は改正でどう変わりますか?
  • 改正に向けて企業が最初に取りかかるべきことは何ですか?

労働基準法の改正はいつから施行されますか?

2026年3月時点では、施行時期は確定していません。

当初は2026年の通常国会に法案が提出される見通しでしたが、2025年12月に見送りが発表されました。

ただし、改正議論自体は継続しており、今後改めて法案化が進む見込みです。

厚生労働省の労働政策審議会(労働条件分科会)の動向を定期的にチェックしておくと良いでしょう。

中小企業にも改正は適用されますか?

基本的には、企業規模にかかわらず適用されます。

過去の法改正では中小企業に猶予期間が設けられたケースがあるため、今回も業種や規模に応じた経過措置が用意される見込みです。

しかし、経過措置が設けられたとしても、いずれは全ての企業が対応する必要があるため、早めの準備を進めておきましょう。

管理監督者も連続勤務の上限規制の対象になりますか?

管理監督者は労働基準法上、労働時間や休日のルールが適用されない立場です。

ただし、事業者には安全配慮義務があるため、管理監督者の連続勤務が長く続けば、健康障害や労災認定のリスクが生じます。

法的な適用対象かどうかにかかわらず、管理監督者の連勤状況も確認しておきましょう。

テレワーク中の勤怠管理は改正でどう変わりますか?

報告書では、テレワーク勤務者にも使いやすい新しいみなし労働時間制の導入が検討されています。

今の事業場外みなし労働時間制はテレワークに当てはめにくいとされており、もっと使いやすい制度のあり方について議論が進んでいます。

あわせて、「部分フレックス制度」として、出社日は通常の時間帯で働き、テレワーク日はフレックスを使うといった仕組みも話し合われています。

テレワークの頻度が高い職場では、これらの新制度も含めて情報を追いかけておくと対応がスムーズになります。

改正に向けて企業が最初に取りかかるべきことは何ですか?

まずは、自社の現状を棚卸しすることです。

就業規則の記載内容と実際の運用にズレがないか、変形休日制の下で連続勤務が14日以上になっていないか、勤務間のインターバルが確保できているかなど、現時点での課題をピックアップしましょう。

現状をきちんと確認してから改善計画を立てるほうが、対応の抜け漏れや手戻りを減らせます。

【まとめ】労働基準法改正の動向を注視しつつ今から準備を始める

この記事では、労働基準法改正の背景、8つの主な改正ポイント、企業が直面するリスク、そして実務対応をまとめました。

改正内容を改めて整理します。

  • 連続勤務は13日超が禁止される方向
  • 法定休日の就業規則での特定が義務化される見通し
  • 勤務間インターバルは努力義務から法的義務へ引き上げ
  • 有給休暇の賃金算定は通常賃金方式に原則化
  • つながらない権利のガイドラインが作られる見込み
  • 副業・兼業の割増賃金に関する通算ルールが見直し
  • 週44時間の特例措置は段階的に廃止
  • 時間単位の年次有給休暇の取得上限が拡大される方向

通常国会への法案提出は一度見送られましたが、こうした改正の方向性そのものは変わっていません。

施行されてから急いで対応するよりも、今の段階から就業規則の点検や勤怠システムの確認を少しずつ進めておくほうが、現場の混乱を防げるでしょう。

また、法改正の内容は従業員の健康管理にも深く関わっており、勤務間インターバルやつながらない権利への対応を、産業医やストレスチェックと組み合わせて活用すれば、制度対応と健康管理を同時に進められます。

もし、法改正を機に健康管理体制を見直したいとお考えなら、クラウド型健康管理サービス「first call」の活用も検討してみてください。

自社に合った産業医とのマッチングや、ストレスチェックの運用もラクに回せるようになります。

遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。

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