
メンタルヘルスケアとは?意味や必要性と4つのケアを簡単に解説
従業員のメンタルヘルス対策は、多くの企業で重要な経営課題となっています。
厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活に関する強い不安やストレスを感じる従業員は令和4年時点で約8割にのぼり、企業における対策の重要性が一層高まっています。
特に近年は、メンタルヘルス不調による休職や離職が企業の大きな損失につながるケースが増加しています。
World Health Organization(WHO)の調査では、うつ病や不安障害による世界の経済損失は年間1兆ドルに達すると報告されています。
これには生産性の低下(プレゼンティーイズム)や欠勤(アブセンティーイズム)だけでなく、チーム全体のワークエンゲージメント低下など、企業活動に深刻な影響を与える可能性があります。
しかし、適切なメンタルヘルスケアを実施することで、こうした問題は予防できる場合があります。
この記事では、企業におけるメンタルヘルスケアの基礎知識から具体的な施策まで、人事担当者が押さえておくべきポイントを詳しく解説していきます。
また、優秀な人が辞めてしまう前のメンタルヘルス対策は産業医との連携が効果的です。産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員の健康に繋がる産業医サービスが利用できます。
産業医の活用方法や離職防止のポイントについて、より詳しく知りたい方は、「休職・離職を未然に予防する産業医の活用ポイント」の無料資料がおすすめです。
目次[非表示]
メンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスケアとは、心の健康を守り、より良くしていくための取り組みです。
具体的には、次のような取り組みがあります。
- 精神的な疲れやストレスを和らげる
- うつ病などの精神的な病気を予防する
- 早期発見による治療で改善を目指す
特に職場では、従業員の健康を守るだけでなく、職場全体の活気や生産性を高めるためにも重要視されています。
こういった状態を実現するためには、企業が従業員のメンタルヘルスに配慮し、適切なサポートを行う必要があります。
企業のメンタルヘルスケアが必要な理由
企業がメンタルヘルスケアに取り組むことは、従業員の健康を守り、組織の成長を支えるためにとても重要です。
厚生労働省の「こころの耳」では、必要な理由として下記が挙げられています。
- 全ての働く人が健やかに、いきいきと働くことができるようにする
- 必要なケアを実践して心の健康確保を図る
- 働く人とその家族の幸せを確保する
これらについて、深堀りしてより具体的に詳しく解説していきます。
メンタル不調による人材損失を防ぐことができる
メンタルヘルスケアをしっかり行うことは、優秀な人材の離職を防ぐためにとても大切です。
心の不調が原因で仕事を辞める人を減らせば、企業は大事な人材やその経験を失わずに済みます。その結果、会社の長期的な成長にもつながります。
また、長く働く人が増えることで知識やスキルが受け継がれ、企業イメージも向上します。
従業員の生産性低下による損失を防ぐことができる
メンタルヘルスケアは、従業員の生産性を守るためにとても大切です。
心身の不調があると、出勤していても十分なパフォーマンスを発揮できない「プレゼンティーズム」という状態になり、結果として企業に大きな損失を与えることがあります。
しかし、適切なケアを行えば、従業員の健康やモチベーションが向上し、生産性アップや休職者の減少といった良い効果が期待できます。
企業の法的責任と賠償リスクを軽減できる
企業がメンタルヘルスケアに取り組むことは、従業員の健康を守るだけでなく、法的責任や賠償リスクを減らすためにも重要です。
労働契約法第5条では、企業には従業員の心身の健康と安全を守る「安全配慮義務」が課されています。この義務を怠ると、損害賠償責任を問われる可能性があります。
特に、長時間労働やハラスメントが原因で従業員がメンタルヘルス不調になると、企業の責任が追及されることがあります。
職場の活性化とチーム力の向上につながる
メンタルヘルスケアは職場全体を活性化させ、チーム力を高めるためにも大切な取り組みです。
適切な対策を実施することで、従業員同士のコミュニケーションが円滑になり、職場の雰囲気も良くなります。
例えば、「Thankyouカード」を使って感謝の気持ちを伝え合う文化を作ると、職場が明るくなり、ストレスの軽減にもつながります。また、「他者から自分」への視点転換を促すことで、自分の行動に責任を持つ意識が育ち、ストレスへの対処力も向上します。
さらに、コミュニケーションを活性化する取り組みは、チームワークの強化にも直結します。定期的なチームミーティングや部署間交流イベントを開催すれば、お互いの理解が深まり、協力体制が強まります。
職場のメンタルヘルスケア4つのケアの実践方法
職場のメンタルヘルスケアでは、厚生労働省が「4つのケア」を推奨しています。
- セルフケア
- ラインケア
- 事業場内産業保健スタッフによるケア
- 事業場外資源によるケア
これらのケアについて、具体的に下記で詳しく解説していきます。
セルフケアで従業員自身がストレスに対処する
セルフケアは、従業員が自分のストレスに気づき、それに適切に対処するための大切なスキルです。
これにより、メンタルヘルスの不調を防ぎ、心と体の健康を保つことができます。
例えば、自分のストレス状態をチェックしたり、深呼吸や瞑想といったリラックス法を取り入れることが効果的です。また、運動や趣味を楽しむことで気分転換を図り、質の良い睡眠を確保することも重要です。
さらに、時間管理やコミュニケーションスキルを磨くことで、生活と仕事のバランスを取ることができます。
企業側も従業員がセルフケアを実践できるようサポートし、従業員自身も自己評価を行いながら成長していくことが大切です。
ラインケアで上司が部下の変化に気づいて支援する
ラインケアは、職場でのメンタルヘルスケア対策としてとても大切な取り組みです。直属の上司や管理監督者が部下の変化に早く気づき、適切に支援することが求められます。
そのためには、普段から部下の様子をよく観察しておく必要があり、例えば、遅刻や早退、仕事の効率低下、表情の変化などに注意を払う必要があります。
もし気になる変化があれば、まずは声をかけて話を聞いてみましょう。
また、上司には部下からの相談に対応するスキルも必要です。相談を受けるときは、自分の意見を押し付けず、しっかりと耳を傾ける姿勢が大切です。
部下のストレス要因を把握し、業務の偏りを調整したり、コミュニケーションを活発にしたりして、働きやすい環境を作ることが求められます。
産業医による専門的な健康管理を実施する
産業医は、従業員の健康管理を専門とするプロフェッショナルであり、企業におけるメンタルヘルスケアの要ともいえます。
労働安全衛生規則第14条に基づき、産業医は下記のような職務を担っています。
- 健康診断の実施やその結果をもとにした対応
- 長時間労働者への面接指導
- ストレスチェックの実施と高ストレス者への対応
また、作業環境の管理や労働者全体の健康維持にも取り組んでいます。これらを通じて従業員の心身の状態を把握し、必要に応じて助言や指導を行うことが求められます。
特にメンタルヘルス対策では、産業医の専門知識が重要です。ストレスチェックの結果を分析し、高ストレス状態にある従業員への面接指導を行うことで、早期発見と迅速な対応が可能になります。
また、職場環境の改善提案やメンタルヘルス不調者の職場復帰支援にも積極的に関わり、企業の健康管理担当者と連携することで、職場環境の改善や従業員向け研修を通じて組織全体の健康増進に良い影響を与えます。
専門的な内容も多い産業医との契約は、経験豊富な産業医紹介会社に相談するのがおすすめです。産業保健サービス「first call」は、ご要望に合わせた産業医をご紹介し、法令に沿った業務実施のサポートが可能です。
外部の専門家に相談できる体制を整える
外部の専門家に相談できる仕組みを整えることは、企業が従業員のメンタルヘルスを守るうえで欠かせないポイントです。
その中でも、従業員支援プログラム(EAP)の導入は特に効果的です。EAPを利用すれば、従業員は医師や臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントといった専門家に気軽に相談できます。
EAPには、下記のようなメリットがあります。
- 24時間365日いつでも相談できる体制が整っている
- 専門家から適切なアドバイスやサポートを受けられる
- 社外の専門家に相談することで職場の人間関係を気にせず話せる環境が整う
外部の専門家による相談体制を整備する際は、企業の課題や目的に合わせた適切なサービス選びが重要です。
また、従業員が気軽に利用できるようEAPの存在や使い方を周知する必要があります。
メンタルヘルスケアの予防と対策方法
メンタルヘルスケアの予防と対策には、「3つの予防」と呼ばれるアプローチが効果的です。
一次予防では、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目指し、セルフケアやラインケア研修、ストレスチェック、職場環境の改善といった取り組みが行われます。
次に、二次予防では早期発見と早期対応が重視され、定期的な面談や健康診断を通じて従業員の状態を把握します。
そして、三次予防では不調を抱えた従業員の職場復帰支援や再発防止に焦点を当てています。
これらの具体的な対策については、下記でさらに詳しく解説していきます。
【メンタルヘルスケアの予防と対策方法】
- 職場環境の改善で予防する
- 定期的な面談とチェックで早期発見する
- ストレスチェック制度を効果的に運用する
- メンタルヘルス研修で予防意識を高める
- 段階的な職場復帰プログラムで再発を防ぐ
職場環境の改善で予防する
職場環境を良くすることで従業員のメンタルヘルスを守り、健康や生産性を高めることができます。
例えば、仕事量が多すぎたり少なすぎたりしないよう調整し、無理のない作業ペースを作ることもひとつのポイントです。
また、フレックスタイム制を取り入れるなど、個々の生活に合った働き方を考えることも効果的です。
さらに、職場でのコミュニケーションを活発にする工夫も重要です。定期的な1on1ミーティングを実施することで、上司と部下のコミュニケーションが円滑になり、働きやすい職場環境が作られます。
定期的な面談や話す機会を作ることで早期発見する
定期的な面談や日々のコミュニケーションによって、メンタルヘルスの不調を早めに見つけ、予防しやすくなります。
管理職は部下との信頼関係を築き、少しの変化にも気づけるよう心がけることが大切です。
普段から声をかけたり会話をしたりすることで、従業員の状態を把握し、ストレスがあるかどうか話し合う場を作ることが重要です。
さらに、産業医との面談を活用することで、職場でのメンタルヘルス不調の予防や早期対応につながります。定期的に面談を行い、従業員の健康状態を確認しながら、それぞれに合った働き方を提案することで、より効果的なメンタルヘルスケアが可能になるのです。
ストレスチェック制度を効果的に運用する
ストレスチェック制度は働く人の心の健康を守り、職場の環境をより良くするための大切な仕組みです。
ただチェックをするだけではなく、その結果をもとに適切な対応を取ることが重要です。
例えば、従業員に制度の目的や内容をしっかり説明して理解を得たり、高いストレスが見られる人には産業医による面談を行ったりします。
また、チェック結果を活用して職場環境を改善する具体的な対策を進めたり、フレックスタイム制度など柔軟な働き方を検討することも重要です。
さらに、定期的に制度の効果を見直して必要に応じて改善することで、従業員の負担軽減や職場全体の効率向上につながります。
メンタルヘルス研修で予防意識を高める
メンタルヘルス研修は、従業員がストレスや心の不調について理解を深め、適切な対処法や予防策を学ぶための制度です。
この研修を通じてセルフケアのスキルを磨き、ストレス反応の身体的・心理的・行動的症状に早期に気づいて対処できる力を身につけることが目的です。
主に下記のような研修内容が含まれます。
- ストレッサーとストレス反応の関係性
- 認知行動療法の基礎知識
- レジリエンス(困難な状況から回復する力)を高める方法
さらに、管理職向けには部下の行動変化や業務効率の低下などのサインを早期に発見し、適切な支援につなげるためのラインケア研修も実施されています。
研修プログラムは、産業医や産業保健スタッフと連携しながら定期的に見直し、職場特性や従業員のニーズに合わせて改善することで、より実践的で効果的なメンタルヘルスケアが可能になります。
段階的な職場復帰プログラムで再発を防ぐ
段階的な職場復帰プログラム(リワークプログラム)は、メンタルヘルスの問題で休職した従業員がスムーズに職場に戻れるよう支援する取り組みです。
このプログラムは休職者の回復状態や就業制限に応じて、試し出社から始まり、段階的な就業時間の延長を経て、フルタイム勤務ができるようになることを目指します。
例えば、次のような内容が含まれます。
- 生活リズムの改善
- 体力回復のための作業療法
- 集中力や対人関係能力の向上を目的としたグループワーク
- 職場環境への再適応訓練
- 再発予防のためのストレスマネジメント教育
プログラムを進める際には、主治医の意見書を基に、産業医による職場復帰可否の判断、人事部門による就業上の配慮事項の検討、直属の上司による業務内容の調整など、職場復帰支援チームが連携して復職者をサポートします。
メンタルヘルスケアで注意すべきポイント
メンタルヘルスケアを行う際には、法的および実務的な観点から重要なポイントがあります。
例えば、従業員の健康情報は個人情報保護法における「要配慮個人情報」に該当するため、特に厳格な管理が求められます。
こういったポイントについて、下記で詳しく解説します。
【メンタルヘルスケアで注意すべきポイント】
- 管理職全員が適切な対応方法を習得する
- 相談内容の秘密を確実に守る
- プライバシーに配慮した記録管理を行う
- ハラスメント対策と連携して進める
管理職全員が適切な対応方法を習得する
管理職がメンタルヘルス対策で役割を果たすには、厚生労働省が推奨する「4つのケア」のうち、特にラインによるケアの実践方法を正しく学ぶ必要があります。
管理職向けのメンタルヘルス研修では、ストレス要因とストレス反応の関係について理解を深め、部下の変化を「KAPE」(勤怠・安全・パフォーマンス・周囲への影響)の4つの視点から早めに気づく力を身につけます。
また、認知行動療法の基礎を活かしたストレス対処法や、職場の問題点を見つけて改善する方法を学ぶことも大切です。
研修内容としては、実際の事例を使ったメンタルヘルス不調への対応方法の練習や、上手な聴き方を活かした1on1ミーティングの実践、産業医と協力して行う職場復帰支援の進め方などを学びます。
相談内容の秘密を確実に守る
メンタルヘルスケアでは、相談内容は個人情報保護法における「要配慮個人情報」として扱われ、その秘密を守ることがとても大切です。
相談者が安心して話せる環境を作るためには、プライバシーをしっかりと保護することが必要です。これが、効果的なメンタルヘルスケアの基盤となります。
相談窓口の担当者には、労働安全衛生法で定められた守秘義務があり、特にストレスチェックの実施者と実施事務従事者には法的な守秘義務が課せられています。
面談記録は施錠された場所での保管や、アクセス権限の設定など、適切な情報管理が求められます。
また、相談内容が社内で漏れたり、不利益な取扱いにつながったりしないよう、面談の前に情報の取扱いルールと相談者の権利について明確に説明することも重要です。
プライバシーに配慮した記録管理を行う
従業員の健康情報も「要配慮個人情報」として扱われるため、特に慎重な管理が必要です。
企業は健康診断の結果やストレスチェックのデータ、就労記録、面談内容などを適切に管理しながら、個人情報保護法と労働安全衛生法に基づいてプライバシーを確実に守る必要があります。
また、健康情報の取得や第三者への開示には、利用目的の明示と従業員本人からの明確な同意が必要です。
ハラスメント対策と連携して進める
ハラスメント対策とメンタルヘルスケアは密接に関連しています。
厚生労働省の調査によると、職場でのハラスメントを受けた従業員の多くが不安の増加や仕事への意欲低下、不眠や欠勤の増加などの心身への影響を報告しており、両者どちらの対策も進めることが重要です。
企業には労働施策総合推進法に基づくハラスメント防止措置が義務付けられており、具体的な方針の明確化と周知、相談窓口の設置、プライバシー保護などの体制整備が必要です。
さらに、定期的な研修やワークショップを通じて、ハラスメントの定義や具体例、業務上必要な指導との違いについて理解を深めると同時に、メンタルヘルスケアの重要性についても意識を高めることが効果的です。
メンタルヘルスケアに関するよくある質問
メンタルヘルスケアに関して、企業の人事担当者や従業員が悩むよくある質問とその回答をまとめました。
【メンタルヘルスケアに関するよくある質問】
- メンタルヘルスケアは法律で義務付けられていますか?
- 産業医の選任は何人以上の事業場で必要ですか?
- ストレスチェックは何回実施する必要がありますか?
こういった実務上の重要なポイントについて、具体的な内容を下記で詳しく解説します。
メンタルヘルスケアは法律で義務付けられていますか?
メンタルヘルスケアに関する法的義務は、事業場の規模によって異なります。
従業員が50人以上いる事業場では、労働安全衛生法第66条の10に基づき、医師や保健師による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を年1回実施することが義務付けられています。
一方、50人未満の事業場では現在は努力義務とされていますが、2024年10月に厚生労働省は全事業場への義務化の方針を決定しました。
また、すべての事業者には労働契約法第5条に基づく安全配慮義務があり、労働者の心身の健康を確保するための必要な措置を講じることが求められています。
産業医の選任は何人以上の事業場で必要ですか?
労働安全衛生法第13条と労働安全衛生法施行令第5条により、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医の選任が義務付けられています。
「常時使用する労働者」には、正社員だけでなく、パートタイマーや派遣社員なども含まれるので注意しましょう。従業員数に応じて必要な産業医の体制は以下のように定められています。
- 50~999人の事業場:1名以上の嘱託もしくは専属産業医
- 1,000人以上の事業場:1名以上の専属産業医
- 3,000人を超える事業場:2名以上の専属産業医
- 有害業務(高熱・放射線・異常気圧など)に従事する労働者が500人以上の事業場:専属産業医
産業医の選任は事業場ごとに判断する必要があり、選任後14日以内に労働基準監督署への届出が必要です。
また、50人未満の事業場であっても労働者の健康管理等を行うため、医師や保健師などに産業医としての役割を担わせるよう努めることが求められています。
ストレスチェックは何回実施する必要がありますか?
ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に基づき、常時50人以上の労働者がいる事業場で1年に1回以上実施することが義務付けられています。
ただし、これは最低限の頻度であり、職場の状況に応じて年に複数回実施することも可能です。
実施時期は事業者が任意に設定できるため、定期健康診断と同時期に実施したり、業務の繁忙期を避けて実施したりすることが可能です。
メンタルヘルスケアのまとめ
ここまで見てきたように、メンタルヘルスケアは企業の持続的な成長に欠かせない重要な取り組みです。
従業員の心の健康を守ることは、労働安全衛生法で定められた法的義務の履行だけでなく、企業の生産性向上や人材定着、さらには組織の活性化にもつながります。
効果的なメンタルヘルスケアの実現には、厚生労働省が定める「4つのケア」(セルフケア、ラインケア、事業場内産業保健スタッフによるケア、事業場外資源によるケア)を適切に組み合わせ、一次予防から三次予防まで体系的に進めていく必要があります。
特に産業医との連携は、専門的な見地から従業員の健康管理をサポートし、職場全体の健康増進に繋がります。
企業が今すぐ始められる重要なポイントは以下の3つです。
- 管理職へのラインケア研修実施など、組織全体でメンタルヘルスリテラシーを高める
- 定期的な面談やストレスチェックを通じて、KAPEの観点から不調の予防と早期発見に努める
- 産業保健スタッフや外部の専門家と連携し、心理的安全性の高い職場環境を整える
これからの時代、従業員の心の健康に配慮した働きやすい職場づくりは、企業のサステナビリティを左右する重要な要素となります。
一人ひとりに寄り添ったメンタルヘルスケアを実践することで、従業員が心身ともに健康で、ワークエンゲージメントの高い職場をつくりましょう。
また、産業医の役割は非常に幅広いですが、産業保健の現場にある課題を理解している「first call」であれば、法令を守り、従業員の健康に繋がる産業医サービスが利用できます。