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職場での健康診断は義務! 実施の目的と5つの健康診断を解説

従業員の健康状態を把握して健康保持に努めるために、企業には健康診断の実施が義務付けられています。

人事・総務担当者が法令に則って適切に健康診断を実施するためには、義務や対象者、実施タイミングなどについて把握しておくことが重要です。

本記事では、健康診断の義務や種類、実施の目的について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.健康診断の実施義務
  2. 2.一般健康診断の5つの種類
    1. 2.1.①雇い入れ時の健康診断
    2. 2.2.②定期健康診断
    3. 2.3.③特定業務従事者の健康診断
    4. 2.4.④海外派遣労働者の健康診断
    5. 2.5.⑤給食従事者の検便
  3. 3.健康診断を実施する目的
  4. 4.まとめ


健康診断の実施義務

労働安全衛生法』第66条では、事業者は労働者に対して医師による健康診断を実施する義務があると定められています。

企業規模にかかわらず、すべての事業場に健康診断の実施義務があるため、実施しなかった場合には法令違反となり、50万円以下の罰金が科せられます。

また、健康診断の対象となるのは常時使用する労働者です。アルバイトやパート労働者であっても、以下の両方を満たす場合には対象となります。


▼常時使用する労働者の条件

  • 雇用期間の定めがない、または雇用期間の定めがある場合、1年以上の雇用契約を締結している、あるいはすでに1年以上継続して雇用した実績がある
  • 1週間あたりの労働時間数が通常労働者の3/4以上ある

健康診断の実施は、法律遵守はもちろんのこと、企業の健康経営を推進するためにも重要な取組みの一つです。

なお、常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、ストレスチェックを実施する義務もあります。50人未満の事業場では努力義務とされていますが、従業員のメンタルヘルス不調を防止するためには、実施が望ましいと考えられます。

ストレスチェック制度や実施の流れについては、こちらの記事もご覧ください。

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出典:厚生労働省 愛知労働局『各種健康診断について』/e-GOV法令検索『労働安全衛生法



一般健康診断の5つの種類

労働安全衛生法で義務付けられている健康診断は、一般健康診断と特殊健康診断に大別されます。ここでは、職種にかかわらず実施義務がある、一般健康診断の5つの種類について解説します。

特殊健康診断については、こちらの記事をご確認ください。

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①雇い入れ時の健康診断

労働安全衛生規則』第43条では、常時使用する従業員を雇い入れる際、一般健康診断の実施が義務付けられています。

健康診断の実施タイミングは、従業員を雇い入れる直前、または直後です。ただし、医師による健康診断を受けてから3ヶ月経過しない従業員を雇い入れる際、当該結果が健康診断で実施する項目に相当する場合においては必要ありません。

なお、その場合は健診結果を証明する書面を企業へ提出してもらう必要があります。

出典:厚生労働省 神奈川労働局『労働安全衛生法等に基づく各種健康診断 一覧表』/e-GOV法令検索『労働安全衛生規則


②定期健康診断

定期健康診断(以下、定期健診)は、『労働安全衛生規則』第44条において、常時使用する従業員に対して1年以内ごとに1回の実施が義務付けられています。

健康状態にかかわらず、1年に1回の実施が必須とされており、診断項目についても定められています。

ただし、定期健診の診断項目に含まれる身長・腹囲・胸部X線検査・喀痰(かくたん)検査・血液検査・心電図検査については、医師が必要でないと認める場合において省略可能です。

定期健康診断の検査項目については、こちらの記事をご確認ください。

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出典:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の診断項目の取扱いが一部変更になります』/厚生労働省 神奈川労働局『労働安全衛生法等に基づく各種健康診断 一覧表』/e-GOV法令検索『労働安全衛生規則


③特定業務従事者の健康診断

特定業務従事者の健康診断とは、法令で定められた特定業務に常時従事する従業員に対して実施する健康診断です。

労働安全衛生規則』第45条では、該当する特定業務への配置換えの際および6ヶ月以内ごとに、1回の健康診断の実施が義務付けられています。

なお、該当する特定業務とは、『労働安全衛生規則』第13条第1項第3号に掲げる業務を指します。具体的には以下の業務が挙げられます。

  • イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
  • ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
  • ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
  • ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
  • ホ 異常気圧下における業務
  • ヘ さく岩機、鋲びよう打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
  • ト 重量物の取扱い等重激な業務
  • チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
  • リ 坑内における業務
  • ヌ 深夜業を含む業務
  • ル 水銀、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
  • ヲ 鉛、水銀、クロム、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
  • ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
  • カ その他厚生労働大臣が定める業務

引用元:e-GOV法令検索『労働安全衛生規則


出典:厚生労働省 神奈川労働局『労働安全衛生法等に基づく各種健康診断 一覧表』/e-GOV法令検索『労働安全衛生規則


④海外派遣労働者の健康診断

労働安全衛生規則』第45条の2では、従業員を海外に6ヶ月以上派遣する場合、事前に健康診断を実施する義務があると定められています。

また、6ヶ月以上派遣した従業員を帰国後に国内業務に就かせるときにも健康診断の実施が必要です。ただし、一時的に帰国させて国内業務に就かせる場合においては、健康診断の実施義務はありません。

出典:厚生労働省 神奈川労働局『労働安全衛生法等に基づく各種健康診断 一覧表』『労働安全衛生法に基づく健康診断の概要』/e-GOV法令検索『労働安全衛生規則


⑤給食従事者の検便

労働安全衛生規則』第47条では、事業に附属する食堂や炊事場において、給食の業務に従事させる労働者を対象に、検便による健康診断の実施が義務付けられています。細菌学的検査を行い、伝染病保菌者を発見することが目的です。

給食の業務に従事する労働者の雇い入れ、または配置換えを行うときに実施が必要です。

出典:厚生労働省 神奈川労働局『労働安全衛生法等に基づく各種健康診断 一覧表』/e-GOV法令検索『労働安全衛生規則



健康診断を実施する目的

従業員に対して健康診断を実施する目的には、病気予防や早期発見、職場環境の管理が挙げられます。

健康診断を実施することで、企業が個々の従業員の健康状態を把握できるほか、生活習慣を改善する必要性を自覚してもらえるようになります。

病気が見つからなかった場合でも、健診結果を基に産業医による保健指導、従業員のセルフケアを促すことで、病気の予防につながります。

また、健康上の問題や病気を早期発見して、症状が深刻化する前に治療を行うためにも、定期的に健康診断を実施することは重要です。

さらに、職場環境の状態を把握することも目的の一つです。健診結果を踏まえて、職種・年齢・就業環境などを分析することは、以下のような問題の把握につながります。


▼健康診断の実施で把握できること

  • 業務に起因して発生しうる健康障害や疾患
  • 職場環境における労働衛生問題

業務や職場環境における健康障害・疾患などを把握することで、従業員の健康に配慮した配置転換をはじめ、環境改善に向けた取組みを講じられます。

このように、従業員の健康保持や安全な職場環境の構築のためには、健康診断の実施が欠かせません。

出典:厚生労働省 石川労働局『労働安全衛生法に基づく健康診断に関する FAQ



まとめ

この記事では、企業が実施しなければならない健康診断について、以下の項目で解説しました。

  • 健康診断の実施義務について
  • 一般健康診断の5つの種類
  • 健康診断を実施する目的

健康診断の実施は、事業場の規模に関係なく、常時使用するすべての労働者に対して実施が義務付けられています。従業員の病気予防や早期発見、早期治療につなげられるほか、健診結果を踏まえて職場環境の改善策を講じることが可能です。

また、健康診断の種類として、雇い入れ時、1年に1回の定期健康診断などの種類があり、それぞれ実施タイミングや対象者が異なります。漏れなく適切に健康診断を実施するためには、従業員ごとに健康診断管理を行うことが重要です。

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