catch-img

従業員の健康診断・人間ドックの受診率を高める4つの取組みとは

企業における健康診断は、従業員の健康保持のために欠かせない取組みの一つですが、受診をしない従業員がいるケースもあります。

厚生労働省の『平成28年 国民生活基礎調査』によると、健康診断・人間ドックを受けなかった理由として、以下の内容が上位を占めています。

  • 「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」
  • 「時間が取れなかったから」
  • 「めんどうだから」

企業の人事・総務部門においては、従業員に健康診断・人間ドックの重要性を理解してもらい、受診を促すための取組みが必要です。この記事では、健康診断の受診状況や受診率を高めるための企業の取組みについて解説します。

出典:厚生労働省『平成28年 国民生活基礎調査の概況


目次[非表示]

  1. 健康診断・人間ドックの受診状況
  2. 健康診断・人間ドックの受診率を高める4つの取組み
  3. まとめ


健康診断・人間ドックの受診状況

健康診断・人間ドックの受診状況

厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況』を基に作成


厚生労働省の『2019年 国民生活基礎調査』によると、2019年の健康診断・人間ドックの受診率は20歳以上で69.6%でした。20歳以上(入院者を除く)の少なくとも半数以上は、1年のうちに健康診断・人間ドックを受診していることが分かります。

男女別の総数でみると、男性のほうが受診率が高い傾向があります。また、年齢階級別では、50〜59歳の受診率がもっとも高く、次いで40〜49歳、60〜69歳の順となっています。20代、30代は、受診率が60%台に留まっている状況です。

事業者による健康診断に限ってみると、事業者の健診実施は法令によって義務化されているため、90%以上の事業場が実施をしていますが、従業員の受診率は80%程度にとどまっています。

病気の早期発見・治療を行い、従業員の健康を保持するためにも、企業は健康診断を受診するよう適切に働きかけることが重要といえます。

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』/厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況



健康診断・人間ドックの受診率を高める4つの取組み

健康診断の受診率を高めるには、従業員の健康意識の向上をはじめ、受診しやすい環境の整備、健康診断に関する不安・懸念点を解消するための取組みが必要です。

労働安全衛生法』第66条第5項では、労働者は事業者が行う健康診断を受けなければならないと定められています。そのため、従業員は原則、受診を拒むことはできません。

しかし、「健診を受ける時間がない」「健康に自信があるから必要ない」という理由から受診を控える人もいます。

なかには、「受診費用・健診中の給与について分からない」という不安から、受診を控える人もいると考えられます。このような従業員の不安・懸念点を解消するには、以下のような取組みが求められます。


▼健康診断・人間ドックの受診率を高める取組み

取組み
目的・内容
具体例
①受診義務を周知する
受診義務を周知して、必要性を理解してもらう
  • 社内報や掲示板で受診義務について通知する
  • 疾病・健診に関する研修・面談を行う
②受診メリットを伝える
自分の健康状態を知ることで重大なリスクを低減する
  • 病気の早期発見・治療・生活習慣の改善につなげられること
  • 健診結果に応じて、産業医の意見や特定保健指導を受けられること
③複数の候補日を提示する
仕事やプライベートで忙しい従業員に受診を促す
  • 部署ごとの繁閑状況に応じて、実施日を分ける
  • 健康診断の候補日を周知し、メールやシステムなどで事前に希望日時をヒアリングする
  • 企業が提示した受診日・時間帯に受診が難しい場合には、業務量の調整や周囲のサポートを促す
④受診費用・給与・情報の取扱いについて説明する
健康診断にかかる費用や給与面、仕事への影響などの不安を解消する
  • 受診費用は企業が負担する
  • 健診中の賃金を支払う
  • 健康状態を理由とした不利益な取扱いをしない(解雇、退職勧奨、不当な配置転換・職位変更)
  • 労働関係法令に違反しない


なお、厚生労働省は、一般健康診断の受診に要した時間の賃金については、事業者が支払うことが望ましいとしています。

また、『健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』では、健診結果を理由として不利益な取扱いをすることを禁止しています。


従業員から健康診断の受診を拒否された場合の対応については、こちらの記事をご確認ください。

  会社で健康診断を実施するまでの流れと注意点 従業員数が多い会社では、健康診断の実施までに伴うさまざまな手続き・事務作業が煩雑になりやすいです。なかには、「どのように予約や準備を進めればよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。この記事では会社で健康診断を実施する際の流れと注意点について解説します。 first call


生活習慣病の改善に向特定保健指導については、こちらをご確認ください。

  特定保健指導の進め方とは? 従業員の生活習慣病予防を実現 生活習慣病の予防を目的として、高齢者の医療の確保に関する法律(以下、高齢者医療確保法)の第20条では、特定健康診査(以下、特定健診)の実施を義務づけています。特定保健指導とは何か、また企業で実施する際の進め方について解説します。 first call


健康診断の結果の取扱いについては、こちらの記事で解説しています。

  健康診断結果が届いたら? 取り扱いや保管方法を解説 健康診断の結果が届いたとき、「どのように取り扱えばよいか分からない」「保管しておく必要があるのか分からない」と悩む担当者の方もいるのではないでしょうか。この記事では、事業場における健康診断結果の取り扱いや保管期間、保管するうえでの3つのポイントについて解説します。 first call

出典:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』/厚生労働省『健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』『健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?』『健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?



まとめ

この記事では、健康診断・人間ドックの受診率を高める取組みについて、以下の項目で解説しました。

  • 健康診断・人間ドックの受診状況
  • 健康診断の受診率を高める取組み

健康診断・人間ドックの受診率は、約70%に留まっている状況です。従業員の受診率を高めるためには、受診しやすい環境の整備や健康意識の向上に向けた取組みが求められます。従業員に健康診断・人間ドックの必要性やメリットを理解してもらい、事前説明によって不安・懸念点を解消することで、受診の促進が期待できます。

なお、クラウド型健康管理サービス『first call』では、従業員の情報を登録することで健康診断の管理が可能です。

また、産業医と健診結果データを共有できるほか、健診後の産業医面談もオンラインで対応が可能です。健康診断結果をスムーズに把握できるだけではなく、その後の面談をオンラインで行えることは、従業員にとってもメリットといえます。


サービス詳細については、こちらからご確認いただけます。

  クラウド型健康管理サービス『first call』 | first call クラウド型健康管理サービス『first call』は、人とシステムの両方で企業の健康管理をサポートします。 first call


遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。新卒で大手証券会社入社。 その後、スタートアップ企業への転職を経て、2020年4月にメドピアに入社(Mediplat出向)。 クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。
first callの産業保健サービス