休職する部下への正しい上司の対応とは?3つの対応方法と事前の対策を解説
部下が心身の不調で働くことが困難になった場合、休職の申出を受けることがあります。
日頃の業務で関わりの深い上司にとってはつらいことですが、企業としては症状が深刻化する前に療養を促して、職場復帰に向けた支援をしていくことが大切です。
また人事・総務担当者は、休職者の上司に対して、対応方法を共有したり、場合によってはどう対応すべきか指示したりする必要があります。また、休職を予防するような仕組みづくりも求められます。
この記事では、部下が休職することになった際の上司に求められる対応と、休職者を出さないためのポイントについて解説します。
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休職する部下への上司の対応
部下が休職することになった場合、上司は部下の休職手続きを行う必要があります。また復職に当たっては、復職可否の判断や復帰支援プランの作成を関係者と連携して行う重要な役割を担います。
①人事・労務部門に連絡する
部下から主治医による診断書が提出された場合は、必ず人事・労務部門へ連絡します。
診断書を提出してもらう際は、休職が必要な理由や療養期間の見込みなどについて記載してもらうことが望ましいです。
また、休職者が安心して療養できるように、休職中の経済的・将来的な不安を軽減するための配慮も大切です。上司、または人事労務担当者が以下のような情報提供を行うことで、休職者の安心感につながります。
▼部下の安心感を醸成するための情報提供
- 傷病手当金をはじめとした経済的な保障
- 不安や悩みなどの相談先
- 民間・公的の職場復帰支援サービス
- 休職制度の説明役、休職可能な最長期間(会社の就業規則による)
出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
②休職中、必要に応じて連絡を取る
休職者が休職している期間中は、必要に応じて上司または人事・労務担当者が電話やメールなどで連絡を取るようにします。ただし、頻繁に連絡しすぎてしまうと、休職者が十分な療養にならないことがあるため、連絡するタイミングは、診断書や傷病手当金申請書などの提出といった必要なやりとりが生じるときが望ましいといえます。
また、病状・治療状況を確認するために、休職者本人に報告を依頼する際には、個人の状態に応じた連絡方法に配慮することが大切です。休職者への連絡対応で混乱を招かないように、対応窓口は一人に絞ることが望ましいです。一般的には人事・労務担当者が対応窓口になることが多いようです。
なお、休職者に対する連絡頻度や対応については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』/厚生労働省 こころの耳『第4回 休業中の社員への連絡と確認』
③復帰可否の判断と、復帰後のサポートについて関係者と連携して対応する
休職者が回復し復職を希望する場合には、主に事業場内の産業保健スタッフが中心となり、本人、家族、主治医からの情報、産業医の意見、そして管理監督者である上司の意見を勘案して、復職可否の判断や職場復帰支援プランの作成を行います。
主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません。
このため、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等について、産業医等が面談したうえでとるべき対応を検討し、意見を述べることが重要とされています。
また、職場復帰支援プランには、復職後の業務サポートの内容や方法、業務内容や業務量の変更、段階的な就業上の配慮、治療上必要な配慮など、管理監督者による就業上の配慮も盛り込みます。
具体的なプランの作成時には、部下に対して必要な情報収集・評価を行ったうえで、人事・労務担当者や産業保健スタッフと連携しながらプランの作成を進める必要があるでしょう。
出典:厚生労働省『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
休職者を出さないための対策
休職者を出さないためには、管理監督者である職場の上司が、部下が抱える心身の不調を予防・早期発見することがとても大切です。
気軽に相談できる環境をつくる
休職者を出さないための対策の一つに、部下が上司に相談しやすい職場環境や雰囲気を整えることが挙げられます。
職場の管理監督者となる立場の上司が部下の話を聞くことで、心の健康問題や、人間関係の問題を早期発見して適切に対処できます。
また、部下の自発的な相談だけでなく、長時間労働で過労となっている部下や、強いストレスを伴う出来事を経験した部下には、上司から積極的に声かけを行うことも大切です。
なお、管理監督者が従業員のメンタルヘルス不調の早期発見・予防につなげる“ラインケア”については、こちらの記事をご確認ください。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』
メンタルヘルス不調のサインに気づく
部下のメンタルヘルス不調を早期発見・早期対応するには、上司が“いつもと違う”部下に気づくことも重要です。
言動・性格などの面において、これまでの部下とは異なる様子が見られる場合には、心の健康問題やほかの病気のリスクが考えられます。いつもと違う行動の例としては、無断欠勤や遅刻、ミスの増加、活気のない表情などが挙げられます。
上司は、日頃から部下に関心を持って接して、いつもの行動様式や人間関係の持ち方について理解しておくことが大切です。
また、「いつもと違う」と感じた場合は、部下の話を聴くとともに、産業医への相談を促す、上司が産業医の助言を求めるといった対応が求められます。
部下のメンタルヘルス不調のサインについては、こちらの記事で解説しています。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』
必要に応じて産業医との面談を勧める
部下の様子に異変を感じた場合には、上司は産業医のところへ行かせる、あるいは管理監督者自身が産業医のところに相談に行くとよいでしょう。
心の健康問題の状態を判断することは難しく、部下への対応はケースごとに異なります。何らかの病気が隠れている可能性もあるため、医学的な観点から健康問題を把握・評価するためにも、産業医との面談が重要です。
上司は、日頃から部下の健康相談ができる産業医との面談体制を整えて、その旨を部下に周知しておくことも大切です。
産業医面談の実施目的や内容については、こちらをご覧ください。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』
まとめ
この記事では、休職する部下への対応について以下の内容を解説しました。
- 部下が休職する際の上司の対応
- 休職者を出さないための対策
部下から休職に関する診断書を提出されたら、上司は人事・労務部門へと連絡して、休職の手続きを進める必要があります。休職中は人事・労務担当者と連携して、必要に応じて休職者と連絡を取ります。
復職に当たっても、上司の協力は不可欠です。復職後の業務サポートの内容や方法、業務内容や業務量の変更、段階的な就業上の配慮、治療上必要な配慮を職場復帰支援プランに盛り込み、実施していきます。
また、休職者を出さないためには、メンタルヘルス不調の予防と早期発見が鍵となります。部下がストレスを一人で抱え込まないように、日ごろから上司や産業医などに相談できる環境づくりが求められます。
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