ストレスチェックの結果を生かそう! 職場環境改善の4つのポイント
近年、仕事や職業生活において強いストレスを感じている労働者が増えており、企業でのメンタルヘルス対策の重要性が高まっています。
労働者のストレス状況を把握する方法の一つに、“ストレスチェック”の実施が挙げられます。ストレスチェックを実施したあとは、高ストレス者へのケアに加えて、集団分析の結果を踏まえて職場環境の改善につなげることが重要です。
しかし、職場環境の改善に向けて「どのような取り組みが必要なのか」「ポイントや注意点など知りたい」と対応に悩んでいる人事・総務担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、メンタルヘルス対策を目的とした職場環境改善のポイントと注意点について解説します。
職場におけるストレスの原因や解消法については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』
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職場環境改善の4つのポイント
職場環境の改善によってメンタルヘルス不調を予防するには、物理的な環境や仕事量、人間関係などの面においてストレスを軽減することが重要です。
ここでは、職場環境を改善するポイントを4つ紹介します。
①適切な仕事量・裁量権を与える
仕事上のストレス対策として、適切な仕事量・裁量権を与えることが挙げられます。
厚生労働省の『職場における心の健康づくり』によると、職業生活におけるストレスの原因として、“仕事の量や質”が約6割を占めています。過大・過小な仕事量は、労働者のストレスを増大させる原因となるため、注意が必要です。
また、仕事の量や責任に対して「適切な裁量権がなく仕事がしにくい」といった状況も、ストレスや疲労につながるとされています。働きやすい職場環境にするには、長時間労働や過大な作業量をなくすとともに、仕事量や責任に見合う自由度・裁量権のバランスを整えることがポイントです。
さらに、仕事による過度な心理的な負荷が生じないように、労働者の能力や適性、職務内容に合わせて配慮することも大切です。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』/厚生労働省 こころの耳『職場環境改善ツール』『メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要』
②快適な作業スペースを確保する
快適な作業スペースを確保することも、職場環境改善のポイントの一つです。
仕事や職業生活のストレスは、照明やレイアウトなどの物理的な職場環境も深く関係しています。ストレスを軽減するには、仕事量に合わせた作業スペースを確保するとともに、照明や温度などを快適に保つことが重要です。
また、職場の文化や風土、作業効率などを考慮したレイアウトに見直したり、労働者の心身の疲労回復を図るための施設・設備を導入したりといった取り組みも有効です。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』/厚生労働省 こころの耳『メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要』
③良好な人間関係を構築する
職場環境を改善するには、上司や部下、同僚同士との人間関係にも目を向ける必要があります。
職業生活におけるストレスの原因には、“人間関係の問題”が約3割と多くの割合を占めています。職場内のパワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメントを含む人間関係の問題は、労働者のストレスにつながります。
人間関係によるストレスを防ぐためには、職場の人間関係問題を把握できるような体制づくりが必要です。具体的には、職場巡視による観察や、管理監督者による意見聴取、日頃の相談体制の整備などが挙げられます。
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』/厚生労働省 こころの耳『メンタルヘルス対策(心の健康確保対策)に関する施策の概要』
④意志決定の参加機会を設ける
仕事からくるストレスを軽減するために、職場の意志決定に参加できる機会を設けることも大切なポイントです。
会議の持ち方や情報の流れ方、職場組織のつくり方などの要素は、労働者のストレスに影響するといわれています。仕事の意義や達成感が感じられない場合には、ストレスにつながることがあります。
労働者のやる気を刺激して、ストレスを軽減するには、職場の意志決定に参加できる仕組みを整えることが重要です。
なお、ストレスチェックの集団分析については、こちらの記事をご確認ください。
ストレスチェックの集団分析とは? 実施のメリットや注意点を解説
出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』/厚生労働省 こころの耳『職場環境改善ツール』
職場環境改善を行う際の注意点
職場環境改善には3つの主導方式があり、誰が中心となって改善を進めていくかで大きく分けられます。自社の職場環境に合った方式で取り組むことが大切です。
経営層主導型
経営層主導型は、ストレスチェックの集団分析結果を基に、経営者が職場全体の対策を進める方式です。職場環境の課題が明確で、かつ経営層が明確な方針を指示できる場合に適しています。
▼経営層主導型のメリット・デメリット
メリット |
労働時間削減や人員配置などの職場全体の取り組みが可能 |
デメリット |
部署ごとの業務内容や課題については、適切に反映できない場合がある |
管理監督者主導型
管理監督者主導型は、部署・部門ごとの集団分析結果を踏まえて、管理監督者が対策を行う方式です。職場環境の課題が部署・部門ごとに異なる場合に適しています。
▼管理監督者主導型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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出典:厚生労働省『これからはじめる職場環境改善』
従業員参加型
従業員参加型は、各部署・部門の従業員が主体となり、対策の立案や計画の策定に参加する方式です。人間関係が良好で、問題解決に対して意欲がある部署・部門に適しています。
▼従業員参加型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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出典:厚生労働省『これからはじめる職場環境改善』
まとめ
この記事では、職場環境改善について以下の内容を解説しました。
- 職場環境改善の4つのポイント
- 職場環境改善を行う際の注意点
仕事・職業生活におけるストレスは、生産性やモチベーションの低下を招くだけでなく、メンタルヘルス不調につながるリスクがあります。
企業は、ストレスチェックを実施するとともに、集団分析によって職場の問題が見えた場合には改善策を講じることが重要です。その際、物理的な職場環境や仕事量、人間関係、組織体制などの面において、ストレスを軽減するための取り組みを行うことがポイントです。
経営層・管理監督者・従業員のどの立場の人が職場環境改善を主導するかによって、メリット・デメリットが異なるため、課題や組織体制に応じて選定する必要があります。
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