
ストレスチェックは委託すべき?費用や選び方、メリットを解説
2015年12月から、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年に1回のストレスチェックの実施が義務になりました。
さらに2025年5月の法改正で、これまで努力義務だった従業員50人未満の事業場でも、将来的にストレスチェックが義務化されることが決定しています。
企業規模に関わらず、従業員のメンタルヘルス対策はますます重要な課題となっているのです。
「ストレスチェック制度って、法律で決まったから仕方なくやるもの…」なんて思っていませんか?
この制度はただの義務ではないのです。従業員が自身のストレス状態を把握するきっかけになったり、企業全体の課題が見えやすくなったりと、職場環境をより良くするための大切な取り組みといえるでしょう。
とはいえ、人事や労務の担当者さんにとっては、「通常業務で忙しいのに、どのような方法で進めればいいの?」というのが本音ではないでしょうか。すべて自社で実施するべきか、専門的な知識を持つ外部機関に委託するべきか、判断に悩ましいところですよね。
この記事では、ストレスチェックの外部委託を検討している方のために、知っておきたい情報を詰め込みました。外部委託のメリットはもちろん、気になる費用や失敗しない委託先の選び方まで、分かりやすく解説していきます。
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目次[非表示]
ストレスチェックを委託するメリット
ストレスチェックを外部にお願いすることは、業務を外注するというだけではありません。
社内で実施するときに起こりがちな「担当者の負担」「従業員の不安」「専門知識の不足」という3つの課題をまとめて解決できる、メリットのある選択肢なのです。
ここでは、ストレスチェックを委託するメリットについて、詳しく解説していきます。
- 担当者の事務負担が減り本来のコア業務に集中できる
- 第三者機関への委託で匿名性が保たれ受検率が上がる
- 専門家の分析とアドバイスで職場改善が進む
担当者の事務負担が減り本来のコア業務に集中できる
ストレスチェックをすべて自社で実施すると、担当者の業務は想像以上に多くなってしまいます。
調査票の準備から配布、集計、結果の通知、医師による面接の手配など、やるべきことが山積みです。
これらの事務的な作業を専門の業者に委託することで、人事や労務の担当者は本来の業務に集中できるようになるでしょう。
例えば、分析結果をもとにした職場改善の企画など、より企業の成長につながる業務に時間を使えるようになり、業務の効率化も図れます。
第三者機関への委託で匿名性が保たれ受検率が上がる
従業員の方々が「この結果、評価に影響しないかな…」「個人情報が漏れたりしないだろうか…」と不安に感じてしまうと、正直な回答は得られにくいものです。
これが、ストレスチェック制度がうまく機能しない理由かもしれません。
その点、外部機関に委託すれば、完全に第三者が実施するため、匿名性がしっかりと守られます。
労働者も安心して正直に回答できるので、より信頼できるデータが集まるでしょう。この安心感は受検率アップにもつながり、職場全体の正確な状況を把握する上で大切なのです。
専門家の分析とアドバイスで職場改善が進む
ストレスチェックは、データを集計して終わりではありません。
その結果をどう分析し、具体的な改善に繋げるかが一番のポイントです。
外部の専門機関は、いわばデータ分析のプロです。多くの企業の事例を見ているので、社内の担当者だけでは気づきにくい問題点やストレスの原因を的確に見つけ出してくれます。
そして、客観的なデータに基づいた具体的な職場環境改善の提案をしてくれるでしょう。
ただ法令を遵守するだけでなく、従業員がもっと働きやすい環境をつくる「健康経営」につながるのです。
ストレスチェックの委託で任せられる業務範囲と会社の義務
外部委託はとても便利ですが、「どこまで委託できて、何が企業の責任として残るのか」その範囲を理解しておくことが必要です。
委託は責任の丸投げではなく、専門家との上手な役割分担と心得ておきましょう。
ここでは、ストレスチェックの委託で任せられる業務範囲について、詳しく解説していきます。
- 調査票の集計や面談勧奨など実務的な業務は委託可能
- 職場改善の判断など意思決定は会社の責任
- 実施者の選任や衛生委員会での審議は必須
調査票の集計や面談勧奨など実務的な業務は委託可能
ストレスチェックに関する実務的な業務の多くは、外部機関に委託することが労働安全衛生法で認められています。
委託が可能な業務範囲は、調査票の準備や集計、結果の通知、高ストレス者への面接指導の勧奨、医師との日程調整といった業務が挙げられます。
実施者(医師や保健師など)や実施事務従事者の代行、専門知識が必要な集団分析や、労働基準監督署への報告書作成のサポートも依頼できるでしょう。
職場改善の判断など意思決定は会社の責任
業務を委託したからといって、事業者としての最終的な責任がなくなるわけではありません。
特に、集団分析の結果を見て「職場環境をどう改善していくか」を判断し実行することや、医師の意見をもとに従業員の働き方を調整する就業上の措置といった最終的な決定は、企業の責任において行う必要があります。
実施者の選任や衛生委員会での審議は必須
ストレスチェック制度を適切に運用するには、まず社内での体制整備が必要です。
医師や保健師、または厚生労働省が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士といった資格を持つ「実施者」を選任しなくてはなりません。
また、ストレスチェックの実施方法や個人情報の取扱いといった大切なルールは、社内の「衛生委員会」で審議して決める必要があります。
このプロセス自体を外部に丸投げすることはできないので注意しましょう。
個人情報は厳重に管理し報告義務違反に注意
ストレスチェックで扱う情報は、とてもデリケートな個人情報です。
万が一、情報が漏れてしまった場合、たとえ委託先のミスであっても、事業者が責任を問われる可能性があります。
特に、労働者本人の同意なしに企業が個人の結果を見ることは、法律で禁じられています。
年に一度の労働基準監督署への報告義務とあわせて、法令違反にならないよう、情報管理体制をしっかりと整えていきましょう。
ストレスチェックの委託にかかる費用相場と料金の内訳
外部委託で気になるのは、やはり費用です。
料金プランは業者によって様々ですが、基本的な構造を知っておけば、自社に合ったサービスを選びやすくなるでしょう。
ここでは、ストレスチェックを委託するために必要な費用相場について、詳しく解説していきます。
項目 | 費用相場 | 備考 |
---|---|---|
初期費用/基本料金 | 0円-100,000円 | サービス登録やシステム設定にかかる一回限りの費用です。 |
実施料金(Web) | 300円-500円/人 | システム上で回答・集計するため比較的安価な傾向にあります。 |
実施料金(紙) | 450円-700円/人 | 印刷や郵送、データ入力の手間がかかるため少し割高です。 |
オプション料金 | ||
実施者代行 | 25,000円-50,000円 | 社内に実施者資格を持つ方がいない場合に必要です。 |
医師による面接指導 | 10,000円-50,000円/回 | 高ストレス者の申出があった場合に義務となる費用です。 |
集団分析レポート | 25,000円-100,000円/式 | 職場環境改善に不可欠。努力義務ですが強く推奨されます。 |
- 費用は初期費用と従業員一人あたりの料金が基本
- 医師の面接指導や詳細な集団分析は追加費用
- 料金だけでなくサポート内容を含めた費用対効果で判断
費用は初期費用と従業員一人あたりの料金が基本
委託費用は、大きく分けて「初期費用」と「実施料金」の2つで構成されています。
【初期費用】
サービスを導入する際にかかる基本料金です。相場は0円から10万円程度と幅広く、無料のところもあります。
【実施料金】
従業員一人あたりにかかる費用で、コストの大部分を占めます。Webでの受検なら一人300円~500円、紙の場合は450円~700円くらいが一般的な相場でしょう。
医師の面接指導や詳細な集団分析は追加費用
基本プランの他に、オプション料金がかかるケースも多いので注意が必要です。
例えば、高ストレス者への医師による面接指導は企業の義務であり、費用も事業者負担となります。
1回あたり1万円~5万円ほどが相場です。
また、職場改善に欠かせない集団分析も、法律上は努力義務のためオプション扱いになっていることも多いです。報告書作成に2万5,000円~10万円程度の費用が発生することもあります。
料金だけでなくサポート内容を含めた費用対効果で判断
委託先を選ぶとき、つい料金の安さだけで決めてしまいがちですが、それは少し危険かもしれません。
安いプランは最低限の機能しかなく、後からオプションを追加していくうちに、結局高くついてしまう可能性もあります。
大切なのは、提供されるサポート内容全体を見て、総合的な費用対効果で判断することです。
質の高い分析や手厚いフォロー体制など、自社の目的に合ったサービスかしっかりと比較検討しましょう。
失敗しないストレスチェック委託先の選び方【5つの比較ポイント】
委託先の選定は、従業員の健康を任せる大切なパートナー選びです。
検査をして終わりではなく、その後の改善まで一緒に考えてくれる、信頼できる外部機関を見つけるための5つの比較ポイントを解説します。
- 高ストレス者への面接指導などフォロー体制が手厚い
- Pマーク取得など個人情報を守るセキュリティが万全
- 職場環境の改善に繋がる質の高い集団分析と提案力
- 自社の産業医とスムーズに連携できる体制
- Webや紙など従業員が受検しやすい実施方法
高ストレス者への面接指導などフォロー体制が手厚い
高ストレス状態の従業員を早期に発見し、適切なケアに繋げることがストレスチェックの大きな目的です。
そのため、委託先のフォロー体制が充実しているかは、重要なポイントといえるでしょう。
医師による面接指導がスピーディーに行えるかはもちろん、全従業員がいつでも相談できるカウンセリング窓口のようなサービスがあると、より安心です。
クラウド型健康管理サービス「first call」のように、24時間365日、匿名で医師にチャットで健康相談ができるものもあり、こうしたサポートはメンタル不調の予防にもつながるでしょう。
Pマーク取得など個人情報を守るセキュリティが万全
ストレスチェックの結果は、非常にデリケートな個人情報です。
委託先のセキュリティ体制がしっかりしていることは、従業員が安心して検査を受検するための大前提といえます。
選ぶ際には、「プライバシーマーク(Pマーク)」や国際規格である「ISMS」認証を取得しているかを確認しましょう。
職場環境の改善に繋がる質の高い集団分析と提案力
ストレスチェックを最大限に活用するには、組織全体の課題を見つけ出し、職場環境の改善に繋げる必要があります。
そのためには、質の高い集団分析と、それに基づいた具体的な提案力が委託先に求められます。
良い委託先は、ただデータを並べた報告書を出すだけではありません。部署別や年齢別など、様々な角度から分析し、ストレスの原因となっている課題を分かりやすく示してくれます。
自社の産業医とスムーズに連携できる体制
すでに企業に産業医がいる場合、その産業医と外部の委託先がスムーズに連携できるかはとても重要です。
厚生労働省も、日頃から職場の状況を把握している自社の産業医が、外部機関と「共同実施者」として関わることを推奨しています。
現場を知る産業医の知見と、外部機関の専門的な分析力を組み合わせることで、より効果的なストレスチェックが可能になるでしょう。
「first call」のようなサービスでは、企業の産業医との連携を前提とした柔軟なシステム設計となっており、オンライン面談などを活用してスムーズな連携をサポートする体制を構築できます。
Webや紙など従業員が受検しやすい実施方法
従業員がストレスなく受検できるよう、様々な実施方法に対応しているかも確認しておきたいポイントです。
PCやスマートフォンで手軽に受けられるWeb受検はとても便利ですが、工場や店舗など、PCをあまり使わない職場では、紙での受検も必要になるでしょう。
また、外国語を話す従業員がいる場合は、英語や中国語などの多言語対応も欠かせません。
自社の状況に合わせて、最適な方法を選択できる委託先を探しましょう。
ストレスチェックを委託する際の注意点
良い委託先が見つかっても、それで終わりではありません。
「あとはお任せ」という姿勢では、せっかくの取り組みも効果が半減してしまうかもしれません。
企業が主体的に関わり続けることが、成功のために重要なのです。
ここでは、ストレスチェックを委託する際の注意点について、詳しく解説していきます。
- 委託業者に任せきりにせず会社が主体的に関わる
- 自社に産業医がいる場合は共同実施者にする
- 従業員への目的やプライバシー保護の周知を徹底する
委託業者に任せきりにせず会社が主体的に関わる
外部委託は、あくまで業務を効率化し、専門家の力を借りるための手段です。
ストレスチェック制度の最終的な責任者は事業者であり、目的を達成するために主体的に関わることが欠かせません。
例えば、集団分析の結果を受け止め、職場をどう改善していくかを考えるのは企業の役割です。
委託先を頼れるパートナーとしつつも、自分たちが主導権を握るという意識を持ちましょう。
自社に産業医がいる場合は共同実施者にする
もし自社に産業医がいるなら、ぜひ「共同実施者」としてストレスチェックに関わってもらいましょう。
これは厚生労働省も推奨している方法です。
日頃から職場の様子を見ている産業医は、外部の専門家には分からない社内の事情をよく理解しています。
その現場感覚と、委託先の客観的なデータ分析を組み合わせることで、より的確なフォローや職場改善が可能になるでしょう。
従業員への目的やプライバシー保護の周知を徹底する
従業員に安心して受検してもらうためには、事前の丁寧な説明が大切です。
「これは評価のためではなく、皆さんのセルフケアと働きやすい職場づくりのためのものです」「個人の結果は本人の同意なしに会社に伝わることは絶対にありません」といった点を、しっかりと伝えましょう。
【まとめ】最適なストレスチェックの委託で職場環境の改善を
ここまで、ストレスチェックを外部に委託するメリットや選び方のポイント、注意点などを解説してきました。
外部委託は、担当者の負担を軽くするだけではなく、匿名性を確保して従業員の安心感につなげ、専門家による集団分析で、意味のある職場環境の改善を実現するためのメリットのある選択肢です。
大切なのは、料金の安さだけで決めないこと。
高ストレス者への手厚いフォロー体制やセキュリティ、自社の産業医との連携まで含めた、トータルでの費用対効果で判断することが成功のポイントです。
そして、委託した後も企業として主体的に関わっていく姿勢が、制度をより良いものにしていくのです。
「うちの会社に合ったやり方で、従業員の健康管理をしっかり進めたいな」もし、そうお考えでしたら、クラウド型健康管理サービス「first call」を検討してみてはいかがでしょうか。
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