
安全衛生委員会の議事録に記載する項目とは?作成のポイントや保存期間のルールを解説
安全衛生委員会の開催は、一定規模以上の事業場において法的な義務ですが、開催後の「議事録」の作成と管理も同様に重要です。
毎月の委員会活動を適切に記録し、従業員へ周知することは、コンプライアンス遵守だけでなく、職場環境の改善という実質的な効果を高めるためにも欠かせません。
しかし、実際の現場では「どのような項目を記載すればよいのか」「保存期間や保管方法は決まっているのか」といった疑問を持つ担当者の方も多いのが実情です。
議事録の作成に不備があれば、労働基準監督署からの指摘を受けるリスクもあります。
本記事では、安全衛生委員会の議事録について、労働安全衛生法に基づく正しい書き方や保存ルール、効率的な運用方法を解説します。
テンプレートの活用法や、マンネリ化を防ぐための産業医との連携ポイントについても触れていますので、ぜひ自社の安全衛生管理にお役立てください。
もし、産業医の選任や安全衛生委員会の運営について、「効率よく進めたい」「経験豊富な産業医にお願いしたい」とお考えなら、クラウド型健康管理サービス「first call」をチェックしてみてください。
目次[非表示]
- ・安全衛生委員会の議事録作成の義務と罰則・目的
- ・安全衛生委員会の議事録の書き方と5つの記載項目
- ・開催日時と場所は実施証明として正確に記録する
- ・出席者の氏名と役職で労使対等な構成を示す
- ・審議と報告事項には具体的な決定内容を盛り込む
- ・議長のコメントで責任の所在を明確にする
- ・産業医のアドバイスは専門的知見として残す
- ・安全衛生委員会の議事録の保存期間は3年間で電子データ保管も可能
- ・安全衛生委員会の議事録を従業員へ周知する具体的な方法
- ・安全衛生委員会の議事録におけるプライバシー配慮と個人情報の取扱い
- ・安全衛生委員会の議事録の無料テンプレートとフォーマットの活用
- ・安全衛生委員会の議事録における産業医のアドバイスと連携
- ・安全衛生委員会の議事録に関するよくある質問
- ・【まとめ】安全衛生委員会の議事録は正しく作成して周知と保存を徹底しよう
安全衛生委員会の議事録作成の義務と罰則・目的
安全衛生委員会を開催した際は、必ず遅滞なく議事録を作成しなければなりません。
これは社内記録だけではなく、法律で定められた事業者の義務です。
ここでは、法的根拠や作成の目的について解説します。
- 労働安全衛生法で作成が義務付けられている
- 未作成時は労働基準監督署から是正勧告の可能性
- 議事録は労働災害防止や職場環境改善に活かす
労働安全衛生法で作成が義務付けられている
安全衛生委員会の議事録作成は、労働安全衛生規則第23条によって義務付けられています。
事業者は委員会を開催するたびに、議事で話し合われた内容を記録し、書面または電子データとして保存しなければなりません。
記録すべき内容は法律で定められており、適当なメモ書き程度では不十分です。
後述する必須項目を網羅した正式な記録として残す必要があります。
未作成時は労働基準監督署から是正勧告の可能性
議事録を作成していなかったり、保存期間を守っていなかったりする場合、労働安全衛生法違反として是正勧告の対象となります。
労働基準監督署の臨検(立ち入り調査)があった際、安全衛生委員会の議事録は必ず確認される重要書類の一つです。
もし不備が見つかれば、行政指導や是正勧告を受ける可能性があります。
「忙しくて作っていなかった」という言い訳は通用しないため、毎月確実に作成する体制を整えることが重要です。
議事録は労働災害防止や職場環境改善に活かす
議事録の作成は、法令遵守のためだけに行うものではありません。
過去の審議内容や決定事項を振り返ることで、安全衛生活動のPDCAサイクルを回す資料となります。
例えば、過去に発生した労働災害の対策がその後どのように実施されているか、健康診断の結果を受けてどのような改善が行われたか、などを追跡できます。
形式的な作成作業に終わらせず、実質的な職場環境改善のツールとして活用しましょう。
安全衛生委員会の議事録の書き方と5つの記載項目
議事録には、必ず記載しなければならない重要項目が法律で定められています。
これらが漏れていると、法的な要件を満たさない可能性があるため注意が必要です。
ここでは、議事録に盛り込むべき5つの記載項目について解説します。
- 開催日時と場所は実施証明として正確に記録する
- 出席者の氏名と役職で労使対等な構成を示す
- 審議と報告事項には具体的な決定内容を盛り込む
- 議長のコメントで責任の所在を明確にする
- 産業医のアドバイスは専門的知見として残す
開催日時と場所は実施証明として正確に記録する
いつ、どこで開催されたかは、委員会が適正に実施されたことを証明する基礎情報です。
開催日時は「〇年〇月〇日 〇時〇分~〇時〇分」と日時と場所を正確に記載します。
オンラインで開催した場合も、その旨と使用したツール(Zoom、Teamsなど)を併記しておくとよいでしょう。
毎月1回以上の開催義務を果たしていることを客観的に示す証拠となります。
出席者の氏名と役職で労使対等な構成を示す
出席した委員の氏名は全員分記載します。
その際、誰が議長で、誰が事業者側委員、誰が労働者側委員であるかが分かるように役職や立場も明記して記録します。
安全衛生委員会は労使対等の立場で話し合うことが求められるため、出席者の構成が偏っていないことを記録上で示す必要があります。
欠席者がいる場合も、その氏名を記載しておくと管理しやすいでしょう。
審議と報告事項には具体的な決定内容を盛り込む
委員会で話し合われたテーマ(議題)と、それに対する意見、決定事項を記載します。
「長時間労働について話し合った」とするだけでなく、「前月の残業時間が45時間を超えた部署へのヒアリング実施を決定した」のように具体的な数値を交えて記録に残すことが重要です。
また、2024年の化学物質規制の見直しにより重要性が増している「化学物質のリスクアセスメント結果」についても、対象となる化学物質を使用する事業場では委員会での報告・審議が求められるケースが増えています。
数値データや具体的な対策案を記録することで、次回の委員会での振り返りがスムーズになります。
議長のコメントで責任の所在を明確にする
審議の結果、統括安全衛生管理者である議長がどのような判断を下したかを記録します。
委員会の決定事項に対して事業者が責任を持って取り組む姿勢を示すためにも重要です。
議長の総括や承認のコメントがあることで、議事録としての信頼性が高まります。
産業医のアドバイスは専門的知見として残す
産業医が出席している場合、専門的な見地からの指導や助言内容は必ず記載します。
労働者の健康管理において、産業医の専門的な助言や意見は非常に重要です。
産業医の意見は、事業者の安全配慮義務を果たす上でもとても重要な証拠となります。
万が一の労災発生時などに、専門家の意見を聞いていたかどうかが問われることもあります。
産業医の選任や、安全衛生委員会の運営をお考えなら、「first call」をご活用ください。
経験豊富な産業医の紹介から、オンライン面談システムの導入まで、ワンストップでサポートいたします。
安全衛生委員会の議事録の保存期間は3年間で電子データ保管も可能
作成した議事録は、一定期間保存することが義務付けられています。
また、近年はペーパーレス化に伴い、電子データでの保存も認められています。
ここでは、保存期間と保管方法のルールについて解説します。
- 労基署の臨検に備えて過去3年分を確実に保管する
- 電子データ保存で検索性と管理効率を高める
- 押印は必須ではないが真正性の担保として扱う
労基署の臨検に備えて過去3年分を確実に保管する
労働安全衛生規則により、議事録の保存期間は「作成の日から3年間保存しなければなりません」と定められています。
直近のものだけでなく、過去3年分はいつでも取り出せるように整理して保管しておく必要があります。
労働基準監督署の調査が入った際は、過去に遡って提出を求められることが一般的です。
紛失や廃棄がないよう、ファイリングやフォルダ管理を徹底します。
電子データ保存で検索性と管理効率を高める
議事録は紙で保存する必要はなく、PDFなどの電子データ形式で保存することも可能です。
電子保存にすることで、保管スペースの削減や検索性の向上といったメリットがあります。
ただし、電子保存の場合は、見読性(モニター等ですぐに読める状態)と保存性(改ざん防止など)を確保する必要があります。
クラウドストレージなどを活用し、関係者がアクセスしやすい環境を整えるとよいでしょう。
押印は必須ではないが真正性の担保として扱う
以前は議事録に議長や出席者の押印を求めるケースが多くありましたが、法的に押印は必須要件ではありません。
特に電子データ化が進む中で、押印の手間を省く企業も増えています。
しかし、内容の真正性を担保するため、あるいは社内承認のプロセスとして、電子署名や承認ワークフローの記録を残すことは有効です。
押印を廃止する場合でも、誰がいつ承認したかが分かる仕組みにしておくことを推奨します。
安全衛生委員会の議事録を従業員へ周知する具体的な方法
作成した議事録は、委員会メンバーだけでなく、全従業員に周知する義務があります。
労働者が職場の安全衛生活動について知る権利を保障するためです。
ここでは、適切な周知方法について解説します。
- 掲示やメールなどで全従業員に確実に周知する
- 派遣社員も周知対象に含めて情報共有を行う
掲示やメールなどで全従業員に確実に周知する
法律では、以下のいずれかの方法で周知することとされています。
- 作業場の見やすい場所に常時掲示し、または備え付けること
- 書面を労働者に交付すること
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること(社内イントラネットやメールなど)
現在は、社内ポータルサイトへの掲載や全社メールでの配信が一般的かつ効率的です。
「見ようと思えばいつでも見られる状態」にしておくことがポイントです。
派遣社員も周知対象に含めて情報共有を行う
同じ職場で働く派遣社員も、安全衛生管理の対象に含まれます。
そのため、議事録の周知対象には派遣社員も含めて情報共有を行う必要があります。
派遣社員にも社内イントラネットのアクセス権限を付与するか、掲示板で見られるようにするなど、情報格差が生まれないよう配慮します。
安全衛生委員会の議事録におけるプライバシー配慮と個人情報の取扱い
議事録を全従業員に公開する際、気をつけなければならないのが個人情報の適切な取扱いです。
特に健康に関する情報は機微な情報であるため慎重な対応が求められます。
ここでは、プライバシー保護の観点からの注意点を解説します。
- 健康情報などの個人特定データは黒塗りにする
- 要配慮個人情報の漏洩を防ぐ管理体制を整える
健康情報などの個人特定データは黒塗りにする
健康診断の結果や、ストレスチェックの集団分析結果などを審議する場合、個人が特定できる情報は議事録に記載してはいけません。
「Aさんの健康診断結果」などと書くのはNGです。
全社周知用の議事録では、個人名を伏せるか、「黒塗りなどの加工処理」をして公開します。
個人のプライバシーを守りつつ、職場の課題として共有するバランス感覚が必要です。
要配慮個人情報の漏洩を防ぐ管理体制を整える
健康情報は「要配慮個人情報」に該当し、本人の同意なく第三者に提供することは原則禁止されています。
議事録の作成担当者は、この点を十分に理解し、不用意に個人情報を記載しないよう注意しなければなりません。
産業医と相談し、どこまでを公開情報とするか事前にルールを決めておくのが無難です。
安全衛生委員会の議事録の無料テンプレートとフォーマットの活用
議事録を一から作成するのは手間がかかります。
効率的に作成するために、労働局が公開しているテンプレートを活用するのがおすすめです。
ここで、実際に使いやすい議事録テンプレートのイメージをご紹介します。
自社でこれらを網羅したフォーマットを作成するか、既存のテンプレートを調整する際の参考にしてください。
- 理想的な議事録テンプレートの構成例
- 無料で公開されているフォーマットを活用する
- 自社に合わせてテンプレートをカスタマイズする
理想的な議事録テンプレートの構成例
法令要件を満たしつつ、実用的な議事録とするためには、以下のようなレイアウトが推奨されます。

【テンプレートに含めるべき主要素】
- 基本情報ヘッダー: 開催日時、場所、出席者(会社側・労働者側・産業医)
- 報告事項エリア: 産業医面談数、長時間労働者数、職場巡視の結果など
- 審議事項エリア: 今月のテーマ、議論の内容、決定事項
- 産業医コメント欄: 専門的な助言を記載するスペース
- 次回予定: 次回の日時と予定テーマ
これらが一目でわかるように配置されていると、後から見返した際も状況が把握しやすく、労基署への提示もスムーズです。
無料で公開されているフォーマットを活用する
各都道府県の労働局が、安全衛生委員会の議事録テンプレートをWord形式やExcel形式のファイルで公開している場合があります。
ダウンロードしたテンプレートを使用する際は、労働安全衛生規則で定められた必須記載項目が網羅されているかを確認してから使用しましょう。
まずはこれらをダウンロードして使用してみるのが近道です。
自社に合わせてテンプレートをカスタマイズする
無料テンプレートをベースにしつつ、自社の運用に合わせて使いやすくカスタマイズするとさらに効率的です。
例えば、毎回確認する定型項目(長時間労働者数、巡視結果など)をあらかじめ記載しておくことで、記入の手間を省けます。
安全衛生委員会の議事録における産業医のアドバイスと連携
議事録の質を高め、マンネリ化を防ぐには、医学の専門家である産業医の関与が欠かせません。
産業医は医学の専門家であり、職場改善を共に進める頼れる存在です。
ここでは、産業医との連携ポイントについて解説します。
- マンネリ化防止へ産業医の助言を取り入れる
- 産業医選任サービスで運営と記録を効率化する
マンネリ化防止へ産業医の助言を取り入れる
毎月開催していると、議題が枯渇し、報告だけの単調な会議になりがちです。
そんな時こそ、産業医に「季節ごとの健康テーマ」や「最新の労働衛生トピック」について講話してもらい、その講話の内容を議事録に積極的に残しましょう。
「今月は熱中症対策について産業医から話を聞いた」という記録があるだけでも、議事録の価値が上がり、従業員の関心も高まります。
産業医を出席者というだけではなく、議題の提供者として巻き込むことがポイントです。
産業医選任サービスで運営と記録を効率化する
自社だけで委員会運営や議事録作成を行うのが負担な場合は、産業医選任サービスの活用も検討しましょう。
例えば、「first call」では、産業医の選任だけでなく、衛生委員会の議事録や産業医面談の管理もシステム上で行うことができます。
経験豊富な産業医の紹介が可能であるため、委員会運営への的確なアドバイスが得られ、議事録の内容も充実します。
産業医との連携強化や業務効率化を検討中の方は、「first call」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
安全衛生委員会の議事録に関するよくある質問
最後に、安全衛生委員会の議事録に関するよくある質問に、Q&A形式でわかりやすく解説します。
- 産業医が委員会を欠席した場合の意見聴取はどうすればよいですか?
- オンラインで開催した場合の議事録はどのように作成すればよいですか?
- 50人未満の事業場でも安全衛生委員会の議事録作成は必要ですか?
産業医が委員会を欠席した場合の意見聴取はどうすればよいですか?
産業医の委員会出席は法律上の出席義務までは課されていませんが、その専門的知見は不可欠です。
業務の都合などで出席できない場合でも、後日必ず議事録や資料を確認してもらい、意見を聴取しましょう。
聴取した意見は議事録に追記するか、別紙として保存します。
産業医の意見が全く反映されない状態が続くと、委員会の形骸化(名義貸し状態)とみなされるリスクがあるため注意が必要です。
オンラインで開催した場合の議事録はどのように作成すればよいですか?
オンライン開催の場合も、通常の対面開催と同様に議事録を作成します。
開催場所の欄には「オンライン会議システム(Zoom等)にて実施」と記載し、出席者欄にはオンライン参加者を明記します。
内容の確認は、電子メールでの回覧や電子署名を用いることで、押印の代わりとなります。
50人未満の事業場でも安全衛生委員会の議事録作成は必要ですか?
従業員50人未満の事業場には、安全衛生委員会の設置義務はありません。
しかし、安全衛生に関する事項について、労働者の意見を聴くための機会を設けるよう努める必要があります(関係者による懇談会など)。
法的な作成義務はありませんが、後のトラブル防止や活動の継続性の観点から、話し合った内容を記録(議事録)として残しておくことは強く推奨されます。
【まとめ】安全衛生委員会の議事録は正しく作成して周知と保存を徹底しよう
安全衛生委員会の議事録は、コンプライアンス遵守の証拠であると同時に、より良い職場環境を作るための価値ある記録です。
必須項目を漏れなく記載したうえで3年間適切に保存することを徹底し、全従業員に周知して情報を共有することが求められます。
マンネリ化しがちな委員会活動を活性化させるには、産業医の専門知見を積極的に借りるのが有効な解決策の一つです。
「first call」の産業医選任サービスを利用すれば、経験豊富な産業医の紹介を受けられるだけでなく、煩雑な安全衛生委員会の運営や産業医面談の効率化も可能になります。
まずは現在の議事録フォーマットを見直し、産業医と連携しながら、実のある記録作成を目指してみてはいかがでしょうか。



























