
EAP(従業員支援プログラム)とは?導入のメリットや費用、選び方を解説
近年、「従業員のメンタルヘルス」という言葉をよく耳にしませんか?働き方の変化が著しい現代社会において、従業員の心身の健康は、もはや個人の問題だけではありません。
企業の成長を左右する、とても重要な経営課題となっているのです。
そこで今、多くの企業から注目を集めているのが「EAP(従業員支援プログラム)」という仕組みです。
EAP(Employee Assistance Program)という制度について知っておくと、企業にとっても多くのメリットがあります。
この記事では、「EAPってそもそも何?」という基本的な定義から、導入のメリット、自社に合ったサービスの選び方や気になる費用、そして導入後の効果的な運用方法まで、人事労務の担当者や経営者が知りたい情報を分かりやすく解説していきます。
EAPの導入を具体的に検討するなら、まずは専門のサービス提供会社に相談してみるのが近道です。
たとえば、オンライン医療相談から産業医の選任、ストレスチェックまでワンストップで提供する「first call」のようなサービスは、初めて産業医を選任する企業にとっても心強い味方になるでしょう。
専門家のサポートを受けながら、企業の健康管理体制を整えることができます。
目次[非表示]
- ・EAP(従業員支援プログラム)とは?
- ・EAP(従業員支援プログラム)の内部型と外部型の違いとは
- ・なぜ企業にEAP(従業員支援プログラム)の導入が必要なのか
- ・EAP(従業員支援プログラム)導入のメリットとは
- ・EAP(従業員支援プログラム)の具体的なプログラム内容とは
- ・自社に合うEAP(従業員支援プログラム)プログラムの選び方
- ・EAP(従業員支援プログラム)導入にかかる費用の目安とは
- ・EAP(従業員支援プログラム)導入後の効果的な運用と周知方法
- ・EAP(従業員支援プログラム)の導入や運用に関するよくある質問
- ・EAPの導入は法律で義務付けられていますか?
- ・EAPは福利厚生とは違うのですか?
- ・EAPでの相談内容は会社に報告されますか?
- ・メンタル不調の従業員にEAPの利用を強制できますか?
- ・パートやアルバイトの従業員もEAPの対象ですか?
- ・【まとめ】EAPとは企業の成長と従業員支援を両立するプログラム
EAP(従業員支援プログラム)とは?
EAP(Employee Assistance Program)とは、従業員が仕事やプライベートで抱える問題が、業務パフォーマンスや心と体の健康に悪い影響を与えないように支援する総合的なプログラムのことです。
企業が外部の専門機関と契約し、従業員やその家族が専門家によるカウンセリングなどを、多くの場合無料で受けられるようにする仕組み、と考えると分かりやすいでしょう。
ここでは、EAPの概要について解説していきます。
- 社外の専門家が従業員の悩みを支援する仕組み
- 起源はアメリカでのアルコール問題対策
- 厚生労働省が推奨するメンタルヘルスケアの一環
社外の専門家が従業員の悩みを支援する仕組み
EAPの大きな特徴は、企業の外部にいる専門家が従業員の支援を行う点です。
臨床心理士や公認心理師、産業カウンセラーのような専門スタッフが、中立的な立場で誰にも気兼ねすることなく相談に対応してくれます。
相談できる悩みは、メンタルヘルスの不調だけではありません。
職場の人間関係やハラスメント、キャリアの悩みから、育児や介護といった家族の問題まで、仕事のパフォーマンスに影響しそうなあらゆる問題が対象となります。
従業員が直接、外部の専門機関に相談できるので、心理的なハードルがぐっと下がり、問題が大きくなる前に早期解決しやすくなるのです。
起源はアメリカでのアルコール問題対策
EAPが生まれた背景は、1940年代から1960年代のアメリカにあります。
当時は、従業員のアルコール依存症が産業界の社会問題となり、企業の生産性を大きく下げていました。
そこで企業は、「問題を抱えた熟練の従業員を辞めさせて新しい人を雇うより、治療を支援して復帰してもらった方が、コストも生産性も良いのでは?」と考えたのです。
この考え方が、現在のEAPの元になりました。
もともとは経営的な視点から始まったこの取り組みは、やがてメンタルヘルス全般へと対象を広げ、現在の包括的な支援プログラムへと発展していったという歴史があります。
厚生労働省が推奨するメンタルヘルスケアの一環
日本でも、EAPは厚生労働省がすすめるメンタルヘルスケアの重要な取り組みの一つと位置づけられています。
厚生労働省の指針では、企業が従業員の心の健康を守るために取り組むべきこととして「4つのケア」を挙げています。
- セルフケア:従業員自身がストレスに気づき、対処する。
- 事業場外資源によるケア:社外の専門機関などを活用する。
EAPは、この4番目の「事業場外資源によるケア」にあたります。
上司との関係のようなデリケートな問題は、社内の人には相談しにくいものです。だからこそ、プライバシーが守られる外部の専門機関を効果的に活用することが大切だと、国も認めているのです。
EAP(従業員支援プログラム)の内部型と外部型の違いとは
EAPには、社内に相談窓口を置く「内部EAP」と、外部の専門機関に委託する「外部EAP」があります。
現在、多くの企業で主流となっているのは「外部EAP」です。それぞれの違いや特徴を知って、自社に合う形を考えてみましょう。
比較項目 | 内部EAP | 外部EAP |
---|---|---|
秘匿性・プライバシー | 「社内の人に見られるかも」という心配から、利用をためらう可能性がある | プライバシーが守られやすく、デリケートな問題も安心して相談しやすい |
専門性 | 会社のことはよく分かっているが、対応できる専門分野が限られがち | 色々な分野の専門家がいて、幅広い問題に専門的に対応できる |
コスト | 専門スタッフを雇う人件費で高額になりやすい | 従業員1人あたり月額数百円からと、コストを抑えやすい |
対応範囲・利便性 | 社内連携がスムーズで、素早い対応が期待できる | 全国の拠点に対応可能。24時間対応のサービスも多い |
- 社内設置の内部EAPは相談しやすいが専門性に課題
- 外部委託の外部EAPは専門性と秘匿性が高く主流
- 両者のメリットを活かすハイブリッド型のEAPもある
社内設置の内部EAPは相談しやすいが専門性に課題
内部EAPは、カウンセラーなどの専門スタッフを企業が直接雇用し、社内に相談窓口を設ける形です。
社内の事情に詳しいため、きめ細やかな支援が期待できるのがメリットといえるでしょう。
一方で、「相談内容が人事評価に影響するのでは?」という従業員の不安が利用の壁になることもあります。
また、専門家を常に社内に常駐させるための人件費は高くなりがちです。
外部委託の外部EAPは専門性と秘匿性が高く主流
外部EAPは、専門のサービス提供会社と契約する形で、こちらが現在の主流です。
最大のメリットは、第三者機関なのでプライバシーがしっかりと守られることでしょう。従業員は安心して悩みを打ち明けられます。
また、多様な専門家がそろっているため、幅広い問題に対応できるのも強みです。
コスト面でも、従業員一人当たりの月額料金制が多く、費用を抑えやすいという利点があります。
両者のメリットを活かすハイブリッド型のEAPもある
ハイブリッド型は、社内に担当者を置きつつ、専門的な相談は外部機関に任せるという、いわば「いいとこ取り」の形です。
社内の事情への理解と、外部の専門性・秘匿性の両方を活かしたい場合に選択されることがあります。
なぜ企業にEAP(従業員支援プログラム)の導入が必要なのか
EAPの導入は、従業員のためだけではありません。
企業の法律上の責任を果たし、経営リスクへの対策を講じ、成長を続けるために必要な経営戦略なのです。
ここでは、企業にEAPの導入が必要な理由について、詳しく解説していきます。
- 企業の法的な安全配慮義務を果たすため
- 従業員のメンタル不調による経営リスクへの対策
企業の法的な安全配慮義務を果たすため
企業には、法律で「安全配慮義務」というものが定められています。
これは、従業員が安全で健康に働けるように配慮する義務のことで、体の健康だけでなく「心の健康」も含まれます。
もし、企業が適切な対策を怠った結果、従業員がメンタルヘルス不調に陥ってしまった場合、この義務を果たさなかったとして損害賠償を求められる可能性もあります。
EAPを導入することは、企業が従業員の健康を守る責任をしっかりと果たしている、という具体的な証拠になるでしょう。
従業員のメンタル不調による経営リスクへの対策
従業員の心の不調は、企業にとって大きな経営リスクとなります。
たとえば、不調を抱えたまま出勤しても本来の力は発揮できません。これによって組織全体の生産性を下げてしまうのです。
また、メンタル不調が原因で休職や離職に至れば、その人材を育てるのにかかったコストが無駄になるだけではなく、新しい人を採用するためのコストも発生します。
EAPは、問題が深刻になる前に専門家が介入することで、こうした経営リスクを減らすことにつながるのです。
EAP(従業員支援プログラム)導入のメリットとは
EAPを導入することで、企業、従業員、そして管理職のそれぞれにとって、大きなメリットがあります。
ここでは、企業がEAPを導入することで得られるメリットについて、詳しく解説していきます。
- 企業の生産性向上と経営の安定
- 従業員が安心して悩みを相談できる環境
- 管理職のメンタルケアに関する負担を軽減
企業の生産性向上と経営の安定
従業員が抱える悩みに早期に対応できれば、仕事のパフォーマンスが下がるのを防げます。
これにより、組織全体の生産性が向上するでしょう。
また、メンタルヘルス不調による休職や離職が減ることで、人材が定着し、安定した企業経営につながります。
従業員が安心して悩みを相談できる環境
従業員にとって一番のメリットは、何といっても安心して相談できる場所ができることです。
EAPは社外の機関が運営するため、相談内容が企業に伝わる心配がありません。
上司との人間関係のような、社内では言いにくいことも気兼ねなく相談できます。
それだけでなく、無料で気軽に利用できるのも嬉しいポイントでしょう。
管理職のメンタルケアに関する負担を軽減
部下のメンタルヘルスにまで気を配るラインケアは、管理職にとって大きな負担になることもあります。
管理職はメンタルヘルスの専門家ではないため、どう対応すれば良いか悩んでしまうのは当然です。
EAPはそんな管理職にとって心強く、部下の不調に気づいたとき、一人で抱え込まずに専門家へつなぐという役割を果たせます。
また、管理職自身が「部下への接し方」を専門家に相談することも可能で、マネジメントにも役立つのです。
EAP(従業員支援プログラム)の具体的なプログラム内容とは
EAPが提供するのは、ただの相談窓口ではありません。
メンタル不調の予防から復職支援、さらには組織全体の改善まで、幅広いプログラムが用意されています。
ここでは、EAP(従業員支援プログラム)の具体的なプログラム内容について、詳しく解説していきます。
- 専門家によるカウンセリングや面談
- 従業員や管理職向けのメンタルヘルス予防研修
- 休職した従業員のスムーズな職場復帰支援
- 職場環境の改善に向けた組織へのコンサルティング
専門家によるカウンセリングや面談
EAPの中心となるサービスは、専門家によるカウンセリングです。
臨床心理士などの資格を持つプロが、従業員一人ひとりの悩みに向き合います。
相談方法も対面だけでなく、電話やオンライン、メールなど、利用しやすい形を選べるのが一般的です。
従業員や管理職向けのメンタルヘルス予防研修
問題が発生する前の「予防」も、EAPの大切な機能です。
従業員向け研修(セルフケア研修)
自分のストレスに気づき、上手に対処する方法を学びます。
従業員一人ひとりが、心の健康を自分で守るセルフケア能力を高めるのが目的です。
管理職向け研修(ラインケア研修)
部下の不調のサインに早く気づき、適切に対応する方法を学びます。
職場でのメンタルヘルス対策のキーパーソンとなる管理職のスキルアップを支援するセミナーです。
休職した従業員のスムーズな職場復帰支援
メンタルヘルス不調で休職した従業員が、安心して職場に戻り、再び活躍できるよう支援するのもEAPの重要な役目です。
本人や上司、人事、産業医、そしてEAPの専門家が連携して、無理のない職場復帰プランを作成し、復職後も定期的にフォローアップを行います。
職場環境の改善に向けた組織へのコンサルティング
EAPは、個人のサポートだけにとどまりません。
誰が相談したかは分からないようにした上で、相談内容の傾向やストレスチェックの結果などを統計的に分析します。
この集団分析から、「特定の部署で人間関係の悩みが多い」といった組織全体の課題が見えてくることがあります。
EAPは、そのデータをもとに、具体的な職場環境の改善策を企業に提案するという、組織へのコンサルティングのような役割も果たしてくれるのです。
自社に合うEAP(従業員支援プログラム)プログラムの選び方
せっかくEAPを導入するなら、自社の課題にぴったりのサービスを選びたいものです。
ここでは、プログラムを選ぶ際のポイントをいくつか紹介します。
- EAP導入で解決したい課題や目的を明確にする
- 自社の課題解決につながるプログラムを選ぶ
- 臨床心理士など信頼できる専門家が在籍しているか
- 従業員の家族も支援プログラムの対象になるか
EAP導入で解決したい課題や目的を明確にする
まず大切なのは、「なぜEAPを導入するのか」という目的をはっきりさせることです。
「若手社員の離職率を下げたい」「管理職の負担を減らしたい」など、具体的な課題解決の目的があれば、どのようなサービスが必要かが見えてきます。
目的がはっきりしていないと、せっかくのサービスが自社のニーズとずれてしまうかもしれません。
自社の課題解決につながるプログラムを選ぶ
目的が明確になったら、それに合ったプログラムを提供している会社を探しましょう。
たとえば、ハラスメント対策を強化したいなら、その分野に強い実績を持つ機関を選ぶのが良いでしょう。
自社の課題に特化したサービスがあるかどうかは、重要なチェックポイントです。
臨床心理士など信頼できる専門家が在籍しているか
サービスの質は、どのような専門家が在籍しているかで大きく変わります。
「臨床心理士」や「公認心理師」といった信頼できる資格を持つ専門家が在籍しているか、必ず確認するようにしましょう。
また、必要に応じて医療機関とスムーズに連携できる体制が整っているかも、いざという時のために大切なポイントです。
従業員の家族も支援プログラムの対象になるか
従業員の悩みの原因は、職場だけでなく家庭にあることも少なくありません。
そのため、従業員本人だけでなく、その家族も支援プログラムの対象になっていると、より心強いでしょう。
従業員への手厚い支援を考えるなら、家族も利用できるかどうかは大きなプラスポイントになります。
EAP(従業員支援プログラム)導入にかかる費用の目安とは
EAPの導入を検討する上で、やはり気になるのは費用です。
料金体系はサービス提供会社によって様々ですが、一般的な仕組みを知っておくと検討しやすくなります。
ここでは、EAP(従業員支援プログラム)を導入する際にかかる費用の目安について、詳しく解説していきます。
- 主流は従業員一人あたりの月額固定制
- 契約するプログラム内容によって費用は大きく変動
- 初期費用やオプション料金の有無も確認が必要
主流は従業員一人あたりの月額固定制
一般的なのは、従業員の人数に応じて毎月決まった料金を支払う「月額固定制」です。
相場としては、従業員1人あたり月額300~500円ほどのサービスが多く見られます。
契約するプログラム内容によって費用は大きく変動
月額料金に含まれるのは、基本的なカウンセリングサービスが中心です。
対面でのカウンセリングや研修の実施、ストレスチェックの詳しい分析など、より手厚いサポートを契約すると、その分費用は高くなります。
自社の予算と必要なサービスを照らし合わせて検討することが大切です。
初期費用やオプション料金の有無も確認が必要
契約する前には、月額料金以外にかかるコストもしっかりと確認しておきましょう。
会社によっては、最初に数万円から数十万円の初期費用が必要な場合があります。
また、基本プランには含まれない研修などが、追加のオプション料金になっていることもあるので、トータルでいくらかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。
EAP(従業員支援プログラム)導入後の効果的な運用と周知方法
EAPは、導入したら終わりではありません。
従業員に「使ってみよう」と思ってもらうための、地道な周知と効果的な運用が成功のポイントです。
ここでは、EAPの導入後の効果的な運用方法について、詳しく解説していきます。
- 経営層が率先してEAPの重要性を伝え利用を促進する
- プライバシー保護を強調しEAPの存在を継続的に周知する
- 従業員が相談しやすい職場環境を整える
- まずは人事や管理職が試しにEAPを利用してみる
経営層が率先してEAPの重要性を伝え利用を促進する
「従業員の心の健康は、企業にとって何よりも大切だ」というメッセージを、経営トップが発信することがとても効果的です。
トップの強い思いが伝われば、メンタルヘルスの相談をすることが特別なことではない、という文化が組織全体に根付いていくでしょう。
プライバシー保護を強調しEAPの存在を継続的に周知する
従業員が利用をためらう大きな理由は、「相談した個人情報が会社に伝わってしまうのでは?」というプライバシーへの不安です。
この不安をなくすために、「相談内容は絶対に秘密が守られます。あなたの同意なく会社に報告されることはありません」という点を、繰り返し伝える必要があります。
社内報やポスター、メールなどを活用して、定期的に情報を発信し続けましょう。
従業員が相談しやすい職場環境を整える
EAPという制度があっても、職場の雰囲気がギスギスしていては、誰も相談しようとは思わないでしょう。
管理職が中心となり、お互いの少しの変化に気を配り、「困ったときはお互い様」と言えるような、心理的安全性の高い職場環境づくりが大切です。
まずは人事や管理職が試しにEAPを利用してみる
「百聞は一見に如かず」です。まずは人事担当者や管理職が、試しにEAPを使ってみるのがおすすめです。
「部下との人間関係で悩んで、EAPに相談してみました」といった体験談を共有することで、その安全性や効果が伝わり、他の従業員も利用しやすくなるはずです。
EAP(従業員支援プログラム)の導入や運用に関するよくある質問
EAPの導入を具体的に検討し始めると、法的な位置づけや運用面の細かい部分で、さまざまな疑問が出てくるものです。
ここでは、人事担当者の方などが疑問に持つよくある質問について、Q&A形式で分かりやすく解説していきます。
- EAPの導入は法律で義務付けられていますか?
- EAPは福利厚生とは違うのですか?
- EAPでの相談内容は会社に報告されますか?
- メンタル不調の従業員にEAPの利用を強制できますか?
- パートやアルバイトの従業員もEAPの対象ですか?
EAPの導入は法律で義務付けられていますか?
いいえ、EAPプログラム自体の導入は、現在も法律上の義務ではありません。
ですが、企業には従業員の心と体の健康を守る「安全配慮義務」があります。
この義務に関連して、2025年に大きな法改正がありました。これまで「ストレスチェック」の実施は従業員50人以上の事業場でのみ義務でしたが、2025年5月に成立した法律により、今後は50人未満の事業場でも義務化されることになったのです。
新しいルールは2028年5月までにスタートする予定で、すべての企業にとってメンタルヘルス対策がより重要になります。
EAPは、こうした法律に対応するための有効な手段となっています。
EAPは福利厚生とは違うのですか?
EAPは福利厚生の一つとして提供されることが多いですが、目的が少し異なります。
一般的な福利厚生が従業員の満足度向上を主な目的とするのに対し、EAPは生産性の向上や離職率の低下といった、より経営に直結した目的を持っています。
おまけとして用意するのではなく、企業の成長を支える重要な制度といえるでしょう。
EAPでの相談内容は会社に報告されますか?
いいえ、個人の相談内容が本人の同意なく会社に報告されることは絶対にありません。
EAPの運営会社には厳しい守秘義務があり、プライバシーは固く守られます。
会社には、個人が特定できないように処理された「全体の利用状況」だけが報告されます。
メンタル不調の従業員にEAPの利用を強制できますか?
いいえ、できません。
EAPを利用するかどうかは、あくまで従業員本人の自由な意思で決めることです。
会社が利用を強制することは、信頼関係を損なうことになりかねません。
上司や人事の役割は、このような制度があることを伝え、利用をすすめることまでです。
パートやアルバイトの従業員もEAPの対象ですか?
契約内容によりますが、対象に含めることが推奨されます。
なぜなら、企業が従業員の健康を守るべき「安全配慮義務」は、正社員だけでなくパートやアルバイトにも適用されるからです。
雇用形態にかかわらず、すべての労働者が安心して働ける環境を整えることが、これからの企業には求められるでしょう。
【まとめ】EAPとは企業の成長と従業員支援を両立するプログラム
この記事では、EAP(従業員支援プログラム)について、基本的な知識から導入のメリット、選び方や運用方法まで、幅広く解説してきました。
EAPは、従業員のメンタルヘルスを守ることが企業の生産性向上やリスク管理に直結する現代において、なくてはならない経営戦略の一つといえるでしょう。
社外の専門家による質の高いサポートは、従業員に安心を与え、管理職の負担を軽くし、企業全体の健全な成長を後押ししてくれます。
もし、EAPの導入を具体的に考えている場合、オンライン医療相談から産業医の選任、ストレスチェックまで、企業の健康管理をトータルでサポートする「first call」のような専門サービスにぜひ相談ください。
従業員の健康相談から法定業務への対応まで、企業の健康経営を幅広く支援することが可能です。