嘱託産業医とは?選任義務から業務内容、費用相場、探し方まで徹底解説

企業の成長に伴い従業員が50人を超えたとき、多くの経営者や人事担当者が直面するのが「産業医」の選任という課題です。

「法令で決まっているから、そろそろ探さないと…」と、少し義務的に感じてしまうかもしれません。

ですが、産業医の選任は、法律を守るためだけのものではありません。

適切な産業医と連携し、その活動を支援することで、従業員の心身の健康を支えて休職や離職といった課題を予防することにつながります。

この記事では、「嘱託産業医って、そもそも何をする人?」「専属産業医との違いは?」「具体的な業務内容は?」「費用や報酬の相場は?」「自社に合う医師の探し方は?」といった、担当者が抱えるあらゆる疑問に、一つひとつ丁寧に解説していきます。

とはいえ、いざ産業医を探し始めると、「どこで探せばいいの?」「自社に合う先生が見つかるか不安…」「初めての選任で、何から手をつければいいか分からない」といった悩みにぶつかる人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

そんなお悩みをお持ちなら、クラウド型健康管理サービス「first call」の活用を検討してみるのも一つの方法です。

全国どこでも自社に合った産業医の紹介が可能なだけでなく、オンライン面談やストレスチェック、健診管理まで、煩雑になりがちな健康管理業務をシステムで効率化できます。

目次[非表示]

  1. 嘱託産業医とは?役割や専属産業医との違い
    1. 月に数回企業を訪問する非常勤の医師
    2. 専属産業医との違いは勤務形態と企業への関わり方
    3. 従業員の健康管理を専門的な視点で支援する役割
  2. 嘱託産業医の選任義務と罰則
    1. 従業員50人以上の事業場で選任義務が発生
    2. パートを含む常時使用する労働者が対象
    3. 義務発生後14日以内に選任し届出が必要
    4. 選任義務違反は50万円以下の罰金対象
  3. 嘱託産業医の業務内容
    1. 職場巡視で労働衛生環境をチェックし助言
    2. 衛生委員会に参加し専門的な指導を行う
    3. 健康診断の結果確認と事後措置の対応
    4. 長時間労働者や高ストレス者との面談を実施
  4. 嘱託産業医の探し方と企業に合う選び方
    1. 医師会への依頼や紹介会社の活用が一般的
    2. メンタルヘルスなど自社の課題に合う医師を選ぶ
    3. 面談ではコミュニケーション能力や活動実績を確認
  5. 嘱託産業医の費用と報酬相場
    1. 報酬は企業の従業員規模によって月額で変動
    2. 面談料など基本報酬以外の追加料金も確認
  6. 嘱託産業医との契約で注意すべきポイント
    1. 契約形態は業務委託契約が一般的
    2. 業務範囲や報酬などを契約書に具体的に明記
    3. 契約期間と更新・解約のルールを定めておく
  7. 嘱託産業医に関するよくある質問
    1. 嘱託産業医の費用が依頼先によって違うのはなぜですか?
    2. 契約した嘱託産業医と合わない場合に変更できますか?
    3. リモートワーク中心でも嘱託産業医の職場巡視は必要ですか?
    4. 従業員が嘱託産業医との面談を拒否した場合どうすればよいですか?
    5. 従業員が50人未満の事業場でも、何か法改正で対応すべきことはありますか?
  8. 【まとめ】嘱託産業医の選任は企業の健康経営で大切な取り組み

嘱託産業医とは?役割や専属産業医との違い

まずは基本から見ていきましょう。嘱託産業医とはどのような立場の医師で、企業でどのような役割を担ってくれるのでしょうか。

ここでは、よく比較される専属産業医との勤務形態の違いも解説します。

  • 月に数回企業を訪問する非常勤の医師
  • 専属産業医との違いは勤務形態と企業への関わり方
  • 従業員の健康管理を専門的な視点で支援する役割

月に数回企業を訪問する非常勤の医師

嘱託産業医とは、普段は病院のような医療機関で勤務している医師が、月に1回から数回の頻度で企業(事業場)を訪問してくれる「非常勤の医師」のことです。

日本の多くの企業では、この嘱託という形で産業医と契約しており、一般的なスタイルといえるでしょう。

常勤で医師を雇用するのが難しい中小規模の企業でも、専門家による健康管理体制を構築できる仕組みなのです。

専属産業医との違いは勤務形態と企業への関わり方

嘱託産業医と専属産業医の大きな違いは、勤務スタイルと、労働安全衛生法で定められた選任が必要になる事業場の規模です。

常時使用する労働者が50人から999人までの事業場では、嘱託産業医の選任が認められています。

一方、1,000人以上の大規模な事業場などでは、その企業に常勤する「専属産業医」を置くことが義務付けられています。

専属産業医は週に3日以上勤務する企業の従業員のようなイメージですが、嘱託産業医は月に数時間、業務委託契約に基づいて訪問するのが一般的です。

その違いを表にまとめてみました。

比較項目

嘱託産業医

専属産業医

対象事業場規模

従業員50名~999名

従業員1,000名以上(または有害業務500名以上)

勤務形態

非常勤

常勤

契約形態

業務委託契約が一般的

雇用契約または長期の業務委託契約

訪問頻度

月1回~数回、数時間程度

週3~5日

報酬体系

月額報酬

年俸制

兼業

可能

原則不可

従業員の健康管理を専門的な視点で支援する役割

勤務形態は違っても、産業医の基本的な役割は同じです。

それは、医学の専門家として従業員の健康管理をサポートし、従業員が安全で健康に働ける職場づくりに貢献することです。

特に嘱託産業医は、普段は社外にいる第三者だからこそ、客観的な視点で職場を見ることができます。

社内の人たちが見慣れてしまって気づきにくいような、職場環境の小さな問題点や労働衛生上のリスクを発見しやすいというメリットがあるでしょう。

産業医の最も大切な役割は、深刻な健康問題や労働災害が発生する前の「予防」です。

従業員の健康を守ることは、企業の生産性を守り、法的なリスクを減らすことにも直結する大切な取り組みなのです。

嘱託産業医の選任義務と罰則

嘱託産業医の選任は、法律で定められた企業の義務です。

どのような場合に義務が発生し、もし対応を怠るとどうなるのか、正確に知っておきましょう。

ここでは、嘱託産業医の選任義務と罰則について、詳しく解説していきます。

  • 従業員50人以上の事業場で選任義務が発生
  • パートを含む常時使用する労働者が対象
  • 義務発生後14日以内に選任し届出が必要

従業員50人以上の事業場で選任義務が発生

労働安全衛生法という法律では、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」ごとに、産業医を1人以上選任しなければならない、と定められています。

ここで大切なのは、「企業全体」ではなく「事業場」単位で考えるという点です。

例えば、本社や支店、工場などが別の場所にあれば、それぞれが独立した事業場(事業所)となります。

企業全体の従業員数が100人でも、それぞれの支店が50人未満であれば、選任義務は発生しません。

パートを含む常時使用する労働者が対象

「常時使用する労働者」には、正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイト、契約社員、派遣社員も含まれます。

勤務時間の長さは関係なく、短時間勤務の方も1人として数えます。

正社員の数だけを気にしていると、いつの間にか50人のラインを超えていた、ということにもなりかねないので注意が必要でしょう。

義務発生後14日以内に選任し届出が必要

従業員数が50人に達した日から、「14日以内」に産業医を選任し、所轄の労働基準監督署へ「産業医選任報告書」を提出する必要があります。

なお、2025年1月からはこの手続きが原則として電子申請(e-Gov)で行うよう義務化されているため、事前に準備を進めておくとスムーズでしょう。

14日間というのは、候補者を探し、面談して契約を結ぶにはかなり短い期間です。

そのため、従業員数が40人を超えたあたりから、早めに準備を始めることをおすすめします。

選任義務違反は50万円以下の罰金対象

もし産業医を選任しなかった場合、法令違反となり、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

しかし、リスクはそれだけではありません。

産業医がいない状態で従業員が過労で倒れるようなことがあれば、企業の「安全配慮義務」違反が問われ、より大きな問題に発展してしまうこともあります。

また、契約しているだけで産業医が全く活動していない「名義貸し」の状態も、同様に罰則の対象となるので注意しましょう。

嘱託産業医の業務内容

嘱託産業医は、具体的にどのような業務をしてくれるのでしょうか。

ここでは、法律で定められた、従業員の健康と安全を守るための嘱託産業医の主な業務内容をご紹介します。

  • 職場巡視で労働衛生環境をチェックし助言
  • 衛生委員会に参加し専門的な指導を行う
  • 健康診断の結果確認と事後措置の対応
  • 長時間労働者や高ストレス者との面談を実施

職場巡視で労働衛生環境をチェックし助言

産業医の基本的な職務の一つが、月に1回以上、職場を実際に見て回る「職場巡視」です。

オフィスの明るさや温度、パソコン作業の姿勢、整理整頓の状況などを専門家の目でチェックし、健康を害するリスクがないかを確認する、「職場の健康診断」のようなものです。

問題が見つかれば、その場で改善のための助言をしてくれます。

衛生委員会に参加し専門的な指導を行う

従業員が50人以上の事業場では、「衛生委員会」という会議を毎月1回開く義務もあります。

産業医は、この委員会のメンバーとして参加し、専門的な立場から指導や意見を述べます。

衛生委員会では、長時間労働の対策メンタルヘルス不調の予防など、職場の労働衛生に関する様々なテーマが話し合われます。

産業医は、医学的な知識に基づいて具体的な改善策を提案してくれる存在となるでしょう。

健康診断の結果確認と事後措置の対応

年に1回の定期健康診断の結果をチェックし、異常があった従業員への対応について助言するのも、産業医の重要な役割です。

産業医は、健康診断の結果をもとに「仕事を続けても問題ないか」「少し業務を軽くする必要があるか」「休養が必要か」といった「就業判定」を行います。

企業は、この専門的な意見を参考にして、従業員が無理なく働けるように配慮する義務があるのです。

長時間労働者や高ストレス者との面談を実施

過重労働による健康障害やメンタルヘルスの不調を未然に防ぐため、産業医は長時間労働が続いている労働者や、ストレスチェックで「高ストレス」と判定された従業員と個別に面談(面接指導)を行います。

面談の実施機会を設けることは法律で定められているもので、従業員の心身の問題を早期にキャッチするための大切な機会です。

産業医は、面談を通じて従業員にセルフケアの方法をアドバイスしたり、必要であれば企業に業務負担の軽減を提案したりします。

嘱託産業医の探し方と企業に合う選び方

では、どうすれば自社に合った産業医を見つけることができるのでしょうか。

ここでは、嘱託産業医の主な探し方の方法と、選ぶ際にチェックしたいポイントをご紹介します。

  • 医師会への依頼や紹介会社の活用が一般的
  • メンタルヘルスなど自社の課題に合う医師を選ぶ
  • 面談ではコミュニケーション能力や活動実績を確認

医師会への依頼や紹介会社の活用が一般的

嘱託産業医を探す方法として、地域の「医師会」(日本医師会など)に紹介を依頼する方法と、民間の「産業医紹介会社」を活用する方法が一般的です。

医師会は、地域に密着した医師を紹介してくれる安心感があります。

一方、紹介会社は全国に多くの登録医を抱えているため、メンタルヘルス対応が得意な医師や特定の業種に詳しい医師など、企業のニーズに合わせて、より効率的に探しやすいのがメリットといえるでしょう。

例えば「first call」のようなサービスでは、全国対応で産業医の紹介が可能で、選任後の面談調整や各種記録管理もシステム上で完結できるため、人事担当者の負担を大きく軽減できます。

特に初めて産業医を選任する企業へのサポートも充実しているため、安心して利用することができるでしょう。

メンタルヘルスなど自社の課題に合う医師を選ぶ

産業医を選ぶ上で大切なのは、「自社の健康課題は何か」をはっきりさせておくことです。

例えば、デスクワーク中心でストレスに関する相談が多い職場なら、精神科や心療内科の経験が豊富な医師が頼りになるでしょう。

自社の課題解決を支援してくれる専門家を選ぶ、という視点を持つことが、産業保健活動を成功させるポイントになります。

面談ではコミュニケーション能力や活動実績を確認

候補となる医師と面談する際には、経歴や資格だけでなく、人柄やコミュニケーション能力もしっかりと確認しましょう。

専門的な話を分かりやすく説明してくれるか、従業員が気軽に相談できそうな雰囲気か、といった点はとても重要です。

また、これまでにどのような企業で活動してきたか、具体的な改善経験などを質問してみるのもよいでしょう。

嘱託産業医の費用と報酬相場

嘱託産業医との契約には、もちろん費用がかかります。

あらかじめ産業医報酬の相場を知っておくことで、スムーズに予算計画を立てることができるでしょう。

ここでは、嘱託産業医の費用や報酬相場について、詳しく解説していきます。

  • 報酬は企業の従業員規模によって月額で変動
  • 面談料など基本報酬以外の追加料金も確認

報酬は企業の従業員規模によって月額で変動

嘱託産業医の報酬は、企業の従業員数によって変わるのが一般的です。

従業員が多いほど産業医の業務も増えるため、月額の報酬も高くなる傾向にあります。

具体的な金額は依頼先や地域によって異なります。

例えば、愛知県医師会が公表している資料によると、基本月額報酬額の目安は、従業員数100人以下の事業場で50,000円~、101~200人で65,000円とされています。

一方で、東京の日本橋医師会が公表している資料では、従業員数50~199人の事業場で100,000円~、200~399人で150,000円~となっており、地域によって報酬基準に違いがあることがわかります。

契約を検討する際は、自社の地域の医師会が公表している基準を確認したり、複数の紹介会社から見積もりを取ったりして、相場を把握することが大切です。

下記は、基本的な業務(月1回2時間程度の訪問など)に対する料金の目安です。

従業員数

医師会経由の相場(例:日本橋医師会)

紹介会社経由の相場

50名未満

75,000円~

50,000円~

50~199名

100,000円~

60,000円~

200~399名

150,000円~

80,000円~

400~599名

200,000円~

110,000円~

600~999名

250,000円~

150,000円~

面談料など基本報酬以外の追加料金も確認

月額の基本報酬には、決められた訪問回数や時間内での基本的な業務が含まれています。

しかし、契約時間を超えて従業員と面談したり、特別な健康教育や研修を依頼したりする場合には、別途追加料金がかかることが多いです。

契約を結ぶ前に、どのような場合に追加料金が発生するのかを契約書でしっかりと確認しておくことが、後のトラブルを防ぐためには大切です。

嘱託産業医との契約で注意すべきポイント

産業医と良好な関係を築き、法律上の要件をクリアするためには、契約内容をしっかりと定めることが重要です。

ここでは、嘱託産業医と契約を結ぶ際に、特に注意したいポイントを見ていきましょう。

  • 契約形態は業務委託契約が一般的
  • 業務範囲や報酬などを契約書に具体的に明記
  • 契約期間と更新・解約のルールを定めておく

契約形態は業務委託契約が一般的

嘱託産業医との契約は、企業の従業員として雇う「雇用契約」ではなく、「業務委託契約」を結ぶのが一般的です。

これは、産業医が企業の指揮命令下に入るのではなく、独立した専門家として、対等な立場で業務を提供するということを意味します。

この独立した立場こそが、中立的な視点から企業と従業員の双方にとって最善の助言をする上で、とても大切になるのです。

業務範囲や報酬などを契約書に具体的に明記

後になって「こんなはずではなかった」という事態を避けるため、契約書には業務の内容や条件をできるだけ具体的に書いておきましょう。

例えば、「月に何回、何時間訪問するのか」「衛生委員会には必ず参加するのか」「基本料金に含まれる面談の範囲はどこまでか」といった業務範囲や報酬、訪問頻度などを明確にしておくと安心です。

しっかりと内容を定めた契約書は、お互いが気持ちよく仕事を進めるために重要です。

契約期間と更新・解約のルールを定めておく

契約期間は1年ごとの自動更新とするのが一般的です。

契約書には、契約期間のほかに、契約を更新する際の手続きや、万が一契約を解除する場合のルール(予告期間など)も明記しておきましょう。

もし産業医を変更する場合、企業は14日以内に後任を選ばなければなりません。

そのため、解約の予告期間は、次の産業医を探す時間を十分に確保できる「3ヶ月前」などに設定しておくと、慌てずに対応できるでしょう。

嘱託産業医に関するよくある質問

最後に、嘱託産業医に関するよくある質問について、詳しく解説していきます。

  • 嘱託産業医の費用が依頼先によって違うのはなぜですか?
  • 契約した嘱託産業医と合わない場合に変更できますか?
  • リモートワーク中心でも嘱託産業医の職場巡視は必要ですか?
  • 従業員が嘱託産業医との面談を拒否した場合どうすればよいですか?
  • 従業員が50人未満の事業場でも、何か法改正で対応すべきことはありますか?

嘱託産業医の費用が依頼先によって違うのはなぜですか?

費用に違いが出るのには、いくつかの理由が考えられます。

まず、依頼する業務範囲が違えば、料金も変わってきます。

法令で定められた最低限の業務だけをお願いするのか、メンタルヘルス研修のようなプラスアルファの活動も依頼するのかで、報酬は変動するでしょう。

また、精神科のような高い専門性を持つ医師は報酬が高くなる傾向があり、紹介ルート(医師会か紹介会社か)によっても料金体系が異なります。

契約した嘱託産業医と合わない場合に変更できますか?

はい、変更することは可能です。

ただし、すぐに解約を考えるのではなく、まずは産業医と話し合い、企業としてどのような活動を期待しているのかを具体的に伝えてみることをお勧めします。

それでも改善が難しい場合は、契約書の手順に従って契約を解除し、新しい産業医を探すことになります。

その際に注意すべきなのは、前の産業医が辞めてから14日以内に後任を選任し、届出を済ませることです。

産業医がいない期間ができないように、計画的に進めるようにしましょう。

リモートワーク中心でも嘱託産業医の職場巡視は必要ですか?

はい、必要です。

働き方がリモートワーク中心になっても、職場巡視の義務はなくなりません。

ただし、そのやり方やチェックするポイントが変わってきます。

巡視の対象は、物理的なオフィス環境から、従業員の自宅での仕事環境へとシフトします。

例えば、長時間座っても疲れにくい椅子を使っているか、孤独感からメンタルヘルス不調に陥っていないか、といった在宅勤務ならではの健康リスクをチェックし、助言することが産業医の役割となるのです。

オンラインでのヒアリングや、セルフチェックリストなどを活用して実施するのが一般的です。

従業員が嘱託産業医との面談を拒否した場合どうすればよいですか?

企業が従業員に産業医との面談を強制することは、原則としてできません。

しかし、そのまま放置してしまうと、企業が安全配慮義務を果たしていないと見なされるリスクもあるため、丁寧な対応が求められます。

まずは、なぜ面談したくないのか、その理由を聞いてみましょう。

その上で、産業医には守秘義務があり、話した内容が本人の許可なく企業に伝わることはないこと、面談は評価のためではなく、あくまで本人の健康を守るためのものであることを伝えて安心してもらうことが大切です。

一連の対応は、しっかりと記録に残しておくようにしましょう。

従業員が50人未満の事業場でも、何か法改正で対応すべきことはありますか?

はい、注意すべき重要な法改正があります。

これまで従業員50人未満の事業場では努力義務だった「ストレスチェック」の実施が、2025年5月に成立した法改正により、今後は義務化されることになりました。

施行までには数年の準備期間が設けられていますが、これは企業の規模にかかわらず、国がメンタルヘルス対策を重視していることがわかります。

産業医の選任義務がない今のうちから、地域産業保健センターなどの支援を無料で活用し、従業員のメンタルヘルスを守る体制づくりを少しずつ始めておくことが重要です。

【まとめ】嘱託産業医の選任は企業の健康経営で大切な取り組み

今回は、嘱託産業医の役割から選び方、費用、そして日々の運用におけるポイントまで、幅広く解説しました。

従業員が50人を超えた企業にとって、嘱託産業医の選任は法律上の義務です。

しかし、それは決して「やらなければいけない面倒なこと」ではありません。

企業の大切な財産である「労働者」の健康を守り、組織全体の活力を高めるための戦略的な取り組みであり、「健康経営」の実践そのものなのです。

もし、自社に最適な産業医探しや、選任後の産業保健活動の進め方にお悩みなら、「first call」のような専門サービスの活用も検討してみてください。

産業医の紹介はもちろん、オンラインでの面談設定、ストレスチェックや健康診断結果の一元管理まで、人事担当者の負担を大幅に軽減しながら、法令に準拠した健康管理体制の構築が可能になります。

従業員が24時間いつでも匿名で医師に相談できる窓口も提供しており、テレワーク中心の働き方にも対応しやすいでしょう。

法令遵守は、あくまでスタートラインです。その先にある、従業員一人ひとりが健康で、いきいきと働ける職場をつくるために、ぜひ産業医の力を最大限に活用してみてください。

遅沢 修平
遅沢 修平
上智大学外国語学部卒業。クラウド型健康管理サービス「first call」の法人営業・マーケティングを担当し、22年6月より産業保健支援事業部マーケティング部長に就任。

クラウド型健康管理サービス「first call」は、
人とシステムの両方で、企業の健康管理をサポートします。

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