
従業員の健康管理で企業が行うことは?義務・取り組み・進め方を解説
従業員の健康管理として会社がまず行うのは、健康診断と、その結果に応じた対応です。異常が見つかった人については医師の意見を聴き、場合によっては勤務時間や仕事の内容を見直さなければなりません。対象者への健康診断と結果に応じた対応は、従業員の人数にかかわらず、どの会社にも求められます。
長時間労働者への面接指導も、条件に当てはまる人がいれば会社の義務です。一方、ストレスチェックや産業医の選任が義務になるかどうかは、会社全体ではなく事業場ごとの人数で変わります。事業場とは、本社や支店、工場のように、原則として場所ごとに分かれた単位のことです。たとえば常時50人以上の本社では産業医が必要でも、30人の支店には産業医の選任義務がありません。
この記事では、健康管理に関する義務と努力義務、職場改善と支援、情報管理のルール、進める手順と負担を減らす方法について詳しく解説します。
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この記事でわかること
- 対象者への健康診断と、健診で異常が見つかった人について医師の意見を聴き、必要な措置を取ることは、会社の規模にかかわらず必要になる
- ストレスチェックや産業医の選任は事業場ごとの人数で決まり、50人未満の事業場のストレスチェックは2028年4月から義務になる
- 職場環境の見直しや相談窓口づくり、治療と仕事の両立支援も、健康管理の一部になる
- 健診結果などは、使う目的と閲覧できる人を決めて従業員に知らせてから集め、相談内容などは原則として本人の同意を得てから受け取る必要がある
- 年間計画に担当者と期限を書き込み、公的な窓口に相談したり一部の業務を外部に任せたりすれば、負担を減らすことができる
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従業員の健康管理とは

従業員の健康管理とは、従業員が心身ともに健康な状態で働けるように、会社が行う取り組みのことです。健康診断の実施に加えて、働きすぎを防ぐ労働時間の管理や、不調を抱えた人が相談できる窓口づくりも含まれます。
会社が行う健康管理には、次のような対応や支援があります。
- 法律で実施が義務づけられている対応(健康診断、長時間労働者への面接指導など)
- 法律で努力義務とされている対応(健康教育、健康相談など)
- 会社が内容を決めて行う独自の支援(運動施設の利用補助や食生活を支える福利厚生など)
義務になっている対応を怠れば罰則が科されることもあり、たとえば健康診断を実施しなかった会社は50万円以下の罰金の対象です。努力義務に罰則はないものの、健康教育や健康相談については、継続的かつ計画的に行うよう努めることが法律で求められています。運動施設の利用補助のように、会社独自の支援が法律上の努力義務(運動やレクリエーションなどの活動への援助)を兼ねることもあるでしょう。
従業員の健康づくりを経営の課題ととらえて計画的に進める取り組みを、健康経営と呼びます。どこまで力を入れるかは会社によって違いますが、まずは義務になっている対応を漏れなく行い、自社に合う取り組みはその後で加えていきましょう。
従業員の健康管理に関する義務と努力義務

従業員が安全で健康に働けるよう配慮することは、会社の責任です。これは労働契約法で定められた安全配慮義務です。長時間労働を続けさせて従業員が体調を崩した場合などには、この義務に違反したとして会社が損害賠償責任を問われることもあります。
健康診断のように、実施する内容や期限を労働安全衛生法などの法令が定めている対応も少なくありません。ただ、法令どおりに実施するだけで安全配慮義務を果たせるとは限らず、仕事の内容や本人の健康状態に応じた配慮も必要です。
法律に沿って会社が行う主な対応には、次のものがあります。
- 対象者への健康診断
- 健診で異常があった人について医師の意見を聴くこと
- 医師の意見を踏まえた働き方の調整
- 事業場の人数に応じたストレスチェック
- 労働時間の把握と長時間労働者への面接指導
- 事業場の人数に応じた健康管理の体制づくり
ここでは、対象者への健康診断から健康管理の体制づくりまでを詳しく解説していきます。
対象者に健康診断を行う
会社は、常時使用する従業員に対し、雇い入れたときと、その後1年以内ごとに1回、健康診断を行わなければなりません。正社員だけでなく、条件を満たすパート・アルバイトも対象です。
一般の健康診断では、原則として次の2つの条件を満たすパート・アルバイトが対象になります。
- 契約期間の定めがないか、1年以上働く予定があるか、すでに1年以上働いている(深夜業など特定の業務に常時就く人は、1年ではなく6か月)
- 週の所定労働時間が、同じ事業場で同じ種類の業務をする通常の労働者(正社員など)の4分の3以上
夜勤などの深夜業を含む業務に常時就いている人は、その業務への配置替えのときと6か月以内ごとに1回の健康診断が必要です。法令で定められた有害業務に就く人には、特殊健康診断も必要です。
雇い入れ時や定期の一般健康診断の結果は、本人へ遅滞なく通知し、健康診断個人票を作って5年間保存します。定期健康診断結果報告書の提出は常時50人以上の事業場に限られますが、定期に行う法定の特殊健康診断の結果報告は、人数にかかわらず必要です。特に健康面で注意が要る人には、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。
健診で異常があれば医師の意見を聴く
健診で異常の所見があった人については、会社が医師の意見を聴かなければなりません。法定の歯科健診なら、意見を聴くのは歯科医師です。本人に再検査をすすめただけでは、医師の意見を聴いたことにはなりません。
意見を聴く期限は、健診の受け方によって次のとおりです。
健診の受け方 | 期限 |
会社が実施した健康診断 | 健診を受けた日から3か月以内 |
会社の健診に代えて、本人が法定健診と同等の健診を受け、結果を提出した場合 | 結果が提出された日から3か月以内 |
深夜業に就く人が、法令の条件を満たして自分で受けた健診の結果を提出した場合 | 結果が提出された日から2か月以内 |
聴いた意見は、健康診断個人票に書き込む決まりです。医師から仕事の内容や労働時間について情報を求められたら、会社はすみやかに提供しなければなりません。
厚生労働省の指針は、産業医の選任義務がある事業場では産業医から意見を聴くことを適当としています。選任義務がない50人未満の事業場では、地域産業保健センターなども意見を聴く先の一つです。期限に間に合うよう、依頼先は健診の前に決めておきましょう。
医師の意見を踏まえ、必要なら働き方を調整する
医師の意見が出たら、会社はその内容と本人の事情を踏まえ、健康を守るために必要と認めた場合は、労働時間の短縮や仕事内容の変更などの措置を取らなければなりません。これが就業上の措置です。
医師からは、厚生労働省の指針に沿って、おおむね次の3つの区分で意見をもらいます。
区分 | 会社が行う対応の例 |
通常勤務 | これまでどおり働いてもらう |
就業制限 | 労働時間の短縮、残業や出張の制限、作業の転換、深夜業の回数の減少 |
要休業 | 療養のため、休暇や休職で一定期間仕事を休んでもらう |
健診で異常の所見があっても、通常勤務と判断された人の働き方は変えなくて構いません。医師は意見を述べる立場で、実際に措置を決めて実行するのは会社です。
措置を決める前には本人の意見を聴き、十分に話し合って了解を得られるよう努めます。上司など産業保健スタッフ以外の人に伝える情報は勤務の調整に必要な範囲に限り、診断名や検査値はそのまま伝えないことが、厚生労働省の指針で求められる対応です。健康診断の結果を理由に、解雇や不当な配置転換などで本人に不利益を与えてはいけません。
事業場の人数に応じてストレスチェックを行う
ストレスチェックは、従業員が質問票に答え、自分のストレスの状態に気づくための検査です。メンタルヘルスの不調を防ぐのが目的で、常時50人以上の事業場では、ストレスチェックを1年以内ごとに1回実施する義務があります。
50人未満の事業場では、ストレスチェックは現在努力義務ですが、2028年4月1日からは実施義務の対象です。
受検者の解雇や昇進、異動に直接の権限を持つ人は、ストレスチェックの実施事務(回答内容の確認やデータの入力など)を担当できません。受検を勧めることはできますが、受けるかどうかは従業員の自由です。受けなかったことや、面接指導を申し出たことを理由に、本人に不利益を与えることも禁止されています。
結果は実施者から本人へ直接届く仕組みです。会社が個人の結果を受け取るには、本人への結果通知後に、書面などで同意を得る必要があります。ストレスの程度が高く、実施者が面接指導を必要と認めた人から申し出があれば、遅滞なく医師の面接指導を行わなければなりません。その後も遅滞なく医師の意見を聴き、必要な措置を取るのが会社の義務です。常時50人以上の事業場は、実施状況を労働基準監督署へ報告します。
労働時間を把握し、必要な面接指導を行う
会社には、タイムカードやパソコンの使用記録など、原則として客観的な方法で従業員の労働時間の状況を把握する義務があります。管理職や裁量労働制で働く人の労働時間も、把握の対象です。除かれるのは高度プロフェッショナル制度の対象者だけで、この人たちには別に「健康管理時間」の把握が必要です。
時間外・休日労働(週40時間を超えて働いた時間)が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる人から申し出があれば、遅滞なく医師による面接指導を行わなければなりません。
会社は毎月この時間を計算し、80時間を超えた人には、すみやかにその時間数を知らせなければなりません。面接後に遅滞なく医師の意見を聴き、必要と認めた措置を取るところまでが会社の対応です。面接指導の結果は、記録して5年間保存しなければなりません。
研究開発業務に就く人や高度プロフェッショナル制度の対象者には、申し出がなくても面接指導が必要になる基準など、別のルールがあります。
事業場の人数に応じて健康管理の体制を整える
産業医などの選任や衛生委員会の設置が必要かどうかは、事業場の人数で決まります。数えるのは健診の対象者数ではなく、週の労働時間が短いパートやアルバイトも含めてふだん雇っている人数で、派遣社員は派遣先と派遣元の双方で人数に含めます。
人数ごとの主な体制は次のとおりです。
事業場の人数 | 求められる体制 |
常時50人以上 | 産業医と衛生管理者の選任、衛生委員会の設置 |
常時10人以上50人未満 | 安全衛生推進者または衛生推進者の選任 |
常時10人未満 | この表に挙げた担当者の選任義務はない |
衛生委員会は健康障害の防止などを労使で話し合う場で、開催は毎月1回以上です。委員会がない事業場でも、従業員の意見を聴く機会を設けるようにしなければなりません。選任する推進者は、建設業や製造業など法令で定める業種なら安全衛生推進者、それ以外の業種なら衛生推進者です。
事業場で常時使用する従業員が50人以上になったら、14日以内に産業医と衛生管理者を選任しなければなりません。選任後は、遅滞なく労働基準監督署への選任報告が必要です。50人未満の事業場に産業医の選任義務はありませんが、医師や保健師に健康管理を担ってもらうよう努めなければなりません。
従業員の健康管理に向けた職場改善と支援

健診や面接指導は、不調のサインに気づいて対応するための仕組みです。一方で、不調を生みにくい職場をつくり、困ったときに相談できる場を用意しておくことも会社の役割になります。
会社ができる主な支援は、次の4つです。
- 職場環境と作業方法の見直し
- 健康相談の窓口づくり
- 研修や福利厚生による健康づくり
- 治療と仕事の両立支援
ここでは、職場で取り組める支援を順に紹介します。
職場環境と作業方法を見直す
快適に働ける環境を整えることも、会社に求められる努力義務の一つです。腰痛や目の疲れを訴える人が多いなら、作業台や椅子の高さ、画面との距離、休憩の取り方を現場で見直してみてください。
長時間労働が続く部署では、本人に体調管理を促す前に、業務量や人員配置を変えられないかを話し合いましょう。努力義務とされているストレスチェックの集団分析を行っていれば、その結果から負担が偏っている部署を絞り込むことも可能です。集団分析の部署ごとの集計は、個人が特定されない方法で行うのが前提で、実際の受検者数が10人を下回る単位では原則として行いません。
職場環境の改善に取り組んだ後は、従業員の負担が減ったかを聞き取りましょう。
健康相談の窓口を設ける
従業員は体調や心の不調があっても、誰に相談すればよいか分からず、一人で抱え込んでしまうことがあります。社内の担当者、産業医や保健師、外部の相談窓口について、それぞれ何を相談でき、どうやって連絡するのかを従業員に知らせます。相談内容を社内の誰に、どこまで伝えるのかについても、利用前の説明が必要です。
first callのオンライン医療相談サービスなら、従業員は匿名で、24時間いつでもチャットで医師に相談できます。会社は管理画面で、登録者数や相談件数、相談の多い科目や年代といった利用の傾向を確認できます。ただし、法律で定められた面接指導の代わりにはならない点に注意してください。
研修や福利厚生で健康づくりを支える
研修のテーマは、職場で実際に起きている困りごとから選んでみましょう。夜勤のある職場なら睡眠と休息の取り方、デスクワーク中心なら座りっぱなしを防ぐセルフケア、管理職向けなら部下の不調に気づくラインケアといった具合です。研修後は参加人数の集計に加えて、仕事や生活で試せたことを参加者に聞いておくと、次のテーマ選びに役立ちます。
福利厚生は、交代勤務や在宅勤務の人も使える時間帯や方法で用意しましょう。また、断れない雰囲気で利用させたり、利用状況から個人の健康状態を上司が推し量れたりする運用は避けてください。
治療と仕事の両立を支援する
がんや脳卒中、心の病気などの治療を続けながら働く人への支援は、2026年度から事業主の努力義務です。
支援のきっかけは、原則として本人からの申し出です。まず本人の希望を聞き、仕事内容や勤務時間を伝える資料を一緒に用意して、本人を通じて主治医の意見をもらいます。産業医がいれば産業医にも相談し、通院の時間を確保できるか、仕事の内容をどう変えるかを本人と話し合う流れです。
勤務の内容は、主治医の意見と本人の希望、職場で調整できる範囲をすり合わせて決めます。見直しの時期も本人と相談し、治療の経過に応じて調整しましょう。
従業員の健康管理で守るべき情報管理のルール

健診結果や、病歴などを含む相談内容は、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたります。要配慮個人情報とは、差別や偏見につながらないよう、特に配慮が必要な個人情報のことです。管理を誤れば従業員の信頼を失い、相談そのものをためらわせることにもなります。
厚生労働省の指針で会社に求められているのは、健康情報の取扱規程を労使で話し合って定め、健診結果などを集め始める前に従業員へ知らせることです。取扱規程は、健康情報の使い方や管理の方法を決める社内ルールです。指針は規程に定める事項を9つ挙げており、特に次の3つは早めに決めましょう。
- 情報を使う目的
- 情報を見られる人
- 保管と廃棄の方法
以下では、情報管理のルールを一つずつ取り上げます。
健康情報の利用目的を決める
健康情報を使えるのは、原則として、従業員の健康を守るために必要な範囲です。本人の同意がある場合などを除き、健診結果などを健康の確保と関係のない目的に使うことはできません。
健康診断のうち法律で決まった項目の結果や、長時間労働者や高ストレス者への医師の面接指導の結果などは、本人の同意がなくても取得できます。一方、法定外の検査項目の結果や健康相談の内容などは、原則として本人の同意を得てから受け取る決まりです。
どの情報を何のために使うのかは、取扱規程に書いたうえで従業員に伝えます。情報の提供に同意しなかったことを理由に従業員に不利益を与えることは、厚生労働省の指針で禁じられています。
健康情報を見られる人を限定する
健康情報を見られる人は、担当する業務に応じて最小限にします。たとえば、健診結果の全体を見られるのは健康管理の担当者と産業医に限る、といった形です。紙のファイルの保管場所やシステムの閲覧権限にも、閲覧できる人の範囲をそのまま反映させます。
担当者の異動や退職に合わせて、閲覧の権限をすぐに見直すことも必要です。産業医だけでなく、法定の健診や面接指導、ストレスチェックの実施事務に携わる社内担当者にも、法律上の守秘義務があります。秘密を漏らさないなど守るべき事項を取扱規程に書き込み、担当者に周知してください。
健診結果の管理などを外部に委託する場合は、委託先が情報をどう管理しているかを会社が監督しなければなりません。委託などの場合を除き、健診結果などを社外の相手に渡す第三者提供には、原則として本人の同意が必要です。
健康情報の保管・廃棄方法を決める
法令で保存期間が決まっている記録は、その期間の保存が義務です。健康診断個人票や面接指導の記録などが、これにあたります。それ以外の記録も、利用目的に合わせて保存する期間を定めます。
保管場所の目安は、紙の書類なら鍵のかかる場所、電子データならアクセス制限をかけた場所です。保存期間を過ぎ、使う目的もなくなった記録は、シュレッダーにかけるか、容易に復元できない方法でデータを消去して廃棄しましょう。
健診結果などの個人データの漏えい・紛失・改ざんなどが起きた場合や、そのおそれがある場合は、原則として個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要です。健診結果のような要配慮個人情報は、1人分でも報告の対象になります。
従業員の健康管理を進める手順

法律で決まった対応は、年間の予定に組み込み、担当者を決めて進めます。健診の実施日だけでなく、結果が届いた後の対応まで予定に入れましょう。
進め方の流れは、次のとおりです。
- 自社の健康課題を確認する
- 健康管理の担当者と役割を決める
- 年間の計画と予算を決める
- 従業員に案内して計画に沿って取り組みを進める
- 取り組みの状況や効果を見直す
以下では、健康管理を進める手順を見ていきます。
自社の健康課題を確認する
まず、事業場ごとの人数と、健診やストレスチェックを受ける人を洗い出します。あわせて、次の点を手元の記録から調べます。
- 異常所見があった人について、医師の意見聴取や措置が済んでいるか
- 時間外・休日労働が月80時間を超えた人の数
- ストレスチェックの集団分析の結果
医師の意見聴取や措置が済んでいない人がいれば、その対応が最優先です。受診率の低い部署や長時間労働が多い部署を探すのは、その後で構いません。
健康管理の担当者と役割を決める
健康管理の業務は人事・総務だけで抱えず、医師や現場の管理者、経営者と分担しましょう。役割分担の一例は、次のとおりです。
担当 | 主な役割 |
人事・総務 | 健診の手配・結果管理、ストレスチェックの手配、医師への必要な情報の提供 |
現場の管理者 | 労働時間の管理、就業上の措置に沿った勤務の調整 |
産業医などの医師 | 健診結果に基づく意見、面接指導 |
経営者 | 就業上の措置の決定、体制や予算の承認 |
担当表には、誰が何をいつまでに行うかに加え、担当者が不在のときの代わりも書き込みます。
年間の計画と予算を決める
健康診断を行う時期が決まったら、その時期を起点に年間の予定を組みます。予定に入れる日程や議題の例は、次のとおりです。
- 健診結果が届く予定日
- 医師の意見を聴く期限
- ストレスチェックの実施時期と面接指導の受付期間
予算には、健診費用のほか、産業医への報酬やストレスチェックの費用、相談窓口やシステムの利用料も入れます。まず法定の対応に必要な費用を確保し、残りで職場独自の取り組みの規模を決めましょう。
従業員に案内して計画に沿って取り組みを進める
健診やストレスチェックの案内には、何のために受けるのかと、いつまでにどう受ければよいのかを書きます。同時に案内する場合は、健診には従業員の受診義務があり、ストレスチェックには受検義務がないことも分けて伝えます。交代勤務や在宅勤務の人にも届くよう、メールと社内掲示など複数の方法で知らせると確実です。健診機関への申し込みは早めが無難です。
実施後は、未受診の人、結果の通知が済んでいない人、医師の意見聴取が済んでいない人を洗い出します。医師への相談など急を要する対応を優先し、その他は期限が近いものから進めます。
取り組みの状況や効果を見直す
年間計画には点検の日も書き込み、健診の受診や医師の意見聴取など、法律で決まった対応が予定どおり進んでいるかをその日に確かめます。遅れが見つかったら、次の健診まで持ち越さずに担当者と期限を決め直しましょう。
研修や職場改善の効果は、残業時間や休職者の数、従業員アンケートでの負担感などを前年と比べると分かりやすいです。翌年も続けるものと変えるものは、こうした数字と従業員の声をもとに決めましょう。
従業員の健康管理の負担を減らす方法

健康管理をほかの業務と兼務していて、健診の時期に手が回らないときは、医師とのやり取り、健診結果の管理、予約や連絡の事務のうち、どこに時間を取られているかを振り返ってみてください。
負担を減らす方法は、主に次の3つです。
- 50人未満の事業場向けの公的な相談先を使う
- 健診結果と対応状況をまとめて管理する
- 事務の一部を外部に依頼する
事業場の人数と、時間を取られている業務に合う方法から取り入れましょう。ここからは、負担を減らす3つの方法を一つずつ説明します。
公的な窓口に健康管理の実務を相談する
常時50人未満の事業場なら、地域産業保健センターを原則無料で利用できます。健康診断の結果に基づく健康管理や、長時間労働者への面接指導などについて、医師などに相談できる窓口です。利用の条件や受付方法は、所在地の窓口に問い合わせてください。
事業場の人数にかかわらず、担当者自身が専門家に相談したいときは、各都道府県の産業保健総合支援センターも使えます。事業者や人事労務の担当者からの相談を受け付け、事業主や労務管理の担当者向けのセミナーも開いています。
健診結果と対応状況を関連付けて管理する
健診結果と、その後の医師の意見聴取や措置の状況が別々のファイルにあると、誰の対応が止まっているのかを探すだけでひと苦労です。管理方法を見直す際は、一人ひとりについて、健診から措置までの情報を一つの記録にまとめましょう。記録に入れる情報の例は、次のとおりです。
- 健診日と結果が届いた日
- 医師の意見を聴く期限と聴いた日
- 就業上の措置の内容
- 次の対応の担当者と予定日
first callの健診管理サービスでは、健診結果の画像データやCSVファイルを取り込み、オンラインでまとめて管理できます。自社で契約している産業医も、システム上で健診結果の閲覧が可能です。健康診断後の産業医による就業判定も、システム上で実施できます。
健康管理の事務を外部に依頼する
健診の予約や対象者への連絡、結果の回収、結果のデータ化などは、外部に任せられる業務です。ストレスチェックの実施も外部に委託でき、産業医も外部の医師と契約して選任する方法があります。
依頼する前に、任せる事務の範囲と報告の期限、会社が受け取る情報の範囲を契約で決めましょう。健康情報の保管方法や閲覧権限なども、契約に盛り込んでください。
従業員の健康管理に関するよくある質問

健康診断の案内を出すと、「費用は自分で払うのか」「受診している間の給料は出るのか」と従業員から聞かれることがあります。健診の費用は会社が持つのが原則ですが、受診時間の賃金を払う必要があるかどうかは、健診の種類しだいです。ここでは、費用と賃金について、よくある疑問に答えていきます。
法定の健康診断の費用は誰が負担する?
法律で実施が義務づけられている健康診断の費用は、会社が負担します。厚生労働省も、法律で実施を義務づけている以上、当然、会社が負担すべきものとしています。
本人が希望して追加する検査や人間ドックについて、会社がどこまで費用を負担するかは、福利厚生の制度として定めておくとよいでしょう。
健康診断を受ける時間の賃金はどうなる?
一般の健康診断を受ける時間の賃金は、労使で話し合って決めるものです。ただ、厚生労働省は、一般健診の受診時間の賃金も、従業員がスムーズに受診できるよう会社が支払うことが望ましいと説明しています。
一方、有害な業務に関わる特殊健康診断は、受診にかかった時間が労働時間になるため、賃金を支払わなければなりません。
【まとめ】従業員の健康管理を継続する体制を整えよう
健康診断は実施して終わりにせず、異常所見のある人について医師の意見を聴き、必要な措置を取るところまで年間の計画に入れましょう。
ストレスチェックや産業医の選任は事業場ごとの人数で決まり、50人未満の事業場も2028年4月からストレスチェックが義務になります。健診結果などは、使う目的と閲覧できる人を決めて従業員に知らせてから集め、相談内容などは原則として本人の同意を得てから受け取ることが必要です。
健診結果の管理から産業医による就業判定までは、first callの健診管理サービスでオンラインで完結できます。調査データや各サービスの資料は、資料一覧からダウンロードできます。

























